IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF)   作:黒川 優

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皆さん、こんにちは。
頭のネジがマズイことになっていることを自覚した作者です。

特に話すこともないので本編へどうぞ。





September―After having had a dream
Reminiscent for the dead her 5


 

 

(唯side)

 

 

 

それから数日後、9月に入り優とシャルロットちゃんは新学期が始まった。

どうも学園の生徒達と少し揉めたっぽい。

 

それと残しておいた盗聴器で聞いた話だとAIFは私を何とかしたいらしい。

まぁちっとも外に出ないフラシド達を狙うくらいなら任務で出入りの激しい私を狙った方が楽って言えば楽だ。

 

それを渋々(とりあえず上司だから)ベクターに伝えたら“適当にやれ”だって。

なんか7月と対応が全然違う……。

それなら私の勝手で動こう。ということで学園の上空から優を探してます。

 

勿論、優を見たいという理由もあるが真面目な理由としては優の実力を知らないからだ。

全力で-IS-をしたらアメリカの時と同じ結果になりましたーとか洒落にならない。

何より今以上に傷付く優を見たくない。

もし殺るとしならほぼ無傷で痛みもないようにしてあげたい。

 

その優の居場所を間接的に示してくれるコア・ネットワークの座標。

探すと世界各地の委員会支部でアインスらしい反応がある。

全てしらみ潰しに当たるのは時間がかかってしまう。

けど、私との圧倒的な手数の差を埋めるには、優は織斑千冬に私と戦う術を教えてもらうしかない。

予想通りアリーナに優と織斑 千冬がいた。

見た目通り虎のように鋭い視線で優を見ていた。

 

(あれ…)

今、目があった……?

 

バシーン!

 

竹刀が思いっきり優の顔に当たっていた。

あれは痛そう………。

 

その後何か話した後ズルズルと引きずられていった。

なんか駄々をこねる子供みたい。

その相手をかつて敵だった織斑 千冬にしちゃうんだからスゴいよね。

 

そんな何気ないはずの姿を私は新鮮な感覚でみていた。

 

 

(唯side)

 

 

 

(んーー………)

ここ数日優を観察していたが普通の生活をしていないらしい。

どうも学園の授業には出ずにずっと整備をしているみたい。

睡眠時間は4時間あるかないか。しかもその睡眠の取り方も問題ありそう。

ベッドでしっかり寝ている姿が見れない。

 

このままだと先月のようなことになりかねない。

だけど私は異動したことになってるし、そもそも今のことを知っていることがおかしいし……。

 

 

 

 

「こんばんは。さとりさん」

『まさか貴女からかかってくるとは思いませんでした』

「常識に捕らわれてはいけませんよ」

 

私は亡国機業に忠誠を誓ってるわけじゃないから安易な行動ができるだけなんだけどね。

そうだ。電話なら直接会ってないんだし心を読まれずに話せるんじゃないだろうか?

 

「では、私は何を思っているでしょうか?」

『I love yuu(優)でしょう。どうせ』

「どうして……」

『貴女からそれを取ったら何が残るんですか?

それに能力を使わなくても心理学や読心術に長けているので電話越しでも分かります』

 

ちぇ。今の時代テレビ電話が普通だから表情でも分かっちゃうのか。

 

『それでどのようなご用件ですか?』

 

私は優の生活に関して一通り話した。

 

『貴女のストーカー具合には脱帽します』

「一言目がそれですか……」

『当然じゃないですか。アレの為に敵対組織のAIFに潜入し、それが終わってもそうやって追いかけているのですから』

「あの、真面目に答えてくれませんか?」

 

碌なこと言わないし、優のことアレ扱いするし。

こんなことになるならお燐さんに聞けばよかった。

 

『先月見てたでしょう?

ドクターストップがかかっているにも関わらず仕事して、機体も展開してしまう人です。

それを気にして様子を見に行っても誰も不審に思いませんよ』

「なるほど」

 

適当に帰国できたとでも言えば大丈夫か。

今の優は猫の手も借りたいぐらいなはずだし。

 

「意外とすぐ答えてくれましたね」

 

しかもかなり適格な返答を。

 

『ずっと答えない方が良いですか?』

「それは…困ります」

『でしょう?

ずっとそんな答え方していると次に嫌がらせする機会が無くなってしまいますので』

 

つまり、次の悪巧みの為にあえて真面目なことを言うと…。

ホント性格悪いなぁこの人…。

 

『すぐそばにいるのですし、そのまま行ったらどうですか?』

「どうしてそれを……」

『逆探は当たり前です。まぁ面倒なので報告はしませんが』

「……そんなんでいいんですか?」

『私は強者と戦いたい。これが貴女の助けになるなら喜んでしますよ。

嫌がらせも兼ねてね』

「順番的に優の後になるのに良いのですか?」

 

ベクターから「殺せ」と言われていることもさとりさんは知っているはず。

いくら何でも優が居なくなるのは都合が悪いはずだ。

 

『別にアレが死んでも私が前線に出ればいい話なので私は大歓迎です』

 

私を煽る為と分かっていてもそのセリフにはカチンときた。

 

「あーそうですか。そんなに戦いたいなら首洗って待ってることですね!」

『クスクス。えぇそうしてますね。では』

 

笑っているさとりさん

乱暴に通話を切る。

 

(あーイライラする)

しかもアレを意図的に、常習的に行っているのだからタチが悪い。

 

とりあえず周りを見て誰もいないことを確認する。

うん。大丈夫。

 

――コンコン

 

「こんばんは。レナです。黒川さんいますか?」

 

………………

 

あれおかしいな。この整備室に入ったのはちゃんと見たのに。

 

「黒川さん?入りますよ」

 

ガチャとドアを開けて中を見渡す。

しーんとしていて人の気配がしない。

 

 

(すごい………)

整備室の壁という壁に機体の資料、性能改善の実験結果や今後すべき実験などが貼られていた。

その中で特に取り上げられているのが…

 

(光闇………)

昔、こんな歪(いびつ)な機体はなかった。

基本スペックはサイバーを下回って最低。

回数に制限はあるけど、事情を無効にできる能力。

もし、この能力が適用されれば私は……。

 

ガタッ――ビクッ!

 

急に物陰が動きだしてビックリした。

 

恐る恐る振り返ると優が機材に寄りかかって横になっていた。

その周りには嫌いなはずのブラックコーヒーが散乱していた。

眠気を我慢してたけど資料を見ている間に寝ちゃったみたい。

ソファーの近くには色々書き込まれた資料が散乱していた。

 

「いくら9月でも風邪ひいちゃうよ」

 

私のミリータから布団を取り出して体にかける。

 

「優、ありがと」

 

そっと、唇を重ねた。

この気持ちだけでも私には十分過ぎたから。

 

 

(唯side)

 

 

優を観察して一週間ちょっと。

相変わらず優は不摂生な生活をしている。

けどそれは私の為だし、こうなると優は止まらないことも分かっている。

だから他人に見られないように部屋の掃除などしてあげる。

 

 

数日で二刀流の‐IS‐を使えるようになるんだからその成長は計り知れない。

 

 

あれは……。

 

水色のショートカット。

優くんって言ってたから歳は近いと思っていたけどまさか学園の生徒だったなんてね…。

これは次に優と戦う時厄介になりそう……。

 

(ん……?)

その後を金、銀、茶、黒髪の女の子達が追いかけて行った。

 

「あれは……」

 

シャルロットちゃんの友達。けどもう消灯の時間だし、皆、ISの展開準備ができている。

この後、何かしらの形で戦闘を行おうとしているのは確か。

 

 

そのうちの一人がこう問いかけた。

 

『それはこっちの台詞よ。アンタ、シャルロットの父親としての自覚あるの?』

 

その言葉で全て理解した。彼女達は私の正体を知ったのだ。

きっとシャルロットちゃんも。

 

彼女達のISの能力は高い。けれど、優には届かないのは確かだ。

問題はここにいる彼女達より…

 

 

………………………

…………………

……………

 

 

――コンコン

 

「シャルロットちゃん。私、レナよ。ちょっとお時間あるかしら?」

「……優はいませんよ」

「いいの。私はシャルロットちゃんと話したいから。今、大丈夫?」

「……はい」

 

ガチャと扉が開く。

やっぱり目が赤くなっていた。

 

「お邪魔します。あっ、お茶はいいわよ。

さっき下で買ってきたから」

「あ…ありがとうございます」

 

 

「……………」

 

転身万欄な先月と違って、暗くて見てられないくらいだった。

 

「自分はいつか見放される。なんて思ってるかしら?」

「―!?」

 

「どうして……」

「そのくらいお姉さんはお見通しよ」

 

彼女の前では強がってみる。

どうして分かったのか。それは私もいつもそのことに怯えていたから。

優はそんなことしないって分かっていても私もそのことに怯えていたから

 

「大丈夫よ。優はそんなことで貴女を見放したりしないわ」

「そんな気休めな言葉はいらないです。

そんな無責任な言葉………」

 

私はシャルロットちゃんの頭に手をのせる。

 

「無責任なんかじゃないわ。

だって、私は貴女と同じたもの」

「え……?」

 

下にうつ向いたままだった顔を上げてくれた。

 

「……ごめんなさい。よく意味がわからないです」

「んー。まぁいきなりそう言われてもそうよね」

 

けど言葉で説明するにはちょっと無理があるし。

 

「シャルロットちゃん約束してくれない?今日のことを誰にも言わないって」

「…はい」

「ん。えらいわね。じゃ……」

 

変身を解いて本当の自分の姿を晒す。

 

「改めて挨拶するね。黒川 唯、貴女と同じ優の娘よ」

「え……」

 

目の前で起こったことも私のことも理解できずに目を丸くしていた。

目の前で変身させられたらそうなるよね。

 

「大丈夫?」

「あ、…はい」

 

「私はIS狩りが始まるずっと前に優に引き取られたの」

「じゃあ……」

「私はシャルロットちゃんの義理の姉ってことになるわね」

 

ここでやっと彼女は落ち着きを取り戻してくれた。

きっと私のことを細かく言ってなかったみたい。

だから外にいる彼女らは優に奇襲をかけていたのね。

 

「昔ね、亡国機業に真希さんって人がいたの。

その人はもう結婚してたけど、女の、その時は小さい私でも素敵な人って思った。

そして、いつか優の前にもそんな人が現れてしまう。

そう思うと私は怖かった。私は優の娘だから止めることはできないから」

「……………」

 

賢いシャルロットちゃんならすぐ分かる。

昔と私とシャルロットちゃんは同じ立場だということに。

 

「けどね、優はIS狩りをすることで私を救おうとした。

その時、私はもう死んでいたのに。

優は優し過ぎるの。私を本当の意味で助けだそうとしている。

でも安心して。優から見たら私は娘の一人。

一度私が救われれば、私はシャルロットちゃんから優を引き離すほど魅力的な存在にはなれないわ」

 

私が一通り話すとシャルロットちゃんはポロポロ泣き出してしまった。

 

「ごめんなさい……。僕、ワガママ言って」

「優しいわね。シャルロットちゃんも」

「だって、唯さんは何年も優に会えなかったのに……」

 

シャルロットちゃんをぎゅっと抱き締める。

 

「別にいいのよ。

シャルロットちゃんは妹なんだからワガママ言っていっぱい私達に甘えればいいの」

「うっうっ……うわぁぁぁぁ」

 

まるで溜め込んでいたものを吐き出すかのように泣き始めた。

そんな彼女を優しく包んであげる。

 

「………それに、そんなこと言ったら私はもっとワガママよ」

「……そう…なんですか?」

「えぇ。そうよ」

 

今こうして生きていること自体、私は誰よりもワガママだ。

私は人の理を破って今も生きているのだから。

 

「さて、そろそろ帰らないとね。

じゃないと人のいるここで貴女のお父さんやその保護者と戦わないといけないから」

 

そろそろさっきの騒動も収まってると思うし。

 

「……シャルロットちゃん、また遊びましょうね」

「はい」

 

別れる最後、シャルロットちゃんは笑ってくれていた。

 

 

――バタン

 

ドアをゆっくり閉じた。

 

まったく。優も優ね。

こんな大事なこと何も言わなかったなんて。

やっぱり言えないものなのかな……。

 

「お前……」

「こんばんわ織斑先生」

 

(あ、変身し直すの忘れてた)

まぁこの人なら変身してても見破るだろうけど。

 

「デュノアに何をした?」

「安心して下さい。ただ挨拶に来ただけですよ」

「……………」

 

私の言葉が信じられないのかもの凄い剣幕で私を見つめる。

けど、今の彼女はISを持っていない。

今より強く、私を刺激するようなことはないはず。

 

「………織斑先生」

 

躊躇いながら言葉を繋げる。できれば言いたくない。

シャルロットちゃんに約束した直後だし、何より言ってしまったら私は自分が助からないことを暗に認めてしまうから。

けど、言わなきゃいけない気がした。

 

「……優をよろしくお願いします」

 

私は深く、深く頭を下げた。

 

「お前……」

「では」

 

私は踵を返してここを後にした。

 

 

 







Last Jahrの続編(夏)を1から書き直してるせいでここの進行も遅れております。
これもドン・サウザンドって奴のせいなんだ……。
ホント、ドンさんには困ったものです。

たぶん次回で終わるでしょう。
じゃないとグダグダになってしまいます。

魔「もう手遅れだ」

ではまた次回。ここまで読んで頂きありがとうございます。


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