IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF) 作:黒川 優
Happy New Year!
皆さん。お正月ゆっくりできてますか?
私は寝正月になりそうです(今日、正午に起床)
しかし、お正月スペシャル的な感じで木曜日の投稿とは別に元日に投稿しようと思ったら元日が木曜日だったという……。
まぁそれは追々考えましょう。
それでは本編へどうぞ♪ヽ(´▽`)/
◇
(唯side)
「随分幸せそうな顔だな。そんなに仕事好きなのか?」
「えへへ」
優と久し振りのお昼ご飯。これが嬉しくなかったら人生なんてそこら辺に捨てた方がいいと思う。
けど、優は私の正体を知らないのでどこまでもご機嫌な私を不思議そうに見つめていた。
「痛っ」
持っていた箸を落として右手を押さえていた。
「優!?」
「大丈夫だって。放っとけば治るから」
そうは言ってるけど優の手は痙攣して止まらなかった
「ダメです。医務室に向かいましょう」
「大丈夫。最近調子が悪いだけだから」
「調子も悪いなら尚更です。私、車椅子借りてきますので」
適当な所から車椅子を借りて優を医務室に連れていった。
…………………………………
………………………
………………
「はっきり言います。しばらく休んで下さい」
「そんなにひどいんですか?」
優に関することなのについ私が聞いてしまった。
「悪いも何も、『銀の弾丸』を受けて大丈夫なわけないでしょう。
生身で実弾を受けているようなものです。
よく生きてられますね。ホント」
「当たり前じゃないですか。千冬さんすら殺すことができなかった私が福音に負けるなんて―――」
「ご自分の操縦技術の無さを体で払っているだけでしょう」
「冗談で言ってたのに……」
保険医の永琳さんは容赦無く優の言葉を返す。
「まぁ、貴方のことですから絶対安静にしてくれないので強めの薬を出します。
副作用で強い眠気に襲われるのでとっととくたばってて下さい」
「はいはい」
保険医の永琳さんがかなり辛辣なことを言ったのに優はさらっと流した。
きっといつもこんな感じなんだろうな……。
優はさっさと医務室から出ていった。
「レナさんはあの子の近くにいるかしら?」
「はい。夏の間だけですけど」
「悪いけど、明日から彼のおもりもしてくれない?
困った時は私にバンバン言ってくれていいから」
「分かりました」
早速薬を飲んで眠けに襲われていたので私が車で優を自宅に返した。
優の部屋ってIS学園にあったんだね。
初めて知った。今度この姿でお邪魔しよーと。
私はそんな妄想を広げながら優が早く治ってくれることを願った。
◇
(唯side)
「呆れた………」
検診の翌日、薬の副作用で体が怠くなり眠りやすくなるにも関わらず優はAIFに来て仕事をしていた。
今日、早めに来たのは正解だったと沁々思った。
「少しはご自分の体を大事にしたらどうですか?」
って、優の上司の織斑 千冬はどこいるの?
私ここに来てから一度も見てないんだけど。
「安静にしろって言われたってこの忙しい時期に休めないでしょうが」
「それは…そうですが……」
今、委員会は亡国機業に対して非常事態宣言を宣告するための準備でどこも慌ただしい
それの引き金を引かせたのは私なだけあってなかなか強く言えない。
「じゃあ、自宅に帰る気はないのですか?」
「んー?あぁ…ない」
気だるそうに、でもはっきり優は答える。
まぁ別にないなら私は優が寝てる間に寝顔でも納めさせてもらうだけだけど。
けど、今の仕事をさせてたらいつになっても治らない。
私が何とかしないと……。
「なら私が黒川さんの手となり足となります」
◇
(フラシドside)
一人の男が俺の部屋に入ってきた。
――パラドックス
今の亡国機業のトップに立っている者だ。
「研究所の破壊はどうなっている?」
「ヨーロッパを中心に着々と行えている。
これでアイツはアジアに移らざる負えなくなったはずだ」
「よく、ろくに機体を使わずにできるな」
「機体以外に制限はないからな。相手も相手だ。
加減しない位がちょうどいい」
「……………」
これが戦争での前線経験者の度胸か。
俺がその方面の力を付けるにはどれだけ時間がかかるか……。
「それでそっちはどうなんだ?フラシド」
「ざっと見終わって、今は唯のスターダストと比較している」
「その結果は有益になるのか?」
「有益も何もアンタが開発してるものが要らないくらいだ」
「なに?」
パラドックスが作ろうとしているものは簡単に言えば、確実にISを回収できるシステム。
それでISの解析するのが俺達の目的たった。
だが、この情報を得れただけで数年分作戦を繰り上げることができるかもしれない。
そのくらい今回スターダストのデータを得れたことは大きい。
「アインスには所々にIF化(Improve Features:形質改善=スペックアップ)が施されていた。
皮肉にも黒川の向かう先も、俺達の向かう先も同じだったということだ」
「そうか……」
パラドックスはどこか遠くを見ながら俺の言葉に応えていた。
恐らくZ-ONEなら何を言うのか考えていたのだろう。
「なら、私達も戦うことができるということか」
「あぁ。すぐにとはいかないが冬前には第3世代のものは造れるだろう」
「そうか」
パラドックスはさっきと違い強く頷いた。
これでFの名を失敗、偽物を表す「Failure」の名を削ぎ落とすことができるのだから。
◇
(唯side)
「……………」
先日、優の手となり足となるって豪語したは良いけど
バサバサバサ―――
書類を捌ききれません……。
というかISに対する規則作り過ぎなのよ。
あの長官と議長、張り合うようにポンポン国際法作って…。
何かあるなら直接言いなさいよ。
「やっぱりやろうか?」
「ダメです!黒川さんは休んでないとダメです」
「そう?でも……」
「ダメです」
強い口調で優を止める。
けど、このままじゃ支障が生じちゃうし…。そうだ。
「あの、スケット呼んでいいですか?」
「スケット?」
「私の家事を支えてるロボットなんだけど」
「情報漏洩は?」
「させる前にバラします」
「……まぁいいよ」
「ありがとうございます」
さっそくミリータからオービタルを展開する。
『オイラ、参上であります!』
久し振りに展開されたのが嬉しいのか、わざわざクルッと1回転してカッコつけて登場してきた。
「へぇー。ペーパーって言うんだっけ?初めて見た」
『オイラをあんな変な奴と一緒にしないで欲しいであります』
「他者を明確に見分けることができるのか」
やっぱり目新しいものに目がない優は子供のようにオービタルを触っていた。
「オービタル、ちょっとこっち来て」
『カシコマリ』
優から見えないところで首を掴んで小声で忠告する。
「(いい?勝手にフラシドにデータ送ったらスクラップの山にするから)」
『(それが組織に属する人の台詞ですか……)』
「(当たり前よ。優か亡国機業かって言ったら優を取るに決まってるじゃない)」
『(…なぜオイラはこの人に仕えているのでしょうか……)』
明らかに頭を抱えたような表情で私を見ていた。
「じゃあお願いね」
『(もうやだこの人……)』
「聞こえてるわよ」
手を放してあげて仕事を再開させてあげる。
『優様、この仕事は普段どのように対処しているのでありますか?』
「そうだな。ものによるけど基本的には―――」
『了解であります』
「漏洩させないならオービタルがやってもいいぞ」
『ありがとうございます!』
「……………」
私と違って丁寧に話す優にオービタルは嬉しそうに応えていた。
けど、作業に入る前にもう一度呼ぶ。
「(ねぇ早く教えてよ)」
『(別に優様は許可下さったのですしオイラがやっても)』
「(ヤダ。そしたら私が優といる時間が減る)」
たたでさえオービタルが動く姿を興味津々で見てるんだから。
“やってもいい”って言ってしまう辺り、解体するまで調べ尽くす気だろうなぁ。
そうなると悪いんだけど置いてきぼりにされてつまらない。
『(呼び出しといてヒドイ扱いであります)』
「(あとで大好きな溶融塩電池買ってあげるから)」
◇
(唯side)
仕事を引き受けてから数日。
事務レベルの仕事は私が完璧にこなしているので優をゆっくり休ませることができたと思う。
「はい。もしもし――え?アリス来るの?
はいはい。了解しました」
電話を切ると優は急いでクローゼットの所に行き、何かを引っ掻き回していた。
なんか凄い人が来るのかな?
「黒川さん?」
「レナさん、悪いけど着替え手伝ってくれる?」
「え……、黒川さんって女装の趣味あったんですか?」
優が持ってきたのは女性もののスーツ。
パンツタイプだし、男性のとは大して変わらないけど同じ女性から見たらすぐわかる。
「これから来るやつが男性恐怖症なのにさっき電話してきたやつは俺を女として紹介したわけ」
「部下に振り回されてどうするのですか……」
「それは言わないで……」
IS関係の機関である以上、やっぱり女の人が強くでれるのかな。
でも、まさかこんな形で男の人が対応するとは夢にも思ってなかっただろうけど。
「あと、そいつには俺の名前は井上 酉花で通ってるから間違えないで」
「了解です」
(井上 酉花か……)
苗字は真紀さんから取ったんだろうなぁ。
後ろからスーツの袖を通してあげて全体を見る。
あぁ、どう見ても女の子だ。
パッドでも入れたら世の男性にプロポーズされてもおかしくない。
普通、男の人にはできない珍しい姿なはずなんだけど私としては複雑な気持ちになった。
――コンコン
「はい、どーぞ」
「失礼します」
ドアを開けて中に入ったのはThe 子供って感じの女の子。
その背の低さ、金茶混じりの茶髪。なぜか私も知っている気がする。
(あぁ、この子がナターシャさんの言っていたアリスちゃんね)
名前もアリスよりロリスの方がしっくりきそうなくらい幼い。
でもここにいるってことは人は見かけによらないわね。
「……先輩、なんでわざわざ隣り合って仕事してるんですか?」
「私が黒川さんの手足になってるからです」
私は自信げにアリスさんの言葉に答えた。
手足と言っても基本的に書類に判を押しているだけだけど。
「アリスはどうしてこっちに来たんだ?」
「ゴドウィン長官の指示で黒川さんと非常事態宣言に対する事務レベルの会談をするように言われました」
「そう。でも今は私よりそこにいるレナさんの」
私と優で見る目が変わらない。
本当に彼女も優のことを女の子だと思ってるみたい。
即座に高めの声と口調を変える優も凄いけど。
「あと、シャルロットさんが来てるそうですよ」
「分かった。レナさん、ちょっと休みにしましょう」
「あ、はい……」
(シャルロット……?)
仕事を切り上げて会いに行くくらいだからかなり大事な人なんだろう。
優はすぐに部屋を出ていった。
そうなると私はほぼ初対面の彼女とここに残ってしまった。
「…………………」
「あの、私の顔に何か付いてますか?」
「そうね。
が付いてるわ」
「えっ、うそ!?」
余程甘やかされて育ったのか、あの姉より色々抜けている。
フラシドの話だと、あの暴走は篠ノ之 束のせいらしいから目の前の彼女達を邪見しても仕方ないんだけど。
「比喩よ比喩。何もついてないわ」
私も部屋を出て優の後を追うことにした。
シャルロットって人はここのAIFのリストにはいなかった。
なら1階のロビーで会っているはず。
柱の影からそっと覗いてみる。
同じように金髪でまだ幼さが残る感じの女の子としゃべっていた。
優が女性的に走っているせいで男女が逆転しかけてる……なんて言ったら色々失礼だけど本当にそうなのだから困ったものだ。
「なんで女性のスーツ着てるの?」
「今、男性恐怖症の奴が来ててな。仕方なくな。あんまり気にしないでくれ」
「似合ってるよ酉花さん」
「な!?なんでその名前!」
「楯無先輩が教えてくてたの。去年、その名前で学園にいたんだよね」
「まったく。あいつ碌な事教えないな…」
冗談を交えながら二人は楽しそうに笑いあっていた。
(はぁ…………)
私は優がいないと全然ダメ。今まで任務をこなせば優と一緒にいれる日が来ると思って何とか自分を動かしてきた。
でも優は色んな人に囲まれてて私がいなくても何とかなりそう……ってもうなってるんだよね。
そう思うと胸が痛かった。
「あれ?レナさん?もしこれからお昼なら奢るよ」
「あ、ありがとうございます。そちらの方は?」
「彼女はシャルロット・デュノア。
まーちょっと色々あってな。今は俺の娘として収まってる」
「初めまして。シャルロット・デュノアです。優がお世話になってます」
「初めまして。レナ・ローラレイです。短い間ですが黒川さんの近くで仕事をさせてもらってます」
(優が、ね……)
優のことを父と呼ばない辺り、私と一緒な気がした。
「あの、優が何か失礼なことしてませんか?」
「え?」
「レクス長官にお会いした時、優が長官に銃を向けたって聞いたので……」
その一言でこの子が元々デュノア社の養子だということに気付いた。
そして私と一緒だってことも。
(相変わらず常識外れなことをしてるのね)
チラッと優に視線を送ると「なんのことでしょう?」って顔をしている。
でも優。普段そんなことしないから、その顔をする時は何かあったって言ってるようなものなんだよ。
「大丈夫ですよ。居眠り以外してませんから」
「いいのですか?」
「今だけね。その為に私がいますから」
「そうですか。では優をよろしくお願いします」
シャルロットちゃんは私に丁寧に頭を下げて帰っていった。
「どっちが親かわからないくらい良い子ですね」
「どうせ俺はトラブルメーカーですよ」
優は子供みたいにそっぽを向いて頬を膨らましてた。
その表情に私は嬉しくなった。
優は昔に囚われてばかりじゃないって分かった気がして。
「じゃあ黒川さん。お昼行きましょう。
私、ミスチー亭のハヤシライス食べたいです」
「おっ、分かってるな。
あそこのランチのハヤシライスは格別なんだよ。
じゃ行くか」
「はい!」
私は昔のように優と隣り合って歩いていった。
今年初投稿なのにちょっと雑な仕上がりになってしまいました。
例えば、唯がアリスに言った比喩のやつとか思い付かなかった……(;つД`)
まぁ影響はないので許して下さい。
次回も新キャラ登場です。
お楽しみ下さい。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。