IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF)   作:黒川 優

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皆さん、こんにちは。
リアルが忙しくてまともに作成が進んでいない作者です。
世間には「できるだけ毎日」とか「3~4日に1度」で投稿してる作者さんいますが、アレ凄いことですよ。作成側になって常々感じさせられます。
私が同じことができるようになるにはまず影分身の術で大学のパソコン室を占領してからじゃないと無理ですね(笑)

まぁそれはさておき、本編へどうぞ♪ヽ(´▽`)/



Heavy desire

◇

(優side)

 

 

相互干渉意識によって引き寄せられた俺は思いっきり床に叩き付けられた。

 

(ここは……アインスの世界とは違う…)

この世界は唯のスターダストの世界だろう。

しかし、この世界は唯に全く合っていない。

 

血のように紅い絨毯。解れてバラバラになった縫いぐるみ。

配色もものの扱いも唯とは全然違う。

 

(ん?)

ボロボロのタンスの上に綺麗なビー玉がいっぱい入ったビンがあった。

なんとなく、俺はこの部屋の中でビー玉だけは唯のものだと確信した。

そのビンを持って他の部屋も探してみる。

 

今度は黒い部屋、さっきの赤い部屋を大雑把に黒く塗りつぶしたような感じ。

これも唯が好むような部屋ではない。

 

これも、これも…唯のイメージとはかけ離れた場所。

外れと言わんばかりに何も置いてなかった。

 

(後はここか……)

一番奥にある比較的真新しいドアを開けた。

さっきまでの暗い感じとは違い、唯らしい明るい部屋が広がっていた。

ただ、なんとなく委員会で俺がよくいる一室にかなり似ていた。

 

「唯」

 

唯も俺に気付いたのか俺に体を向けてくれる。

にこっと前とまったく変わらない眩しい姿があった。

 

『ありがとう、優。ごめんね。こんなことして』

「いいんだ。もう終わったことだから」

 

そう。もう終わったことなんだ。

 

『私を助けてやるって言った時も、私を生き返ったのは優のおかげだって聞いたときも、嬉しかった。

ずっと前から優と一緒に学校に行きたかった。

二人で外の世界に出て色んな所に行きたかった。そう思っていたから』

「大丈夫だって。Slave Modeも解いた。

すぐにとはいかないかもしれないけど、これからは自由に生きていける」

 

――待って欲しいって言うならできるだけ待ってやるから――

それが亡国機業との戦いに巻き込んでしまったことに対して俺の精一杯の想いだった。

唯もそれにとても喜んでくれた。けど、唯は首を振った。

 

『無理なの。私はDoll。兵器として生き返らせられた私は優を殺さなければいけない。

けど、私には…できなかった。例え優が生き返るとしてもそんなことできなかった』

「おい。何言ってるんだよ……」

 

 

『ゴメンね優。さようなら』

 

唯はもう一度、そっと唇を重ねた。

 

 

「唯!唯!」

 

現実に意識が戻った俺は急いで光闇を展開し、Circle Outを発動させるが表示されるのは「error」の文字だけだった。

 

(頼む…頼むから……)

今度こそ助けたいんだ。

そのためだけに光闇を作ったんだ。だから、だから…いかないでくれ……。

 

「くそ…」

 

Circle Outを発動をさせようとするが依然として「error」と表示された。

 

動けよ……。あと1回使えるだろ。

動け、動け動け動け動け動け動け………!

 

 

突如、腕を誰かに掴まれた。

 

「黒川……」

 

振り向くと千冬さんはゆっくり首を振っていた。

 

「もう無理だ。彼女はもう…」

「…………………」

 

何よりも重い現実をまた、また突き付けられた。

 

 

(思い、重い、想い)

◇

(千冬side)

 

 

 

湾岸アリーナでの作戦から一週間。

 

唯の遺体は本来、調査が一通り終われば処分することになっていたが、今回は黒川の身内であるため。黒川が動けるまで火葬を延期した。

そして黒川が動けるようになった今日、静かに葬儀が行われることになった。

 

 

黒川は唯の棺の前にイスを置きそこに座っていた。

消えて無くなりそうなほど黒川の背中は小さい。

 

 

「…なんですか?千冬さん」

「残念だったな…彼女のこと」

「俺の力が足らなかっただけです」

 

そんなことはない。

換装は肉体的負担がかかるにも関わらずスターダスト、レッドデーモンズ、レヴァ、光闇、オシリスの使用。

そんなことは誰にだってできるわけではない。

特にトラウマがあるにも関わらずオシリスを使ったのは大きい。

 

「…怒らないで聞いて欲しい。

今回の唯の拘束、私は成功しなくて良かったと思っている」

「……どういう意味ですか?」

 

黒川は立ち上がり私に体を向ける。

唯の前のせいか言葉はまだ柔らかいところがあるが、私に向ける眼差しは恐ろしいほど冷たい。

 

「腎臓」

「『circle out』の代償で片方ダメにしただろ」

「………………」

 

――Circle Out――

いくら無効にできる範囲が常識的なものであってもいくつもの過程を飛ばし、序論と結論を強引に結び付けるその能力が4回もノーリスクで行えるはずがない。

 

事実、腎臓のことがなくても本当は黒川はまだ入院していなければならない状態だ。

ISISの活動が活発化しなければ。

 

「亡国機業は必ずお前を殺すための手段を講じていたはずだ。

仮に今回ので助けることができたとしても、それが枷になりいずれお前がダメになる」

 

それにCircle Outの存在を知ったものがそれを利用することは目に見えている。

そうなれば黒川に破滅が迫ることは容易に想像できる。

だから、光闇の能力は成功したとしてもそれよりも評価される作戦などが失敗することで大衆の目を光闇から逸らしたかった。

しかしその初めの作戦が唯に関するものになるとは…現実は無情だ。

 

「……仕事行ってきます」

「機体が大破してるだろ。私が行く」

「予備のパーツで組み立て直しました。

サイバーとアームズエイドがあればISISを倒せます。それに――」

 

黒川は突き放すように言葉を繋げた。

 

「千冬さんは正式なAIFの人間ではありません。前線に出ることなど許可できません」

 

 

パシーン――!!

 

叩いた音が狭い部屋に鳴り響いた。

 

「お前が私を除名したんだろ……」

 

前からこのことに対して気になっていることがある。

 

――唯を助けられるなら俺は貴女に、世界に、神に逆らいます。

それが6年前からの俺の唯一の意志です――

 

この言葉。まるで唯が生き返ることを知っていたかのような台詞。

そして、それに都合の良い能力を持った光闇。

 

「何のために私をAIFから除名した?今回のようなことを想定してか?」

 

今まで疑問に思っていた言葉が初めて黒川に対して形になる。

が、黒川は特に表情を変えることなく淡々と話を続けた。

 

「それは否めないです。俺は敵対しながらもZ-ONEの言葉を信じて唯を助けられるように光闇を作りました」

 

私は優の胸ぐらを掴む力が強くなる。

 

「が、別にそのことで千冬さんを除名する必要はありません。

非常時を除いてIFと戦うのは俺だけですから」

 

それは黒川の言う通りだ。

特に、日本においてその可能性はほぼ確実になる。

 

「なら何が理由だ」

「千冬さんには一夏がいるからです」

「なに?」

 

いきなり出てきた一夏という言葉に私は理解できなかった。

 

「AIFは言わばIS界の警察ですが、俺が正当な理由で生きるために戦う場所でもあります。

そんなところでもし、亡国機業の戦いを通して千冬さんが亡くなれば一夏が悲しみます」

「………………」

 

その言葉に私はもう何も言えなかった。

 

―これ以上誰かを失いたくない―

 

唯を無くしたからこそ黒川のこの言葉は何よりも現実的で、重く、想いに満ちていた。

 

「では」

 

黒川は私の手を払い外へと向かっていった。

私はその姿を見ることしかできなかった。

 

 

 

◇

 

 

「ギャハハハハハ!」

 

真月は先日のアインスと唯の戦いを見て笑っていた。

それが彼にとって本当に面白いものらしくイスから転がり落ちるものの、そこで床をバンバン叩いていた。

 

「はははっ!『くそ…』だってさ。バカ過ぎて笑いがとまらねぇ」

「真月。俺にそんなものを見せるために呼んだのか?」

 

真月と同い年くらいの青年が部屋の入り口に立っていた。

銀髪、赤眼、片目に眼帯。見た目はラウラに似ているのかもしれない。

もっとも彼は男で背は高いが。

 

「まぁ見てみると面白いぜ?この希望に満ちた表情が一気に崩れる様は。

なかなか見れるもんじゃないぜ」

「俺にそんな趣味はない。帰る」

 

苛立たしいように部屋を出るフラシドを真月が引き留める。

 

「おっとと。本題だ。ISISを借りたい」

「つまり貴様にあげろと?」

 

フラシドは露骨に嫌悪感を出す。

ISISを貸したところで返ってくるわけがない。

彼はそのISISで研究を行っていることもあり、不用意に貸したくないのだ。

 

「まあまあ、それでアインスを殺せるなら安い。

それに実験中に出た欠陥機で構わない。それならいいだろう?」

「…わかった」

 

フラシドはこんな下らないことに付き合えないのでさっさと部屋を出ようとした。

けど、真月が「殺せるなら」と言ったことに確認を入れた。

 

「真月、俺達はアインスを殺してはならない。わかっているな?」

「しつけーな。わかっている。いたぶるだけだ」

「…いつか痛い目を見るぞ」

「ふっ。それができるのはお前達だけだ」

 

真月の持つウリアはレッドデーモンズのコピー機。

その真月に勝てるのは彼より高性能な機体を持つフラシド達幹部、そして今のリーダー、パラドックスだけ。

レッドデーモンズが最大戦力のアインスに負けることはない。

 

「さぁ始めようか。良からぬことを」

 

画面の光を受けて映るその表情はどこまでも黒かった。

 

 

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