知らん間に友達がTSメスケモ怪人になってたわ   作:蓮太郎

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今回はスレッド無し回。毎度スランプ気味で申し訳ねえ…………



一雷三獣 ~またの名を戦力過多~

「おうおうおうおう?おめー何抜け駆けしようとしてんだ?」

 

「へいへいへいへい!誰の許可でイチャコラしようとしてんのさ!」

 

「はっはっは、出遅れたお前たちが悪いのだ」

 

「別にイチャコラしてるわけじゃないんだが?」

 

 巨体の雌狸がハイエナと兎に囲まれて尋問されている。殺意マシマシの二匹相手にニコニコと笑ってられる神経が分からない。

兎はご自慢のナイフの腹でぺちぺちと狸を頬を叩き、ハイエナはいつの間に拾ったか分からないアサルトライフル(種類は不明)でゴリゴリとつついている。

 

 明らかに狸が不利のはずなのに、元の彼女(・・・・)を知っている男は全く心配していない。

大狸こと『ケン』と昔を知っている者からそう呼ばれる彼女は普通ではなかった。

 

 『超人』、肉体の外見からは全く分からないが身体能力は人間のそれとは大きく逸脱している。

 

 前回でレールパンチというものを彼女に放ったが、普通の怪人でも耐えられない威力を誇るのだが、例え怪人となる前、男だった頃の彼女に放っても全くダメージすら与えられなかっただろう。

 

 そこで歯をむいて威嚇しているハイエナも元は普通の人間…………表面上を見れば。

 

 当時は『彼』だった彼女はとてもモテていた、ヤンデレと呼ばれる人種に。

 

 年を重ねるごとに常軌を逸した女は増える増える、ストーキングされたり誘拐されたりして行方不明になることもしばしばあった。いつの間にかシレッと戻ってきていて女の方は話も聞かなくなることもあったため、怖くて深くは聞けなかった。

 

 明らかに異常な隠密と逃走スキルが彼女を磨いたのか、今は亡き死愛部隊の隊長となった彼女は主に偵察として部隊を支えることが出来ていたのも、こういった経緯があったからなのかもしれない。

 

 そして兎は…………なんというか元から本人の素質と家族が『彼』だった頃の彼女を虐待していたことが悪を殺す殺人鬼となる要因だったのが大きい。

 

 もし、虐待が無ければただ女装癖を発症した変態(超絶美少女)程度で済む筈だったが、『彼』の家族がポカやらかして『彼』を殺しかけたことで防衛本能を発揮、気づいたら両親を殺害し嗤っていた、らしい。

 

 この事件で兎は行方不明になり、狸以外の家族で問題があった(特に零は自身の父親を正当防衛で殺害した件)でグループが自然に疎遠となってしまったのだ。

 

 明らかに異常だが、かつて小学生から仲の良かった彼らはこの時まで普通に溶け込んでいたのだ。

 

 それが今となっては兵器だのスーパーウーマン狸だの酒カスハイエナだの色ボケ兎だのロクなものじゃない、というか普通の人間が誰一つとしてない。

 

 まあ、そんな背景があった故に怪人という今の彼女らが出来たのだろう。

 

「できもしないことを望んでどうする。それよりも、今後の方針を決めた方がいいだろ」

 

「向かってくる奴らを全員裂けばいいでしょ?」

 

「私たちが居たらどうとでもなるだろ」

 

「…………本当にどうしよう。部隊なくなってもまた新しいカルト教団みたいなのが出来たら対処できるか分からないし、下手に周囲巻き込んでくる場合だってあるから手段も選べないけど他所の勢力から目をつけられる可能性だってあるし、下手に能力とかバレると勧誘だって激しくなって」

 

「分かった!とりあえず今はノープラン、なるようになれってだな!」

 

 各々が圧倒的な個を持つ故に作戦など必要なかった!

 

 …………それもそのはず、実際は小細工のような作戦など必要ない。

 

 条件がそろえば神を殺し、揃わなくても物理は効かない上に生物では知覚されない速さで動ける兵器に事実上無限にリスポーンできるハイエナ、妖術に長けて肉体も最強な狸に気配を完全に消して拷問と暗殺と虐殺を同時に行える兎。戦闘面を見ただけで敵対したくない。

 

 では諜報面ではどうなのか?もはやいうまでもないだろう。

 

「でも長くはここに滞在なんてできないぞ。流石に目撃情報もあつまってるだろ?」

 

「妖術を使って誤魔化したところで勘のいい奴は気づくものよ。特に、美女を三人連れた男がホテルに入ったなんて怪しいこと他ならんからな!」

 

「怪人が現れる前より美人が増えてるからそんな…………」

 

「「「……………………」」」

 

「いや、三人で入るのがおかしいか」

 

 美人という単語に三人が反応し、この男が割と他の人間を美人と思っていることが気に食わなかったようだ。微妙に目が細くなっていた。

 

 元男の集まりとはいえ、微妙に女心を分かっていない兵器である。

 

「ま、なるようになれということでここは一発ぬぬぬぬぬ」

 

「何が一発だよお前、感電してるのにぬぬぬってなんだよ」

 

「ねえねえ、死んでも復活できるならあの電撃浴びてみたら?」

 

「あんな電撃をもろ受けられるわけないだろ!?どう見ても即死レベルだぞ!?」

 

 また変なことを言い始めようとしたのを察して大狸に電撃を浴びせているのを横目に笑って死にに行けという兎に死にたくないと言わんばかりのハイエナ。

 

 電撃によって部屋の照明はちかちかと点灯して明らかな不具合を見せている。ついでに部屋のどこかでカメラのレンズがぱきんと割れた音が何度もした。

 

 一瞬で四人がいる部屋が静かになる。

 

「…………確かここの縄張りってアンドロイドのやつだっけ?」

 

 兎が呟く。

 

「前にかち合ったことはあるが、大抵の銃火器は効かなかった。怪人として部下の能力を頼ることが多かったな」

 

 ハイエナが言う。

 

「科学力に関しては私が『いた』組織と同等と報告されていたねぇ」

 

 狸が思い出す。

 

「つまり、ここにいてあったことが全て筒抜けってこと…………待て、なんで過去形なんだ?」

 

 男がちらっと聞こえた内容を聞き返す。

 

 現在の状況、敵対とも言える組織の所有してるらしい建物のど真ん中かつ逃亡状態のためロクな装備はない。

 

 地力が同等であるなら一気に攻め込まれた時点で捕まるか、もしくは殺られるか。殺されるだけならまだマシな方だろう。

 

 もし捕まったらどうなるか?相手は怪人だ、人の理など何の価値もありゃしない。あるのは肉体と魂の凌辱、尊厳を壊され手籠めにされて、いつ命を散らすか分からぬ場へと無理矢理連れ出されるのだ。

 

 

 

ドゴン!バババババババ!

 

 

 

 このように、突如壁を突き破り彼らに向けて一切の警告なく銃器を放つ全身サイバネスーツに覆われた人型のサイボーグにいつ襲われてもおかしくなかったのだ。玉切れを起こさない様に複数人のチームで弾丸を打ち切ると交代して別の人物が腕に接着されたようについている銃器から弾丸を放ち、後ろに回った者は素早く弾丸を装填する。連携のとれた行動により弾幕は一切衰えなかった。

 

 数分間もの間、弾幕を張り続けた後に後ろに控えていた前線よりも明らかに重装備で装甲も何倍もあるのではないかというほどの圧を感じる隊長格が手を挙げたと同時に弾幕が止む。

 

 後ろにいたはずの隊長の無言の指示に前線の兵士らが対応できたのは分からないが、そうしてもこの弾幕を止めざるを得なかった理由だけはしっかりと目の前にあった、

 

「いきなり銃撃とはずいぶんなご挨拶じゃないか?」

 

「うわ、なにこれ毛が逆立つんだけど?まだ逆立つほどキューティクル残ってたんだ」

 

「なるほど、電磁波でシールドを張ったという訳ね。これって受け止めるより逸らした方が効率がいいんじゃないの?」

 

「目に見えて効かないということを見せた方が効果的だろ?」

 

「確かに!自分が死ぬって自覚させたときの顔とか最高だよね!」

 

 1人だけ緊張感がないが、無事と思われるような会話が彼らの耳に入ってくる。

 

 撃ったはずの弾丸が彼、そして彼女らの目の前で止まっていた。弾丸の原形をとどめたまま、空中で列を組んで弧を描くように回っている。ジャラジャラとこすれている部分もあるが、並びは一律でまるで輪を描くために巻き取られたかのようにひしめき合っている。

 

「さて、遊びはこれくらいにしておいて」

 

 ジャラジャラジャラジャラ、空中で回転していたはずの弾丸が地面に落ちる。彼の周りには目に見えぬ磁場によって金属製の飛び道具は無効化されることがはっきりした。故に、サイボーグ達は腰に装備していた鉈を引き抜く。

 

 瞬時に高熱になり赤くなったソレを見ても四人に動揺はない。

 

「攻めてきたのはそっちだ、でも手加減はしといてやる」

 

 その雷の兵器には慈悲の心はある。唯一持ち合わせていない感情は神を許す心のみ。

 

「さぁて、遊んでやるとしようかね」

 

 狸は余裕を持って笑うのみ。死ねる獣の躰と特異な力を得た超人の余裕があり、

 

「手持ちでどこまでやれるやら。だけど零が危なくなったら…………」

 

 ハイエナは不安そうに装備を見直す。されど、その身に秘めた力は誰にも想像がつかず、

 

「ふっふーん、殺戮タイムの始まりだね!」

 

 兎はこれから起こる楽しいイベントに嗤う。彼女の持つナイフはどこまで通用するのか。

 

 ただこれだけは言えるだろう。

 

 サイボーグ共は戦う相手を間違えた。

 





~topics~

『電磁波シールド』
零が多用する技の一つ。金属はもちろん、魔法世界にいたため魔法も完全回避できる代物。磁力を上げることによって非金属の飛び道具も無効化することが出来る。ただし、光線兵器に対しては効果を発揮しずらい。
かつてこれで大事なものを守り抜いたが、手の届かない場所は守れない。



何故怪人は増え続けているのか?それは神が居なくなったからあの日から、全ての人間に封じられていた真実が育ち始めたからだ。


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