IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF)   作:黒川 優

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皆さんこんにちは。黒川 優です。

先日開設したTwitterは@if_authorで検索すればヒットすると思いますので是非気軽にフォローしてくださると嬉しいです。

それでは本編をどうぞ



Revenge Return+α

(箒side)

 

 

 

ザザザザザァ――

 

私達は飛行機が不時着するような形で作戦開始地点に戻ってきた。

 

「一夏!?しっかりしろ一夏!」

 

軽くゆすってみるが反応が全くない。

なんで…、ただ飛んでいただけのはずなのに……。

 

「篠ノ之!不用意に体を揺らすな!」

「織斑先生……」

 

 

 

「救護班!早く一夏を連れて治療を施せ!」

 

千冬さんの指示でタンカーを持った教員達が私達の所に来てくれて一夏を運んで行ってくれた。

 

「お、織斑――」

「作戦は失敗だ。以降、状況に変化があれば召集する。それまで各自待機しろ」

 

織斑先生は私を責めることなく、ただ待機命令を出しただけだった。

 

 

「箒、優は?」

 

シャルロットが走って私のところに来る。

辺りを見回しても黒川がいないことに不安を感じている。

 

「すまない……。黒川は私達を逃がす為に福音と戦っていた」

「優は大丈夫……だよね?」

「………」

 

私は何も言えなかった。

私のせいであそこに残ざれ負えなかった黒川のことを。

 

Emergency Callが鳴っていたのに助けなかった私が、「大丈夫だ」なんて……。

 

「嘘…だよね……優が…そんな……」

「………すまない」

 

シャルロットの泣く声が砂浜に小さく、

 

―――――――――――――――――

 

 

(私のせいだ…)

私が一夏や黒川のようにしっかりしていれば……。

 

シャルロットの泣き崩れる姿を思い出す。

自分も大切な人との時間を取られたことがあったためにシャロットの気持ちが痛いほどわかるはずなのに…。

私は昔と変わっていなかった。

 

(最悪だ…)

私にISを使う資格など…ありはしない……。

 

「ったく。ここにいたのね」

「……鈴」

 

部屋の出入口で凰 鈴音が仁王立ちで私を見ていた。

 

 

(ラウラside)

 

 

 

「ここにいたか」

「…………………」

 

シャルロットは黒川が借りた部屋で黒川が着ていた服を胸に抱きしめて泣いていた。

 

「シャルロット。福音の場所が分かった。教官が私達に作戦の伝達をしたいらしい」

「……ゆうぅ……ゆうぅ………」

 

シャルロットは泣き続けたままたった。

今のシャルロットにとって黒川はかけがえのない存在、光指す世界に繋ぎ止めてくれる存在。そのアイツが消えたかもしれない。だから泣きたいというのは分かる。

 

「私情を挟むな、とは言わない。だが、泣いて何になる?」

「……え?」

 

私の声にシャルロットは初めて頭を上げてくれた。

 

「もし涙流して願いが叶うなら私は軍で一番の泣き虫だっただろう。

だが現実は違う。その時だけ自分の心が晴れるだけで現実は何も変わらない」

「ラウラ………」

「私達が今することは黒川を願うことでも無事を祈ることでもない。

ただ今回の事故を解決する。それだけだ」

 

心の折れた人間に泣くな、逃げるな、立ち上がって進めと言うのは酷な話だ。

しかし、作戦遂行のためにはシャルロットの力は必要なのだ。

 

「……ラウラ、優は…生きてるよね?」

「当たり前だ。アイツがそんな簡単にくたばるわけないだろう」

 

でなければ先月まで私が血眼になってまで黒川に執着しなかっただろう。

それにIS狩りで教官と戦ったにも関わらず生きていたラッキーボーイだ。

そんな悪運の強い奴がこんなことで死ぬわけがない。

 

「きっと全快とは言えないと思う。

けど、僕頑張るよ。優に会えた時泣いてたんじゃ恥ずかしいもん」

 

その目は赤くなっていたが真っ直ぐと前を向いていた。

 

「行くぞ。教官が呼んでいる」

「うん」

 

私はシャルロットの手を引き外へ連れ出した。

 

 

 

(一夏side)

 

 

「福音の居場所がわかった。これから作戦会議を行う」

 

千冬姉の言葉で2回目の作戦会議が始まるが皆の表情は良くはない。

やっぱり優のことが気になって仕方ない。

 

「その前に、黒川だが……」

「今、

州の病院にいる。報告も無しにアメリカに行っていたそうだ」

 

私の言葉に皆の表情が晴れる。

特にシャルロットは優が生きていることがわかったのだ。

福音のことがなかったら大喜びしていただろうな。

 

「諸君らにはあのバカと同じようなことはしないことをしないよう単独行動などは慎んでもらいたい。では、これより作戦会議を始める」

「「「はい!」」」

 

 

 

(楯無side)

 

 

 

――数時間前――

 

輸送機からISのハイパーセンサーを使って海を詮索する。

 

(きっと福音の衛星追跡を見る限りここの辺で戦闘があったはず)

 

 

―いた!

 

波に流されながら何とか浮いている人を見つけた。

機体を完全展開し、優くんを助けにいく。

 

赤い装甲の破片が彼の周りで浮かんでいた。

 

(嘘……。それってあの機体も敗れたってこと…)

とにかく考えるのはあと。

彼を輸送機まで連れ戻して私の機体を展開させて操縦者保護を最大にする。

その間に人工呼吸、ナノマシンで止血と治療を虚と一緒に進める。

 

「……げぼっげほっ!」

「優くん!」

 

意識が戻った優くんは飲み込んでいた海水を吐き出した。

 

「……ぁ…楯無……」

「よかった…。よかった……」

 

体は弱っているって分かっているけどついぎゅっと抱き締めてしまう。

 

「楯無……いたい……」

「ごめん……」

 

その後もナノマシンでの点滴を行ったおかげで朦朧としたものでなくしっかり意識が戻ったみたい。

 

「そうだ…。アメリカのはどうなっている……」

「依然IFとアメリカ軍用ISが交戦中よ。

ただ、遠距離重視と近接重視だから部が悪いらしいわ」

「そうか……――!?」

 

優くんは送られた映像を見て飛び起きた。

 

「この映像、何分前に来たやつだ?」

「たぶん…10分ぐらい前よ」

 

それを聞いた優くんは私のISを押し返してアインスで大空を飛んでいった。

 

「ちょっと!優くん!」

 

(―!?待ってこの娘なんでここに…)

一番あり得るのが優くんに対する亡国機業の罠。

 

「急いで優くんを追って!私達もアメリカに行くわよ」

「お嬢様?」

「早く!」

「は、はい!」

 

拙い……。元々銀の弾丸受けて死にかけてるのにIFと戦いに行ったら今度こそ……。

 

 

 

(一夏side)

 

 

 

福音は左半分の装甲が吹き飛んだままの状態で胎児のような格好で浮いていた。

優によって損傷した部分を修復するためだ。

 

 

『いくぞ』

 

八十口径レールカノン『ブリッツ』の左右の二門を福音に向ける。

 

――バアァァァン!

 

砲弾が当たり爆音が響く。

 

『初弾命中。続けて砲撃を行う!』

 

 

ラウラは砲撃体勢を取り続けながらも福音の接近を避ける為後退も行う。

 

この時、ブリッツの制御はあくまで上下左右に対するものだけ。

砲撃の反動も後退への助力にしている。

 

しかし、福音はウイングスラスターから放つ光弾でラウラの攻撃を相殺し接近する。

本来、砲戦使用で機動の両立が難しいレーゲンと機動力抜群の福音では速度が異なる。

 

福音は追いつきラウラへと右手を伸ばす。

 

『ふっ。甘いな』

 

ラウラは福音に向かう形で瞬間加速をした。

恐らく、後方へPICをかけて後退したのは最初だけ。

あとは慣性と砲撃の反動だけで下がり瞬間加速で今のように背後を狙える時を狙っていたのだ。

 

AICでほんの一瞬福音の動きを止めブリッツを構える。

ゼロ距離ならば照準もないもない。速攻で放たれた砲弾に福音は吹き飛ばした。

 

 

このゼロ距離攻撃を受けながらもすぐに体勢を立て直して再びラウラに接近してくる。

しかし今度の狙いはラウラではなくブリッツ。

 

今の攻撃スタイルは砲撃があってこそのもの。

破壊されたくないラウラは回避に専念せざる負えなくなる。

その分弾幕は薄くなり福音はさっきよりも速い段階でラウラの懐に入り込んでいた。

 

『無駄よ』

 

その伸ばした腕を鈴が双天牙月で叩き落とす。

 

福音はその勢いのまま1回転して踵落としをかける。

それを鈴は双天牙月の腹で流し、衝撃砲を撃つ。

 

この衝撃砲はいつもの不可視のものではない。

熱核拡散弾の機能増幅パッケージ『崩山』

その展開数は福音と同数に並ぶことができる。

 

 

強襲によって攻撃を受けた福音は銀の鐘からその延長上に弾幕を並べ相殺する。

その後、再び照準を定めるラウラから離れる為に瞬間加速で鈴から離脱した。

 

『ラウラ!』

『ダメだ。速過ぎる。セシリア!』

『わかりましたわ!』

 

強襲用高機動パッケージ『ストライクガンナー』を装備したセシリアが2人を追い抜き福音に接近する。

時速500キロを超える速さを出せる今のブルー・ティアーズならスピードで遅れをとることはない。

 

福音に追い付き臨戦態勢に入る。

円形ではなくねじるような形で円形飛翔制御に入る。

 

しかしスターライトは1門に対し福音は32門。

展開の差は歴然。セシリアが円形飛翔制御での移動先に弾幕を並べられていた。

 

「セシリア!」

『わたくしを舐めないで下さい』

 

セシリアは更に円形の内側に入り弾幕をかわす。その遠心力を殺さず大きく回り福音の視界から外れ、瞬間加速によって直線での移動に変えた。

 

――バアアアァァン!

 

インターセプターをまっすぐ構えて福音に激突した後、爆発加速でのスラスターの噴出口をゼロ距離であて、砲撃を当てたように吹き飛ばした。

更に追い討ちをかけるようにシャルロットの放った「バルム」によって爆発が起こる。

 

『東側から熱源を確認』

 

福音は銀の鐘を広げて反撃する。

がそこには誰もおらず、雲を切り裂いただけだった。

 

『僕はこっちだよ』

 

シャルロットは西側から福音にステルス強襲をかけた。

わざと福音を通過した時に徹甲弾を爆発させることにより、爆発という巨大な熱により熱源の位置を誤認させたのだ。

 

隙ができた福音に盾殺しを放つ。

が、それはリボルバーを白刃取りの要領で掴まれたため決まらなかった。

 

『今だよ!』

「はぁぁぁぁあ!」

 

俺は前回同様、箒の背中に乗って零落白夜を展開させる。

前は避けられてしまった。

でも、今度はそうはいかせない。

 

シャルロットが平行切替でバルムを撃ち続けているおかげで福音は動けない。

 

(これで、決める!)

背後から零落白夜で一刀両断する。

更に連続展開でもう二振りあの面倒なウイングスラスターを斬る。

翼を失った福音は俺の攻撃を受け、そのまま海へ沈んでいった。

 

『やったか?』

「手応えはあった」

 

福音もあれから上がってこない。

 

(やった。今回は俺達のか……)

そう思った最中、海面が強烈な光の球によって吹き飛ばされた。

 

 

『まずい!第二形態だ!』

 

ラウラの声に各操縦者は退避行動をとるが福音の方が速かった。

 

『一夏!』

「ぐ…。この……」

 

福音は絶対防御を切って雪片を装甲を纏ってはいるものの素手で掴んだ。

これじゃあ雪片は物珍しい刀だ。

 

『……キアアアアアアァ!』

 

信じられないことが起こった。

あの砲口があるウイングスラスターからエネルギー質の翼が生えてきたのだ。

福音が俺をエネルギーの羽で包む。

 

「がっ……」

 

零距離攻撃の弾幕、シールド兵器を持たない百式は一瞬にして砕け散った。

 

「一夏!」

『箒!後ろ!』

 

 

(く…そ……)

痛みで体を動かせない俺はそのまま海の中に沈んでいった。

 

 

 

 

(優side―アメリカ

 

 

(よし…)

手持ちのナノマシン治療薬を使いきってしまったがこれでしばらく普段と変わらないレベルで体を動かせるはずだ。

 

「単一化」

 

白雷で一回溶けて固まった装甲を外して羽織だけの状態にする。

相手が確かならコイツが一番相性いいはずだ。

 

 

 

何かがもの凄い勢いで壁にぶつかった。

 

「お前はイーリス…」

「あぁ…アインス……。

悪いね……。今はアンタと戦える余裕ないわ」

 

彼女の纏うファング・クエイクは射撃を受けてボロボロになっていた。

ダメージレベルはCを超えている。

よく、ここまで動かしたと言ってもいい。

 

「もういい。馬鹿を言う暇があるなら操縦者保護を第一にしろ」

 

俺はイーリスにPower Wallを箱状に展開させ、彼女のISに収納されているナノマシンで治療にあたる。

 

 

警告―IF接近―警告―………

 

俺達の目の前に純白の機体が姿を現す。

 

「……………」

『久しぶりね、優』

 

間違いない……。

射撃型のスターダスト。

背丈は多少変わっているが容姿は6年前と変わらない。

 

「………あぁ。久しぶりだな…」

 

(Z-ONE………)

まさか本当にするとはな……。

なにかの罠か?

いや、それならちらつかせるだけで手が届かないようにするはず…。

なににしてもこれは唯を連れ戻すチャンスだ。

 

警告――

 

彼女の方から俺に砲口を向け、攻撃に入る。

操られているのか?

何にしても、まず機体をある程度使い物にならなくさせる必要がある。

 

「『-IS-』」

 

俺は斬撃を、彼女は光弾を展開する。

それぞれが交差、相殺する。

 

俺は光弾に包まれた。

 

 

 

 

(一夏side)

 

 

 

(ここは……)

なぜか横になっていた体を起こす。

そもそも俺は福音と戦っていたはずだ。

それで一回倒したと思ったら第二形態になって……。

 

―ぴちゃ、ぴちゃ

 

「おぉ!なんだ!?」

 

足元は水だ。俺は百式を展開していないのにその上に立つことができている。

 

その違和感から辺りを見回す。

水面下では太陽が変わらず赤々と輝きながら魚のように泳いでかのように少しずつ移動している。

空は逆に月の光がない夜の空のように真っ暗だ。

 

水平上もおかしい。周りには本棚が並び続けその先は肉眼では見えない。

行ったら最後二度と戻って来られないかもしれない。

この謎の空間では目の前にあるテーブルとイス。あと遠くに置かれているソファぐらいでしか寛げなさそうだ。

 

 

―ほう…。また誰か来たのか―

 

「誰だ!」

 

―騒ぎ立てるな―

 

誰かがまるでISを纏っているかのように黒い空からフワッと俺の前に降り立つ。

全身を黒の服で纏い、唯一肩部に中世の鎧の一部ようなものを着けている。

長髪に整った顔、やや淡い青の瞳。

一言で言えば“黒い女神”とでもいうべき人物だ。

 

―我が名はe・ラー。汝の願いを叶える者―

 

彼女は遠くにあるソファに腰掛ける。

若干崩した姿勢ではあるがそれでも彼女からただならぬオーラを感じさせていた。

 

「願いを叶える…」

 

―そう。ここは強く望む願いを持つ者が集まる場所。そして我がそれを叶える場所。

例外はあるが“一度”が限界であるがな―

 

 

 

―では聞こう。汝の願いはなんだ?―

 

(俺の願い?)

そんなの、決まってる。

 

「仲間を、これから一緒に歩む人達を守る力だ」

 

―ほう?―

 

「ラウラに負けて優にファントムを渡された時にまた感じたんだ。

これじゃ亡国機業に誘拐された時と変わらない。

俺は強くならなきゃならないって。そのために百式は動いてくれるんだって」

 

そう。だから俺は戦うんだ。千冬姉と優を追うんだ。

守られるだけじゃない。守るためにも。

 

―くくくっ。そうか。仲間を守りたいか。くくくっ、ははははは!―

 

e・ラーは俺が言ったことがおかしいかのように笑い始めた。

まるで神の化身のような彼女ではなく普通の人間なら腹を抱えて笑い転げていたぐらいの勢いだ。

事実、彼女はソファから転げ落ちそうになっていた。

 

「何が言いたい。下らないとでも言うのか!」

 

―その判断は我がすることではない。

我はただその願いが姉以上に『傲慢』だと思っただけ―

 

「あんた、なんで千冬姉のことを…」

 

―知っているに決まっているであろう。我は全てのISを管理するライブラリアン。

全て覚えている。奴はその傲慢な願いを力に変えているのだからな―

 

足元の水面が俺を包み静かに上空へと打ち上げられる

彼女が望みを叶えたことで俺がここにいる理由がなくなったんだ。

 

―最後に、逆に聞こう。汝、……………―

 

「―!?どういうことだ!」

 

e・ラーの言葉に俺は声を荒げる。けれど水の中では俺の声は泡ぶくになるだけだった。

代わりに百式が展開される。今まで違う形になって。

 

 

 

 

 




霊「当たり前だけど福音との戦闘シーンは原作とかなり変わったわね」
魔「特にラウラのところを凝ってたみたいだぜ。
 アイツ曰く、『ラウラは置いといてレーゲンは好きかもしれない』と」
霊「ヒロインを置いてくな」
魔「実は作者が書こうと思ったのは原作での戦闘シーンの少なさが理由らしい。
 折角の素敵なデザインの機体が活躍しないのは悲しいとか…」
霊「ガンダムは見ないくせに…」

魔「さて、次回は大詰め?そして更にややこしくなるぜ。
 ここまで読んで下さりありがとうございました」
 
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