IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF)   作:黒川 優

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こんにちは。作者こと黒川 優です。

今回から第2章となります。
と言っても区切りをつけたいだけなので深い意味はありません。

それでは本編をどうぞ。




Intrigue Catastrophe

◇

(ラウラside―IS学園体育館)

 

 

「さて、キャノンボール・ファストを1月に行うのは知っているだろう。

今日全校生徒に集まってもらったのはその訓練機部門で一年生を交えた縦割りのグループでの顔合わせを行うためだ」

 

教官の言葉が体育館中に響く。

 

「やはりこうなったか」

「やはり…とは、こうなることを予想していたのですか?」

「そうだな。私がここに来たばかりの時、私は他の者をどう思っていたと思う?」

「雑魚」

「……お前、黒川に会えなくてイラついているだろう」

「そんなことないですわ」

 

(図星だ……)

絶対図星だ。その証拠に普段は見せないイライラしているような指で叩く動きが止まらない。

 

「訓練機の数が有限である以上、生徒全員の向上レベルが平等であるわけではない。

それは仕方がない。中には整備科に行きたい者もいるしな。

それを抜きとして、学園に来たというのにレベルが低い点が多々ある。

ISという機密情報の塊を持つには非常時の対応ができないという致命的欠陥を補えない者

が多くない」

 

故に私のようにここに来たばかりの時は高飛車気味でなる傾向がある。

 

「そこで黒川が提案したのがコレというわけだ。

大会出場者は操縦技術と整備技術を養うことができる。

縦割りにすることで一年に早い段階でISの知識をインプットできる。

「なるほど。訓練機部門も全員参加にしたのはそのような理由があったからですね」

「まぁ、そういうことだ」

 

確かに即戦力になる生徒を育成すると言えば聞こえは良い。

学生は知識を早く吸収できる。学園を卒業後、研究職に就いても力になれるだろう。

企業も教育に金がかからない。

ここまではいい。

 

問題はその後だ。キャノンボール・ファストで作ったものをただ学園で賞賛するだけか、それとも違うことに転用するのか。

この線引きは間違えば学園はその存在意義を大きく変えることになってしまう。

 

黒川にここまでの権力はない。

必ず何か利権が絡んでいる。

少なくとも今の私では大局が見えない。

私一人で動くべきではない。いや、動けないと言うべきか。

 

それよりも懸念しなければならないのは未だに黒川の“代用”をこなせる人間がいないこと。

このまま黒川を酷使すればいつか壊れISISへの対抗策がなくなる。

 

(教官……。貴女は一体何を考えているのですか?)

 

 

 

(◇

(一夏side)

 

「さて、キャノンボール・ファストを1月に行うのは知っているだろう。

今日全校生徒に集まってもらったのはその訓練機部門で一年生を交えた縦割りのグループでの顔合わせを行うためだ」

 

千冬姉の言葉が体育館中に響く。

専用機持ちは訓練機部門のようにグループで行うことがないためこの授業はぶっちゃけ意味はない。

なので、体育館の2階で皆の様子を遠めに眺めていた。

 

「今年度から一年生もなんだよな」

「えぇ。そのせいでこの有り様よ。

そこまでする意味はあるのかは知らないけど」

「その提案は黒川が―んんっ!?」

「バカ。優の話をするなって」

「……………………」

 

箒の言葉にシャルロットは俯いてしまった。

優は世界各地に現れたISISを破壊するために場所を転々としている。

それは以前にもあったことだが今回のは規模が違う。

 

優を苦しめるかのように。

 

しかも、ラウラの予想ではそれが続くらしい。

それは優が6年前に亡国機業を壊滅させた張本人であるため、唯さんを亡くしたことによって精神的に余裕のない時期に乗じて始末したいらしい。

 

「悪いわね、シャルロット。箒があんなこと言っちゃって」

「ううん、優なら大丈夫だよ」

 

鈴の言葉にシャルロットは笑って答える。

けれど、シャルロットの表情はいつもより暗かった。

 

(優………)

きっと優はAIFで色々なことがあった。それでもここまで乗り越えていった。

だから、今度も大丈夫だよな?)

 

 

 

 

◇

(優side)

 

 

 

グランエル、ワイゼル、スキエルの3種類のISISによる世界同時侵略。

それは小規模ながら去年もあった。

 

ただ去年と異なるのは配色が赤いものと白いものがあること。

赤いものはオシリスを、白いものはスターダストを連想させる為にわざと施されたものだ。

 

『ごめんね、優……』

 

唯の最後の時が頭から離れない。

 

「何か、言いたいことがあるんだろ………」

 

(分かっている。俺が無力だってことは…)

分かってるんだよ……そんなこと……。

 

俺が世界を捨ててまで得たかったものは手から離れていってしまった。

残ったのはIS狩り起こして、世界混乱させた“現在”という現実だけ。

 

「こんな回りくどいことをするなら今すぐココに来い!ベクター!」

『イヒヒヒヒヒ・・・。それはできねぇな。そこに行くのに日が暮れちまう』

 

ISISを通して憎々しいベクターの声が聞こえてくる。

 

『それに……』

 

―ザクッ

 

ワイゼルの腕部に着けられたブレードが俺の腹に突き刺さった。

 

『俺様が出るまでもねぇ』

「ぐっ……」

 

-IS-で蹴散らそうとすると先にブレードを収納して俺から遠ざかった。

 

『いい表情してるじゃねぇか』

『いつも気高くとまっていたお前が―』

『『『ズタボロだぁ~!』』』

『『『『ヒャーハハハハハハ!』』』

 

何機ものISISから同じ声が響いて共鳴する。

これほどウザイものはなかった。

 

―――キィィィィ

 

ここにいるISISの荷電粒子砲が一斉に俺に向けられる。

これは……避けれない。

 

――バチチチチチチ

 

自動的に展開された雷撃が放たれ荷電粒子砲を相殺する。

 

『Protect Mode発動―アインスProtect Modeに移行します』

 

上空から現れたマリオネットの操り糸が俺に絡まり一気に俺に纏わりつく。そして―

 

『サンダーフォース』

 

雷撃によってISISは一撃で破壊された。

 

『破壊完了―南西の方角 新たにIS4機を確認」

『黒・魔・導・爆・裂・破!』

 

アリスの機体:ブラック・マジシャン・ガールから巨大なエネルギー弾をくらい地面に落とされた。

その衝撃で動けない時を狙って残り3機が俺を拘束して一時的にアインスを取り外す。

 

「……わりぃな…アリス」

「いえ…。大丈夫ですか先輩…」

「まぁな……」

 

今回、アリス達は援護で来ているというより異常時、俺を止めるためにいると言っていい。

それだけ今、俺は不安定な状態にある。

 

「予備パーツでの組み立ては私達がします。先輩は少しでも寝て下さい」

「いい……。大丈夫だから………」

「何が大丈夫なんですか?そんなふらふらでボロボロで」

「……………………」

「お願いです。休んで下さい」

「……貴女の言い分は聞けないわ」

 

警告―ISIS接近…警告―ISIS接近……

 

再び大量のISISが先輩に敵意を向けて接近してきていた。

 

「アリス。貴女は後退してISを収納しなさい」

「…………いやです」

「アリス」

「私だって戦いたいです。私はそのためにAIFに入ったのに……」

「いくら貴女でもダメ。下がって」

 

 

――ギンッ!

 

さっき刺されたところが痛く、中々力で押し返すことができない。

 

 

このISISごと俺を撃ち抜こうとしていた。

相手は機械の量産機。狙うことに躊躇がない。

 

『マジカルシルクハット』

 

クエスチョンマークがついたハットに入れられ強制的に後退させられた。

 

『黒・魔・導・爆・裂・破!』

 

さっきと同じ巨大なエネルギー弾が放たれ何かが破壊される爆音がした。

その後、音がしなくなり戦闘が終わったのかマジカルシルクハットが消える。

ブラック・マジシャン・ガールを展開したアリスが立っていた。

 

「先輩………」

「バカ……何で来た………」

「ごめんなさい」

 

――ドスッ

 

腹に痛みを感じた俺はそのまま意識を失った。

 

 

 

 

◇

(アリスside)

 

 

 

「おい…………」

 

気絶する先輩を抱きかかえる。

やっと、と言っては失礼ではあるが眠ってくれた。

今の先輩はずっと自分を責めていて見ていられなかったから。

 

「アリスさん、何を!?」

「今すぐ先輩を後退させて」

「ISISはどうするのですか?」

「…私がアインスを使う」

「しかしそれは……」

 

報告ではアインスは先輩しか使えない。

けど、アインスのコアはISのコアに代用できる。

なら逆にアインスを私のISに合わせることができるはず。

 

ピピッピピッ――

 

警告―ISIS接近。収納と現座標からの移動を推奨します。警告―……

 

再び遠くから2、3機のISISがこっちに向かって来ていた。

 

「皆は先輩を連れて下がって」

「ですが…」

「大丈夫。私の機体は遠距離攻撃ができるから」

 

AIFの他の皆は下がってくれた。

急いで自分のコアとアインスの接続に入る。

 

(これは……)

意外だった。まさか…。でもこれなら私もアインスで戦える。

 

「来て!レヴァ!」

 

私の体に淡橙の羽織に淡緑の装甲が展開された。

 

 

 

◇

(ベクターside)

 

 

 

 

偵察用にしたISISからアインスとの戦闘映像が送られてくる。

 

「ち………」

 

これはかなりよからぬ展開だぜ。

あのままあのチビ女がアインスを使い続けるのはかな~りマズイ。

せっかくアイツが黙秘していたっていうのにAIFに黒川以外でもアインスが使えると公にされる可能性があるからな。

 

「仕方ねぇ」

 

外でISISの展開準備をしているオータムに回線を繋ぐ。

 

「俺だ。今すぐISISを回収しろ」

『あぁ!?テメーふざけんなよ!』

「あ?また死にてぇのかテメェ」

『ちっ……。だが全部は無理だ。広すぎる』

 

当然である。

休移動手段の速度を計算してアイツが休めないようにISISを配置しているのだ。

なら仕掛ける側もかなり重労働である。

だから俺はオータムにやらせているのだが。

 

「あぁ分かってる。だが、できるだけ多くだ。

無駄遣いはフラシドがうるせえし、他の作戦に使う」

『へいへい。わかりました』

「さて……」

 

どう殺そうか。

いや、殺せる機会はいくらでもある。

そう。例えば、たった2週間後にもな。

 

 

 

 

◇

(優side)

 

 

 

「ん……あぁ…」

 

重い目を開ける。見えるのは見覚えのある白い天井。ここは…病院か。

 

「お目覚めかしら?」

 

顔を横に向けるとナターシャさんが横で本を読んでいた。

 

「ISISはアリスちゃんが破壊したわよ」

「……ISでか?」

「他に何があるのよ」

「……まぁそうですよね」

「アリスは?」

「アリスちゃんも隣の病室で寝ているわ。あの娘に不眠不休は堪えたのかもね」

「…………」

 

いくら遠距離機体であっても無傷で勝つことはほぼできない。

特にアリスの機体は能力故に攻撃パターンが分かりやすいのが欠点だ。

となると……。

 

適当な所から紙とペンを引き出し一筆する。

 

「起きたらそのバカにコレを渡して下さい」

「これは?」

「2週間の自宅謹慎の通知です」

 

身支度を整えてさっさと病室から出る。

 

「ねぇ優くん。貴方が全部背負い込む必要はないのよ」

「………寝言は寝てから言って下さい」

 

俺はそのまま病室を出ていった。

 

 

 

 




今回はこれで以上です。

どうでもいいことですがなんとこの『IF‐切り開かれる現在、閉ざされる未来』投稿して1年が経つとか何とか……。
途中で話を統合したり、投稿できなかった時期がありましたから話数が特別多いわけではないんですよね。

内容の薄い話の連続になるかもしれませんがこれからもよろしくお願いします。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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