提督の野望   作:艦これ放置勢

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なぜ、これからの話を作者が見えていない作品に評価を頂けるのか、プレッシャーがやばい。


3話 ゼロから始まる鎮守府生活

庁舎は跡形もなく消し去った。ついでに平屋(中身は妖精さんに回収してもらった)も食堂も消し飛んだ。文字通りの更地がそこには出来ていた。

 

放った張本人はその爆発の威力で腰を抜かしていた。

 

「あ、あんた…こんな事してタダで済むとは…」

 

「普通なら、タダでは済まないだろうな」

 

それは普通ならの話だ。生憎ここに普通など存在しない。

 

「言ったろ。過去の清算をするってよ。……まさか地下にこんなもんが眠っていたとは、それは想定外だったがな」

 

剥き出しの基礎が見えるのかと思ったがそういう訳じゃなかった。それは鋼鉄製だろうか、執務室付近に随分と異質で頑丈なものがあった。

 

「しかも厳重にロックがかかっている…憲兵も見逃したか?」

 

普通に開けられそうに無かった為、工具で穴を開けた。

 

「こいつは…金だな。中々の大金だ。あの札束の量をみると、100束、いや、1000束あるかもしれん…」

 

目測が正しければ10億…これだけあれば遊んで暮らせる。ひでぇ荒稼ぎしてらぁ。

 

生死の関わる軍人、しかも将校クラスだ。貰える金も大きいが、だからと言って10億円PON!と貰えるほど稼げない。下手したら生涯年収だ。

 

果たしてこの資料の轟沈数、本当に合っているのか…。うわぁ、闇が深いなぁ。

 

「なんでこんなに…」

 

大淀がワナワナと震えている。まあ、想像したくないだろう。

 

「資源の管理してたのは提督だけか?」

 

「わ、私も管理してました。提督に雑用ばかり押し付けていたので」

 

ふむ…随分とツケが甘い提督だったのか…。ここにいる子達が疑問を覚えなかったらどうするつもりだったのだろうか…。

 

「出撃回数、船渠の回数、遠征回数、工廠の稼働数。まだこの鎮守府が力を遺していた時のデータがあってな。それと収入で差し引きしたんだが…鉄鋼とアルミの数が大きく違う。この鎮守府は船渠実績と工廠の実績があまりにも少ない」

 

空母は居ない様な鎮守府だ。使用用途は工廠くらいしか無いはずなのにその工廠が稼働していない。にもかかわらず書類上は少数しかない。鉄鋼も似た様な理由だ。入渠などほとんどされていないのに、こちらも少数だ。

 

「て、提督さんが使わないからとご友人に送ってたみたいで」

 

「…で、それは友人か定かでは無いが、売りつけて賄賂を得ていた。しかも艦娘の資源を横流ししたのにもかかわらず艦娘に寄与されない結果がこれだろうな」

 

「そんな…!」

 

「流石に金の管理はしてなかったか」

 

「ええ…『兵器なんかには関係ないものだ』と」

 

「ふーん…」

 

随分となめ腐っていたもんだ。

だが、資源の値段など知る由もない…。

 

ジジイに聞けば分かるだろうがな。着いた時にでも聞こう。

 

「まあ、この金の使い道はここの復興に充てるとして…」

 

「な、なによ…」

 

「確か、川内だっけか?」

 

「そ、そうよ。一体なんなのよ!」

 

「君と言う通りだ。こんな事したら、タダじゃ済まない。全くその通りだ。俺は管理不行き届きで憲兵、で実行犯の天龍は解体処分が妥当だろうな」

 

そりゃそうだ。放ったのは俺じゃないからな。

 

「な、なんだよそれ…俺に罪を擦り付けるって言うのかよ!」

 

「俺も牢に放たれているか、同じ事やってるから今度こそ物理的に首が飛びそうだけどな」

 

まあ、間違いなく俺も処刑される。

 

「責任はお前だろ!?なんで俺まで巻き込むんだよ!!」

 

「まあ、もっと言うなら、ここで傍観していた全員が共犯者だ。日本人は連帯責任が大好きだからな」

 

『なっ!?』

 

何故止めなかったと間違いなくなる。

 

「だが、今の状況は普通じゃない」

 

「は、はぁ?」

 

「『建物の腐食が激しく、いつ崩れてもおかしくないため解体しました』とでも言えば問題ない。解体に手段は問わないからな」

 

大量に爆薬を詰めて弾と一緒に放電しましたとかなら、めっちゃお叱りを食らうだろうがな。

流石に解体方法までは問われないだろう。案外海軍の中枢部は馬鹿ばかりだからな。

 

「で、でもこんな爆発じゃ」

 

「トラウマが蘇るとでも言いたいのか?」

 

「そ、そうよ!ここにいる子達は敵の砲撃で大爆発して沈んで行った仲間達を…何度も…何度も!見てきた子達なのよ!!」

 

「そうなんだ」

 

「そうなんだって…あんたも今までの提督と同じよ!同じクズよ!!私たちのトラウマを呼び覚まして何がしたいの!?」

 

そうよ!とただヤジが飛ぶ。弱々しいながらも何人も駆逐艦が叫ぶ。顔が蒼白になってでも。

 

軽巡洋艦が叫ぶ。俺の人格を否定するように、苛烈なほど叫ぶ。喉を潰すほどに。大淀はただオドオドしていた。

 

重巡洋艦…っても1人しかいないが。彼女は気絶している。これは蛇足だったか。

 

明石はただぼーっとしていて、給糧艦の2人は座り込んでのの字を書きながら口をゴモゴモと動かして……ねぇ、俺の事批判するならいっそのこと全員でやってくんない?君たち温度差激し過ぎない?

 

だが、まあ。こんな爆発程度でトラウマを呼び寄せてもねぇ…。

 

「トラウマが呼び起こすだって?じゃあ戦場に出れんな?って事は使命を果たせないって事だとは思わないか?」

 

「それがなんだって言うのよ!!」

 

「理解できないのか曙。練度も低い、そして爆発はダメ…そんな奴は戦場で足手まといになるだけだ。自分だけが沈むならまだしも、誰も守ろうとせずトラウマを言い訳にし、何もしない…そんな奴先に解体した方が全員の為になるんじゃないか?そこんところどうよ」

 

「本気で言ってるの…?」

 

「本気だよ。望むなら今すぐにでも行ってやる」

 

軽く睨みつけると曙はたじろいだ。

言いたいことは分かる。激しいトラウマを持っているのはこの短い時間に嫌でもと分からせられた…ッ!

 

だが、それはそれだ。

 

俺たちは国民の命を護る『軍人』だ。そこに人も艦娘も関係ない。

 

命を散らすことも覚悟しないといけない。

 

それはトラウマもクソも関係ない。

国民も事情を知れば気の毒には思ってくれるだろうが、それは何の解決にもならない。

 

深海棲艦の殲滅、若しくは恒久的な和解…つまりこの戦争を終わらせないといけない。

 

トラウマを原因に足を引っ張ってしまえば守るべきものも守れない。

 

この国を守ろうと散った者の為にも、悲惨な戦争は終わらせなければならない。

 

それが軍人の使命だ。

 

前任共にはそんな意識は無かっただろうな。勿論俺にも無い。こんなの出任せだ。心の中だけど。

 

そんな意識ある奴はテロなんて起こさん…が、ある意味その行動が正解だったのかもな…。

 

これが戦場の現実だ。力に物を言わす奴は、味方にそれを強要する。実にクソッタレだ。それでいて自分は甘い汁を吸うのだから。

 

守りたいのは国民ではなく自分。実に保身的だ。

 

そして、そんな奴らを見本として、挙句嬲られた彼女らも、実に保身的だった。

 

「自分の事が可愛い可愛い皆さんはどうしたい?人間が嫌いなら人間を守る必要などない。戦うが無いなら軍にいる必要も無い。即刻解体を言い渡そう」

 

『…ッ!』

 

「だが、仲間の怨みを晴らしたいと思うなら、戦え。トラウマを血で塗り尽くすくらい戦え。深海棲艦を、お前らのトラウマの元凶を跡形もなく葬り去るほどに戦え。俺はそんな奴を拒む気は無い。寧ろ手助けしてやろう。復讐に手を貸そう。惜しむつもりは無い」

 

『……』

 

「俺が配属されるなんて運がなかったなお前ら。俺はなあなあで済ませるつもりは無い。やるなら徹底的にやる。まあ、俺は直ぐに決断を押し付けない」

 

新たな提督が来て、新たな方針に対してその場で答えを決めろなんざ無理がある。考える時間が必要だ。

だが、時間を設けなければなあなあな結果で時が流れるだけだ。だから俺は期限を設ける。

 

「1週間だ。1週間待つ。その中で探れ。俺と言う人物が、お前らの信頼に値するか。勝手ながらここに決めさせてもらう。絶望に抗うも、流されるもお前らの勝手だ」

 

俺は抗う

 

例えそれが茨の道でも

 

明日砲撃を喰らおうとも

 

腕が何本も無くなろうとも

 

俺は平和が来るまで抗ってやる

 

救うなんて戯言を吐く気はない

 

ただ、闇に触れちまったからにはきっちりと落とし前をつけに行く

 

トラウマと闇金しか残されていない鎮守府。ゼロからどころかマイナスからのスタートだ。

 

それでも始める。始めてやる。

 

1から…いいや。ゼロからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ以上不和を引き起こすような事やると本気で腕無くなるよなぁ…。






自分でも何書いてるか分からなくなった(丑三つ時なう)

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