バッドエンド・ガールズ   作:青波 縁

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032 王ノ目覚メ

 

 繰り返す。

 

 「絶対、助ける!」

 

 繰り返す。

 

 「■は、諦めないぞ!」

 

 そうやって■は何度だって、繰り返す。

 

 ────「私たちの願い、──いや、(フィリア)の夢を」

 

 幾度と彼女の消滅を観測しようとも、

 

 「……そうだ。諦めてやるもんか」

 

 みんなが死なない世界を勝ち取る為に世界のルールを壊すんだ。

 

 「だから」

 

 その結果、みんなから『大罪の王』と恐れられようとも■は──。

 

 ◇

 

 出迎えたのは、いつも通りの白い天井。

 

 チュンチュン。

 遠くから鳥のさえずりが聞こえ、軽い喪失感に僕は目を覚ます。

 

 「……此処は?」

 

 ズキリ。

 

 痛い。

 自分が此処にいる理由を思い出そうとすると、頭が痛みを訴える。

 

 「……な、んで?」

 

 解らない。

 けど、何かとても大切なことを忘れてる気がする。

 

 ズキリ、ズキリ。

 

 「──っつぅ」

 

 僕は。

 思い出さないといけないのに──。

 

 ────「私たちの願い、──いや、(■■■■)の夢を」

 

 誰かの言葉が頭に過る。

 

 「……あ」

 

 何故か僕はズボンのポケットをまさぐる。

 すると、ポケットから小さくて固いモノを見つけた。

 

 「そう、だ」

 

 そこで。

 僕が何をしていたかを。

 また誰かの願いを切り捨ててまで、この鍵を手にしたことを思い出した。

 

 「これを、──手に、入れたんだ」

 

 銀の鍵。

 それは何処の扉を開くモノか解らない魔道具(アーティファクト)

 

 「──? と言うより、何で僕は一瞬でも忘れていたんだ?」

 

 ジジジ。

 その鍵を握り締めていると、沸々と疑問が浮かんでくる。

 

 「いや、今はそれどころじゃない」

 

 疑問は尽きない。

 けど、これからしなきゃいけないことが何となく解った。

 

 「いつも通り時間が巻き戻ったって言うんなら、あれがまた起きるんだ」

 

 この夢の世界が崩壊し、謎の騎士によって真弓さんが殺される。

 そんな未来になる。

 ふざけんな。

 僕は。いや、僕らはそんな未来は認めない。

 

 何より、いーや、誰よりもこの夢の世界を滅ぼすなんて許しちゃいけない。

 

 「なら、どうすれば良いんだ?」

 

 考える。

 頭の悪い僕でも、このまま進むのは駄目だって分かる。

 どうする? どうすれば良い?

 いや、そもそも『藤岡■■』の記憶だって完全に取り戻せていない僕に何が出来るっていう──。

 

 「──ん? 完全に取り戻せていないって、そんなことどうして分かるんだ?」

 

 そう思った瞬間。

 

 「……勇貴さん」

 

 ガチャリ。

 扉を開けて、彼女が入ってくる。

 

 「──っ」

 

 腰まで届く茶色の髪。

 整った顔立ちをした、──特にその妖精のような碧眼が僕を心配そうに見つめている。

 

 「……真弓さん」

 

 何故、彼女はこうも都合よく部屋に入れるのだろう?

 どうして彼女は、僕に固執するんだろう?

 

 色んな疑問が浮かんでしまうけど、今は──。

 

 「ねえ、それも君は知ってたりするの?」

 

 ソンナコトヨリ、アノ『古本ナコト』ヲドウカシナクテハ。

 

 「──っ!?」

 

 真弓さんが目を見開く。

 どうしテそンな驚いた顔をスルノか解らない。

 ソモソモ、コイツに何ヲ期待シタところデ変ワラナイトイウノニ。

 

 「……あれ? 真弓さん、どうしたの?」

 

 カツン、カツン。

 

 彼女ニ近付ク。

 利用出来ルモノハ何デモ使ワナクテハ『外なる神』ヲ介シテ私ノ復元ガ完成シナイデハナイカ。

 

 「ゆ、勇貴さん!」

 

 ジジジ。

 何で、真弓さんは怯えてるの?

 ねえ。どうして、僕にそんな顔をするの?

 

 「ぃ、嫌。……嫌です! こんなのあんまりです!」

 

 手を払われる。

 

 ──ッチ。面倒ナコトニナッタナ。一体、イツノ間に気付イタノヤラ……。

 イヤ、ソモソモオマエは私の手駒ダロ? 何故、拒絶スル?

 

 アノ時、只ノ影絵ニ過ギナカッタオマエニ感情ヲ植エ付ケテヤッタノガ誰カ忘レタノカ?

 

 「正気に戻って下さい、──■■(ゆうき)さん!!!」

 

 少女は呼び掛ける。

 名のない誰かはそれが無駄だと解ってる。

 それでも、これまでを嘘にしたくないのも事実だった。

 

 「……マア、ドウデモ良イカ。所詮、オマエも試ミノ一ツ。今更、切リ捨テタところデ問題ハアルマイ」

 

 ドクン!

 魔術破戒(タイプ·ソード)現実化(リアルブート)する。

 形状進化(タイプ·シフト)させた、その赤と青の螺旋の剣が少女へと突き立てようと煌めく。

 

 「もう少しだったんです。後、少しで貴方たちを──」

 

 勢いヨく足を踏み込む。

 そうするコトで、幻想殺しノ一撃ガ振り落とサレル。

 

 死ぬ。

 こレで終わる。

 何もかもガ終わってしまう。

 

 魔術破戒(タイプ·ソード)とハそういうルールを義務付けられた権能(チート)なノダと誰ヨリも使い手のワタシが理解シテイる。

 

 ブゥン!

 

 幾ラ彼女ガ持ち合わセテイる恩恵(ギフト)ガ時間遡行ヲ可能とシテも、そノ絶対ニ例外はナイ。

 

 キィン!

 閃光ガ散る。

 

 「────!」

 

 放たレタ一撃を弾ク姿ハ、騎士を語ルニ相応シク。

 

 「オマエは──」

 

 「今更、名を語るのは無作法と思わないか?」

 

 虹ニ輝く剣が構えラレる。

 

 「シスカさん!?」

 

 「大丈夫だ、名城殿。心配せずとも、少しばかり眠って貰うだけである」

 

 シスカは、影絵(まゆみさん)にソウ言うとワタシ(ぼく)へト剣を振ルウノだッタ。

 

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