毎日投稿すると言っていたのに出来ず申し訳ございませんでした。
前回のあらすじ!
世界可笑しくなってるところ、何か蜘蛛が放り出されてる教室発見!
その階の廊下で蜘蛛襲われる。天音とエンカウントして、共に向かう。
以上です!
それでは、お楽しみください!
誰もそれは望まない。
誰もそれを求めない。
ぐるぐる回る。
世界が何度も壊れて、時間を幾度もやり直す。
彼は死ぬ。
心が一度死んで、記憶を維持することが出来なくなった。
奇跡を願う娘たちはそれを喜び、仲良く手を取り合った。
「アハハハ! アハハハ!」
気持ち悪いと神様は嗤いました。
それは醜い男の顔をしていました。
誰も彼を救わない。
でも思うのです。
きっとそれも彼は乗り越えるだろうと私は諦めない。
ジジジ。ザー、ザー。
ノイズが視界をジャックする。
暗転。
それは、誰でもない誰かが綴った妄想。
この物語はきっと、そんな誰かの
◇
蜘蛛たちをかき分けて、進んだ教室のドア。
3-Cとプレートがドアに留められた簡素な扉に僕は息をのむ。
「此処です。此処が兄さんが居るクラスの教室だよ」
天音が言う。
その教室の窓だけが何故かスモークが張られたようにモザイクがあり、中の様子が|窺(うかが)えない。
その先を見ることを恐れた誰かの仕業だろうか?
「って何をそんなに考える必要があるんだ」
不安をグッと堪えて、ドアを開ける。
そのドアは重く、とてもじゃないが前までの僕であったならそれを開けることに躊躇して開けれなかっただろうなと思った。
ガラガラと音を立ててドアが解放されると、そこに見えるモノがよく分かった。
ジジジ。
世界が終わる。
ザザザ。
それを見つけた。
「――――兄、さん」
少女の声が呟かれる。
何も知らない僕でさえ言葉が出なかった。
だから、目の前の光景を男を知る彼女でさえも吞み込めなかった筈だ。
「――――来たか」
傷だらけの男は口を開く。
死体と間違えても大差ない全身傷だらけの男は教室の中心に立っている。
ザー、ザー。
見てはいけないと誰かが叫んだ。
ザー! ザー!
でも、その男が積み上げた死体の山を見てしまった。
台風か何かに遭遇したような酷い荒れようだった。
他人事に表現してしまうほどにその現状を直視することは常人の理性には耐えられないものだったともいえる。
「随分と遅い到着だったな、
まだ名前も知らない男は僕に向かってそんな言葉を贈った。
まるで、友好的な恩師のような振る舞いだなと場違いに思うほどの言葉遣いだと思った。
「――――貴方は?」
思わず口から誰だと尋ねる。
目がくらむ。意識が飛びそうになる。
脳がスパークして神経を麻痺させてクラクラと視界を揺れ動かす。
一言、そんな言葉を口にしただけで何故だか頭に痛みが走った。
「ふん。こちらは貴様の到着を待っていたというのに酷い歓迎だった。だから殺してやった」
こちらの質問に答えず、べらべらと自分の言いたいことを話す男。
皮肉気に口元を歪ませる形相は、何処かあの天音に似ているものを感じた。
「兄さん、どうして? というより、何があったの?」
背後にいる彼女は現実を理解することが出来ないみたいだ。
未だに目の前の男が自分の兄であると言って質問を繰り返す。
「七瀬勇貴、納得がいかない顔をしているな。まあ、貴様としても事情が掴めていないのだろうし、それで良しとするか。どの道、この夢は終わる。今、アトラク=ナクアが別の管理者によって打ち取られたのが確認された」
男の鋭い目がキッとなったかと思うと、次の瞬間にはモザイクが掛かり表情が見えなくなった。
積み上げられた死体の山を背に悠然とこちらに歩み寄る男の名前を僕は知らない。
名前は知らないのに、そいつが誰かだなんてことは分かった。
「ねえ、聞いてよ。質問に答えてよ。ねえ。ねえってば――――」
カツン、カツンと男がこちらに近づく度に声を荒げる天音。
二人のそんな様子に心臓がうるさくなって、重苦しい空気が充満していき。
「話を聞いてよ、
ついに、天音の感情が爆発したのだった。
そんな天音に対し、男は一瞬ニコリと微笑むと、
「泡沫の夢は覚めるものだ。散々言ってきただろう、天音?」
傷だらけの右腕を前へ突き出して。
その右腕から突如、魔法陣が現れて。
数秒も経たずに紅い閃光が僕の背後に向かって放たれた。
「――――え?」
一瞬のことだった。
男が天音に対して行われた行為こそ、天音に対する殺意だったと言えた。
「何、してるの?」
無意識に展開した
男が何をしたいのか理解が出来ない。
「さてな。その質問に答える義理はない。
――――が、敢えて言ってやるとするならば、せめてもの慈悲だ」
嗤う。男は狂ったように笑いながら、僕と天音に近づくのを止めなかった。
「くだらない三流役者の真似事だが、カーテンコールぐらいはしっかりと降ろしてやらなきゃ興ざめも良いところだろう? さあ、その剣を取るが良い、ドン・キホーテ。哀れな役者に止めを刺してやれ!」
だが、友達を殺されそうになって止めない理由はなかった。
男と僕らの間合いは三メートルにも満たない距離。
走れば数秒で詰められそうな間合いだ。
ゆっくりとしかし確実に男はその歩みを止めない。
何かを自嘲するように、殺気を纏って男は紅い閃光を放つのを止めない。
何もかもが意味が解らないけど。
それでも、何も知らずに誰かが殺されるのを見捨てれるほど白状になり切れなかった。
「何で? ねえ、本当にどうしちゃったの兄さん!?」
天音はその場に膝を折れてしまう。
立ち上がることを止めて、現実から逃げるようにまだ優しい兄の姿を忘れられない。
また、一歩。
天音が言葉を吐き出すほど、彼と天音の距離は縮まっていく。
放たれる刃となっている閃光が増していき、
やがて――――。
「だから、オレを。オレを兄さんと――――」
闇雲に
こちらの意図を見透かしてか。
それともこちらの心情を見透かしてなのか。
モザイクで表情が見えない顔で立ち止まると、
「――――兄さんと呼ぶなと言っているだろうが!!!」
瞼を思わず閉じてしまいそうなほどの光を掲げていた右腕に収束させる四葉。
数秒後に予測される未来に耐えかねて、掴んでいた魔剣を構えて男の間合いを詰める。
天音の手を取って逃げ出す選択は頭から無かった。
けど、これ良かったのかもしれない。
きっと、その選択こそ、僕が気づかないだけ繰り返したことの結果だったのかもしれない。
何もかもが理解出来ない現状をしてしまった最中で、誰かが笑ったような気がして。
右腕が振り下ろされようとした。
それと同時に彼を切り裂く僕がいる。
そんな地獄の光景を観測した天音はその場で何もすることなく地べたに座り込んでた。
――――ヤ、ヤメロォオ!!!
何故だか、そんな誰かの絶叫が頭の中に響き渡った。
◇
世界が終わる。ねじ回る。
パラパラ漫画の如く、それは無理やりに終わらせた。
パタンと本を閉じる。
きっと誰かじゃない誰かが、その本を閉じた。
誰もが救われない世界を読み漁る読者が皮肉気に微笑む。
彼女は何処にも居て、何処にも存在することを許されない。
「彼女がこうなることを予測できていたけどね」
自身の存在として欺瞞していた黒い包装のそれを手に取る彼女。
「まあ、運が悪かったとしか言いようがないよね」
教室の窓から見える空は、継ぎ接ぎだらけで子供の落書きにしか見えない出来栄えだった。
彼女の言葉に賛同する声は何処にもなく。
「うん、うん。さて、物語は漸く動き始めれるぞー」
誰に対しての言葉か解らないことを言いながら、その少女はその場を後にしたのだった。
次回の投稿は9月1日を予定しております。
出来る限り毎日投稿を目標にしておりますが、如何せんどうにも筆が止まってしまう作者をお許し下さい。