人は甘言は直ぐに受け付けるけれど、苦言は中々受け入れられない生き物である。
青春と言う言葉は、そのまま『青い春』を意味しており熟す前の若さを指しているのだろう。失敗を積み上げて、苦労や経験をして行く事で多くの者は成長して行く。
入学してから既に3週間は過ぎているのだが、堂々と遅刻や居眠りなどをする者は殆ど居ないけど、バレない様に携帯をいじっていたり漫画を読んでる者がポツポツと現れている。
私が厳しい言葉を投げ掛けたのは初日だけで、後のことは自主性を尊重して注意すらしていない。知能指数が低そうな男子は、注意点を既に忘れたのか少しずつ悪化して行く中、平田くんや櫛田さんがソフトな注意を何度か行うが、それらも2.3コマ程経つと緩んで行って元に戻ってしまう。
「それでよ〜あそこのダンジョン難し過ぎだから」
「俺も苦戦したぞあそこは」
「マジそうだよな〜」
山内くんと池くんは1日に数回は授業中に私語を発し、音量は注意されてる事もあって小さいが、各教科の教師は何度か視線を彼等に向けるが何も言わない。
私の座席はかなり後方で、私より後ろの生徒は基本真面目に授業を受ける生徒が殆どで、クラス全体が見渡せる為にクラスメイトの醜態が目に付いてしまう。
携帯をいじる生徒は女子の方が多く、私語を発するのは男子が多くいるが、監視カメラの件を教えてあげてるのに何故気にしないのかが私には理解出来なかった。
月の最終日である本日最後の授業では、茶柱先生の授業ではない筈だけど、彼女が教室に入って来ると少しだけ騒めく…。
「急遽、皆には小テストを受けてもらう事が決まった。このテストは成績には一切反映しない、今後の“参考用”に行われるものだ。君達の実力を知ることも含まれているが、気負う必要は無い」
「え〜横暴だ〜」
「そんなの聞いてないし!」
「ブーブー」
「悪いがこれは決定事項だ。前の者はこれを1枚取り後ろに回してくれ」
始まった小テストは成績に反映しないと言ったが、普通の学校では成績=実力参考になる。それなのにああ言う言い回しをするからには、成績=学力評価と判断出来る上に、参考にするなど言わなくても普通の事なのに言って来た…。
初日に茶柱先生が実力=評価の定義があるので、実力を知ると言う言葉は評価をする為と言っているのと同じ、それならば参考と言う言葉は本来学校側に当たるが、参考にするのは我々側なのかも……。
テストを解いて行くと、最後の3問が高校1年の後期に該当する問題が1問、2年の後期に該当する問題が1問と3年の後期に該当する問題が1問出題されていた。
他の問題は中学生でも解ける内容で、学力が一定値ある生徒にとって85点は確実に取れるテストだ。参考と言う言葉が先程の我々側であると仮定したら、答えは直ぐに出て来た。
現状の我々では解けない問題、2.3年を経験していれば解けて当然の問題達…。
2.3年から過去問と言う経験を得る事を、参考にさせるヒントが秘められたテストだと私は考え付いた。全ての問題を解答し終わった私は、この後の予定を立て始めていた。
この学校は本当に面白い、復讐に囚われるだけでは私の時間を浪費するには勿体無いと感じていたから、こんな面白い学校での経験は二度と送れないだろう。
情報ではCクラスは独裁政権を敷かれているが、Bクラスでは崇拝政治が行われている変わった学校だ。Aクラスに至っては2大派閥が睨み合いを続けるなど、社会の縮図が学校に詰め込まれていると感じているのは1年生では私だけだろうか?
テストが終わって、本日の全ての授業が終わると直ぐに荷物を持って茶柱先生を追い掛けようとした。すると、松下さんが私に話し掛けて来た。
「四法院さん?珍しく急いでるけどどうしたの?」
「茶柱先生に、小テストの正解を確認しに行きます」
「正解?最後の3問の解答って事?」
「当たらずとも遠からずですね。小テストが参考用と言われた本当の意味を確認に行きますが、松下さんも一緒に来ますか?」
「う〜ん…そのいつもみたいにお出掛けしたいし付いてくよ」
「では、参りましょうか」
私達は職員室へと赴くと、既に異端児の様な扱いの教員達が一斉に私を見て来たが、それを気にせずに茶柱先生の元へ向かった。毎度の事であるが星之宮先生に絡まれて、松下さんと私に彼氏が出来たかを毎回聞かれてる。
「どうした。四法院と松下か…今日はどんな要件だ?」
「佐江ちゃん!それじゃあ四法院ちゃんと松下ちゃんが迷惑な生徒みたいだよ!」
「私はそんな事言っていないぞ知恵…確かに四法院の周りは何かとトラブルが起きそうだが、鬼龍院と比べたら苦でも無いだろ」
「そこじゃないでしょ〜!それで四法院ちゃん達はどうしたの?」
「小テストの解答に来ました」
「「「「!?」」」」
「あはは……職員室の空気で四法院さんの発言に真実味が増したよ」
「……聞こう」
「2.3年が、1年の時に受けた小テストと中間試験の過去問を下さいませんか?」
「……何故過去問が必要なのだ?四法院なら満点など余裕だろう」
「”参考用“にですよね?」
再び職員室は凍りつき、多くの先生達に異常者を見るように見られていたが、あれだけヒントが散乱していたら個人差はあれど結構な人が気付くだろうにね。
「ひと学年2万だ」
「“たかが過去問”に2万ですか、プリントしてもらうインクと用紙に機械のメンテを統計しても、良いとこ200円でもぼったくりですよね?要求してるのは今年の中間試験問題ではありませんよ」
「「「「!?」」」」
「……一つ質問に答えたら、私が融通してやる」
「答えられる事なら」
「何故先輩では無く、私の元へ来た?四法院の反応から答えが見えているのはわかっている。だからこそ、我々教師に過去問を要求した者は今まで居なかった」
「簡単ですよ?先輩達では手間が増えますし、満点解答は小テストで出題した学校側に解答する事です。わざわざ回り道するなど非効率だと思いませんか?」
「……そう、だな。少し待て、コピーを渡す」
「ありがとうございます」
職員室から出る瞬間まで静寂が支配していたが、扉を閉めようとしていた時に話し声が聞こえてしまった。あり得ないやとんでもない生徒だのと言いたい放題だが、最強の武器を鞘に収めて回り道するなど酔狂な事を私はするつもりはない。
過去問を手に入れた私に松下さんは色々質問をして来た。どう言う経緯で過去問に辿り着いのかを知りたがったので、丁寧に説明をしていたらポツリと彼女は小声で「彼女に付いていけば間違い無い」と聞こえたが、聞こえてないふりをして一緒にカフェなどをショッピングを楽しんだ。
その途中で、櫛田・山内・池・綾小路・平田・軽井沢と言うかなり違和感を覚えるグループを見かけたけど、私も松下さんも山内くんが嫌いな為、見つかる前に二人で急ぎその場を離れ食材を購入してから私の家で夕食を摂った。
因みに私の交友関係はかなり変で、毎日話し掛けられたり話しをする相手は松下・長谷部・佐藤・小野寺さん達で、挨拶や偶に話したりするのは佐倉・堀北・三宅・綾小路・篠原・軽井沢・平田・沖谷くんなどで、明らかに私か相手が避けているのは櫛田・山内・池・須藤と言うメンバーだけど、櫛田さんは私をやたら避けてるけれど、表面的に見たら分かりにくいが、劣等感や嫉妬の眼差しを感じる事がある。
長谷部さんと仲が良いのは、私のサバサバした性格を気に入ったらしくて『しーちゃん』と呼ばれてる。佐藤さんはカッコいい女性に憧れがあるらしく、カッコいいを連呼したり惚けた顔で見られる事が偶にある為、彼女は同性愛者では無いかと疑っている。
小野寺さんは、水泳の授業で私にぼろ負けしてから仲良くなったけれども、今だに水泳部への勧誘をしてくるのは辞めて欲しい。佐倉さんと堀北さんは、佐倉さんは私の物怖じしないけれど威圧感を出さないからこそ、尊敬してくれた上で会話が出来る。堀北さんは、私を認めている事が大きく影響しているようで、私にだけは毒を吐かないと言う不思議な状況が出来上がった。
他のメンバーは、至って単純な理由で接点がある。篠原さんは佐藤さん経由で接点があり、三宅くんは斜め前のは席だからとか、軽井沢さんは平田くんが話し掛けて来るからこうなって、沖谷くんはこのクラスでは、みーちゃんこと『王 美雨』と同じマスコット的存在だからだろう。
5月1日
遂に私の予測が明らかになるが、振り込まれたポイントを見ずに学校へと向かって行った。周囲ではポイントの減り具合を話し合ってる者が多く、Dクラスのポイントが明らかとなった。
61,000pr
それがDクラス最初の支給額らしいが、注意を受けているのにこのポイント数ははっきり言ってあり得ない事だ。40名分の39,000prを損失させたのだから、月額156万分を身勝手な者によって奪われたのだ。
私は何も言わずに席に着いていると、茶柱先生が筒状の大きな紙を手に持って入って来た。
「おはよう諸君。一部がソワソワしているのは、四法院が言った事が本当かどうかで、自身の罪が暴かれるからか?」
Aクラス960cp
Bクラス640cp
Cクラス470cp
Dクラス610cp
「これを見れば一目瞭然だろう……あそこまで的確なアドバイスを貰っておきながら、このポイント数とは情け無いな」
「いっいや!俺達が悪いって決まった訳じゃ無いじゃん?」
「醜いね…自己中ボーイ」
「……」
「はっはぁ!?それは俺の事か?」
「見てみたまえ、君のフレンズは理解しているようだが…君は自身が悪くないと言うけれど、君は間違い無くダントツでポイントを失わせた張本人だろうに。レッドヘアーボーイですら、頑張って眠らない様にしていたけれど、君はフレンズを巻き込んで授業を大いに妨害していただろう」
「……」
「そこまでだ。高円寺……次にこれを見たまえ」
そこには、茶柱先生が持って来ていた筒状の紙がホワイトボードに張り出されており、先生は赤色マーカーを取り出してとある場所に赤線を引いた。
茶柱先生は、赤線の意味をクラスメイトに教えた上に、赤点を1教科でも取ったら退学だと説明を行った。
その後は酷いものだった……。
「おい!四法院はこうなるって分かってて止めなかったのか!それなら一番悪いのは四法院だろうが!?」
そう言って怒鳴って来た山内くんは、私が一番悪いと言いどうにか私に罪を着せようとして来た。殆どのクラスメイトは怒りを通り越して呆れた顔で彼を見ていた。
「何を言っているのですか?」
「だってそうだろ!授業態度とかでポイントが変動するって知ってれば俺だってそうしてた!それを教えなかったお前が悪いに決まってんだろうが!?」
「1億4千4百万……これが何の数字か分かりますか?このクラスに与えた私の情報の価値ですよ……私の言葉を勝手に無視して非常識な行いをして、殆どの方がSシステムを疑って行動しました。それなのに私を責めるなど、勉強をしろと言った親に勉強せずに遊び呆けて受験失敗を親の責任にしてる方と同じです。私達のお金を返して下さいませんか?勝手にクラスポイントを浪費して失った金額3年分を支払って下さい」
「ふっ巫山戯るな!?」
「「「キャ——」」」
「グフッ」
私は殴り掛かって来た山内くんの腕を取り、彼の力を利用して身体を浮かせて床に叩きつけた。彼の醜さは最早病気だろうか、彼の手首を背中に回して動けない様にしてから、茶柱先生へと名誉毀損と傷害未遂を訴える電話をした。
終いには、殺してやるだの犯してやるだの喚き散らしている始末、茶柱先生も教室へと入って来て苦い顔をしていた。脅迫や殺人予告を堂々として来ている彼は、救いようが無い状況だと言える。
授業は私と山内くん抜きで行われ、私は公休扱いをされて事情を聴取される事になった。普段から発言して入る全ても指摘し、彼は始まる前に退学する可能性が濃厚で、更に私が彼を起訴する事も伝えた上で彼は即日拘留される事となった。
内容だけ言うと、彼の両親が進学積立金120万を私の慰謝料として払ってくれる事になり、両親が自主退学を言い出した事でクラスポイントへの影響は無くなったが、山内くんの爪痕は平田洋介と言う少年の心に闇を落とす事になった。
どう言う方向で向かうか?
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ボーイズラブ?
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ガールズラブ?
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どっちも?