内容を覚えてる方もいないと思いますが、気が乗ったので書きました。
また気が乗ったら何処かの裏話も書くかも?
「ふっふっふっ、皆の驚く顔が見られるだろうなぁ」
その狸はいたずらに引っかかる大人が待ち遠しいような子供の笑みで居酒屋の一室に居座っていた。
この狸、元々はただの人間…………というには超人が過ぎた究極生命体だったが同僚の実験事故に巻き込まれた結果、メスケモ狸怪人と化したのだ。
茶色くモフモフな毛皮に加えてぷよぷよな脂肪を蓄えた豊満ボディ。ついでに乳もデカくて雌として大当たりの部類に入るだろう。
残念なことに、最大規模の怪人組織に属している上に倫理観も殆ど無いに等しい彼女にアタックすると知人以外は人の形をして帰ることは出来ないのが辛い所である。
さて、今彼女が何をしようとしているのか?
久しぶりに旧友の存在を思い出し、思い切ってかつて住んでいた住所に飲み会の案内と自身のLINEを手紙で送ってみるという奇行に走ったのだ。
すると以外なことに全員から返事があり、久しぶりに会おうと彼女の奢りで居酒屋に集まることになった。
今、大狸として人間に化けているため普通は見破ることは出来ないと高をくくりつつ、もし来たら酔い潰した後に自分の組織に引き込もうかと画策していたりする。
そろそろ集合時間になってきたころに一人の気配が指定された個室に近づいてくる。
「お、来た来た…………」
獲物が縄張りに来たように、無意識に獰猛な笑みを浮かべて待つ。
ちなみに個室居酒屋かつ引き戸方式の扉がついているので、開くまで大狸の姿は見えない。
最初に驚かせるのは誰なのか、そう期待している中で引き戸が開かれた。
「おいーっす!僕、何番目ー?」
やってきたのはフードをギュッと締めすぎて前が見えないほど閉じられたパーカーを着た声の高い何者かだった。
「誰だお前」
「むっ、その声と体が合ってない。変装だなお前」
ついつい本体の声を出してしまい自分が男性じゃないことを即座に見破られてしまった。
「誰だお前って、それはそう」
「分かってるんだったらそのフードを取ったら?」
「いいよぉ?その前にひとついい?」
「なんだ、遺言か?」
「6月23に何が起きた?」
「13年前なら惨劇が起きたな」
「…………他人事みたいに言うなら、まさかお前、ケン?」
自分の名前を言い当てられ『ん?』と首を傾げた大狸。
この出来事は仲間内で葬られた黒歴史。主に尻ぬぐいがおかしいほど大変で、まだ怪人になってないのに法律を破ってしまおうかと考えるほどの大惨劇。
それが痴情のもつれで起こったことが一番腹が立つことであった。
そんな昔の出来事を覚えているかつ、恐らく正確でこちらの名前を言い当ててきたのだから間違いなく大狸の知り合いである。
そして考える。いつもの4人の中で自分を除いて軽薄そうな奴は誰なのか?
真面目なリクではない。もしかしたら吹っ切れてはっちゃけたのかもしれないが。
普通を代表するレイでもないだろう。ボケに回ることはたまにあっても軽薄さは全くない。
つまり、残る選択肢はひとつだけ。
「ジュウゾウ…………なのか?」
「やめてよ、その古い名前。他のみんなからはジューくんだったりリッパーさんって呼ばれてるよ」
「リッパー…………傷つけ兎が、まさか古い知り合いだったとはの」
「そういうこと」
そう言ってフードをほどくと、兎の獣人の顔があった。
誰から見ても愛らしく人懐っこい顔なのだが、リッパーという『傷つけ兎』の通り名を知っているからこそ裏があると思われる。
ただし、肉体的に怪人の域をはるかに超えた大狸相手では分が悪いが。
「なるほどのぉ、それじゃあこちらの正体も明かすとしよう」
女声のまま男性の姿も気持ち悪いだろうと考えた彼女は妖術の変装を解いた。
「うわあ!体格ももっと大きくなってる!」
「そうだろう、そうだろう」
「そもそも君が怪人化するとは思えなかったけど…………モフっていい?」
「いいぞ、気の済むまでモフるといい」
トテトテと個室の上がり大狸の腹に顔をうずめる兎。しっかり手入れされたモフモフの毛並みとふくよかな脂肪が兎を包み込み幸福感を満たしていく。
このまま溶けそうになるが、こういう時の理性はしっかりとしているため取り込まれはしない。
最上級の毛並みを堪能していると、また一つ気配が近づいてくる。
兎とは違い、露骨に気配が隠せていないため二人はすぐに気づく。
また怪人がこの部屋に入りそうだと。
兎が入ったため開けっ放しの扉からその姿が現れる。
そう、その姿は…………
「それ僕もやった!パーカーをぎゅうぎゅうに締めて顔を隠すやつ!」
「鼻先が隠せておらんぞ。灰色の毛と鼻が飛び出して逆に誰にもツッコミを入れられなかったの?」
「しかも臭う!酒臭い!まだ酒飲んでない筈なのに!」
「
不審者2号が個室にドスドスと入り、入り口から姿を見せないように扉を閉める。
男の言葉遣いながら女性の高い声、そして何も隠せてない乳の張りが女性と言う証拠を現している…………のだが女性とは一つ違う点がある。
股間がもっこりしていることである。
「多分リクだよね。あの一物で多くの女を落としたに違いない」
「リク以外ないだろう。匂いもそうだが色気も隠せておらんぞ」
「だーっ!?何で分かるんだよ!どう見ても人間だった時と違うだろ!?」
「じゃあ僕と狸ちゃんが誰か分かるのさ」
「ジュウゾウとケンだろ。それくらい分かる」
「それこそおかしいと思うんだが?」
パーカーを緩めたリクこと雌ハイエナ怪人が2人の正体を見破ったのは全ての生命に通じている為すぐに分かったのだが、これは言うまでもない。
昔の友達が怪人化していることにはあまり動揺は無かったが、それでも2人が有名どころのやべー怪人だった事は内心動揺している。
「つまり、だ。俺、ケン、ジューゾウ「ジューくんって言って!」…………ジューくんがこうなってるという事は」
「多分、レイも怪人になってるよねー」
「ふぅむ、多分そろそろくると思うが予想するか?私は羊の怪人になってると思う」
「僕は、そうだなぁ、牛!」
「呑気なもんだな、もしかしたら俺らよりももっとやばいネームドになってるかもしれないんだぞ?」
「その時はその時!」
「期待して待つだけよ」
「…………そう言うなら、まあ」
あまりにも楽観的すぎる2人に不満を抱きながらも無理やり納得させたハイエナ。
ハイエナも心の中でどんな怪人になってるのか予想しようと苦心している中、肝心の人物があらかじめ指定されていた個室の前にやって来ていた。
「…………本当にここだよな?詐欺とかじゃないよな?」
最近になってようやく元の人物が住んでいた世界に来ることができた対神兵器零式が電磁波レーダーで感知した3人の反応に困惑していた。
とりあえず何があるのかを把握する為に意を決して扉を開けた。
こうして、全てが始まる。
物語が爆発的に進む邂逅はこうしてグダグダと始まったのだ。
「おい、これ烏龍茶じゃないだろ。臭いで分かるんだよ!」
「おや、幻術を使って色を変えたのにバレたか」
「俺は!酒を!飲むと!死ぬんだよ!!!」
「またまたー」
なお、彼はアルコールを接種すると本当に死にかける。
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