IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF) 作:黒川 優
こんにちは作者こと黒川 優です。
先日Twitterを開設しました。名前はここと同じ“黒川 優(@if_author)"です。
まだ寂しいところですがポチィとフォロー押して感想などを書いて下さったらと思っています。
あと、ハーメルンで活躍している作者さんのアカウントを教えて下さると嬉しいです。
それでは本編をどうぞ♪ヽ(´▽`)/
□
白雷(はくらい)
一定時間(だいたい一回の戦闘時間)に一度、機体を高機動状態にするIFのブースターシステム。
ただし、操縦者保護の範囲を超える加速なため肉体的負担が大きい。
◇
(一夏side)
臨海学校2日目。
今日は丸1日ISの各種装備試験運用とデータ取りを行うことになっている。
専用機持ちは各研究室がこの非限定空間での活動を待ってましたと言わんばかりに大量の装備が運ばれる。
俺の百式はワガママ体質ってこともありほとんどないが、鈴達は遠くに輸送船があるのを見る限りかなりの量だ。
「あ、あの…、これはなんでしょうか?」
一人が指を指して千冬姉に聞いている。
この場所に不釣り合いな巨大なニンジンが地面に突き刺さっていた。
俺もそれが気になってあまり千冬姉の注意を聞いてなかった。
「……織斑、百式を使ってこれを海に投げ捨てろ」
「え…。でも……」
目が「とっととやれ」と言っている。
俺は言われた通り、巨大なニンジンを持ち上げてポイッと投げ捨てた。
「ち~~~ちゃ~~~~ん!」
ニンジンが縦に割れたと思ったら中から現れたのは稀代の天才、篠ノ之 束。
立ち入り禁止なんてなかったのように臨海学校に乱入してきた。
千冬姉はアイアンクローで頭を掴んだ後、思いっきり海へ投げ捨てた。
羽のない人間は空中で軌道を変えることはできない。
束さんはそのまま海へ落ちていった。
「教官よろしいのですか?一般人があのような服装では溺れますが……」
「ほっとけ。どうせ碌なことをしない」
「もう。ちーちゃんの愛情表現は激しいなぁ」
ひょいとさっきのことが嘘のように千冬姉の後ろから顔を出す。なぜか服は乾いていた。一体どんな構造なんだろうか?
「束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」
「えー面倒くさいな。私が天才束さんだよ。はろー。はいおわり」
束さんはくるっと回って箒に向かって微笑んだ。
「で、何しに来た?」
「ちーちゃんも分かってるでしょ?だから箒ちゃんをここによんでいるんでしょ」
「……………」
「では、大空をご覧あれ!」
束さんはビシッと直上指さす。それにつられて俺たちも上を見る。
金属の塊が俺の隣に落ちた。下手すればペシャンコになっていた。
銀色をしたそれはパカッと開いて紅い機体が見えた。
「じゃんじゃじゃーん‼これが箒ちゃんの専用機『赤椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ」
(最新鋭機にして最高性能機か……)
束さんが作ったのだから当たり前かもしれないが、何とも言えない。
「じゃあさっそくフィッティングとパーソナライズしちゃおうか♪」
「それでは…お願いします……」
束さんと対照的に箒はやや堅い表情で答えていた。
「ふふ~ん♪近接戦闘を軸に万能型に調整してあるからすぐに馴染むと思うよ♪
あと、自動支援装備も作ったからね、お姉ちゃんが♪」
「それはどうも……」
相変わらず箒は素っ気ない返ししかしない。
どうもISを作ったのが原因らしいけど、そろそろ許してもいいんじゃないかな。
「あ、あのっ!篠ノ之束博士のご高名はかねがね承っております!
もしよければ私のISを見て頂けませんか!」
誰かと思えばセシリアだった。稀代の天才に会えたことに瞳は輝いていた。
「なに君、誰だよ」
「え?」
さっきまでのふわふわした雰囲気は無くなり言葉も口調も視線にセシリアは固まってしまった。
「そもそも今は――」
「セシリア、ちょっと話があるんだ。来てくれ」
「待って下さい。私は今きゃ!?」
優は返事を待たずにセシリアをお姫様抱っこして旅館の方へ連れていった。
「水を指されたけど、アレが連れ出していったからいいとしよう」
優のおかげで束さんは機嫌を崩さず作業を続けてくれた。
優GJ
「それじゃあ、試運転も兼ねて飛んでみれば?
ちょっと飛ぶのに苦労するかもしれないから」
「えぇ。そうします」
まぶたを閉じて意識を集中させると、赤椿は一瞬にして大空へ飛び立った。
「最初は展開装甲があるから飛びにくいかもしれないけど、すぐ慣れるから大丈夫だよ」
「では…いきます」
確かに最初は危なげな感じがあったが今は普通に。じゃなくて……
「何ですか?その…展開装甲って」
たぶん画期的なものなはずだが全く聞いたことがない。
「いっくんに教えてあげよう。展開装甲は『パッケージ換装を必要としない万能機』を可能にした第四世代だよ~
だから、赤椿は攻撃・防御・機動と用途に応じて切り替え可能なんだよ」
「「「「え」」」」
(は…?もう第四?)
赤椿は確かに俺たちのISよりずっと速い。
でも、束さんの話が本当なら他の研究者達の努力は意味を成さない
「束、やり過ぎるなと言ったはずだ」
「え~これでも抑えてるよ~」
あれで抑えているなんて聞いたらどの国の技術者も発狂するだろうな……。
「じゃあ武器データ送るよ~。右が対単一仕様の武器『雨月』左が対集団仕様の武器『空裂』じゃあ早速――」
束さんは一六連装ミサイルポットを呼び出し箒に放った。
「箒!」
「―やれる!この赤椿なら!」
空裂を振るうことで見事ミサイルを撃ち落とし堂々と立つ赤椿。
その姿に誰もがその能力の高さに畏れた。
「ところで、アインスはどこにいるの?」
「さっきいただろうが」
「どこに~?」
「お前の視点からすればうるさい金髪を連れていったやつだ」
「あ~あれか。とう!」
その言葉と共に何メートルか飛んだ後、歩いて来る優に上から落ち優を押し倒した。
「えーとどれどれ。あっこれがアインスだね」
俺も初めて見たアインスの待機状態。
何かのアクセサリーだと思っていたそれはただの端末だった。
「ん~変わったフラグメントマップを作っているかと思ったらそうでもないんだね。予想範囲内かな~。さすがISに劣るIFだね~」
興味の対象は優じゃなくて機体の方か。まぁ束さんは俺達以外の人間に興味持たないからな。当たり前と言えば当たり前である。
だけど、千冬姉は一瞬驚いていたな。なんか関係があるのだろうか?
「返せ」
また取られるのはごめんと思ったのかアインスを羽織だけ展開した。
確か、アインスは委員会が機密情報として扱っているから束さんでも見られたら困るか。
「ほうほう。それがアインスだけが使える単一化ね。凡人のわりに頑張ったじゃん」
「単一化?」
「装甲を外すだけで機能特化専用パッケージ『オートクチュール』の状態になれるシステムだ」
優が拗ねたかのように答えた。こんな凄いはずの最新技術の感想が一言だけだもんな。
そもそも束さんを基準にしたのが間違いか。
「お、織斑先生!」
いきなりの山田先生の声に、千冬姉は向き直って持って来られた端末に目を通す。
「特命任務レベルA、現時刻もって対策を開始されたし」
「そ、それが、その、ハワイ沖で試験稼働していた。それと――」
「機密事項を口にするな。生徒に聞こえる」
「す、すみませんっ……」
「機体持ちは?」
「一人欠席していますが、それ以外は」
漏れてもいい情報は会話で、重要な話は手話らしいもので連絡を取り合っていた。
「そ、それでは私は、私は他の先生達にも連絡しておきますのでっ」
いつものほんわかした感じは無く、以前ISに乗っていた時のようにピシッとした感じで旅館に戻って行った。
「現時刻をもってIS学園教員は特別任務行動へ移る。今日のテスト稼働は中止。各班ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室に待機すること。以上だ!」
不測の事態にみんなは騒がしくなる。
がその中、優、代表候補生の顔つきが厳しくなっていった。
「千冬さん」
「あぁ、今すぐ準備してくれ」
「了解」
優も旅館に向かって急いで飛び立った。
「機体持ちは私に付いてこい。篠ノ之、お前もだ」
「は、はい!」
箒は優と対照的に明るく誇らしげに千冬姉の声に答えた。
◇
(一夏side―大広間)
「では、現状を説明する」
旅館の大広間に俺たち機体持ち、教師陣が集められた。
「――――――、福音は30分後ここから2㎞先の空域を通過することがわかった。学園上層部からの伝達により、我々がこの事態を対処することになった」
(なっ……)
アメリカの軍用機が暴走…?
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」
(しかも、俺達が……!?)
「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」
「はい」
セシリアが手を挙げた。
「福音の詳細なデータの開示を要求します」
「いいだろう。しかし、これはアメリカとイスラエルの軍事機密だ。
漏洩させればペナルティと監視を課せられることを忘れるな」
「はい」
皆はデータから様々な視点から福音の推測を始めた。
今暴走しているのは軍用機。
用途が俺達と違って戦うことに重点を置いてあるせいか、同じ第三世代とは思えない。
「黒川、お前からも一言」
「ではまた。……えーと福音ですね。福音はデータ通り多くの砲口を持ち、正面からの突破は困難。格闘武器はないですが操縦者が軍人なので接近できても気は抜けないでしょう。
ブレードの類いで少しでもアドバンテージを取った方がいいです」
優はどこかに連絡を取りながらアドバイスと一緒に俺に視線を向けていた。
「ちょっと待ってくれ。零落白夜なら福音を倒せるのはわかる。でも、
こういうのは実践経験の多い優を中心に組んだ方がいいだろ」
「できればそうしたい。だが、それはできない」
「どうして?」
「今、IFがアメリカ軍基地を襲撃している。黒川はそっちに行かなければならない」
だから、優は俺達から少し離れた所で端末で連絡を取り合っていたのか……。
しかも、IFってことは相手はテロ組織と言っても過言ではない、亡国機業。
「別に無理は言わない。最悪黒川を作戦にあてる」
――――。
千冬姉にそう言われて、俺は及び腰になっていた自分を蹴り倒した。
「やります。俺にやらせて下さい」
「そうか。ではもう1つの………」
「待った待―った。その作戦ちょっと待ったなんだよ~」
ひょこっと屋根裏から束さんが現れる。
そしてくるっと一回転して床に着陸。体の使い方が絶対におかしい。
「いっくんをあのISに運ぶのを誰かがしなくちゃいけないんでしょ?
だったら赤椿の出番なんだよ」
「どういうことだ?」
「赤椿の展開装甲を調節するとねー高機動ができるようになるんだよー。
ほら、調節は30秒もいらない。というかもう赤椿は高機動対応にしてあるよ~」
束さんは嬉しそうに福音のデータが映っていたディスプレイを赤椿のに変えて説明していた。
「……オルコット、もしこれから高機動装備にするのにどのくらい時間がかかる?」
「正直に申しますと、作戦の決行に支障がでる恐れがあります」
「………やむおえないか。
では本作戦は織斑、篠ノ之の両名で行う。
2人はボーデヴィッヒ達から高機動における心得とシミュレーションを行え」
「「はい」」
◇
(一夏side)
『織斑、篠ノ之、聞こえるか?』
『今回の作戦の要は一撃必殺だ。短時間での決着を心がけろ』
「了解」
「織斑先生、私は必要に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?」
『そうだな。だか無理はするな。お前は実践経験は皆無だ。突然、なにかしらの問題がでるとも限らない』
「わかりました」
箒は明るい声で千冬姉に答える。
さっきからこんな感じなのだ。
第四世代の機体を持ったせいか、いつもより態度が浮かれ過ぎてはないだろうか。
『――織斑』
「は、はい」
『どうも篠ノ之は浮かれているな。あれでは作戦に支障が出るかもしれん。いざというときはサポートしてやれ』
「わかりました。意識しておきます」
『頼むぞ』
『では、作戦開始!』
箒の背中に乗り飛翔する。
(速い……)
常時瞬間加速をしている勢いだ。
でも、そしたらエネルギー消費は激しいはず。どこからそのエネルギーを調達するんだ?
「いたぞ!福音だ!」
巨大なウイングスラスターが特徴的な銀色の機体、福音が前方
まだこっちには気付いていない。
「行け一夏!」
「うおおおぉぉぉお‼」
零落白夜を発動させ、瞬間加速で接近する。
が、福音は雪片を紙一重で避けた。
(コイツ…。このスピードの中でなんつー動きしてるんだよ)
こっちの攻撃を数ミリという次元で避けてくる。
『敵機二機確認―≪銀の鐘≫稼働』
こっちの敵意に福音が気付き、臨戦態勢に入られる。
どうする?ここから引くか?
いや、ここに来るまでに時間とエネルギーを要してる以上、引けない。
「箒、そっちから頼む」
『任せろ!』
箒は二刀を展開し戦いに参加する。
赤椿は更には腕部から展開装甲が開きそこからエネルギー刃が放出される。
「くそ!」
優が教えてくれた連続展開でも福音を捉えることができない。
ピピィピピィピピィ――ピピィピピィピピィ――
(こんな時に……。機体の異常か?)
中型の船が俺達の下を渡っていた。
(あれは…密漁船!?どうして)
海上は教員が閉鎖したはずなのに……。
なんにしても動けないのとそう変わらない船を放置するわけにはいかない。
「間に合え!零落白夜」
連続展開で密漁船近くに落ちそうだったエネルギー弾を全て無力化する。
これによって雪片はエネルギーを失い光の粒子となってしまった。
最大にして唯一のチャンスを、作戦の要を無くした。
『一夏、何をしている』
「密漁船だ。何とかあの人達を守らないと」
『馬鹿者!犯罪者などをかばって……。そんなやつらは』
「箒!」
『ッ―――!?』
「箒、そんな悲しきこと言うなよ。力を手にしたら、弱いヤツのことが見えなくなるなんて……どうしたんだよ」
『わ、私、は……』
動揺を隠しきれずその顔を手で隠す。
その時、持っていた雨月と空裂を手放す。その二刀は光の粒子となって消えた。
具現化限界。つまり赤椿ももうエネルギーがない。
その奥で福音が砲口を開き、箒を狙っていた。
「箒!!」
(くそ!エネルギーが足りねぇ!)
瞬間加速で箒を助けようとするがガクンと速度が落ちてしまった。
光弾が箒の眼前まで迫った時、俺と箒の前を白い閃光が横切った。
◇
(一夏side)
俺と箒は白い閃光に引っ張られた。
『二人とも大丈夫か?』
「お前の方こそ大丈夫かよ……」
助けに来てくれた優は吐血していて話せる状態じゃない。それでも会話ができるのはプライベートチャネルのおかげだ。
『一夏、ファントムを出して白雷で撤退しろ』
「でも……」
『お前達の任務は失敗した。今は次の作戦のために帰還しろ』
「優はどうするんだよ」
『お前達が帰還できるように時間を稼ぐ』
何十もの槍と一緒にレヴァを展開した。
『大丈夫だ。Slave Modeもある。死にはしない』
『IF 確認。「銀の弾」稼働開始。直ちに――抹殺する』
福音が俺達の時以上の殺気をもって接近してきた。
『行け!』
「――!」
俺は半ば逃げるように箒を抱え飛び立った。
◇
(優side)
「げほっげほっ」
喉に溜まっていた血を吐きだす。
やはり長時間飛び過ぎた。白雷による体の負担が大きい。
(さぁ…どうするか……)
この福音第一号の稼働データのほとんどは俺との実戦データでできている。
つまり、向こうは過去のデータから俺の動きを捉えることができる。
それはこっちも同じだが、今回機体を動かしているのは操縦者ではなくシステム。
俺はそのシステムの内容までは知らない。
その上、『銀の弾丸(シルバーブレッド)』はいわばIFに対する零落白夜。シールドは貫通する。
「……ブランディストック」
福音の銀の弾丸と同じように双短銃を展開する。
距離を置きながら左右の短銃から反時計、時計回りで弾を放つ。
上手くいけば最初に撃った弾が陽動になり、自分の正面に逃げてきた時多くの弾を当てることができるが、これは以前使ったことがある技。
データとして残っている福音は的確に避ける。
そのままこっちと同じ動作で反撃してくる。
(やっぱり、コイツでも無理か……)
ブランディストックの連射性能は銃火器でもトップクラスなのだが2門で計34門を相手するにはやはり心もとなかった。
「くっ………」
リロードで弾幕が薄くなった瞬間を狙われた。
やむ終えず意図的にブランディストックを爆発させることで撃たれた弾を相殺した。
煙の中から福音が一気に接近してくる。
体がまだ強張っている俺の体は何もできず猛烈な蹴りを受けて小島に落下した。
『―――』
「喰らっとけ」
ミスティルで風を纏わせ最大まで威力を上げた赤槍アキュレスを投擲する。
(ちっ、かすっただけか……)
お互い高速で動いるためよく見えないが福音の砲口を2門程度潰せた程度だろう……。
『――敵の推測エネルギー残量約60%危険度―C』
(こうなると後は……自爆特攻による『コズミック・ブラスト』の発動しかないな)
――コズミック・ブラスト――
破壊された機体のエネルギーを全て能力に変える技。
例え無傷の福音でも一気に致命傷にもっていくことができる。
だが『コズミック・ブラスト』は道ずれを前提にした技。
俺もすぐに他の機体を再展開できるわけではない。
間違えば俺は死ぬことになる。
「ミスティル」
大量のアキュレスを展開し福音に向ける。
「Unsleep Scarlet Moonlight」
福音から見て十字架見えるように展開されたアキュレスが一斉に放たれる。
福音が銀の弾丸でアキュレスを相殺する。
すると弾かれた槍が他の槍にぶつかる。その繰り返しでほぼ全ての槍が不規則な動きのまま福音へ向かった。
この技の特徴は反撃にでると槍が予測不可能な軌道をすること。
しかし、逃げようとしてもミスティルで追撃できる。
これなら戦闘中複数回使っても見切られることはない。
福音も回避は不可能と判断したらしく上空へ逃げるも俺がミスティルで追撃させる。
それを見てアキュレスを破壊することにしたらしい。
だが、その方法はグルンっと回ったかと思ったら畳んでいた銀の鐘を一気に開き、広範囲にエネルギーの弾雨が降り下ろしたものだった。
(おいおい…。それはズルくないか……)
ウイングスラスターから放たれたのは接触した途端、爆発するエネルギー弾。
そう。福音は強引に全てのアキュレスを破壊したのだ。
これじゃあ、現アインス最大戦力のスターダストでも部が悪い、なんてどころじゃない。
完全にがら空きになったところを瞬間加速で接近し突きの体勢をとった。
――ガキン!
俺はその腕を黒槍ブラックスピアをブレード代わりに扱うことで弾いた。
(別に使わないだけでアキュレス以外の槍がないわけじゃないんだよ)
しかし、福音の伸ばした腕が首を狙う辺り達が悪い。
が、接近してくれたのは助かった。
アキュレス以外の槍、黒槍ブラックスピアやパルチザンをあるだけ展開してミルティルで全方向から圧力をかける。これで福音を一時的ながら拘束することができた。
「――コズミック・ブラスト」
砲口で槍を破壊される前に福音を中心に巨大な竜巻が発生する。
福音の腹を蹴って距離を取る。後は海面に落ちる前に別の機体を――
―ガシッ
(な!?)
福音が自分の腕など省みずせず俺の足を掴んできた。
別の機体を展開し瞬間加速で離脱を計るがそれでも福音は俺の足を放さなかった。
(くそっ!コズミック・ブラストはもう止められ…)
バアァァァン――!!
ただ広い太平洋に爆発が鳴り響いた。
―――パラパラパラ…………
爆発によって
装甲が海へ落ちていく。
「ふぅ………」
(まったく。もう少し遅れてたら足がなくなるところだった)
俺の体にはレヴァとは異なる機体が展開されていた。
正直、なんでこの早い段階でSlave Modeが発動したのかは分からない。
しかし、これは福音に対抗できるチャンスだ。
さっきのコズミック・ブラストでSlave Modeが発動し防御の為に多くの装甲を盾代わりにした。
今なら自分の意志でコイツを動かせる。
対して福音は攻撃の要になっている銀の鐘が中破。
この状況なら福音を倒せるかもしれない。
『キアアアアアアァ……!!』
バキン!っという音と共に攻守の軸になっている銀の鐘が外れるように壊れた。
そして、内側から信じられないものが姿を現していた。
(嘘だろ……。こんなことが…)
形態移行なのか、何にしてもISではあり得ないことが起こっている……。
(一体何が…。またVTシステムの類いか?)
警告―高エネルギー反応あり……警告―……
口の前にエネルギーが集中し青い光線を吐かれた。
それをギリギリながらも避ける。
あまりの熱量に光線が当たった海面の一部は海水が蒸発したことで凹んでいるように見えた。
軍用機だとしてもあの威力は異常だ。
確実に掛けられているはずのリミッターがなくなっている。
『キアアアアアアァ!』
獣のような雄叫びに福音に意識を戻した時、俺は何かに包まれ、そして意識を失った。
◇
(一夏side)
『―白雷-発動』
まるで常に瞬間加速をしているような速さで飛行する。
赤椿よりも速い速度によるGで体が悲鳴をあげる。
優の体がボロボロなのもわかる。優はもっと速かったのだから。
バアァァァン――!!
何かが爆ぜる音、何かが海に落ちるが聞こえた。
―『アインス』よりEmergency Callをキャッチ―
「一夏!黒川が!」
「……」
「一夏!」
「…わかっている」
「ならどうして!」
俺だって助けに行きたい。でも……
「ダメだ箒。今の俺達じゃ優の力になれない…」
「……」
「あと30秒で着く」
「…わかった」
俺達は無力さを感じながら皆のもとに戻った。
霊「主人公遅れて登場っと思ったら呆気なく負けたわね。主人公最強説は早くも折られたわね」
魔「“IS狩りが止められた=誰かに負けた"だからな。元々最強ではないぜ。
それに始めっから強かったら成長できないぜ」
霊「まぁそうね。現時点で一夏達より強いけど」
魔「それは言っちゃダメだぜ」
魔「話は変わるが今作は今日投稿したので21話になるんだ。
今は7月だからまだまだ話は長くなる」
霊「予定だと3月までは確実に書くそうよ」
魔「そこで字数の少ない所を併合して目次をスリムにしたいと思っている。
題名は変えないから大丈夫だと思うけど、違和感を感じたら『あぁ調節したんだな』って 思ってほしいんだぜ。あとTwitterもよろしくなんだぜ」
魔、霊「ここまで読んで頂きありがとうございました」