やがて妖銃の弾輝《はじき》   作:トナカイさん

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お久しぶりです。
かなり間が空きました……すみません。
いや、本当。

アリスベル第5巻出ましたね!
読んだ感想として、妖刀VSエネイブル、妖刀視点の話でなかなか興味深い話でした。
まだの方はぜひそちらをご覧いただくと後々分かりやすくなると思います。

まだ一巻の内容ですが出来るだけ執筆していきますんで……。


異能9 伝説の熱光線

手に取る妖銃のトリガーを引いた。

引いた瞬間から俺の瞳では世界の姿が一変する。

まるで超高性能カメラが見せる、スーパースローの世界へと俺の視界が変わった。

 

ドゥギューンッ!

 

妖銃から放たれた赤い弾丸がビビが放った光弾に向けて飛来し、銃弾に刻まれた滞空の式により停止する。それと同時にその弾丸を包むように発生した魔法陣が描かれた凸凹のレンズにより太陽光が一瞬のうちに集まる。

まるで超高速再生をしているかのようなとてつもない速さでスローモーションの世界を太陽光の光が照らす。

やがて弾丸を包むレンズに集まった太陽光が一斉に反射し、その光が増幅して、同時に展開していた別の魔法陣に集まり、その魔法陣から反射された光が一直線に放たれた。

ここでスローモーションの世界から元の視界に戻る。

 

バッ!

 

放たれた光はビビが放つ光弾へとぶつかる。

ビビが放った光弾と俺が放った太陽光の術式がぶつかり攻めぎ合う。

どちらの術式も拮抗していたが、やがてバチバチバチッと、スパークするような音を立て俺が放った弾丸諸共爆発した。

 

ドウッ! という砲弾が破裂したような爆音と共に周囲に土が巻き上がる。

爆音と共に強烈な爆風も襲いかかり、静刃は吹き飛ばされていた。

 

「くッ……ま、まさか……光線(レーザー)の術式を操れるなんて……」

 

爆風を何らかの式で防ぎながらビビが歯ぎしりした。

ビビが悔しがるのも無理はない。

今の一撃で気付いたようだが俺が放ったのはただの弾丸ではないからな。

アルキメデスの熱光線(ソーラーレイ)』の式。

本来は太陽光を凹凸レンズに集めて光を増幅させ焦点を敵に定めてから放つ式で発動までに時間と手間がかかる術式だが、俺が使う妖銃には特殊な式が刻まれており、特殊な弾丸にあらかじめ『アルキメデスの熱光線』の式を込めて放つ事で好きな時に自由自在に放つ事ができる。

太陽光を必要とする為、天候に左右されるという欠点があり屋内では使えないが一度放てば普通の人間には回避出来ない強力な式だ。

 

 

「出力は最弱にしてあるから安心しろ。

おとなしくしてればもう撃たねえからよ」

 

「弾輝君、今のは何ですか⁉︎」

 

マリナーゼが目を大きく見開いて驚きながらも興味津々といったような表情をして聞いてきた。

 

「大昔、ヨーロッパで実用されたと伝わる兵器と現代に伝わる如意棒の式を元に俺の家にいる専門家が改良して発展させたもんだ。

長い間、使い方を忘れていたからちゃんと使えるかは賭けだったけどな」

 

「ありえないわ!

あんたが使った式は、有名な妖が使う術式の一つ、『意の如く、どこまでも伸び、射殺す』と言われるあの如意棒とほぼ同じものなのよ⁉︎

そんな高難易度の式を魔術的な補助も無しに使えるなんて……」

 

「補助ならあるぜ?

妖銃(コイツ)には自動的に式を制御する術式がかけられているからな」

 

「な、そんなものどうやって……」

 

「さあな。お前に答える義務も義理もねえ」

 

「くっ、マリーといい、あんたといい……あたしの邪魔ばかりして……」

 

「『因果応報』だな。お前が俺の前に立ち塞がらなければ俺は何もしないままだったんだぜ?」

 

妖銃という存在になっている今の俺は口調を荒々しくしながらビビを見据える。

妖銃の銃口をビビに向けながら会話を続ける。

 

「思い出したくもなかったのに、ビビ、お前のせいで思い出しちまったよ。

あの日(・・・)の事も……な」

 

「わたしは忘れてほしくなかったわ。

ずっとあんたを探していたんだから」

 

「話がよく分かりませんが2人とも知り合いのようですね……一度休戦としませんか?」

 

「そうだな……ビビもそれでいいか?」

 

「……仕方ないわね」

 

マリナーゼの提案を受け入れようと俺達は手に取っていた武器を納めようとした時。

 

______ガッシャァァァーン

 

周囲全体から、ガラスが割れるような音が響いた。

空間を何かが突き破るような音が聞こえ、視界の中を______シャッ______小さな太陽のようなものが、掠め飛ぶ。

そして______ドゥッ!

再び砲弾が落ちたような音と共に、土が巻き上がる。

 

「きゃあっ⁉︎」

 

ビビはスカートどころか体ごと、足元からめくり上げられたように吹っ飛び、揉みくちゃになりながら地面に転がった。静刃と共に。

静刃達の、その真横に、ガスッ! 光に続いて上空から落ちてきた『何か』が突き刺さった。

周囲は土煙と______舞い上がった桜の花びらで、メチャクチャだ。

よく見るとそれは……輪っかのようなもので、どこかの美術館にアートとして飾られていそうな、金属製の、穴あき円盤だった。

いや、ただの円盤ではない。

あれは______武器だ。

 

真空を描くドーナツ形の金属は外周が鋭い刃になっていて、見るからに危険なムードがある。

円環状の刀剣として見ると、刃渡は円周の全てになっており、刃の幅は______外径から内径は15センチほどだ。剣身には、ここからではよく分からないがおそらく俺が読めない文字がグルりと彫金されているだろう。

その文字が電光掲示板のようにそれぞれ輝いている事にも驚いたが……さらに驚く事態が上空にいる一人の少女によって起こされた。

 

輪っかの上には女の子が直立して立っていたからだ。

居鳳高の制服を着た、黒髪ツインテールの______

 

「姉さん⁉︎」

 

俺の背後にいるマリナーゼが上空のその少女に向けて声をかけた。

そう、俺達の前に姿を現したのは、今朝マリナーゼの横に座っていた彼女の姉_。

 

_____アリスベルという名の少女がサーカス芸のように直立していた。

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