IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF) 作:黒川 優
皆さん、こんにちは。作者こと黒川 優です。
結局週1は無理でした。というかそれはパソコンのせ…ゲフンゲフン。
しかし、こんな作品ながら毎日見てる方がいるとは嬉しい限りです。
新年度から皆様の貴重な時間を楽しまられるよう頑張りたいと思います。
それでは本編をどうぞ
◇
(唯side)
「それじゃ体は大丈夫なんですか?」
「あぁ。荒療治されたけどな」
ぱくっと優はデザートにみかんを食べる。
けど、今まで隠してたくらいだしホントにそうかは微妙。
ちゃんと無理させないようにしないと。
――パクっ
「んー…やっぱり旬じゃないから普通かなぁ」
霊烏路 空さんが優の手からみかんを取って食べていた。
「か・え・せ」
モグモグ食べてる霊烏路さんの頬を手で挟む。
そりゃあ大好物を盗られたら怒るよね。
「ん~‼んーんー!」
「まず俺のなんだから食べるな」
優はひょいとみかんを取り戻した。
「お燐~。優がパワハラするよ~」
「あーよしよし。でも勝手に食べたお空が悪いんだよー」
以前私をお姉さんと言ってくれた燐さんがお空さんをなだめる。
きっといつもこんな感じなんだろうなぁ。
「すいませんね。私のペットがお邪魔して」
「いえ。ええっと…」
くるっと体を回すとさとりさんが私を見ていた。
なんか……
「私が四苦八苦しているのを楽しそうに見ている、ですか?」
「いつ機体を部分展開したのですか…」
「いつもしてますよ。これがそれです」
さとりさんは体の周りに浮かぶ目を指差している。
それ気味の悪いアクセサリーじゃなかったんだ……。
「そういえば優が考えてることも分かるんでよね?」
「えぇ。……貴女は本当にそういう欲望に素直ね」
「はい。お願いします」
さとりさんの第三の目(?)はじぃーと優を見つめる。
「今、頭の大半がみかん関連で埋め尽くされてますね」
まぁ優の好物だし。
「それとお空が自分を男と意識せずに接することに困っているそうです」
「へぇ……」
まぁ…
「優、今度お祭り行こう~」
空さんは後ろから抱き着いて優と話している。
そうなると体に触れるから分からなくもない。
じゃあなんで私と隣り合ってるいるときは今みたいに慌てないのよ。
私はそんなに魅力がないのって言いたくなる。
「行かない」
「なんで~」
お空さんはぶーぶー言いたそうな顔で優を見ていた。
「お前の祭に行くって裏方の仕事をすることじゃん」
「えぇ~。裏方も楽しいよ?」
「そりゃあ珍しく機体が使える機会だからな」
「私の機体の能力を何だと思ってるの?」
「花火を打ち上げる程度の能力」
「むー……」
「だって威力がデカくて競技用にも使えないじゃん」
やっぱり右腕の武装は非常時以外使えないほどのものなんだ。
どうみてもあれが主力装備なのになんか可哀想。
「そんなことないもん!時間かければ威力も規模もちゃんと小さくなるもん!」
「はいはい。お空、優はドクターストップをかけられてたぐらいなんだから休ませてあげましょう」
「えー」
「お祭りは9月下旬にもあるから誘うのはまた今度にしましょう」
「はーい」
さっきまで駄々をこねてたのが嘘のようにお空さんはさとりさんの言葉に頷いていた。
「レナさん、次のお祭りは日曜日ですよ。体は大丈夫ですし、誘ってみたらどうですか?」
「さとりさん……」
「では」
心見透かしてからかうタチの悪い人かと思ったけどそれだけじゃなかったんだ。
「あっ……」
あることに気づいてしまった。
「他のみかんも無くなってる」
「あ!?」
テーブルに置いてあったみかん(私にくれたのも)がなくなっていた。
前、演習の時見たことあるなぁこの能力……。
「はいお空。みかん貰ってきたよー」
「こいし様ありがとうございます」
(それって盗って来たって言うんじゃないかな……)
チラッとさとり様をみると、
「まぁ大丈夫でしょう。箱買いしてあるはずですから」
(それだったらこいし樣の手から強いみかんの香りはしないんだけどなぁ…)
お燐の予想通り、優達が部屋に戻ると置いてあった箱の中のみかんはひとつもなくなっていた。
◇
(唯side)
「これに判子押せば終わりなんですよね?」
「あぁ。面倒な仕事はそれで終わり」
――ポン
書類に優の承認の判を押す。
「やったー!」
ボンとソファーに身を預ける。
やっとあの面倒くさい書類作業が終わった。
あの長官、今度あったらただしゃ済まさない。
「黒川さん。羽を伸ばしにシャルロットちゃんと一緒にお祭り行きましょうよ」
「今日は待って……。体がダルい」
「ドクターストップかかってたのに働くからですよ」
けど、一夜であんなに苦労した症状治しちゃうんだからやっぱりお医者さんってスゴいなぁ。
もしものために私も教えてもらえないかな?
夕食の時さとりさんに教えてもらった強行策に出る。
まずは机に置きっぱなしの端末を拝借。
パスワードはさとりさんが言ったやつを…っとよし突破。
『もしもし』
「こんにちはシャルロットちゃん。レナよ。
突然だけどシャルロットちゃんお祭りに行かない?もちろん、優も一緒で」
「ちょ、俺まだそんなこと……」
『本当ですか?』
「えぇ。本当よ。優も楽しみにしてるわ」
『行きます!行かせて下さい!」
「はいはーい。じゃあまたあとでねー」
わざと聞こえるようにしていたスピーカーを切って優を見る。
「黒川さんも行きますよね?娘さんも楽しみにしてますし」
「…はいはい。じゃあ行きましょう」
「ありがとうございます」
なんだかんだ最後まで付き合ってくれるんだから優は優しい。
まぁ今回はシャルロットちゃんがいるからだろうけど。
「じゃあ私、1回宿舎に戻ります」
「なんで?」
「着替えるからですよ。さすがにスーツでは行きたくありません」
「そう」
「黒川さんもちゃんと着替えて下さいね」
◇
(唯side)
「やけに早いな。いつもはギリギリなくせに」
「ふふん。いつも同じだと思っちゃいけませんよ」
ファッションとか苦手な私でもこの日の為に取っておいた勝負服のひとつやふたつあるんですよ。
ただ、今のこの紫の髪に合うかが分からないけど……。
「というかなんで現地集合なんですか。
黒川さんも1回家に戻ったならシャルロットちゃんと一緒に来ればよかったじゃないですか」
「いや、シャルが準備あるから先に行っててって」
「この人混みじゃ合流できないですよ」
まったく。娘を待ってあげるのが親でしょう。
「大丈夫だよ。コアネットワークで場所が分かるから」
「ゆうー!」
浴衣姿のシャルロットちゃんがこっちに手を振っている。
あまりの可愛さに回りの方もシャルロットちゃんに釘付けです。
「あらシャルロットちゃん、気合い入ってるね」
「友達が貸してくれたんです」
シャルロットちゃんは恥ずかしそうにモジモジしてた。
「んーいいね。似合ってるよ」
「本当ですか?」
「えぇ。黒川さんもそう思いますよね?」
シャルロットちゃんに見えないところで抓って、返答を催促させる。
まったく。優が最初に言わなきゃダメでしょうが。
「いたた…。そうだな。とても似合ってる」
「ありがとう」
ニコッと微笑む。
あぁ可愛い。髪セットしてなかったらなてなでしたい。
「シャルロットちゃんはお祭り初めてかしら?」
「はい。だから着物を着るのも初めてです」
「あら。じゃあ足元気を付けてね」
学園にいるから一般的な日本の家庭料理は分かるようだけど、たこ焼きみたいに中々家庭で作らないものは知らなかったみたい。
目を輝かせて食べていた。
「シャルロットちゃん、あっちで射的しよ。
勝った方が優に一つお願いを叶えてもらいましょ」
「おい。俺は……」
「よーい、ドン!」
2人並んでコルク銃を構える。
しかし、私達は機体の操縦をしてるだけあって彼女も簡単に的に当ててしまう。
「む~、シャルロットちゃん普通に当てちゃってつまんない!邪魔しちゃお」
「あっ……」
シャルロットちゃんが撃ったコルクを隣からピンポイントで当てて軌道をズラした。
日頃の訓練の賜物である。
「ふふん。油断しちゃダメよ、シャルロットちゃん」
その後も2、3発妨害してシャルロットちゃんが
間に私が撃ち続けた分、私の方が有利にゲームが進んでった。
このままいけば私が勝てるわね。
「あらっ」
撃ったはずコルクが横から狙われて軌道がずれてしまった。
………………………………
………………………
………………
「負けた……」
「付け焼き刃で勝てるほどお姉さんは甘くないわよ」
と言ってもかなり僅差だったけど。
シャルロットちゃんは器用ね。羨ましいわ。
「じゃあ、私のお願いを叶えて下さい」
「俺は承諾した覚えはないんだけどなぁ」
「いいじゃないですか。世話するの結構大変だったんですよ」
優はそれを持ち出されると参るのか口が閉じられた。
私としてはあんなことやこんなことができて苦じゃなかったけど。
「……はいはい。それじゃあ何をすればよろしいのですか?」
「じゃあ写真撮りましょう。写真」
「そんなんでいいのか?」
優はキョトンとしながら私の顔を見ていた。
いつもどんな過激なお願い引き受けてるのよ。
「シャルロットちゃん、よろしくね」
私の端末を彼女に渡す。
今はフラシドから連絡は来ないはずだから大丈夫なはず。
「はい。チーズ」
シャッターを切る前にぎゅっと優に抱き付いた。
――カシャ
「えへへ~~~」
「…………………」
「あーシャルロットちゃん!そんな無表情でデータ消そうとしないで!」
操作される前にシャルロットちゃんの手から端末を取り上げる。
ふぅ。危ない危ない。
「黒川さん、シャルロットちゃんとのも撮って下さい」
「はいはい」
シャルロットちゃんと並んでカメラに視線を送る。
けど、シャルロットちゃんは不機嫌な表情のままだった。
「ほら笑って笑って」
「じゃあ、写真」
「それはイヤ」
むーっとさらにご機嫌斜めな顔が返ってきた。
そんなシャルロットちゃんを見て心の中でくすっと微笑んだ。
ホント優のことが好きなんだなぁって感じて。
まぁ私も負けないけど。
「代わりにシャルロットちゃんのもちゃんと撮るから」
「…………」
「ね?」
「……はい」
優と並んで撮ってあげると一転してご機嫌になってくれた。
たぶん優は自分で手一杯だし、シャルロットちゃんも一緒にいれるだけで気持ちが良い意味でいっぱいいっぱいだし
私は他の所でもたくさん写真を撮ってあげた。
あとちゃんと連絡先も交換した。
回りがざわつき始めた。
「ん?何かあるのか?」
「そろそろ花火が始めるんですよ」
「花火って、あの?」
「えぇ。シャルロットちゃんももっと近くで見たい?」
「はい!」
「そうよね。じゃあレッツゴー!」
逆に人込みから離れて行った。
「こっちでいいのか?」
「大丈夫です」
お空さんとお燐さんお墨付きの場所だから。
小さな林を抜けるとそこにはうち上がる花火が一望できた。
「キレイ……」
「シャルロットちゃんは初めて見た?」
「はい。友達から聞いてたけど本当にキレイ…」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
……………………………
…………………
…………
「送り迎えまでありがとうございます」
「いいって。それより悪いな。いきなり明日異動なのに何にもお礼できなくて」
「いいですよ。今日、お祭り行けましたから」
助子席で寝ているシャルロットちゃんの頬にそっとキスをする。
「よくできるな」
「女の子同士ですし、黒川さんもしてるんでしょ?」
きっと優なら愛情表現としてしてあげているはず。
なにしろ昔、私にもしていたんだから。
「まぁ…な……」
予想通りの反応が帰ってくる。
けど知られるのは恥ずかしいのか顔を逸らしている。
「あっ!黒川さん、流れ星です!」
「おっ、本当か!?」
―――ちゅ
そっと顔を出した優の頬にキスをした。
「え……」
「私からのお礼です。シャルロットちゃんには内緒ですよ?」
聞いたらきっと怒るから。
「黒川さん、今までありがとうございました」
「あぁ…。うん、ありがとうな」
「では、失礼します」
半ば呆然といている優を置いてその場を離れた。
「……もういいのか」
前のように茶髪の青少年のように変装しているフラシドが声をかけてくれる。
「いいかダメかって言ったらダメだよ。
でも、そろそろ限界だったんでしょ?」
「まぁな」
「ありがとね、フラシド」
「気にするな。ただの罪滅ぼしだ」
「フラシド何かしたっけ?」
「あぁ、今も昔も……」
その口調は“これからも”とフラシドは言いたそうだった。
「大丈夫だよ。私は私の意志で動いてるから」
結局、ここに紛れているはずの亡国機業の人間は見つけられなかった。
私達の身の安全は完全じゃない。
けど、あんな体がボロボロになっても働かせるようなことはもっとダメだ。
なら、やっぱり私は私なりに優をあそこから引き抜くしかない。
「それより、私がAIFの仕事手伝ってよかったの?」
「その点に関しては問題ない。それも計画通りだ」
「敵に塩を送るのが?」
「あぁその通りだ」
「変なの」
ウチは一体何がしたいんだろうね?
まぁ聞いてもどうせ。
「お前は与えられた任務をこなせ」
「はいはい。そう言うと思いましたよーだ」
私が幹部じゃないせいか何度か聞いても答えてくれない。
まぁ私はその大層な目的なんて興味ないからいいんだけどね。
――翌日、AIFは非常事態宣言を行い本格的に亡国機業と敵対することになった。
雑ながら8月終了です。
まだ9月がありますし……(震え声)。
さとりさんやお空、お燐、こいしを忘れないで下さいね。
では来週?1週間以内にはまた出したいと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございます。