「全員揃ったな」
「青銅の始末にここまで揃えるとはな」
ペルセウス座のアルゴルが集まった面々を見回すと、事の重大さを嚙みしめるように御者座のカペラが呟く。
そんな時代劇めいた口調でしゃべるからお前ら老け顔なんだよ、と口が裂けても言えない。
夜の聖域。
コロセウム(円形闘技場)には青銅聖闘士誅殺をすべく選抜された白銀聖闘士10名が集結していた。
すり鉢状のコロセウムは聖域にも数カ所あり、ここは古代より白銀聖闘士の練習場として使われてきた。
衛兵も近寄らない。
まさに白銀聖闘士の為の場所だ。
この人数が好き勝手動くとなにが起きるかわからないので、作戦を立てるべくコロセウムに集合したのだ。
聖域外にいた人間を待ってからの出立だったので、教皇の命令から数日が経過している。
原作を知る俺からすればこの間に聖矢たちはブラック聖闘士との闘いのため、ケガを治療したり、紫龍はジャミールのムウのところに聖衣を持っていったりと、原作4巻あたりのことが発生しているはずだ。
ちなみに巻数を言うときはジャンプコミック準拠だ。
原作とはいささか段取りが違うが許容範囲と言えるだろう。
原作は魔鈴たちとシャイナたちの二段構えだったが今回は一気に10人を送り込み1回で終わらせるつもりだ。
「源十郎、悪いが年長のあんたが仕切ってくれ」
話し合いにまとめ役が必要と考えたのか烏座のジャミアンが俺に話を振って来る。
まあ、こうなることは予想がついていた。
俺は18歳、いやもうすぐ19歳になる。
白銀聖闘士は上は19歳から下は16歳までだ。
ちなみに青銅は星矢、瞬は13歳、氷河、紫龍が14歳、一輝が15歳である(あってるかな?)
いや、氷河15歳だったか??
そういう意味では人生経験的にはここにいる面々より1,2年長い(転生前の年齢入れれば倍どころではない、下手しなくても親子レベルだ)
そして聖域外の任務経験も最多だろう。
普通は年に一度程度、他地域の聖闘士の修行状況を監督に行くなどの仕事を白銀は与えられるが、俺は教皇の信頼厚き白銀聖闘士なので年に数度特殊な任務に就き、さらには諸々の国際問題を起こさないため聖域外での生活を行うこともある。
もっと言うとジャミアンは外向きの仕事で2度ほどコンビを組んでおり、俺への信頼が厚いというのも、まとめ役を求めた理由だろう。
「わかった。では仕切ろう。では今回の任務における教皇の話を俺なりに具体化した話をしよう」
俺は視界に全員が入る位置に動きながら視線をくばる。
原作では性格があまり出ていなかった白銀聖闘士だが意外と面白い奴が多い。
もちろん面倒くさい性格の奴もいる。
ペルセウス座のアルゴル:石化光線を放つギミックがある盾を持つ。上昇志向が妙に強い。
御者座のカぺラ:円盤攻撃が出来るギミック聖衣持ち。落ち着いているというか心配性。
烏座のジャミアン:スキンヘッド。烏を操る。悪人面の割に常識人。
鷲座の魔鈴:女聖闘士で星矢の師匠できっとドS。シャイナが怒鳴る系のイタリア美少女なら、沈黙の圧力系。
ケルベロス座のダンテ:強面で理知的。アルゴルとつるんでおり、別名「アルゴルの知恵袋」
蜥蜴星座のミスティ:ナルシスト。外見が良いのであまり知られていないが結構バカ。
ケンタウルス星座のバベル:炎を操る聖闘士。バランサー志向でアルゴルからは「優柔不断」と言われる。仕事の出来る男。
白鯨星座のモーゼス:筋肉バカ。中身は小学生なところがある。
猟犬星座のアステリオン:自信家風。サトリの法(読心術)を治めているが意外とヌけているところがある。天然ぎみ。
そして俺を加えた10名が誅殺隊となる。
魔鈴は星矢のお仕置き。他の白銀聖闘士は実戦経験を積ませるため。
相手は青銅と言えど10名近い。聖域側も人数が必要と判断したのだろう。
「チームを2つに分ける。1つは青銅を確保する組。もう一つは奴らの本拠地であるグラード財団を叩く組だ。組み分けには俺と魔鈴は必ず分かれる。日本での行動するにも言葉がわかる人間が各組に1人必要だろう」
全員の視線が俺に向かう。俺の提案には肯定的な視線だ。
「どの程度までやるんだ」
バベルの質問は的を得ていた。
”誅殺”といっても「殺害」や「再起不能」などある程度手心がある。
いくら聖域が世界の裏から各政府へ圧力をかけられると言っても殺人許可証を持っているわけではない。
それこそ、殺人をさせるのは隠匿性のある技術を持った者で、教皇の信頼のある者が中心になる。
蟹座の旦那の技を使えば「謎の心不全」で済むので重宝されているわけだ。
山羊座は惨殺死体だし、魚座は謎の中毒死なので刑事事件性が上がる。
「青銅はそうだな。歯向かってくるようなら力の差をわからせる必要はあるだろう」
濁す様に伝える。
これで白銀聖闘士たちは殺しは無し。あくまで力の差を見せつけるということを意識するはずだ。
「教皇も殺すことは明言していなかったしな」
御者座のカペラも安心して頷く。出た心配性。
「だが、もしもの場合は止む得まい」
「うむ」
モーゼスが少しだけ嬉しそうに別の回答を言うと、ダンテも同意する。ダンテの場合は「緊急の際はな」という言葉が省略されているような頷きだ。
ケルベロス座のダンテは見てくれの強面から想像が出来ないほど頭が回る。趣味は言語学習という変わり種でもある。簡単な会話なら8か国語行けるらしい。この英才がつるんでいるのがペルセウス座のアルゴルだ。
イケイケのアルゴルと、策士なダンテ。
今、聖域の白銀聖闘士は俺が最年長としてまとめ役、蓋の役割をしているがこの二人は教皇に認められ上に行きたいのかもしれない。
つまりは空席とされている「射手座」「双子座」の黄金聖闘士候補になるということだ。
でも片方は偽教皇の正体だし、もう片方はグラード財団で糞ダサフルアーマーモード聖衣なので俺なら勘弁願いたい。
ジャンプコミックスで初めて見たときはマジで子供ながら「ダサイ」と思ったものだ。
「グラードの方は?」
ジャミアンは次の質問をしてくる。
そうだ、教皇の誅殺対象は「青銅聖闘士とグラード財団、そして城戸沙織」だ。
あの双子座野郎、もう少し仕事のゴール地点は絞れよな。2020年代なら部下に指示が出来ない上司ランキングぶっちぎり1位だぞ。
いや無惨様いるから2位か。
「会場を壊して、相手に経済的な被害を受けさせる程度だ。一般人に聖域に近づきすぎないよう警告もこめて」
俺は説明し軽く肩をすくめる。
一社スポンサーで興行された格闘技大会の会場が謎の団体に破壊をされたら、そりゃ「ヤバい」という感想以外出てこない。
「破壊活動か。目立たないか?」
うわ、ダンテの常識的発想。やっぱダンテは想像力がある。
「そこを上手くやらねば教皇にも評価されんだろう」
腕を組み、少し鼻息の荒いアルゴル。
お前は上手くやるといってもどう上手くやるか考えてないだろう。
「それにしてもこのタイミングとはな」
「このタイミングとは?何かあるのか」
独り言なのかカペラが漏らす。
それに反応するのはバベルだ。
この二人、考え過ぎなきらいもあるが今は考え過ぎな奴が一人二人いてくれた方が良い。
「いやな、聖域の戦力がここまで揃ったのは数百年ぶりだぞ。88の星座のうち…50は以上は埋まっているな。折角そろった聖闘士を減らすような真似はあまりな」
そうだそうだ!心配性いいぞ!
「相手はアテナを名乗る馬鹿者とそれに組する青銅だ。場合によっては見せしめに一人二人は仕方あるまい!!」
カペラの杞憂を元気よく否定するのはアルゴルだ。
コイツにしてみれば功績を立てるチャンス。多少の犠牲も目をつぶるつもりだろう。
馬鹿とは言わんが、未来を知る俺としてはどうなの?と思ってしまう。
「城戸沙織という少女が本物のアテナなら?」
口を挟んだのは烏座のジャミアン。
この男、顔の割には常識人で慎重派だがここぞという時は決断できるいい男。
ヒドラの市、リュムナデスのカーサ、冥界にいたスキンヘッドの雑兵冥闘士に通ずる顔つきはしているが、烏を自在に操る特殊な小宇宙の運用に、殺傷力のある蹴り技と痒い所に手が届く万能型聖闘士でもある。
そんな男の言葉に白銀聖闘士たちに緊張が走る。
皆が思っていた不安が言語化され、図星を指されたような緊張だ。
「馬鹿を言うな!」
モーゼスが語気強めに否定する。
すかさずダンテが追従する。
「教皇も噂では前聖戦から生きている。その教皇がアテナの真贋を間違えるだろうか。教皇は当時のアテナにお逢いしているんだぞ」
バベルは片方の眉を動かす。どうやらダンテの言葉に引っかかるものがあるようだ。
まあ、バランス志向のバベルとしては積極性の高いダンテとアルゴルとはちょいちょい意見の相違がある。
「五老鋒の老師はどうおっしゃっているんだ」
声を荒げずバベルは重鎮の名前を出した。
この聖域では教皇が頂点だが、その教皇にたいして唯一同格なのが五老峰の老師だ。
白銀以下でその正体が黄金聖闘士の天秤座の童虎とは知る者は少ないが、発言の重みに関しては尊重する存在である。
「さあ」
不満そうにモーゼスが言葉を返す。
お前よ~、暴れたいだけじゃないの?
「アテナではない証拠はあるのか」
「知らんな。教皇が何かしらの証拠を押さえているんじゃないか」
バベルの言葉に投げやり気味なアルゴル。
後ろに控え黙るダンテ。
う~ん、前世でのバイト先の高校生がこんな感じだった。
「笑い話では済まないぞ。アテナに拳を向けるのは聖域に歯向かう以上だ」
バベルの声に少しだけ焦りを感じる。
「だがな、本当のアテナというわけでは」
ダンテの反論も少し声が弱い。ん?少しだけ疑念が湧いたか。
「では射手座の黄金聖衣はどうなる」
カペラが会話に一言挟む。
言外に【本物の黄金聖衣ならばそこにいる少女はアテナだろう】と言っている。
「あんなもの…」
「止めてくれ、そんなものは噂だ」
声が一段小さくなるアルゴルにアステリオンが一笑に付した。
一笑と言ってもその言葉は「俺を惑わすな」といった感じだ。
「源十郎あんたはどう思う」
どうやら俺の内心の百面相を感じ取ったのかジャミアンが話を振って来る。
「正直、難しい」
言い争いをしたアルゴルを始め、カペラ、バベル、ダンテと俺に視線を向ける面々の顔を見回しながら言った。
皆静かに次の言葉を求めている様だ。
「もし、本当のアテナなら俺たちは逆賊の尖兵だ」
全員の息を飲む音が聞こえる。
「だが偽物のアテナなら俺たちは真っ当な任務となる」
先程の逆の言葉に、緊張が緩和される。
「では、アテナの真贋、その区別は俺たちにつくのか?」
つかんよな。どうやって判断するかなんて。俺は知っているが。
「だから実際に城戸沙織に会い、青銅聖闘士に話をしてみないことには何とも言えない」
先程の緊張感から一段階緊張の度合いが上がる。
「だが教皇からの命令では!」
アルゴルが反対意見を出す。
ダンテもうなずく。
「少なくとも尋問をすることを禁止はされていない」
俺は少々屁理屈を言う。
ダンテ「屁理屈屋め」と俺に視線を投げる。
絶対、お前後日俺に感謝するからな。
俺の発言は「一時的に教皇の命令を保留する」ということだ。
つまり聖域の命令を無視するに近い。
命令の遂行のみをして来た10代の若者たちからすれば、命令を遂行しないことを言った俺は異端や反逆者に近い。
「老師の話が出たがいつか聖戦が起きる。その時の戦力を俺たちの手で減らしていいのか」
「だが聖戦は…」
バベルが言いたいことはわかる。250年聖戦は行われていない。明日、明後日でいきなり聖戦が勃発するかはわからない。
起こるんですよ。ジャンプコミック19巻くらいから。そう考えると海皇ポセイドン編って10巻もないのか。
「明日起きないとは限らんか」
俺の言葉を補足するようカペラがうなずく。
「何を考えこんでいる、俺たちは白銀聖闘士だぞ!まずは拳を振るってから考えればいいではないか」
俺の話にイライラを溜めたのかモーゼスが聖域的な正論を言う。お前、大声出すなよ。
だが、それをとどめたのはカペラであった。
「その拳の先がアテナでもか」
これで、この会議の陣容が固まった。
主戦派:ゴルゴン座のアルゴル、ケルベロス座のダンテ、白鯨座のモーゼス
対話派:オリオン座の源十郎、ケンタウルス星座のバベル、御者座のカペラ、烏座のジャミアン
中立:猟犬星座のアステリオン、鷲座の魔鈴、蜥蜴座のミスティ
「その拳の先か」
ジャミアンがカペラの言葉を反芻する。
皆黙ってしまう。
自分達の信仰の対象に拳を向けることになるのか。正義と真実の在処は。
「男九人で考え込んでも埒が明かないね」
一段高いところで話の流れを見ていた魔鈴が喧々囂々の男どもに言葉のストレートパンチを打つ。
もうこの時点で、男どもは返す言葉が出てこない。
ほら、向こうでカペラが俯いちゃってるじゃん。
俺だって魔鈴怖いんだぞ。
「そういうお前はどうなんだ」
肩をすくめ「悪うございました」と言わんばかりにジャミアンが言葉を返す。
行け、頑張れジャミアン。
「星矢はわからせなきゃならない。聖闘士の掟をやぶっているしね」
まるで「コップは棚に戻して」とお願いレベルの抑揚のない声だ。
星矢をわからせる、は魔鈴にとっては日常レベルの話だろう。
「じゃあ城戸沙織は」
少しニヤついてジャミアンがもう一度聞く。
「私の拳は小宇宙を知らない女の子には振るわない。もし小宇宙を持っていたら…」
抑揚のない声で紡がれる言葉はここにいる誰よりも乾いているが、妙な人間性も醸し出している。
それは真実だけを見つめる頑迷な人格だ。
「アテナか」
俺が言葉を引き継ぐ。
もし小宇宙を持つ少女ならそれはアテナ。アテナに拳を向けるというのか。
「その時考えるさ」
魔鈴はそう答えた。
く~痺れる。魔鈴さん!白銀聖闘士で一番ハードボイルドです!
こんな魔鈴と同棲していた星矢はきっと立派な奉仕型M属性に目覚めているに違いない。
「ふん、魔鈴は自分の弟子が可愛いからな。殺しはすまい」
カラ元気で魔鈴に突っかかっていくのはアルゴルだ。
横でダンテが額を押さえ苦い顔をしている。
この後の展開が想像できたのだろう。
「ああ、弟子の首なら白銀聖闘士が10人がかりで仕留めなくても、いつでもねじ切れるしね」
腰抜けの実力不足をこういう湾曲的表現で言われると耐性の無い奴はキレる。
アルゴルみたいに。
「なんだと!」
語気荒くアルゴルが魔鈴の方に近づこうとするが、ダンテが肩に手を置き止める。
「やめろ、口喧嘩じゃ勝てんぞ」
「だがな!」
今にも殴り掛からん勢いだ。
「拳で決着ならば私闘扱いだぞ」
ダンテの言葉に、アルゴルの動きが止まりきつい目線を魔鈴に投げる。
「この中で跳ね返りどもと気脈を通ずる可能性があるのは魔鈴だぞ」
アルゴルが不満の源泉を言う。
そうなんだよ、青銅聖闘士の味方に付きそうなのは魔鈴だけなのだ。
「気脈を通じたところで、何が出来るんだ?」
「あ、いや…」
俺の言葉にアルゴルが口ごもる。
想像力が足りんな、アルゴルくん。
俺は魔鈴に向きなおる。
「魔鈴、俺を出し抜けるか」
「白銀聖闘士の三強の1人を?寝言の類だね」
肩をすくめる魔鈴。仮面で表情はわからないが、無駄な質問に呆れているって感じの声だ。
現在の白銀には三強がいる。
実力は黄金聖闘士に勝るとも劣らぬ琴座のオルフェ。
人望厚く、高い見識、巧みな拳技を操るケフェウス星座のダイダロス
そして経験豊富で歴代の白銀聖闘士でも実力抜きんでるオリオン座の源十郎
これが今の白銀聖闘士の三強と呼ばれる面々だ。
歴代白銀聖闘士でも実力が抜きんでたというのも、蠍座のミロにスカーレッドニードルを14発撃ち込まれたことがあるが、何とか生き残り獅子座のアイオリアから「歴代最強の白銀かも知れんな」とお墨付きをもらったことがあるのが理由だ。
15発撃たないと相手を絶命できない不完全な技、と思っていたスカーレッドニードルだったけど、2発目でもう何ともいかん。
ありゃ、下手な白銀聖闘士でも一発喰らうだけで戦闘不能になる。
結局三日三晩激痛と高熱でうなされて、身体がまともに動くまで1か月はかかった。
いやな思い出だ。俺、前世は蠍座だったから推しだったんだけど!
「まあまあ、いきり立つな」
「だがな!」
ダンテのなだめる言葉にアルゴルがもう一つ大きな声で返事する。
「お前、まだ三強のこと」
何か閃いたようにバベルが手を打ち、アルゴルのコンプレックスを突く。
アルゴルは三強というくくりに憧れがあるようで、一番手近におり性格面では尊敬できない俺を羨んでいる。
まあ保守的なアルゴルとしては、お土産持ち込みをする聖域の尊厳に砂をかける俺のことはあまり好きではないのであろう。
「うるさい!」
アルゴルの短い反論は今までの保守派としての強硬な態度というよりは、図星を突かれた高校生のわめきだ。
「あ~あ」
ジャミアンがバベルの一撃がクリティカルしたことを呆れると、バベルも「余計なことを言ってしまった。ヤバい・・・」と口元を手で隠す。
今まで沈黙を保っていたミスティが一歩前に出る。
「私は源十郎派だ」
馬鹿、余計なことを言うな。
「お前!白銀聖闘士だぞ!懐柔されたのか?!」
髪をかき上げ宣言したミスティに近づくとアルゴルは大声を上げる。
「懐柔?お前の三強云々より清十郎の味方をすれば色付きリップが手に入るんだぞ」
「知るか!睫毛お化けが!」
こうなると二人とも口喧嘩、いや悪口合戦だ。
性格の割に戦闘能力が高いミスティは、アルゴルからすると「もっと真面目にやれ!」の対象だ。
そのミスティは毛嫌いしている俺の側に立ったことが余計に腹が立つのだろう。
二人は「このナルシスト!」「優等生気取り!」「馬鹿!」「アホ!」「チ●コ無し野郎!」「う●こ顔!」と語彙が4歳児くらいに退行している。
「ダイダロスあたりがいてくれればな」
「そうぼやくなよ。俺たちとしては白銀の三強が仲がいいのは安心できるんだ」
俺の嘆息と一緒に出た言葉にカペラがフォローしてくれる。
コイツも年の割には心配性なんだよな。
オルフェも、ダイダロスも俺と仲が良い。
同期というものあるがあの二人は自分の実力をひけらかすタイプでもないし、性格も出来ている。
まあ、オルフェの彼女が毒蛇に噛まれたのを俺が助けたのも大きい。
オルフェの彼女が毒蛇に噛まれた直後、近くを走り込みしていた俺は速攻傷口から毒を吸い出し、聖域を飛び出し
アテネ市街地の病院に運び込み彼女の一命はとりとめた。
美少女の足に吸い付くという行為は後から思い出すとヤベーことをしたな~。
2000年代ならちょっとエロいとかイチャモンをPTAから言われそうだ。
それに蛇の毒を直接口で吸い出すとか危ないからダメヨ。
聖闘士によるコスモの解毒効果あってこその荒業だ。
なので、琴座のオルフェは冥界に行かず普通に聖域で暮らしている。
ダイダロスとも時折身の回りのことを手紙をしたりと交流は長い。
あまり知られていないがダイダロスの師匠は教皇で、牡羊座のムウの弟弟子らしい。
「まともに修行を見てもらったのは最初の一年だけだよ。あの方もお忙しいしな」と話してくれた。
牡羊座のムウとは一歳差だから兄弟子、弟弟子としては境があまりない。
まあカペラの不安は不仲が多い黄金聖闘士を見ていれば当然か。
「先までの真面目な空気が台無しだな」
ジャミアンがため息とともに肩をすくめる。
自分達の信仰の源泉たるアテナの存在についてピリピリしていたのが一瞬で吹き飛んだことが馬鹿らしいようだ。
「ふん、俺に会わせれば一発だ。サトリの法ですぐ真偽がわかる」
馬鹿を見るような視線を馬鹿二人(アルゴルとミスティ)に向けながらアステリオンが呟く。
横にいたバベル「それは教皇を疑うことにはならんかな」と真偽を問うこと自体の危なさを指摘する。
「ん、それもそうだが」
口ごもるアステリオン。何も考えずに口にする天然ぶりはいつもどおりだな(ほっこり)
「少なからず戸惑いがあるな」
カペラが何度目かの溜息をつく。
「ではこの場にいる10人で同じ約束を立てよう」
バベルの突拍子の無い言葉に全員が顔を向ける。
「約束だと」
モーゼスがいの一番に疑問が口に衝く。
「青銅聖闘士は殺さない。城戸沙織と出会ったものは対話を試みる」
ピースサインを全員に見せるバベル。
約束は二つだ。
「青銅如き殺さずに捕まえることは難しくあるまい。城戸沙織との対話をしてから誅殺でも修行元に送り付けるでも遅くはない」
納得させるよう俺が全員に言う。
ジャミアンが頷くと、カペラやアステリオンも続いて頷く。
ダンテも頷くのを見て、アルゴルは渋い顔をしている。
だがダンテが頷くならアルゴルも追従する。
他の面々も頷いたり、肯定の沈黙。
「星矢は死んだほうがマシと思えるような再修行してやれよ」
「そうするよ」
笑いながら魔鈴に言うと、超クールな声で返事が来た。
成仏してくれよ、星矢。マジで死んだ方がマシな修行だと思う。
「では約束の証に」
俺はコロセウムの柱の一つを殴りつける。
拳の痕が柱にくっきりとつく。
10人が全員拳の痕を柱に残しコロセウムから姿を消した。
夜明けには出発だ。
追記:2023/02/27の9時くらいから一気にアクセスが増えてるんですが、みなさんどこでこの作品知りました?
どこかで紹介されています?