ロット王は愛妻家   作:藤猫

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感想、評価ありがとうございます。

この頃ロット王に関してスランプ気味で、よろしければ感想いただけましたら大変に助かります。一言だけでも嬉しいです。

あと、結構溜めてた小ネタの中で一話にまとめる自信のないものを放出してみました。



小ネタ集

 

 

 

「私の初恋ですか?ダイルですよ?」

 

それは、とある少女達のお茶会で。

恋や愛について、甘やかで軽やかな会話をしていた時、何気ないように問われたそれにガレスは言った。

 

「え、そうなの?」

「はい、そうです。思えば、というだけですが。でも、私。」

 

鎧を纏い、騎士として生きた少女は微笑んだ。

今、思えば私は、父に嫉妬していたのかもしれません。

 

とある少女の初恋について。

 

 

 

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「あの人に会ったら、おそらく、たくさんの言葉が出てくるものだと思っていたんです。」

 

その、鮮烈な赤毛の男はそう言って、机の上に置かれた紅茶に浮ぶ波紋を見つめた。

 

「置いていかれた後の事、恨んで、憎んで、叫びたくて、縋り付きたくて、もっと、違うことも。けれど、あの人に会ったら、何も言えない。ただ、今、あの方が笑っていることが。それだけが、嬉しい。」

 

うなだれるようにそう言った男の顔は、周りにいるサーヴァントたちには見えない。それは、ただ、拳を握りしめてぽつりと言った。

 

「けれど、願いが叶うなら、今度こそ、どうかと。」

あの人の背中を見つめて、共に死にたい。

 

それに深く頷く集団を、遠目に見たロットはやばくねえかと顔色を悪くする。

 

「・・・何してんだ、お前?」

「っと!ああ、土方殿。いや、その、あれが・・・」

 

土方の視線の先には、燕青と、孔明と、そうして己の部下が赤毛のそれを囲んでいる。

 

「なんだ、あれ?」

「・・・いや、なんというか、上司に思うところがある者たちで仲良くなったようで。」

「何が不満なんだ?」

「いや、なんというか、めちゃくちゃ不健全じゃないだろうか、あれ!?」

 

いいのか、あれは?いや、せっかく出来た友人だし。

なんてことを言って、オロオロとその集団を見つめるロットを土方は不思議そうに見た。

 

「そんなことを言うぐれえなら、一緒につれて地獄に行けばよかっただろうが。今更になって、そんなこと言う資格はねえだろう。」

「・・・・手厳しい。」

「なによりも、だ。そこらの奴の言葉を借りるなら。」

死人のなすことなんざ不健全以外の何がある?

 

「・・・・かっこいいねえ、本物の英雄は。」

 

共に死にたかった者たち

 

 

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はあ。

疲れてますねえ、ロット氏。

・・・奥さん(同一人物)が急に二人増えたからな。

まあ、このカルデアではよくあることですから。

人事!

人事でしょう。というか、こっちだって迷惑なんだよなあ。あんたといると、前は息子さん達からの目も痛いのに、奥さんからの目も痛い。つーか、あんな美人な嫁さん捕まえて純愛とかふざけてんの?

やだあ、終わりに近づくにつれて殺気が増す。いいだろ、航海とか冒険の話を聞く代わりに、サバフェスの買い物手伝ってるんだし。

いや、今思うと、それはそれで殺されそうな。というか、海辺の人間のくせに海の話を聞きたがるとか意外ですねえ。

まあ、立場があったからな。外の世界に興味は持てど、飛び出すようなことも出来なかった。俺たちの故郷から遠い異国に行った誰かは、なかなかに嬉しいものだ。ドレイク殿は、妻の目が痛いし。黒髭の兄さんは代価がわかりやすくていいな。何よりも、あなたの冒険は胸に踊って楽しいしな!

・・・・まあ、いいですけどお。というか、ロット氏の周り、本当にモルガン増えましたね。

奥さんの中にも三人いるから、現在五人だからな?

もう、モルガン縛りでギャルゲー作れるのでは?今度のサバフェスで出してみますか?

・・・・いや、それは、誰が楽しいのか?

 

意外な友人

 

 

 

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父上!あ、母上も!

お、どうした。ガレス。うん?今日はいつもと違ってなんだろう、すぽーてぃな、感じだな?

はい!夏なので、水着を用意したんです!あと、マスターが日射病にならないように飲み物も用意しました!

そうか、マスターのことも気遣ったんだな。

はい、あの、父上、私ももう大きいので抱っこは・・・・

そう言うものではありませんよ、ガレス。お父様も、味わえなかった娘の成長を知りたいのですよ。

ああ、お前ぐらいなら軽いものだから、ついついな。

そ、そうだったんですか?わ、私も嬉しいので。父上の腕の中はあったかくて大好きです!

そうか、それはよかったな。

ところで、水着を見て欲しいんです!

 

・・・ガレスも大きくなって。

はい、にしても水着だなんて、どんな。

じゃーん!これです!

 

こ、これは。いいのか?悪いのか?いや、俺もそこまでセンスがあるわけでは・・・・

だーん!!

 

は、母上!?

モルガン!?だいじょ・・・

 

ロット、ロット、あなたにだけ語りかけています。

モルガン!安らかな顔でぶっ倒れてどうした!?

だめです、あれはだめです。どこの馬鹿ですか、人の娘にあんなくそださ水着勧めた馬鹿は?

あ、やっぱりダメか、あれ?

だめです、ガレス、ガレス、ははと、母と水着を、見に・・・・

 

がく

 

モルガーン!!

 

 

母ちゃんのセンス的にそれはだめ

 

 

 

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愚かなことだな。いつかのモルガン()

 

目の前には、黒いヴェールで顔を隠した女が一人。

それは、いつかのモルガンだ。

いつかに、自分と同じように、ブリテンを手に入れることを願い、そうして叶わなかった魔女。

 

「ただの男にほだされ、それで貴様は何をした?利用すべき物を利用せず、アーサーにまで好き勝手にされ、その果てに何を得た?」

 

それは冷たく、針のように鋭い言葉だ。

モルガンは女を見る。

魔女であることを認め、そう振る舞い、そうして、同じように何もかもが手からこぼれ落ちていった女。

 

「恋だと、それがお前に何を与えた?あの北の国はどんな価値がある?アーサーの持ち得たものこそがモルガン()に与えられるべきものであったはずなのだ!」

 

それをモルガンはなにも思わない。

それは、ある意味でモルガンの一部だ。自分がなり得た可能性、その女に成り果てただろう何かは自分の中に確かにあるのだ。

ならば、否定することはない、嫌悪することはない、哀れむことはない。

されど、されど、モルガンは悠然と女に一歩踏み出した。

 

かっと、叩きつけるような音を立てた。

 

そうして、モルガンは微笑んでみせる。

 

「ああ。そうだ。この身はすでに魔女でさえもないだろう。北の果て、小国の女王でしかない。魔女でさえもなく、王になるという願いを捨てた身だ。」

 

されど!

 

モルガンは叩きつけるように言い捨てる。

 

「例え、貴様がモルガン()であろうと!私の(生涯)(居場所)を嘲笑うことだけは、誰にとて許すことなどありはしない!」

 

とある女の人生

 

 

 

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母はよく、父の上に座っている。

 

ガウェインはふと、そんなことに気づいた。

といっても、もちろん、座った父の膝の上に座るだとか、そういう話だけではない、本当に上に乗るのだ。

 

例えば、シミュレーターで父はよく釣りに興じている。母は、特別釣りが好きというわけではないが、父といるのが楽しいのか、本を片手に側にいるのをよく見た。

そうして、時折、ごろんと横になっているときがある。

そういうとき、モルガンは何故か、寝ている父の腹の上だとか、横っ腹だとかに腰を下ろす。

それも気を遣うというわけではなく、本当に、当たり前のように座って、楽しそうにその頭を撫でている。

 

失礼というのなら、軽んじているというのなら、そうなのだが。

父はそれにぐーすかと眠っているのだ。そうして、母はその髪を撫でている。

なんだか、とても不思議な絵なのだ。

 

「父を軽んじているように思いましたか?」

「・・・・いいえ、どうされましたか?」

 

それは、所用があって父を訪ねたとき。

父は当たり前のように眠りこけていた。横になって、自分に顔を背けるように眠っていた。

その横っ腹にモルガンは座っていて、かすかに聞こえる子守歌と、そうして、穏やかに微笑む母。

そっと、その柔らかな黒い髪を撫でているのを見てガウェインは首を振った。

 

普段ならばそれは相手を軽んじるように感じたが、けれど、よくよく知っている二人ならば違うのだろうとわかる。

それは、きっと、母にとって意味があるのだろう。

 

「ただ、あまり、見た目は良くありませんが。」

 

それにモルガンは笑って、とんとんとロットの背中を叩いた。

それにガウェインが不思議そうな顔をする。

 

「まあ、座りなさい。ロットに背中を預けて。」

 

言われるがままにそうすれば、そこそこ重い自分が寄りかかっても、暖かなそれはびくともせずに眠り続けている。

暖かくて、けれど、確かにそこにある。

 

「まるで、熊によりかかっているようでしょう?」

「・・・熊は、失礼かと。」

 

くすりと笑ったガウェインの頭をそっと、モルガンは撫でた。

 

 

 

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お前らが小さい頃に死んだ俺ですが。

それだけで大分ダメージ入ってる人がいるけど大丈夫?

まあ、それはおいといてだ、マスター。子どもの成長を安易に感じるのに一番なのはなんだと思う?

何?

それはな、身長と体重!と、いうわけでガウェイン、アギー、ガへリス、ガレス、モードレット、来い!

お待ちください、父上!

そうです、我らの年をお考えください!

マジでするの?

わ、わかりました!

父様が抱っこしてくれるの!?

 

わあ、一気に五人持ち上げてる・・・・あれで総重量何キロなんだろ。質感がスズメバチを熱で殺すミツバチ。でも、モルガンに、ら、いや、ダイルもよかったね、みんな、なかよし・・・

 

倒れ込み、そっと胸の前で手を合わせている二人の姿があった。

 

し、死んでる・・・・!?

 

 

  

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私の夫に何用だ?

ふむ、何を、とは?

何をでしょう?ロットよ、お前は自分の足にすり寄る雌猫に対して愛着を感じてしまうのはわかるが。限度という物があるだろう?

なあ、ロットよ。お前は優しすぎる気があるな。きーきーとわめき立てるだけの年老いた鳥を可愛がるとは。

ああ、雌猫は発情期のようだな?

ほう?

何か?

 

・・・・ガウェイン、それにアグラヴェインとガへリス。何、あれ?

ああ、マスター、ご機嫌麗しゅう。

いや、挨拶はいいから。それよりも、あの、椅子の上に縮こまってるロットを間にして争ってるモルガンと、妃様は?

・・・あれは、最初は父上と母上が話をしているときに妖精妃殿がやってこられて。

話しかけてきた妖精妃殿に母上がキレて、そのまま父上を間にああやってる。

・・・・二人とも、わざわざロット王を間にしなくても。わあ、椅子の高さの関係で二人とも、ロット王に胸押しつけてる。

見ろよ、父上のあの顔。気まずさマックスなのに顔が真っ赤だ。

お労しい・・・・

絵面だけを見るなら役得なのでしょうが。

 

片や妖精達を統べた恐怖の女王、片や神秘の時代のブリテンで魔術師として名高い女王。

なかなかの厄ネタである。

 

ちなみに、父は胸派です。私の父なので。

良い笑顔で何言ってんの!?

あーあ、誰も助けてくれそうにないなあ。

・・・私も、あの中に入っていく勇気は無いが。お労しい。

 

待って、あ、トネリコが乱入を。

父上の手を取って、一人勝ち・・・・

宝具はやめて!!!

 

 

 

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「サー・アグラヴェイン。」

 

目の前の男の姿に目を見張る。それは、まるで鏡合わせのように血統上の兄に似ていた。

黒い髪、緑の瞳と、青い瞳。かんばせだけがいやに、いいや、まさしく鏡合わせのようだった。

だから、目を見張った。

驚いた。

似ている、あまりにも、それは、似すぎている。

新しい兄弟だろうかと、そんなことさえ浮ぶ男はアグラヴェインの顎を掴んだ。

 

「・・・お前は、お前を産んだ女を、放蕩の限りを尽くす魔女と呼ぶか?」

「貴様が。いいや、あの女にたぶらかされたうちの一人か!?いったい、何を騙るのか!?」

 

それに男は痛ましい物を見るように目をそらし、手を離した。

 

「そうだな、この身が何を語るのか。そんなことをも教えずに、あの人に何も与えられず、この世界の俺は消えたというのならば。」

それは、俺の罪か

 

母の愛を知らぬ子

 

 

 

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血の海が、辺りに広まっていた。

鼻につく、血の臭い。

その真ん中で、金の髪をした女は笑っていた。

 

「ねえ、サー・ランスロット。一人だけ、ずるいでしょう?」

ぴちゃんと、女が血の中で、笑う。

 

「一人だけ、失わないのはずるいでしょう?」

だから、あなたも、失うべきよ。

 

そう言って、女はそこに転がる肉塊を蹴った。

 

報い

 

 

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・・・乙女よ。

なーに?

いい加減、そこをどいたらどうだ?

そうです、順番です。

・・・・やーです!

そうだ、私にも代われ。

あなたは関係ないはずでしょう!?

そこらに転がる子犬を愛でるのも一興だ。

こういうのは順番でしょう?

だいたい、我らは三人であれる時間は有限なのだ!私は優先されるべきだろう!?

あのさあ、コンラ名乗ってたときの姿になって大分経つんですが。そのお、戻してくれたりは?

「「「「「だめです!」」」」」

「・・・・ですよねえ。」

 

 

 

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「お前が、ロットか?」

「ああ、そうだが。ああ、あなたは、いつかの、どこかのモルガン殿でしょうか?」

「ふむ、妻と同一人物だからと気安い態度を取らなかったことは褒めてやろう。」

「・・・・・例え。あなたが妻自身でも、一国の王に取らぬ礼儀などないでしょう?」

・・・・・・・・

「マスターから聞きました。あなたの国は、とても美しい国だったと。」

「知ったような口を利く。」

「それは、まあ、実際に見たわけではないですがねえ。ですが、それでも、あなたがモルガンであるのならば、言えることがある。彼女が治める国は美しいものであるはずだと。私は、そう、願い、思っているだけなのです。」

「妻に甘いのだな。」

「まあ、それは否定しませんが。ただ、どんな国であろうと、治めるものにとってそれは何よりも尊く。どれほど、醜くとも、続き、繁栄を祈るのは王として当たり前です。責を背負うとは、そういうことなのでしょう。」

 

何よりも、やはり、思うのです。

 

男は自分を見る。真っ直ぐに、恐れはなく、怒りはなく、悲しみはなく。

ただ、ただ、そこには、信頼と言えるものがあった。

 

「俺の焦がれた星は、誰よりも、何よりも、美しい人でしたので。」

ならば、その人の治める国が、美しいものであるのだと、なぜ思わないことなどあるのでしょうか?

 

ゆらがずに、ただ、それは、自分が治めるそこが美しいものであると信じていて。

 

それにモルガンは笑った。

 

「ロットよ。」

「はい。」

「お前のこと、気に入った。」

「それは、こうえ・・・・」

「私の、二人目の夫にしてやろう。」

「は?」

 

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