聖闘士星矢:転生者編   作:madamu

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続くんです。


パーパパパーパパ―パパッパパー!空高く!フー!掲げよ!

俺こと佐伯源十郎が白銀聖闘士になった経緯は特殊と言って他ならない。

 

父親はグラード財団系の商社のビジネスマン。

俺が7歳の頃にギリシャを中心とした地中海をメインに色々と買い付けをする凄腕ビジネスマンだ。

俺も幼少のころからギリシャに住み、日本子弟向けの学校は無かったがギリシャの首都のイングリッシュスクールに通い、そして首都に視察に来ていた聖域関係者に見つけられ誘拐。

 

誘拐である。

「地上の愛と平和を守る聖闘士を育てるため他国から来た小学生を誘拐」したのである。

 

ハイ、国際問題。

 

父親は色々な伝手を使い、日本大使館そしてギリシャ政府へと訴え俺の身柄を聖域から取り戻した。

しかし、古代ギリシャから連綿と続く格闘カルト宗教団体である。

うちの両親への幻朧拳的な技で俺の身柄を日曜日や、長期の休暇時には聖域へ渡し訓練を積ませる約束を取り付けた。

 

で、俺の身柄は「白銀聖闘士の星の元に生まれた訓練生」として聖域から監視され、ギリシャ政府からは「何かあれば日本政府に文句を言われる国際問題」として注視され、両親からすれば「ギリシャに伝わる格闘技を熱心に習う息子」と見られる。

 

生まれた世界で「アジア最大の財閥グラード財団」「城戸光政」の二つでこの世界が聖闘士星矢であることは明白。

幼少の頃にギリシャという点である程度波乱万丈の人生は予想していたが生々しい「国際問題」として俺の前に立ちふさがることとなるとは思わんかった。

 

 

「リップクリーム!」

睫毛が長い!肌が白い!そして無駄にエロイ!

 

訓練が終了して聖域の闘技場わきの木陰で寝ていると蜥蜴座のミスティが物凄い勢いで近寄って来て胸倉をつかみ、俺を無理やり起こして言った最初の言葉である。

 

原作漫画「聖闘士星矢」7or8巻くらいに出てきた少女漫画の王子様みたいな顔をしたヤツ。いや6巻だったかな。

それが蜥蜴座(リザド)のミスティである。

アレだよ、見開きで全裸を晒し「神よ、私は美しい」と言った変態ナルシスト聖闘士である。

仮面をしていないので男性聖闘士なのだが、独身の一部雑兵から「下手な女性聖闘士候補より色気がある」という評価を得ている。

※ただし女性聖闘士は仮面をつけているのであくまで雑兵たちの想像だ

 

「お前、前会ったときにあげただろう」

半年前、日本から大量輸入(個人の持ち込み量の上限。合法)により俺は日本から「リップクリーム」や「シャーペン」「スーパーボール」「グラビア雑誌」を聖域に持ち込み、若手聖闘士候補への懐柔に使っていた。

 

聖域でも外部との折衝を行う人たちにはシャーペン(日本製)、女性聖闘士にはリップクリーム、聖闘士候補の子供にはスーパーボール、そして思春期真っただ中の白銀聖闘士と一部黄金聖闘士にはグラビア雑誌である。

 

1980年代前半の日本から持ち出せたものなどたかが知れるが、それでもこの聖域にはオーパーツ級の物である。

聖闘士は任務として世界各地に行くが、世俗との交わりに関しては任務地でも制限される。

テレビは見ない、ラジオも聞かない、雑誌は読まない。

そんな、中世的な聖域に現代の「普通の物品」を白銀聖闘士であること、ギリシャ政府との関係、国際問題への発展を防ぐため俺に対して強く言わない聖域首脳部(双子座のサガであることは承知済み)は、オーパーツ級の物品の持ち込みには黙認だ。

 

アイオリアに「最近魔鈴が爪割れを防ぐネイルコーティングをしているから、爪の綺麗さを褒めろ」といったら信じられないくらい頷いた。

アイツ、どう考えても魔鈴のこと好きなんだよな。恋愛テクニックは小学生レベルだが。

 

その「オーパーツ」であるリップクリームに食いついたのがこの男である。

「使いきった!いいか、今すぐに私の唇にリップクリームを塗らないと唇が!唇が!」

騒ぎ立てるミスティの唇は渇いており、少し切れていた。

「私の完璧な美貌にはリップクリームが必要なんだ!」

 

騒ぐな、わめくな、唾を飛ばすな。

唇の渇きで半狂乱になるミスティは半狂乱というよりも不思議な踊りだ。

 

道で警備している雑兵が肩を震わしている。

白銀聖闘士がくねくねと踊るのだ。そりゃ面白いだろう。

階層絶対の聖域なので、雑兵が白銀聖闘士を指さして笑うことはできない。

だが気持ちはよくわかる。

蜥蜴座のミスティが「馬鹿踊り」をしているのだ。

指さして大笑いしたいだろう。

 

「お前!確か教皇から呼び出しあっただろう!行かなくていいのか!」

「その教皇から呼び出しに応じるにも身だしなみがあるだろうか!馬鹿者!」

お前の唇なんか気にしねーよ!と言いたいが、襟首をつかまれ喉が絞まりつつあり言葉がでない。

 

「ミスティ!あんた、そんなところでジャポネと遊んでんのかい!」

遠くから女の声。

離れた道から女の聖闘士がミスティにどなる。

シャイナだ。

 

シャイナ、通称シャイナさん、16歳、イタリア人。CVは小山さん。

蛇使い座の白銀聖闘士で必殺技は鉤状の手で行う「サンダークロウ!」確かマッハ2くらいだったはず。

最近、素顔を見た日本人の青銅聖闘士にお熱だ。

原作情報でここまでわかっているんだから便利だよな。

俺は原作の最萌ヒロインはシャイナだと思っている。

 

ちなみに俺のことが嫌いなのだ。

聖域では俺に対して「聖域外の物を持ち込んでくる文明堕落者」と見ている奴らが一定数いる。

その一人がシャイナである。

そのため、俺のことを名前ではなく国籍で呼ぶ。

 

「いい加減におし!教皇からの招集に遅れるとどやされるよ!」

そう言われてミスティも「リップクリーム」と言いながらしぶしぶ俺を放す。

まあフランス男としては口やかましいすぐ怒鳴るイタリア女は怖いのだろう。

俺も怖い。

 

ミスティはトボトボとシャイナの方へと歩いていく。

振り返り「次までには前回の倍は準備してくれ!」とわめいたが、シャイナに睨まれると小走りになった。

 

「まったく」

俺は立ち上がると割り当てられた宿舎へと向かい、次回の輸入品リストにミスティの希望を入れるよう考えたところ、雑兵が大急ぎで走ってきた。

 

雑兵にも格があり、革の胸当ての焼き印でどういった仕事の雑兵かわかるようになっている。

胸にはアテナ神殿を模した焼き印とギリシャ語で「伝令」を示す文字。

 

教皇直下の伝令兵だ。

 

そして俺にも緊急で招集の話が来た。

 

命令は「日本にて行われる聖闘士同士の私闘を俗世の人間に見せる興行があった。その主催であり女神アテナを自称する少女を滅すること」である。

 

俺たち白銀聖闘士は殺し屋として日本に行くこととする。

そして俺が仕込んできた諸々を使い目的を果たすための勝負の始まりだ。

 

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