提督の野望   作:艦これ放置勢

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見切り発車()


1話 問題児が鎮守府に着任しました

深海棲艦との戦争が始まって、素質があるからと海軍士官学校に入学させられた。

 

入学してからトップに立ち続け、趣味の発明を妖精さんと成していた。

 

そして高待遇で横須賀鎮守府への着任が卒業の半年前に決まった。

 

絵に描いたエリート街道。誰もが憧れるであろうそれ…。

 

それが酷くつまらなかった。

 

「敷かれたレールの上なんざ興味ねぇんだよ!!!!」と叫びながら開発した20.3cm超電磁砲を校舎にぶっぱなしたら軍法会議にかけられた。やったぜ(歓喜)

 

そしてなんやかんやあって俺は…

 

「こんな絶海のド田舎クソボロ鎮守府に放り込まれたって訳…ッ!!」

 

やったぜ(諦観)

 

―――

 

そんで放り込まれた鎮守府が中々に癖があった。

 

ヒソヒソ…

 

「また来たわよ…これで何人目かしら…」

 

「どうせ今度もろくでもねぇよ。国も軍も信用出来ねぇよ」

 

「いつ居なくなってくれるのかねぇ…」

 

ヒソヒソ…

 

全部聞こえてるんだよなぁーってのは無粋っぽい。ここの住民親の仇を見るような目でこっちを見てくる。気分が良くない。これで酒が飲める(愉悦)

 

…まぁ、こんなテロ紛いの事やってる奴が配属になるくらいだから、それはそれはヤバい鎮守府なんだろうなぁ。

 

一応軍の護衛がついた民間の船でここに辿り着いたが、まあ少し離れた所に見える鎮守府はボロかった。まあ、ある程度の予想は付いていた。横須賀や舞鶴の様に立派な庁舎があるのは本土などの重要拠点くらいだろう。

 

なけりゃ造れば良いだけだ。

 

しかし、くっそ暑い中の軍服はキツい。着任初日だからと言ってキツイな。まあ、あんまラフなのも良くはないがよ…。

 

「着いた…ここか…」

 

鎮守府の入口

 

高校生の作った秘密基地なのだろうか。トタン板を張り巡らせたお世辞にも良いとは言えない造りに、鉄格子で出来たお飾り程度の両開き門扉。そして罵詈雑言で埋め尽くされた落書き。某長編格闘ドラマの世界にでも来たのだろうか。いや、おそらくこれがここの答えだろう。

提督のみならず、艦娘に向けての誹謗中傷には流石に顔を顰めてしまった。俺は別に愉悦部員では無いんだ。

 

国民を守る為の軍が、こんなにも地域から浮いているなんてな…正直本土では考えられなかったし、俺の住んでいた田舎では駐留している兵士に定期的に差し入れしてたからな。こんなにも受け入れられないなんて、一体何すればこうなるんだよ…。

 

「…あ、貴方が提督…ですか?」

 

「…ん?あぁ。本日付で配属になったホルティ・小沢新米少佐だ」

 

「ほ、ホルティ・小沢…提督…」

 

随分と警戒心が強い。随分と強ばった顔をしているし、恐怖心が内から見え隠れしている。もっと言うならば、服装もボロボロだった。

 

「何かな?」

 

「い、いえ!?な、なにも…」

 

少し言葉を強くするだけでこの怯え様…一体前任の無能共は何をしていたんだよ…。

 

「そ、それではご案内しますね…」

 

とても歓迎ムードは出てないがね。

 

敷地内は雑草で覆われていた。もっと言うなら、敷地の入口付近はゴミが散乱していた。おそらく投げ込まれたものだろう。随分と下らない事を…。

 

「ここが庁舎です」

 

庁舎は木造二階建てのものだったが、塩害やこの付近の気候も相まってか腐食が激しかった。

壁沿いにそって石が並べられていたがおそらくここは花壇だった場所だろう。案の定手入れはなされていなかった。

 

「こちらです…」

 

中は随分とカビ臭かった。腐敗が進んだ板材に、昨日降っただろう雨で湿っている床や天井にはやはりカビが生えていた。窓ガラスは割れており、わざわざ窓を開けなくても空気を換えられる…はずなのにな。

 

「こちらが執務室と提督のお部屋です」

 

「…ッ!」

 

執務室はやけに綺麗だった。…随分と自分の部屋に金かけてるんだな。この絨毯触った感じほとんどシルクだ…ペルシャかそっちの方のやつだろう。執務机と椅子も中々のアンティーク物…カーテンまでシルク製品とは、一体どれだけ身の回りに金かけてやがる…今のご時世、どれも中々流通しない代物だ。わざわざ危険な航海路を利用して取り寄せたのだろうか…。

 

自室も例外無く綺麗にされている。この毛布はカシミアか?なんて贅沢品を…。羨ましいが、正直この惨状を見ると使いたいとは思えない。

こんな外観は酷く貧しいのに、この一部だけこんな絢爛豪華なんて、正直どうかしている。

 

「…そういや、名前聞いてなかったな」

 

「…はっ!?し、失礼しました!私は大淀と言います!この身を削る勢いで提督にお仕えします!」

 

随分と忠誠的…いや、これじゃあまるで奴隷とさほど変わりが無い。忠誠を誓ってるやつがこんな脅えた様に震えるなんて異常だ…。

 

「それじゃあ大淀。暑くて申し訳ないがここに配属している艦娘一同を、庁舎の前に集めてきてはくれないか?」

 

「は、はい!承知しました!直ぐに集めてきます!失礼します!」

 

「お、おい…」

 

…本当に大丈夫だろうか。先に俺が鬱になったりしないだろうか。

 

しかし…

 

全員が大淀の様になっていると考えると…これは相当やっていくのに苦労するぞ…。

頭の中でやる事やることは構築しては居るが、こりゃあ前途多難と言うのが容易に想像つく…。

 

「それじゃあ妖精さん」

 

ヨンダ?

 

「そこら辺に生えてる木を使ってちょっとした倉庫を建てて。それからここにある金目になりそうな物を全てそこに移してくれ」

 

ヤッパリヤル?

 

「そうだな。これは徹底的にやるよ」

 

タノシミ!ミンナデジュンビスルネ!

 

「あぁ、頼んだよ」

 

さて、早速俺も仕事するか…。

 

「お疲れ様です今中々やり甲斐のある仕事を思いついてー、部下の管理の甘いテメェらに要求があるんだけどよー―――」

 

 

「―――出さねぇっつんなら、俺が出した特許は全て金つけることになるんだが…お!わかって頂ければ結構!じゃあすぐに取り掛かってくれ」

 

『まったく貴様は別の意味で問題児じゃのう…校舎の建て替えだって安くない出費じゃったのに…。お陰で陸と揉めに揉めたわい…。まあ、仕方ない。艦娘の為じゃ。儂も腹を括ろう。ただし妥協は許さん。いいな?』

 

「上等だジジイ。目に物見せてやる」

 

『…儂上官なんだがの』ピッ

 

「さぁて。そろそろ集まった頃だろ」

 

老人の話は長くてダルい。小言ばかり言われるのが目に見えるからな。

 

さぁて、こんな臭い建物とはおさらばだ。

 

外に出ると艦娘が並んでいた。

 

…軒並み顔色が悪いが。

 

怯えた感情と憎しみの感情、視線から何も感じられない奴はもう諦観しているのだろうな。

 

向けられる感情はほぼほぼ悪感情だった。見通す悪魔様なら大変美味に感じるだろうが、俺は鳥肌が立った。

 

「そ、総員注目!」

 

こちらに気付いた大淀が上擦った声を出す。俺の知っている大淀は冷静沈着だと思ったが、ここでは違うらしい。個性と言ってしまえればどれ程楽だったか…。

 

「ありがとう大淀。…集まったようだな」

 

ピリッとした空気が流れる。海軍入ってから2回目か?1回目は俺が被告人の軍法会議。

 

「そう緊張しないで良い…と言っても聞かぬか。警戒したままで良いがそのまま耳を立ててくれ」

 

「本日から『絶海鎮守府』の提督を拝命したホルティ・小沢新米少佐だ。よろしく頼む」

 

『………』

 

無言、否。緊張が走る。どう見ても日本人、明らかな偽名。おそらくそんな表情だろう。

 

「ふ、ふざけているのか!?」

 

「て、天龍ちゃん!落ち着いて!」

 

「俺はそんなふざけた提督なんか認めねぇ!」

 

「そうよ!前任共みたいなクソ提督に違いないわ!」

 

「ば、バカ!曙!また殴られるわよ…や、やめなさい!」

 

「そんな弱腰になってどうするのよ霞!そんなんじゃまた良いように使われるだけよ!」

 

「お、男…いや…イヤ…ッ!」

 

「あ、足柄さんお、落ち着いて!」

 

初期コンタクトは、まあ、なんと言うか最悪だった。数名形だけ拍手をしているだけで、俺に飛んできたのは彼女達の溜め込まれた『怒気』と『恐怖』だった。自分にぶつけられたその悪感情は、ドミノの様に連鎖を続け阿鼻叫喚の嵐に包まれた。

 

…本当に前任共は何をしたんだ。

 




シリアスとか苦手なんで早く打開しなきゃ(使命感)


補足

主人公
ホルティ・小沢

名前は
ホルティ・ミクローシュ
(オーストリア・ハンガリー帝国の提督
後のハンガリー王国の摂政)

小沢治三郎
(大日本帝国の提督。
瑞鳳がよく口にするあの人)
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