ロット王は愛妻家   作:藤猫

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モルガンの話になります。
これでいったん、語り手の話は終りになります。
ランスロとアルトリアの語りはまたいつかと考えています。

やっと最後、二倍の文字数になりました。

また、評価等いただけますと嬉しいです。


女はかく語りき

・・・・・なんだ、貴様は。

私の話?

聞いて、どうする。聞いて、何が変わるのか。

そうか、そうだな。誰にも話さず去るのは誠実ではないか。

なら、聞くが良い。

私の、愚かな恋の話だ。

 

 

あの、人に会ったとき、きっと簡単に懐柔できると思った。

私の美貌に眼をくらみ、明らかにはしゃいでいた。だが、すぐにそんなものは消えてしまった。

いや、この私を避けるような、遠ざけるような仕草をし始めたのだぞ!?

この、私を。

腹立たしかった、どんな男も私が微笑めばふらふらと蜜にたかる虫のようだったというのに。あれはどこか私を探るような目をして見てくるんだ。

が、その時は苛立つだけでそれだけだった。初夜にさえ待ち込めば。

・・・・私も経験は無かったが、まあ。なんとかなるはずだった!

なんといっても私はこの島さえも滅ぼすはずだったからな。それぐらいは出来ると思っていた。

 

が、あの男、私のことをあやすように抱き込んでそのまま寝たんだぞ。

この、私と、床を、共にして!!

 

腹立たしかった、腹立たしくて、だが、あの男の腕の中は暖かかった。

そう言えば、誰かに抱きしめてもらうなんてこと、あれが初めてだったのだな。

 

・・・・あの男は、私に手を出そうとしなかった。

けれど、疎うているわけではなかった。そうだ、まるで蝶よ花よと大事にされた。

城の者は私を大事にしてくれた。

何があっても私の味方であってくれた。何かがあってもあいつが悪いと味方になってくれてな。

その時、あの男は本当に、情けない顔をしていて。その顔が、好きだったなあ。

 

・・・私は、あまり女に好かれる性質ではなかった。

だが、侍女たちは私によく仕えてくれた。驚いた。女は私に嫉妬をするか、薄気味悪いと言うことも多かった。

だが、オークニーの侍女たちはやたらと私を気に入った。

呆れるほどに私のことを飾り立ててな。飾り立てずとも、私は美しいというのに、だ。

 

久方ぶりの女主人だから、と。

嬉しいと、私のことを。私のように、美しくて、可憐な姫が来てくれて嬉しいと。

そう、皆、言ってくれた。

オークニーの騎士だとか、高名な家の子女たちもやたらと私に対して友好的でな。最初は何かあるのかと考えていたら、皆が口をそろってあいつの文句、というか、愚痴、苦情を言い出してな。

やれ、すげなく振られた、やれ、無視をされた。果ては堂々と興味が無いと逃げられただとか。

あの鈍感、最低男をどうか骨抜きにしてくれと、私を応援するような空気になってな。

行った先でいびられる想像はしていたが、まさか歓迎されたあげく、応援を受けるなど。

呆れた、本当に呆れた。あいつはどんな女遍歴をしているんだと。

 

男たちも、なんというか、私に対して好色そうな目を向けてくるんだが、それ以上に、こう、切実な目を向けてきてな。

気になって、ダイルに聞いたことがあった。

それもまた呆れた話で、あいつは女に手を出さないせいで、逆に男が好きなんじゃないかと噂が広がっていたらしい。もちろん、そんなことはなかったが。

おかげで、年寄り連中から若手までどうか陛下に跡取りを、いや女への興味がわきますようにと祈られていたらしい。

あの時、私はどんな顔をすれば良かったのか今でもわからん。

 

・・・・ベルンと、ダイルか。

ベルンは優秀な文官だった。あの男の部下だったこともあって柔軟だった。あいつが床で、まあ、私が原因だが、伏せっていた時だ。執務室に現れた私に、何も言わずに処理案件の羊皮紙を押しつけて半日で仕上げてください、だと。

敬いが足りん、だが、悪くなかった、ベルンは合理的で、私が仕事が出来ると知れば嬉々として持ってくる。

立ってる者はレディでも使えと叫んでいたのはわからんが。

 

・・・・・ダイル、あやつは。

ああ、知っている、あれが名乗っている名も。だが、今は、もうこの名前を呼んでもいいだろう。戒めのように名乗った、疎うた名よりも、私はこの名を呼びたい。

あれに興味は無かった、ダイルもまた私に興味は無かった。私たちは互いに、同じ者を見ていた。

それでよかった、それで、私たちは同じ日の下にいる。それがわかっていればよかった。

 

あいつが、死んだとわかった日。

私はずっと、涙を流していた。

ガウェインたちが奪われるとわかっていた。だが、私にはどうしようもなかった。私はそれでも、オークニーをあの男の故郷を託されていた。逆らうような力が残っていなかったことも、わかっていたことだった。

・・・情けない。まるで、何の力も無い、女のように、泣いて、泣いて。

子どもたちさえ、近寄らせなかった。あれが亡くなって、そうして、私には何もする気が起きなかった。

その時だ、ダイルが私に食事を取るように言った。

いけ好かなかった。ダイルは、私と同じだったというのに。涙も見せず、普段と同じ通りに過ごしていた。

それが、ひどく、腹立たしくてたまらなくて。

 

お前は何も思わないのか、お前はどうして平然としている。ロットが、私の夫は死んだのだ!

王が死んだというのに、何故、騎士のお前は生きている!?

 

・・・・酷な、ことを言った。

 

だが、腹立たしかった。

お前は私と同じはずなのに、なのに、平然と、していて。それが、ひどく、癪に障った。

にらみ付けた先で、あの男は、椅子に座り込んだ私と目線を合わせるように膝を突いた。そうして、ああ、そうして、泣きそうな顔で言ったんだ。

 

まだ、あなたがいると。

 

あれは、泣いていた。その時、その言葉と同時に、まるで決壊するように涙を流していた。

 

陛下が守りたかったものが、陛下が愛していたものが、まだあるのならば。自分はそれを守る。それのために、生きていく。

縋り付くように床に手を着いて言ったんだ。

これ以上、あの方から託されたものを亡くしてなるものかと。

 

・・・・・あれは、私にとって、友ではない、家族ではない、もちろん、恋人でもない。ただ、ただ、同じものを、同じものを世界の中心として生きた、同胞だった。

 

オークニーは、私を受け入れてくれた。人で無くとも、人であろうとも、彼らと私が共に生きていこうとすればそれでいいと言ってくれた。

オークニーは、強かで、生きていくという願いに満ちていた。誰もが、辛くとも、明日を見ていた。戦う意思を捨てなかった。

オークニーは、美しい国だった。残酷な冬の国、されど、島と共に生きる人々がいた国だった。

 

モルガン()はあの国で死んでも構わないと思ったのです。

モルガン・ル・フェ()はあの国を己の国と認めたのだ。

湖の乙女()はあの国を愛そうと思った。

 

よき国でした。確かに、あの国は厳しく、されど、美しい国でした。

 

 

子どもたち、のことは。ああ、そうだ。

 

最初は、ただの駒だった。私は女であるが、私が産んだ男児ならば王位の権利が与えられる。その程度だった。

まあ、あの国でそんな扱いをするのは無理だったが。最初、ガウェインが生まれたとき、まるで祭りのようでな。あやつは毎日のように寝室に通ってきたさ。その時、腹が膨らんでいたときもこれぐらい通ってはどうだと言ってやったさ。侍女たちにも、乳母にも睨まれていい気味だった。

その後の懐妊時は言葉の通り、せっせと通うようになったのだから相当身に沁みたのだな。

私が子を抱いていると、あやつはずっと後ろをうろうろしていてな。何というか、今思えば、動作が熊じみているのはどうなんだ?

 

最初の子のガウェインは、本当に苦労した。

世話はもちろん乳母に任せていたが、教育は私がしたのだ。正直に言って、オークニーでの教育には限界がある。

少なくとも、ウーサー王の元で学んだことはあれにとってよい影響を与えると思った。

魔術の才があるなら鍛えてやれば良いとも思っていた。

・・・・・結果か?

言わずともわかるだろう?

頭は悪くないのだが、それよりも先に体を動かすのが好きで机に向かうのに合っていないのだ。必要なときは大人しく過ごせるのだが。

ガウェインは、本当に元気な子どもだった。それこそ体力の有り余った子だった。いくら昼間に遊び回らせ、木剣を振らせども、勉強は、途中で逃げ出していたが。

全力で体力を削ってなんとか眠らせていた。乳母にまったく寝ないと泣き付かれたのは良い思い出だ。

だが、体力が付く速さが尋常ではなく、全力で体力を削り、すぐに付いて眠らずといたちごっこでな。

アギーが生まれる少し前に普通に眠るようになって本当によかった。

・・・・よい男に育った。

一番に、夫に似た子どもだった。大きくなれば、大きくなるほどに泣きたくなるほどに似ている子どもだった。

太陽のように大らかで、いや、あれは雑と言った方がいいのだろうか。教えればすぐに飲み込むぶんにはよかったが、どうも力任せにごり押しで物事を勧める節が。それでなんとかなるから始末が悪い。

だいたい、あいつのああいう所は誰に似たんだか。

ただ、そうだ。あれは人に愛される子だった。それ以上に、人を愛している子だった。

本当に、それはあの男に似ていた。

まあ、王の命令であるからと気まずさで私に報告しないという愚行。何故、あれはあやつと同じように変な部分で及び腰になるのだ?

叱り飛ばしてやれば、部屋の隅で青い顔であの巨体を縮込ませていたがな。それも、本当に、あの男に似ていたな。

嫁のラグネルは賢い女だった。ああ、気に入った。ガウェインをよく尻に敷いて上手く手のひらで転がしていたしな。

ラグネルは残念だと言っていた。叶うならば、ガウェインの父に会ってみたかったと。

・・・・彼女の婚姻の理由を聞いた。ガウェインに彼女は聞いたそうだ。何故、自分に判断を委ねたのだと。それに、あれは苦笑交じりに言ったそうだ。

あなた自身の事なのだから、と。

あなたの心はあなただけのものなのだから、ならばそれはその心に委ねるべき事だ、と。

 

ああ、本当に、そういった所はあれによく似ているな。

 

孫の、四人の子どもたちも愛らしい子どもたちだった。

フロレンスにロヴァル、ガングラン。ロヴァル以外の二人は見事にガウェインに似ていたな。ラグネルも頭を抱えるほどに似ていた。

だが、嬉しくはあった。残された者があるのだと、そう思えば。

末の子の、ローアル。あの子の髪は、ガへリスに似ていてな。月のような、光にかざせば銀にも見える不思議な髪をしていた。私と同じ、青い瞳だったが。だが、あの子の瞳は不思議な色をしていた。

濃い、青の瞳。だが、光に透かせば緑のような、青のような、水色のような、そんな美しい瞳をしていた。

顔立ちも私に似ていた。ラグネルも私に似て、美しくて賢い子だと笑ってくれた。

モードレッドも、彼らを愛していたよ。

よき子だった。

愛らしい小鳥たちのさえずる声は、久方ぶりにオークニーに春の訪れを教えてくれた。

 

ガウェインは王の子として、次期オークニーの王としてよく働いた。最期は情に流されてしまっても、あれは確かによくよく私心を殺して義務を背負い続けてくれた。

ああ、そうだ、あの子は誰よりも王の子として実直に、父として誠実に、そうして長子として生きてくれた。

いつだって、私に春を連れて来てくれたのは、あの子だった。

私はあの子のことを心から誇りに思う。

 

 

アグラヴェインは、そうだな。

困難や必要であれば必要なときほど、あれは冷静に事実を見つめられる子どもだった。

そうだな、夫の言葉を借りるならば、アギーは私によく似ていたのだろう。

人間嫌いなところなど、本当によく似ていたな。

あれはよく眠る子どもだった。ガウェインの後に生まれた子どもがあまりにも、泣きもせずにひたすら寝ているだけで病か何かと心配したぐらいにな。

まあ、蓋を開ければただ単によく眠る子どもだったが。何というか、ガウェインの次の子だと意気込んでいたが、驚くほどに拍子抜けをしたというのか。

・・・・・手間がかからんかったなあ、あれは。何というか、いつも静かで、従順で。心配と言えば心配だったが。

だが、ガウェインの様子からして内政をどうするかと悩んでいたこともあって、あの子の存在は本当にありがたかった。

ただ、まあ、上の子二人は足して2で割ればありがたかったような気もするが。

きょうだいたちのことが大好きな子だった。ガウェインの後をついて回っては、あの子のまねをしていることもあった。

あれは人嫌いな子でな。一度苦手になると己から近寄ることは二度と無かった。ただ、一度愛してしまえばこれ以上にないほど情を傾けてしまう子だった。

夫はそういう所が私に似ているとよく言っていたが。

そうだな、私に似ていたのだな。きっと、愛していたが故に、敬愛していたが故に、あれは誰よりも何かを憎んでしまう子だった。

ダイルが亡くなったとき、誰よりも早くに駆けつけ、私を労ってくれた。あの子も泣いていたなあ。

そういう子だった。いつだって冷たくて、誰よりもあの子にとって世界とは平等で。そのくせ、一心に愛した者に対して心を傾けてしまう。

あの子の為したことは間違いだったのか、正しかったのか、それは私には何も言えない。

あれによって滅びたことも、それでも正当であったとも言える。

ただ、それでも、正しい子だった。清廉で、正しすぎる子だった。

私はあの子の優しさをわかっている。

 

 

ガへリスは、なんというか、アギーとは別に育てるのに困ってなあ。

寡黙であまり自己主張をしない子だった。

アギーと似ていたが、次男は次男で自分のしたいことがあれば頑固に主張してくる分、まだ意思を汲み取りやすかった。

だが、ガへリスは、他人が自分の意見を言うまで黙り込んでしまう子だった。

遠慮しているわけでは無い、自分の意思がないわけではない。ただ、他人の願いに沿って行動してしまう子だった。

悪いことでは無い、三男であるあの子がそういった他者を支えられる性質であったことは喜ぶべき事だろう。

ガへリスはガウェインにべったりだったな。いや、ただ単にガウェインが己の願いを素直に口にするために側にいることが多かったのだろうか。

一人でいる子だった。どこか、一人で日陰の中で広くを見ている子どもだった。

その静かな眼が似ていると思ったことがあった。義父に似ているという銀灰の瞳、だが、

時折浮かべる静かな瞳が、どこかあの、翠の瞳によく似ていると、そう思うことがあった。

母親としては心配だった。あの子は黙り込んで、そうしてじっと他人の言葉を待つばかりで。

悪意のある人間に会ったときあの子が手ひどく扱われないのかと思うときがあった。

あの子はあやつとよく時間を過ごす子だった。釣りが好きだったのだ。

私にもよく大きな魚が捕れたと言ってきてくれたな。

・・・・・子どもばかりとではなく、私にも構うべきだと思ったが。

いや、いい。それについてはいいのだ。

私の心配をよそに、あやつはガへリスならば大丈夫だというのだ。どこがだと私が言えば、苦笑交じりに言った。

 

ガへリスの側には、ガへリスを愛して、大事にしているものがいるからと。

 

そうだな、それでも、ガへリスの側にはあの子の言葉を聞こうとしているものがいる。そうだ、それならば、大丈夫なのだろうな。

・・・・ダイルの件か。

ああ、知っている。いや、あれは元を辿れば私の罪なのだ。ダイルを死にかけで見つけたとき、私はあれをなんとか生かそうと手を尽くした。

その時、事の顛末を聞いた。ダイルは何としてでもガへリスを引き留めようとした。ああ、理解している。

最初に剣を抜いたのはダイルだった。あれは、どうしてもガへリスを引き留め、思いとどまらせようとしたらしい。

私は、私は、あのとき、軋むような音を常に聞いていた。飛び立った子どもたちが恋しくて、禁忌に等しいことをした。ガへリスは、きっと、正しかった。

己の立場と、そうして大事にしたいものを天秤にかけて。あれが必死に、折衷案を告げていたことをダイルから聞いた。

ガへリスはそれからオークニーには戻らなかった。合わせる顔が無かったのだろう。私も、あの子にどんな顔を向ければ良いのかわからない。

ダイルを、あの子は殺した。だが、その原因は私だった。あの子は、モードレッドのことを責めなかった。

あの子は、静かな子だった。自分の願いを口に出さず、他人の願いを思う子だった。

それでも愛されている子だった。

あの子の犯した罪を、私は怒ることが出来ない。あれは私の罪が始まりだったのだから。

私はあの子の正しさを知っている。

 

 

ガレスは、ああ、あの子は私の手元に残った一人だった。

愛らしい子だった。笑った顔が夫によく似ていて。金の髪に混じった黒曜石のような黒が、私を見つめるまん丸の、翠の瞳がなんて愛おしかったのだろうか。

愛おしい子だった。

 

皆が皆、あの子を愛していた。

・・・・今思えば、皆、あの子に縋っていたのやもしれない。ロットが、死んだ後、オークニーの皆はロットの面影を色濃く受け継いだあの子を溺愛した。

それは、今に思えば、息苦しいものだったのだろうな。

だが、手放したくなかった。あの子がいなくなれば、これ以上、なにも奪われたくなかった。

それでも、あの子は飛んでいった。遠くに、兄たちの元に、憎い、あれの元に!

 

何故だ、奪われねばならない。私が何をした、お前にあの子はどれほど必要であったのだ?

多くの騎士がいただろう、私の息子を三人も奪っておいて、何故、あの子まで。

ガウェインたちはあの子を返してはくれなかった。わかっている、当時、すでにガレスは男児であると表向きでは見られていた。今、娘であるとばらすことも出来ない。そうして、名をあげてしまったあの子をこちらから返すことも出来ないと。

返せと叫んだ!

ああ、私の子だ!私が腹を痛めて産み、私が守るべき、ロットの娘だった!

あの白い手を見ただろう!あの華奢な体を知っているだろう!あの、柔らかな体を理解していたはずだ!

あの子は女の子だ!

騎士になど、そんなことを、赦すはずもないだろう!?

・・・ダイルをあてがおうとも考えていた。年は離れていたが、それでもあやつならば大事にしてくれるだろうと、思えたから。

帰っては来なかった、皆、皆、帰ってきてくれなかった。

あの子から手紙は来たが、私は、それを読むことも出来なかった。読んでどうする、謝罪をしても、帰っても来ない、薄情者。

苦しかった、苦しくて、そうして、寂しくて、私はモードレッドを産んだ。

 

狂っているというならばそうだろう。だが、どうでもよかった。

・・・・子を孕み、産んだとき、城の人間に魔術をかけて誤魔化した。

突然現れた、幼い子ども。城の人間は何も言わなかった。皆はきっと、子どもに全て去られた後、狂った私が拾ってきたのだろうと思っていた。

だが、それでも受け入れたのは、あの子の瞳はガレスと同じように美しい翠の瞳をしていた。

驚いたのは、あの子は、父上によく似ていた。忌々しいほどに似ていて、それでも、あの子の瞳は本当にロットに似ていた。

愛していた。愛おしい、真っ直ぐな、末の子を。

あの子だけが私の側にいてくれた。あの子だけが私の元に残ってくれた。

ダイルは、あの子によくよくしてくれた。ダイルだけはモードレッドの真実を知りたがった。

・・・・教えてしまったのは、きっと、あの男の嘆きを私は知っていたからだろうか。

ダイルはそれでもそれに引かなかった。ただ、何も出来ない己の不甲斐なさを嘆いていた。

あれもまた、狂っていたのやもしれん。私たちにとって、それほどまでに。

 

・・・・それでも、ガウェインが妻と孫たちを私の元に住まわせるようになって、そうして、ラグネルと話をしたとき。

私は、寂しくないのだろうかと聞いた。当時、フロレンスたちもよく遊びに来てくれたが騎士となっていた。それに、ラグネルは一概には言えないが、と前置きをした。

 

親は永遠に子どもを庇護できるわけではない。いつか、子らは否が応なしに一人で羽ばたかねばならない。

男は戦いに、娘は嫁いでゆく。寂しい、それは、とても寂しいけれど。

それでも、それほどに大きくなり、自分の足で立って歩いて行く子どもたちを祝福したい。いつか、安心してさようならができるように。

 

 

・・・・それに思い出したのは、ガレスと、そうしてモードレッドだった。

ガレスは己の意思で私の鳥かごから飛び出した。私には出来ないことだった。あの子は自分のために、飛び立った。それはとても薄情だったのだろう。私はそれが嫌だった、あの子は女の子だった。戦うなんて事をして欲しくはなかった。

だが、モードレッドのことを思い出した。

モードレッド、父上に似たかんばせ、ロットによく似た瞳。

あの子の命の有限さを思い出した。あの子は、私よりも早々と死ぬだろう。私はモードレッドが騎士に憧れていると知っていた。だが、ガレスのことがあり、それを言えなかった。

ただ、ふと、思ったのだ。

あの子を、私の寂しさで、苦しみでだけで、縛り付けて良いのだろうかと。

あの子たちは私の子どもであったが、だが、けして、私の“もの”ではなかったのだな。

あの子はオークニーの中で死ぬのだろう、あの子は、ただ、この北の国、この世の果てで死ぬのだろう。

 

・・・・・本当に、それでいいのかと思った。

ラグネルの言葉を思い出した。そうして、男が、私に残した手紙を思い出した。

 

美しいものを、あの子たちは見たのだろうか。愛しい、四人の子どもたち。

ならば、末のあの子は?あの子は、ここで、この箱庭の中で、何を見るのだろうか。あの子だけが、見えないままだろうか。

オークニーは美しい国だった、優しい国だった、愛しい国だった。

けれど、ここにないものだって、確かに存在するのなら。

だから、モードレッドに聞いた。騎士になりたいかと、兄たちの元に行きたいかと。

あれは散々に悩んで、頷いた。

それに、きっと、私は諦めが付いたのだろうな。

私は小鳥の巣立ちを認めたのだ。

これでも、母親なのだ。産んだ子どもたちがいつまでも可愛いままに、愛らしいままではいてくれない。

もう、子どもまでいるのだから。ならば、幼い子どもである時期はとっくに過ぎていたのだろう。

 

どうか、人生の宝を見つけておいで。

悲しいこと、苦しいこと、喜びに、楽しみに、友を見るだろう、敵と相まみえることになるだろう。

人生というお前の時間の中で、短くはあれど、それでも、喜びも悲しみも味わうといい。

通らぬ道を残さぬように。

 

ガレスもそうだったのかもしれない。あの子も、また、美しいものを見るために飛び立ったのなら、己を救うために走ったというなら、その夢のために足掻いたのなら。

母はそれを祝福してやりたかった。

 

ガレスは強い子だった。皆が弱く、可憐であれと願ってもそんなことは関係ないように跳ね出るように出て行った。私はその強さをまぶしいと思う。

モードレッドは優しい子だった。そうだ、ずっと、ずっと、私のことを慮ってくれた。

最期まで。

 

モルガン()は子どもたちの母であれたことを心の底から幸せに思っています。

モルガン・ル・フェ()は勇敢なる子どもたちに誉れをやろう。

湖の乙女()はその生を祝福をしていたよ。

 

・・・・そうだ、ランスロットに、子どもたちが殺されて、ただ、一人になっても、あの子は私を慮ってくれた。

 

 

・・・・アギーに、ガへリス、ガレスが、孫たちが死んだと聞いたとき、嘘だと思った。

あの子たちを同時に殺せるものなどいないと思った。

思って、それでも、モードレッドが連れて帰ってきてくれた、三人のそれをみて、私はああ、と思った。

死んでいた、そうだ、殺された。

 

あれの不始末、グィネヴィアとランスロットの乱痴気騒ぎに、それで、私の子どもたちは死んだのだ。

 

教えてくれ、誰でも、いい。教えてくれ。

私が何をしたのだ!?

ずっと、いい子にしていただろう?

 

なあ、そうだろう?

ロットも、オークニーも、そうして子どもたちのことも利用しようと思っていた!

だが、そうしなかった!

それ以上に、愛していたのだ!それ以上に、もう、私の願いよりもなお、私の使命よりもなお、大事にしたかった!

だから、それでいいと思っていた。なのに、なのに、なのに!!

皆、私から奪っていった!私から取り上げる!

アーサーよ!何故だ、何故だ!

お前の願うように大人しくしていただろう!お前の望むとおり、必死に何もかも、歯を食いしばって耐えてやった!

お前が王であったことを、私が邪魔したことなどあったのか!?

王になって、私からあれを奪って、そうして、その末路がこれだというのか?

お笑いぐさだ!

 

は。ははははははははははははははははははははははは!!

くだらんな。本当にくだらんな、こんな乱痴気騒ぎを起こして、誰を幸せに出来たというのだ、誰の幸福を守れたというのか!?

貴様のために散々に馬車馬のように私の子どもたちは働いただろう、泥を被っただろう!?

それで、この、結末が、これなのか?

マーリンよ!

散々に引っかき回し、その果てにあるものがこれか?

ウーサー王と考えた結果は随分お粗末なのだな!?円卓などと言うそれに座りながら、結局互いのことなど見えていなかったではないか!?

新しき王に価値などなかった、そうだ、ただの兵器、ただの終焉の王!

全てを守りたいとほざき、その果てに全てをぶち壊したというなら、これ以上の笑いぐさなどないだろう!?

 

ああ、そうだ。どうだ、望んだとおり、お前たちの思うとおり、私は滅びの魔女になってやっただろう!?

ああ、愉快じゃないか?なあ、とっても、愉快なことだ!

そうだ、私は結局変わらなかった!

どれだけ愛そうと、どれだけ愛されようと、どれだけ満たされようと、私は人に仇なす魔女だった!

だが、貴様らと私の何が違う?

結末を見ろ、ほら、憎悪と怒りと不信が貴様らを見ているだろう。それはお前たちが蒔いた結果だ、お前たちが産んだ結末だ。

なあ、愉快じゃないか?人生とは、本当に愉快じゃないか!?

 

 

・・・・いや、わかっている。

私はお前たちを憎んでいる。けれど、その資格が私に無いことだって、わかっている。

私は、そうだ、そんなことを言って、結局あの男の愛したものを滅ぼしてしまったのに。

 

 

・・・・ランスロットとグィネヴィアのことを、私は、憎みきれない。

グィネヴィアは、ある意味で私だった。

望んでいない環境、努力しようと変わらないこと。ああ、わかるさ。わかるとも。

なあ、どこにも行けないこの身で、現れた王子様がどんなものか、私だって知っている。

怒りがある、憎しみがある、だが。女のその心がわかるなら、ランスロット卿の狂行をよくやったなどと、思ってしまう自分もいた。

憎しみがある、怒りがある。だが、だが、私は、あの女の気持ちがわかるのだ。

 

 

ガウェインが死んだ。

仇を取って、ランスロットと共に死んだ。モードレッドが迎えに行ってくれた。

ラグネルが泣いている。末の孫娘が泣いている。

棺の中に収まったあの子は、ロットが死んだときと、よく似ていた。

あの子は、何を思っていただろうか。誇らしいとでも思っていただろうか、後悔していただろうか。

目的を果し、そうして、妻と娘に泣かれてしまって、この結末を満足しているだろうか。

わからない、わからない。

私は泣いて、泣いて、そうして、もう、どうでもよくなった。

 

アーサーのことも、マーリンのことも、ランスロットのことも、グィネヴィアのことも、怒りと憎しみがあった。

だが、それ以上に、そのくせ、当たり前のように明日がある今が憎かった。このまま、もしかしたら滞りなく進んでいくかもしれない国が憎かった。

憎かった、憎くて、苦しくて。

もう、私は、全てが憎かった。ロットのいない、世界に、もう、なくなってほしかった。

私は、この世界で生きていくしかない事実が憎かった。

きっと、世界の法則だとか、この島にある事実さえ解決すれば、私の子どもたちや夫に起こった悲劇を忘れて生きていく民が憎かった。

当たり前のように輝く、それらが私のことを焼き裂くというならば、この世界など滅びればよかった。

きっと、その後に訪れる暗闇は、優しいだろうから。

 

もういいよ、と声がした。

教会の中で、一人で泣く私のもとにモードレッドがやってきた。床に座り込んで泣いた、私に、あの子は、もういいよと言った。

・・・・悪魔のささやきのようだった。

あれは、ロットと同じように、そうだ、あの日と同じように、私のことを赦してくれた。

あの、翠の瞳が、私を見ていた。

開け放たれた扉から、若葉の匂いがした気がした。空が、見えた。青い、真っ青な空の中で、黄金の髪をした、翠の瞳をした父が、これ以上無いほどに笑っていた。

 

壊してしまおうよ!ねえ、お母様のことを苦しめる世界なら、悲しいままの世界なら壊してしまおうよ!

 

弾むような声がした。優しい、声がした。誰よりも、その声は優しかった。

手を広げて、笑うその様はまるで天使のように美しかった。

 

このままお母様からだけ奪っていく世界なら、このままお母様だけが苦しいのなら。そんな世界いらないよ!

ねえ、誰か一人が幸せになるような世界なんて、誰かの犠牲で誰かが幸せになるような酷い世界、僕が壊してあげるから。

それなら、誰も、もう、憎まなくていいよね?

 

平等だと、それは言った。私は、私は、それに、言ったのだ。

 

いいの、と。

己の手を汚すことも無く、憎しみを遂行して。そうして、私は結局、魔女になる。悪辣なる、妖婦でしかなくなると。

 

モードレッドは、私を抱きしめてくれた。

それでも、いいのだと。

 

だって、ねえ、だって。みんな、お母様から奪われても、何もしてくれなかったもの。だから、いいんだよ。

きっと、止めてくれる人を奪っていったんだもの。兄様たちのことも、姉様たちのことも、ぜーんぶ、奪ったんだもの。

それはさ、世界がみんながそう望んでるんだよ!だから、お母様が望むなら、魔女になってもいいんだよ。

みんなで苦しんで、みんなで終わろうよ!どんなになったって。お母様は、僕の、お母様、だから、と。

 

そうだ、それは、本当に優しくて。

私は、そうだなと、笑った。

だって、誰も彼も、私を止めてくれる人を奪っていったのですから!

皆、私から奪っていったのに、笑っていたのだ!

たった一人の子どもが、そう言ってくれるのだもの!

 

なら、私は魔女でいい。

 

 

滅びを見た。

悉く、滅んでいった世界を見た。私はそれに笑った。だって、これで平等だった。これで、みんな、不幸じゃないか。

誰のことも妬ましくない、誰のことも、憎まなくていい。

 

・・・・ふと、そうだ、ふと。周りを見た。

誰もいなかった。誰も、もう、私の周りには、誰も。唯一残った、息子さえも、いなかった。

 

モルガン()は自分の愚かさを何よりも誰よりも嘆きました。

モルガン・ル・フェ()は自分の所業にあきれ果てた。

湖の乙女()は最初から決まっていたのかもしれないと嗤っちゃった。

 

 

・・・・・ロットのこと?

そうだな、ああ。そうだ。あれの話を、もう少しだけしても構わないか?

そうだ、あの男に対する印象なんて良いものではなかった。

大体、私をずっと軽んじていた。ああ、腹立たしい。憎らしい。

それでも、あれは最期まで私の心を聞いてくれた。私のことを信じてくれた。

あいつの側にいることが出来れば、あいつが私のことだけを見ていてくれれば私はきっと、か弱いままの姫君でいてよかった。

ただの、か弱いままに、歴史の中に消えていく程度でよかった。

誰にだって覚えておいて欲しいわけでは無かった、ただ、ただ、私が知っていればそれだけでよかった。

あの男は私を赦してくれた、苦しいこと、憎むこと、私の中の醜さと赦してくれた。

 

なあ、お笑い話だろう。

託されたものを、大事にして欲しいと願われたものを私は結局守れなかったのだから?

愚かな私の、恋の話だ。

私がした、恋の末路だ。

ある女の愚かさの話を笑ってくれ。

ある狂った魔女(おんな)の末路に呆れてくれ。

ある子どもに罪を着せた醜い母親(おんな)を蔑んでくれ。

 

モルガン()は永遠に己の罪を許すことはないでしょう。

モルガン・ル・フェ()は己の愚かさを永遠に怒り続けるだろう。

湖の乙女()は永遠に己の所業を忘れることはないよ。

 

 

子どもたちに酷いことをした。私は、結局、何も出来ないまま、あの子たちが守ろうとしたブリテン島も、そうして、オークニーさえも守れなかった。

ああ、ラグネルのことは心配はいらない。湖の乙女(私)は、あれの神秘と、そうして聖槍の後始末をする義務がある。封印を施して、墓守を任せた村にアーサーの遺体を埋葬した。ラグネルと孫娘はあの村で穏やかに過ごせるだろう。

・・・・・私は私を赦さないだろう。せめて、彼が守りたかったものさえも滅ぼした私を。

 

ロットに、会いたい。

もう一度、あの暖かな腕の中で眠りたい、堅い頬にくちびるをすり寄せて、微笑んだ顔が見たい。

もう一度だけ、もう一度だけでいい、会って、謝りたい。

・・・・わかっている、私は二度とロットには会えない、会ってはいけない、会うわけにはいかない。

だって、そうだろう。

魔女には、王子様なんてやってくることはないのだから。

 




俺の妻へ

あなたに初めて手紙を書く、拙いものだとわかっているから、どうか勘弁して欲しい。
最後まで読んでくれればありがたい。



あなたと初めて会ったとき、俺は正直言って緊張していた。何と言っても母親もいなかった俺にとって女の家族なんて初めてで、おまけに高貴なお姫様なんてどうすればいいのかなんて散々に悩んでいた。

結果として、俺は本当に運が良かった。モルガン、あなたのようなよき妻に巡り会えたのだから。
あなたと過ごした日々は本当に幸せだった。あなたは俺に家族を与えてくれた。一人で、父も母もいない俺にあんなにも多くの子どもたちが出来たことが本当に嬉しかった。
ガウェインの時はすまない、父親になるものとしてあまりにも覚悟が足りなかった。本当に申し訳ないことをしたと思っている。
といっても、皆にでかいから邪魔だと疎まれていたから、出産で俺に出来たことがあったのかわからないが。

北の果てのこんな国に来ることはさぞかし心細かっただろう。だが、あなたはそれでもこの国に尽くしてくれた、よくしてくれた。
俺はモルガン、あなたを大事にしたかった。大事に出来ていただろうか。今更聞いても遅いな。
すまない、本当にすまない。
こんなことをここで聞くのはあまりにも不誠実が過ぎるな。それでも、きっと、最期になってしまうからこんなことを書いてしまうのだな。
俺は自分でアーサーに負けるような気がしている。いや、この手紙を読んでいる時点で俺は負けたのだろう。
死んだことを悲しくは思っている。だが、今、思い返しても俺の人生は幸福だったんだ。
あなたと過ごした、日々。
花畑にいったことも、遠乗りで共に若葉のカーテンをくぐったことも、実りの秋に黄金色の麦端かを眺めたことも、寒い冬に白銀の世界を歩いたことも。
全てが、美しい記憶ばかりで。俺はどうしようもなく、幸せだったと言えるんだ。
記憶の中のあなたが、誰よりも、美しくて愛らしくて、そうして、幸せに笑っていてくれるから。だから、どうしようもなく、幸せだったとしか言えなくて。

子どもたちのことも心配していない。モルガンがいる。ダイルもいる。あの国でならきっと、よき子に育つだろう。

モルガン、俺は正直、自分の生にさほどの執着は無かった。国を滅ぼすだとかとんでもないような事をしない限り、どうとでもなると思っていた。
だが、あの日、あなたのことを知ったとき、俺は生きていてよかったと、本当に嬉しくなるほどに美しいものを見ることが出来た。
子どもたちも見つけられるはずだ、美しいものを見てきてくれると思っている。
あの日、俺があなたに会ったときのように。とびっきりの、美しいものに。

モルガン、あなたは俺を恨んでいるかもしれない。
全てをあなたに頼んで、そうして死んでいく薄情な夫のことを。
赦して欲しいなんて言わない、これからあなたに苦労をかけるのだろうから。
幸せになって欲しい。そう思っている。俺がいなくなっても、あなたには笑っていて欲しい。あなたのおかげで俺の人生は幸せであったのだから。
でも、すまない、最後だからこうも思ってしまう。
ずっと、ずっと、永遠に俺のことを引きずって、俺のことを考えて生きて欲しいなんて、そんな酷いことを考えてしまっている。
あなたの隣に俺以外の誰かが立っていることを考えると、正直、妬ましくてたまらなくなってしまう。
だが、やはり、あなたには笑っていて欲しいから。幸せになって欲しいから。
どうか、俺のことを気にして、あなたの願いを躊躇することだけはしないで欲しい。
あなたが苦しんでしまっては、悲しんでしまっては、それでは意味が無いのだから。
俺はオークニーの人々を愛していた、善き人々だった。醜いところもあるけれど、それでも、強くて美しい人々が生きていた。
あなたの帰る場所になれただろうか。それならば、こんなにも嬉しいことはない。
一つだけこれだけは覚えておいてくれ。
俺はあなたを愛していたよ。
オークニーに素敵なものを連れてきてくれた。春風のような人へ。
オークニーで生きたロットという男は、あなたへ恋をしていました。そうして、愛していました。
それだけを、どうか、覚えていてください。


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