IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF) 作:黒川 優
皆さんこんにちは。
全話で話していたルールブックが手に入り既存シナリオをいじったのですが、改変がラク。
自分の少ない知識に対してどれだけ風呂敷を広げてしまったか…。実感しました。
頭良い人になりたい。
あっ、福音戦中の百式第二形態前のシーンを変更しました。
短いですが大事なシーンになりました。
では本編をどうぞ。
◇
(さとりside)
「まったく。あの長官。自分の仕事を押し付けてきやがって…」
「まぁまぁ、仕方ないじゃないですか。長官は長官で他にも仕事があるのですから」
ぶつぶつと文句を言う私をお燐がなだめてくれる。
私はこうして文句を言っているが仕事は慰霊碑の手入れと簡単(と言っては失礼だが)だ。
慰霊碑というのは戦争や災害で亡くなった人の魂を鎮めるもの。
AIF、特にゴドウィン長官は『血の演説』の被害者をこれに当てはめ作った。
しかし、その被害者の中には現在亡国機業、アルカディアムーブメントとして悪事を行っているメンバーの仲間がいることは確か。
長官は「どんな人物であれ、核兵器の廃絶を訴えた唯一の集団です。弾圧されたからといってそれを風化させるようなことは防がなければなりません」と言ってはいたが、なぜ私達がするのか?
慰霊碑の中の仲間達と対立する私達ではなく彼等の思想を継いでくれるような人達にさせればいいのに……。
「あれ?あそこにいるのお兄さんかな?」
お燐が顔を向ける先には黒川さんが慰霊碑に花を添え、静かに手を合わせていた。
「どうしますか?」
「あそこには唯さんがいますし、少し一人にさせてあげましょう。
私達は昼食でも取って適当に時間を潰しましょうか」
「そうですね。今日は卵アレルギーのお空いませんしミスチー亭であの絶品オムライス食べませんか?」
「えぇ。貴女が運転してくれるなら」
「また、第三の目を通行人に使うのですか。
勘弁して下さいよ。運転してる私も怪しまれるんですから」
と言いつつ、言う本人も隠れて機体を使っているのでこれは形式上の注意である。
正直ISの能力は便利だ。
私は人の本心が分かる。
お空は会社と契約しなくても電気が使い放題。
お燐も座ってるだけで簡単な事務作業ができる。
黒川さんに関しては何でもできると言っていい。
条約で禁止されていてもそれを使うなというのは少々無理がある。
本部ですら適当な理由をこじつけてお空の能力を使わせている。
他国でも同じようなことはしているだろう。
「なんで篠ノ之 束はISに兵器なんて入れたのかしら?」
煙草を吸うのを一旦止め、ミスチー亭で絶品オムライスを頬張りながら何度目かになる話題を繰り返す。
「仕方ないですよ。当時の篠ノ之博士の年齢とその論文内容から“共通のものさし”でないと信じてもらえませんでしたから」
「まぁね……」
15、16.まだ日本の高校過程も終了していない人間がアレ(IS)を出しても信用されないことが分からない人間ではないだろう。
せめて大学生の卒業研究で出せばよかったものを。
「まぁいいじゃないですか。私達はこうして良い職に就けたんですから。
こいし様から聞きましたよ。『勉強ができなくてお姉ちゃんの進路を決めるのは大変だった』って」
「あれは『できない』んじゃなくて『しなかったの』。興味がなかったから」
早めの昼食を取り終えた私達は再び車に乗り、お燐の運転で慰霊碑の場所に戻る。
「その証拠にISに関するものなら人並み以上にものが言えるように勉強したわ」
「教える私達も苦労しましたけどね」
「同級生だったことを後悔しなさい」
「なんでそんな自信満々に言うのですか」
お燐は溜息を付く。
そう言いながら車は運転してくれるし、何故か“様”まで付けて話す。
私の方が貴女達に“様”を付けるべきなのですがね。
バンバンと車のドアを閉め、再び慰霊碑の場所に戻る。
さて、かなり時間かかりましたしとっとと済ませて本部に帰りましょう。
「……さとり様。優くん動いてませんよ」
「まさか――」
「本当です!1歩も歩いた様子がないんです」
お燐が指指した場所を見る。
この時、第三の目を閉じるべきべきだった。
彼から恐ろしいほどの感情の塊が私に流れてくる。
―ごめん
―あの時守れなかったから
―殺してしまったから
―あの人の期待に背いてしまったから
―勝てなかったから
―俺はどうしたらいいのですか……
―俺は死んだ方がいいのですか?
―ごめんなさいごめんなさいごめんなさい………
「おぇ……」
「さとり様!?」
吐き気には襲われるがISの特性上吐き出すことはない。
だが、脳裏に見せられた見せられた光景から押し寄せる感情の波は脳裏に焼き付いて離れない。
目の前にいるあの人が今ああしているのが異常だ…。
「早く黒川さんをあそこから引き剥がしなさい…」
「え?」
「早く!」
「は、はい!」
彼を強引にそこから連れ出し病院に連れ出させた。
◇
(シャルロットside)
「はぁ……」
ラウラと一夏は先日の戦いを見直してはすごい機嫌悪くなるし、箒も箒で何か神妙な顔でずっと考え込んでいるし、特に優に関しては機嫌が悪いとかではなく、もっとドロドロしたような何かがある気がする。
セシリアや鈴は「気にすることない」って言ってくれたけど、あまり良い表情ではなかった。
中国はIS狩りの時背中から刺されてるから楽観視できないんだね。きっと。
「あらあら。乙女が溜息なんてしてどうしたの?幸せが逃げちゃうわよ」
「楯無さん……」
優達と違っていつものようにニコニコと笑っている楯無さん。
先日のことなんて無かったみたいだ。
「楯無さんは優のことが心配じゃないですか?」
「まぁ心配じゃないって言ったら嘘だけど、そこまで気にしてないわよ。
優くんなら知らない内に私に溜息付きながら帰ってくるわ」
「でも……」
「大丈夫だって。優くんはSecond Americanを解決したし、IS狩りを行え世界に影響を与えたスペックがある。
他にもAIFには織斑先生以外にも『狂人』や『緋色の女王』、強い人はいっぱいいる。
無闇に怖がる必要はないわ。貴女は貴女のすべきことをすればいいの」
楯無さんは優しく、諭すように言ってくれた。
だけど、それは暗に僕達はそれ以上関わってはいけないと言っているような気もした。
「…ところでその恰好はどうしたのですか?」
文化祭の時と同じメイド服を着ている。
なんか文化祭のイメージが悪いイメージが先行してたからこうしてくれるのは嬉しい。
「そうそう。シャルロットちゃんにこれを渡そうと思ったの」
「これは何ですか?」
渡されたのは真新しい本と乱雑に書かれた紙のコピーの束。
そこそこ分厚い気がする。
「これはね、文化祭に間に合わなかった文学部の出し物の本…という名目で売ろうとしてる優くんと唯ちゃんのお話よ。そしてこのコピーがノンフィクションの原案」
「優と唯さんの話?」
「確かにあのベクターという男は唯ちゃんを利用したわ。でもだからと言ってあの優くんがあそこまで殺気立つには理由としては弱い。それを知ってもらうための本ってわけ」
この人こういう気配り上手なんだよね。
しかもこのタイミングで出せるのはホント凄いよね。
そういうところは見習わないと。できたら盗聴器とか無しで。
―プルルルル
端末から電話が来たので話を一旦置かせてもらって対応する。
「はい。―そうです。え、優が……」
電話の内容に戸惑っていると手で僕の目を覆われた。
「大丈夫。落ち着いて。まず深呼吸して」
言われた通り深呼吸を繰り返す。
楯無さんがすぐ横にいることもあって少しだけ落ち着けたような気がした。
「それで電話の内容は?」
「優が病院に搬送されたって……」
「そう。じゃあまずは部屋に行かないとね」
「でも……」
「大丈夫。搬送は知り合いの人がちゃんとしたらしいわ。
なら今は医師が治療している。
まずは一日病院で生活できる物を持って行ってあげましょう」
「あ、はい……」
「じゃあまずはタクシー呼んでその間に荷物の用意をしましょう。
鍵はまだ持ってるでしょ?」
「はい…」
「じゃあ行ってらっしゃい」
僕は楯無さんに見送られて一旦優の部屋に向かった。
◇
(さとりside)
吐き気は収まった。けど、一度に多くの感情が逆流したあの感覚が拭いきれない。
つい手を口元に運んでしまう。
どうやらあの時黒川さんを見た私の様子が思ってた以上にひどかったらしくお燐に検査するように言われてしまった。
昔の彼が内気に近い態度をとり続けたのは身勝手な政治家達のせいかと思っていたけど、どうやら違うようね。
「さとり様。優くん、目覚ましましたよ」
「そう。じゃあ行くわ」
お燐に付いていき病室に向かう。
中に入るとそこには普通にシャルロットさんと話す黒川さんの姿があった。
見る限り、慰霊碑の前にいた時のような何かに取りつかれたような様子はない。
「すいません。なんか面倒をかけちゃったみたいで」
「大したことじゃないわ。強いて言えばその時のお燐の運転が荒かったけど」
(…………)
第三の目で彼を見るが今はあの時のような光景が見えない。
それどころか何も見えない。まるで鋼の表面でも見ているように映しだされるのは自分の目だけだった。
「――1回学園に戻るね。他に何か必要な物ある?」
「いや大丈夫だよ。すぐ退院できるから」
「そっか。じゃあ学園で待ってるね」
そう言うとシャルロットさんは私達に頭を下げ病室から出た。
健気な娘。
能力を使わなくても彼女には好意があることがわかる。
だが、落ち着いている。……誰かに支えて貰えているからかしら?
「じゃあ私も戻りますね。さとり様はどうしますか?」
「私は少し残ります。適当な方法で帰りますので戻って平気ですよ」
「はい(あぁ。この人IS使う気ですね)」
お燐は諦めたらしく何も言わずに病室を出てくれた。
私はシャルロットさんが座っていた椅子に座り優さんに目を向ける。
「…黒川さん。ハッキリ言います。しっかりして下さい。
シャルロットさんだって辛いんです。それでも明るく振舞っているのよ。
貴方がそれでどうするのですか」
「分かってる…。けど……」
優さんは後ろになるにつれぼつぼつと聞き取れないような声になってしまう。
「何か発散したいのでしょう?
変に抑えるなんてことは止めなさい。私のように気が狂いますよ」
『自らを抑圧する汝でもそれは許されたものだろう?』
誰の台詞かは分からないが彼の心からこの一言だけ拾えた。
(やはり抑圧していることが原因ですか…)
この人、さっき心を読んだ時もアレだったですし、抑えることに関しては基本的に完璧なんですよね。そのせいで心が上手く読めない。
何が原因でしょうか…。何よりこれでは人として問題がある。
まぁ、ここはAIFの管理地。お空の誤爆でも耐えられるようになってますし大丈夫でしょう。
「……黒川さん」
―ガシャン!パリーン!
私は機体を展開し優さんが横になっているベッドを窓へ向けて蹴り上げた。
黒川さんはそのまま窓ガラスを割り、外へ出る。
複数階のここではそのまま落下。しかし、彼はアインスを持っているため無傷で空中に留まる。
「何か思うところがあるのでしょう?
なら、してみればいいじゃないですか。せっかく目の前に私がいるのですから」
それだけ言うと私はまだ構えていない優さんに接近し容赦なくブレードを振るった。
◇
(ラウラside)
――ガキン!
プラズマブレード
『悪くはないけど私には相性が悪いわね』
「なら、コイツはどうだ?」
レールカノンを楯無に向け放つ。
更に一度収納し再度展開する。冷却など無視だ。
それでも私はコイツに勝たなければならない。
それをもう一度繰り返し、計3発。これでミステリアスレディのナノマシンシールドで全て防御に使わせる。
黒い煙が立ち込めた。
16全てのワイヤーブレードも攻撃に回す。
黒煙で正確に捉えることはできないが関係ない。これは使うことが大事なのだ。
私の予想通り楯無は前に出る。
持てる遠距離武装を使った今、肉薄には絶好のチャンスだからな。
『いくら威力が高くてもごり押しは無理……』
楯無の声が後になるほど小さくなる。
何しろ目の前にさっきまで攻撃していた私がいないのだから。
確かにレールカノンは直線攻撃になる。しかし、ワイヤーブレードは私の意志で操れる。
私は先に彼女の後ろへ回ってから攻撃。一度彼女の横を通過させ360度向きを転換させることでさもそこから攻撃しているように錯覚させたのだ。
だから私は……
『ここにいる』
私は楯無の後ろ、レールカノンの連撃で作った黒煙の中から奇襲を駆ける。
これなら楯無がISを通して見ても黒煙しか見えないわけだ。
『AICを使わずここまでできるなんて上出来ね。
けど、私相手にその距離は良くないわ』
私を中心に突然爆発が起こり私のシールドエネルギーは無くなってしまった。
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「うんうん。最近また一層操縦が上手くなったんじゃない?
おねーさん嬉しいな」
「…………」
「もーそんな不機嫌な顔しなくてもいいでしょー。
ラウラちゃんにはOK出したじゃない」
そう。私だけだ。
一夏達もこの実戦レベルの訓練を頼んだが却下された。
なぜ私だけがこうして彼女から許可を得られたかというと私が「軍人」でもあるからだ。
代表候補生の本文はあくまで機体データの確保、つまり「次の研究の為のデータ集め」でしかない。
亡国機業が何をしてようがAIFが何をしてようが関係ないのだ。
これに対しては様々な意見があるだろう。
特に一夏のように被害に遭った者にとっては納得のいかない話かもしれない。
そう正義を、正論を掲げることは誰にもできる。
しかし、そのためには政争に加わることができる立場でなければならない。
そしてそれは少なくとも代表生などではない。
勿論、それを黙って聞く一夏じゃないのは確かだ。
今頃一人で訓練に励んでいるのだろう。
それが不幸になることと知らずに。
ゲロイン誕生
さとり「やめろ」
そしてやはり主人公はどこかヤバい。
優「誰のせいだ」
私「だって主人公補正あるじゃん。だからいつまでも苦しめることができる」
優「クソ野郎」
私「その代わり良い思いもしてるのです。ではまた次回。
ここまで読んでいただきありがとうございました」