IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―(OCCF)   作:黒川 優

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皆さんこんにちは。黒川です。

先日、お気に入りのシリーズが投稿されていて舞い上がってました。
どこが適当なんでしょうね…(笑)

私はネタは無理なので(そんなことは5月の時点で分かってる?)フレーバーであたかも皆さんがこの世界の住人かのように物事を知っているように頑張りたいですね。

では本編をどうぞ。





Demerit

(優side―食堂)

 

 

 

「あーーねみ………」

 

止まらないあくびを手で押さえながら朝食を頂く。

病院であの後10戦ほど模擬戦をさせられた。

燐さんが永琳さんを呼び、止めてくれたおかげで途中で止まったから良かったが

あの人自分が模擬戦をしたいが為に嗾(けしか)けただろ絶対……。

 

ただ、助かったことがある。

Sin Paradigm Shiftの効果は一時的なものであるということ。

他の機体には何も影響を与えていないということ。

つまり、他人に絶対防御を超えるダメージを与えることはないようだ。

 

ただ、問題が一つ。

――レッドデーモンズが使えなくなった。

 

原因は分かっている。ベクターと戦った時に発動されたSin Paradigm Shiftだ。

具体的に言えばコアに存在するエンジンの役割を持つモーメントへの燃料エネルギーの輸送を制御している遊星ギアが傷み、2度と正常に働かなくなると言われている。という仮説だ。

 

その為修理をせざる負えないのだが、俺はアインスのコアの遊星ギアについて知識がない。もし開示することができても何が遊星ギアでどう直せばいいのかさっぱり分からない。

 

遊星ギアについては海馬コーポレーションの面々も詳しい原理を世に伝えてなく、論文も特許や最近の問題からあやふやになっている。

しかも、遊星ギア云々は仮説だ。「今存在する技術で永久的にエネルギーを作れるのがモーメントしかないから」という曖昧な根拠を頼りにこの前提が作られている。まぁ…

 

『凖おじちゃん。この光って回っているのは何ですか』

『モーメントっていうんだ。人の感情を汲み取る不思議なエネルギーって感じだ』

 

その前提は当たってるだろうな。

 

(オーディンの瞳を使うか……)

目に負担はかかるが仕事もあるしこれ以上時間かけるわけにもいかない。

 

 

「あ~~。ゆーりんだー」

「あぁ本音か」

「ゆーりん一人なんて珍しいねー。どうしたのー?」

 

他所では普通の光景であるがここは基本的に女子しかいないIS学園。

そんな所にいる女子達が男がひとりでいるところを見逃すはずがない。

が、俺はひとりでゆっくり朝食をとっていた。

 

小耳を挟んだ話によるとこの前のベクターとの戦いが原因らしい。

あの時は怒り狂ってたから怖がられてもおかしくない。

 

「まぁこんなもんだろ。逆に本音とか楯無とか虚さんみたいに接している方が変わってるぞ」

「そーーお?」

「そう。アインスはテロリストだって考えの人が大半からな」

「でも、ゆーりんはやさしーよ」

「そりゃあどうも」

 

鮭の切身を箸でつまみ本音に向けると嬉しそうにパクっと食べた。

ほんと喋るペットだよな。

 

 

―バァン!

ドタドタと一気にたくさんの女子が食堂に入って来た。

俺が言っても説得力の欠片もないが君達そろそろ授業始まるぞ。

 

「黒川くん!」

「ん……え……」

 

さっきまでの静けさが嘘のようにたくさんの女子が俺を囲っていた。

 

「あ、あの、何か?」

 

今までにない状況に困惑する。

そんな俺の手を目の前の娘がしっと手を握った。

 

「あのね黒川くん。もし辛いことがあれば私達に言ってね!」

「は、はぁ…」

「こ、これね私のアドレス。メールでも大丈夫だからね」

「黒川くん―――」

「黒川くん……」

「黒川くん―――」

 

俺は聖徳太子じゃないのに何人も同時に話かけてたり、腕を引っ張ってきた。

女子特有の押しの勢いに押し潰されそうだった。

 

(一体何が……)

 

「ゆーりん、ゆーりん、これ」

「ん?」

 

同じように押し潰されかけている本音に渡されたのは一冊の本だった。

 

………………………

…………………

……………

 

「ゆーりんー待って~」

 

服の裾をつかんで半場引っ張られながらの本音を連れて生徒会室のドアを開ける。

 

「あら優くんじゃない。どうしたの?」

 

俺が来るとは思わなかったかのように楯無は意外そうに俺を見ていた。

 

「これ」

 

さっき本音が俺に渡した本を書類で埋まっている机の上に置く。

 

「なんで俺と唯が出てるんだよ」

 

しかも、俺許可してないのにまるで許可したかのように生徒会公認って書いて出してるし。

 

「すごいでしょ?

私達の記憶と薫子ちゃんの情報収集、文学部の総力が1つになった大傑作よ。

学園の8割強が買ってくれたわ」

 

扇子には「大繁盛」と書かれていた。

 

「楯無……」

「まったく、あんなの相手に『Sin Paradigm Shift』使っちゃって。

あれじゃどっちが悪者かわかったものじゃないわ」

「…………………」

「他の生徒が怖がってたわよ。

勿論、優くんだって怒りたい理由はある。

だから、その理由を本にして皆に理解してもらおうと思ったわけ」

 

再び扇子を勢い良く広げる。

その文字は「代弁者」に変わっていた。

 

「今回はマジメにやったわ。だから本の内容マシだったでしょ?」

「……まぁ」

 

強いて言えば女の子が喜びそうな甘い表現が多くて事実と異なりそうな気がするが……

まぁ全員が知っているのも恐い話だし、あのくらいが丁度良かったのかもしれない。

 

「…それはどうも」

「なら今度デートということで」

 

どうやら今回のは貸しになってたらしい。

 

「まぁお好きにどうぞ」

 

両手を上げ降参のポーズをとる。

どんなに逃げても目を付けたら放さない。

逃げれば泥沼にはまらせる。それが更識 楯無である。

 

 

 

 

(優side―IS学園正門前、集合一時間後)

 

 

 

「メガネ?」

「はい……そうです……」

 

出発前ながら半ばがっくりとうなだれながら答える。

 

「ついに優くんから本格的にオシャレをしてくれるようになったのね。お姉さん嬉しいな」

 

楯無は余程俺の言ったことが嬉しいのか楯無の嬉しそうな声と一緒にさっそく眼鏡関連のサイトを調べ 想像を膨らましている。

 

(……どうしようか…)

メガネを買う理由がただの視力低下だからなんて……もう言えない気がする。

 

「じゃあ洋服の方にもすこーし力を入れて欲しいなぁ」

 

ため息混じりに俺の全身を見る。

ちゃんと雑誌を買って頑張ってるはずなんだけど、毎回楯無に指摘される。

今回も集合してから服を指摘されて直されて今に至っている。

シャルや千冬さんが何も言わないから俺のセンスが変な方向に飛んでいるわけではないはずなんだが……。

 

何が悪いのだろうか?

まさか、楯無と同じ服じゃないといけないとか言わないよな?

 

「じゃあ行きましょう、そうしましょー」

 

するっと俺の腕を掴む。

時々思うが楯無は日本人じゃないよな。

 

「…なんでお前まで腕を組む」

「いいじゃない。デートなんだから」

「…………………」

 

前からの主張で本人曰く『下心はない』らしい。

前例があるから“信用してない”が、言い合ってもしょうがないし、外なら大丈夫だろう。

 

そのままレゾナンス行きのバスに乗り込んだ。

 

 

 

(ラウラside)

 

 

 

――ピローン

 

携帯端末がメッセージを受信する。

どうやら更識かららしい。

また、奴のメッセージを消す手間が増えたと思いながら本文を見る。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

Sub :ラウラちゃんへ

From: Kerl(奴)

 

今日はアリーナが使えないらしいので優くんと出かけてきます。

せっかくの機会だからちゃんと休んでね☆

 

                    楯無

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

(あの女……)

先日、一夏達にあそこまで言って自分は呑気にデートか…。

シャルロットに言いつけるぞ。

 

「ん?」

 

セシリアがアリーナの方へ歩いていく。

今日は整備も兼ねての休みらしいなため開いてはいない。

彼女はそれを知らないのか正面の玄関を無理やり開けようとしたり裏口のドアノブを無理矢理引こうとする。

手が滑ったのか後ろにぺこんとお尻を着いた。

 

(……何をしているのだアイツは?)

彼女はドアに対し文句を述べるとアリーナを離れどこかへ歩き始めた。

すかさず彼女を尾行する。

彼女が歩く先には何もないはず。にも関わらず意志を持ってまっすぐ歩いていたからだ。

 

彼女が行き着いた先は学園の私有地の端にある砂浜だ。

 

砂浜に立つと機体を展開し海に向かって光弾を放っていた。

ただ撃っているわけではない光弾は少しだけ三次元に軌道を描く。偏光射撃。

 

「目指す先は-IS-か」

「――!?」

 

私がいると思わなかったのか、セシリアは反射的にスターライトMK-Ⅲを私に向けてきた。

 

「私だ。別に敵意はない」

「ラウラさんでしたか…。すいません」

 

彼女はすぐさま機体を収納し、まるで悪いことをしたのがバレた子供のように微笑んだ。

 

「どうしてここにいる?」

「どうしても何も特訓ですよ」

「それをわざわざここまで来てする理由を聞いているんだ」

「時間がないからですよ。先日の戦いからも明らかです。

亡国機業は強いです。いえ、わたくし達が弱いのです」

「……………」

「ですからわたくし達は黒川さんのように強くならなければならないのです」

 

彼女はまっすぐと私を見つめた。

どんなことにしろアイツが関わると目の色が変わるな。

 

「あの女はお前達がそう思うことを読んでいた」

「例えそうだとしてもそれを決めたのはわたくし達自身です。

その想いだけはわたくしのです」

「そうか……。無理はするなよ」

「えぇ」

「そう嫁に伝えてくれ」

「わたくしじゃないいんですか!?」

「当たり前だ。勝手に死なれたら困るからな。嫁もここに来るのだろう?」

 

辺りを見回すと嫁、箒、シャルロットの姿が木陰から見えていた。

まったく。あれでは追跡になっておらん。今度隠密機動について教えてやらんとな。

 

――ジュ

何かが私を横を通る。

毛先がそれに触れてしまったらしく焦げた匂いがした。

せっかくシャルロットが手入れをしてくれたというのに……。

視線を戻すと彼女はワナワナと震えていた。

 

「えぇ、そうですか……。そうですよね……。

貴女は初めからわたくしのことを無下に扱っていましたものね……。

いいですわ。その体、蜂の巣にしてあげましょう」

「ほう。またあの時のように苦杯を舐めたいと言うならそうしてやろう」

 

私もレーゲンを展開しセシリアと対峙する。

私は不器用な人間だ。

シャルロットのように器用な人間でなければ上手く私を操れないだろう。

 

なら拳を合わせる方が性に合う。

そうすることで互いに上進できるからな。

 

 

 

 

(楯無side―@クルーズ)

 

 

 

「優くんってそんな目悪かったっけ?」

 

買った縁のない眼鏡をする優くんをまじまじと見る。

私的は縁のある眼鏡の方が似合ってたと思うけど、優くん曰く、似合っている方向が違うらしい。

どうやら“かわいい”から似合うということにはすぐ気付いてしまったらしい。

残念。こっそり優くん完全乙女化計画進行さしたかったのに…。

 

「最近だな」

「目の力を無理して使い続けたからじゃないの?」

 

ちゅーとストローでジュースを飲みながら指で目を指す。

 

唯ちゃんやベクター、ISISとの戦い。

使わざる負えない場合は多かったはず。

それに対してほとんど休めなかったのも原因かもしれない。

 

「お前さ。自分の飲み物頼めよ」

「一口だけ」

「そう言って半分近く飲んでるよな」

「あっ、バレてた?」

 

優くんは予め私が勝手に飲むことを感づいたサイズの大きいものにしたけどすでにカラに近い。

 

「だって、全然飲んでないじゃない」

「楽しみは最後にとっておくの」

「オレンジジュースを?優くん幼稚園児みたい」

「うるさい」

 

はっと取ってストローでオレンジジュースを飲み始める。

 

「あっ……」

「何?」

「いや何でもないわ」

「?」

 

(織斑先生はどんな教育をしたのかしら?)

一夏くんにしても優くんにしても女の子の夢見ることを無意識にしてくれる。

天然と言えばそれで済むかもしれないけど、二人共向かっている方向が違う。

 

「で、この後どうするんだ?行き着けの所で洋服買うのか?」

「遊ぶわよ」

「え?」

「ここにもRound zeroができたのよ。行くしかないわ」

 

私は優くんが文句を言い始める前にズルズルと引っ張っていった。

 

 

 

(優side)

 

 

 

俺達はお互い、普通の高校生と違ってお金には全く困らない。

機体を使う身なので身体能力も悪くはない。

始まったら勢いは止まることなく

 

そして――

 

「zzz………」

 

一通り遊んで疲れた楯無はバスに乗るとすぐに俺の肩を枕代わりにぐっすり眠っていた。

 

「子供だな」

 

寝てる分にはホント普通の高校生。さっきとは大違いだ。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

一休みのためにベンチでアイスクリームを並んで食べる。

 

「なぁ。どうしてお前はそう、俺に気をかけてくれるんだ?」

「知りたい?」

「それは、まぁ」

「そう………」

 

――ダン!

 

楯無は無言になったかと思うといきなり足を踏みつけ何かを喉元に突き付けた。

それはさっきまで食べていたアイスを食べるのに使ったプラスチックのスプーン。

しかし、それがナイフのような凶器に思えるほど迫真に迫っていた。

 

「前言ったよね?私の仕事、一緒に行ってみないって」

「あぁ。断ったけどな」

「あの時そう言ったのは貴方に知って欲しかったから。

世の中には手を血に染めることがあるってことを」

「……………」

「私の仕事が特殊で参考にならないかもしれない。

けど軍人や自衛隊、時には警官も“するのよ”。

それは確固たる意志を持った人間にしかできない」

「……………」

 

『サンダーフォース』

昔の嫌な記憶が甦る。

 

「そうだとしてもどうして、それで普通にしていられるんだ?」

「私達の世界を理解できない人も知って嫌う人もいるわ。

それは仕方ないことよ。

でも、理解をしてくれるのなら私は受け入れてくれる人を信頼するわ」

 

楯無はそっと俺に寄り掛かった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「はぁ……」

 

今まで凝り固まっていたものを紐解いて貰ったのと同時に思い知らされた気がした。

 

アインスを持ったことを後悔した。

やっぱり齢12の子供が兵器を持つことは間違いだった。

知るべき現実を知らないというのは罪に成りかねない。

必要なんだ。覚悟が。

 

 

「ありがとな」

 

俺はそっと手を頭に置いた。

 

 

 

(シャルロットside)

 

 

 

「あれ?優?その眼鏡どうしたの?」

 

縁のないタイプのメガネ。

優に合っていてスッキリしていて、知的に見えてカッコいいと思った。

 

「あぁこれは……」

「私が買ってあげたの」

 

後ろからひょっこり現れた楯無さんが優の言葉を紡いだ。

 

「え?」

「優くんが目悪くなったって言ってたからレゾナンスで眼鏡買ったの」

「っというわけだ」

「どう?貴女のお父さんは?」

 

楯無さんはニコニコしながら私を見ていた。

 

「…………似合わない」

「ん?」

「優にメガネは合わない!」

 

僕は優からすっとメガネを取った。

 

「とにかく優はメガネしちゃダメ!」

「いや、それだと視界がぼやける…」

「いいよ。僕がいるから。行くよ、優」

「いや根本的な解決になってない………」

 

優はメガネを取り返す形で僕の後ろを歩いて行った。

 

僕は楯無さんにあっかんべーして食堂から優を連れて行った。

 

 

 

(楯無side)

 

 

「ふふふっ」

 

離れていく優くんとシャルロットちゃんのやり取りを眺めていた。

 

「会長。あまりからかうのはよろしくないかと」

「いいじゃない。見て」

 

ひょいっと私に向けられた顔を二人に向ける。

 

「優くんの表情大分柔らかくなったわ」

 

去年の時の表情とは大違い。

普通の男の子と女の子のやり取りをしている。

 

優くんは心に鎧を着けることで自分を守る。

だから唯さんが亡くなった時、泣かずに表面上淡々と仕事をこなしていく彼を見て“危ない”と感じていた。

けど私には出来なかった。1年間一緒にいて色々引っ掻き回して彼のことを知ってたのに、私はワガママばっか言って迷惑かけてばかり。

受け止めることはできなかった。

 

「いいなぁ……」

 

つい本音が漏れてしまった。

 

「クスッ」

「なによ虚」

「いえ、失恋の感傷に浸ってるのかと」

「そんなわけないでしょ。」

 

だって私は男として優くんが好きなわけじゃないし。それにちゃんと……

 

「会長は優さんに“お友達”と本人に仰ってましたので」

「……なんで知ってるのよ」

 

恥ずかしいから誰にも言ってないのに。

 

「さぁなぜでしょう?」

 

年上独特の余裕と言わんばかりに私に微笑んでいた。

 

 

 

 





―小さな回想時―
?「鉄の意志も鋼の強さも………」
私「楯無に言わせるのはちょっと無理がありました」

今作での黒崎さんの登場は少ないです。
やっぱりISの特性上、遊戯王男性陣を出しにくい…。
キャラによる遊戯王成分をお楽しみの方は先人様に任せます。

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