明日、投稿すると言って続きを書いていたら、なんかなろうの方ではPVがやたら有ったので思わず続きを投稿してしまいました。
誰かが見てくださってるって思うと、スゲー、嬉しかったです。
それでは、本編どうぞ。
「お前に殺されて良かったなんて、あんまりじゃないか!」
少女の慟哭、悲鳴、叫び。
混じり混ざった負の感情が爆発した。
「――――っ!」
息つく間もなく駆け出す僕。
天音の殺気に呼応するようにそれが現れたのを視認出来たから、止まる訳にはいかなかった。
僕と天音の距離は十メートルも離れちゃいない。
全力で走れば、数秒も掛からず
――――が。
それは、天音の背後のそれが無ければの話だった。
「あ、あぁアア!」
邪魔をする。
圧縮された空気が腹に叩き込まれた。
予備動作だとかそんなものを蜥蜴が振るった素振りは見えなかった筈だ。
だが、結果的に僕の腹にそれが放たれた。
否、それは確実に僕を殺そうとしていた。
咆哮も何もまだしてないと言うのに、それは天音の背後に現れてから僕を襲ったのだ。
パラパラと瓦礫となる校舎。
これだけの騒音だと言うのに、誰も部屋から出てこないのは、確実にこの現実に誰かが干渉している証拠だ。
関係ない。
考えるな。
痛みを堪えて、体勢を立て直せ。
そうしないと次が来る。
天音がキッと僕を睨んだ。
――――来る。
第二の攻撃が繰り出される。
手に握られた輝く剣を支えにして、脚に力を込めては右へジャンプする。
窓ガラスが割れる音。
壁が拉げたことを理解する。
見えない攻撃が僕を殺そうと蜥蜴が尻尾を床に叩きつけた。
振動。地響き。地が割れる。
眩暈がする。
グラグラと地響きがして上手く走れない。
今ので天音との距離は三メートルも離れてしまった。
圧倒的な力の差に近づくことも出来ない。
光輝く剣を構える。
未だその刀身に目映い光を纏わせるそれが、そんな僕の心情を跋扈するように見えて頼もしく思える。
「ま、だ。まだまだ!」
脳が実力差を理解する。頭が割れるように痛い。
起き上がって距離を詰めようともそれを灰色の蜥蜴が許さない。
「グゥルルルルルル!」
舌を巻く怪物。耳障りな咆哮。聞くに堪えない雑音が校舎を破壊していく。
獲物を前に舌なめずりするそいつを見て、駆け出す。
馬鹿正直に真っすぐ向かうから、動きを捉えられたのだ。
今度はジグザグ、ジグザグと変化をつけて走ることにする。
一メートル。呼吸を止めて走る僕。
僅かに詰めた間合い。
それでも天音に
爆ぜる世界。
立ち止まったら一瞬でも殺される。
息する暇もないから、只管に距離を縮めるほか道はない。
「――――っち! いい加減、くたばれ!」
罵声。基、苛立ち。
数秒とういう攻防に対し、焦りだす天音。
もしかしたら蜥蜴をさせるのにも時間制限があるのだろうか?
それならばこちらに勝機がある。
こちらは只、逃げ回れば良い。
そうすれば、天音にこの魔剣を突き立てることが出来るのだ。
そう思うと同時に嫌な予感を感じた。
ジグザグに近づいてきてるのに焦った彼女が腕を振るう。
蜥蜴任せにしていたスタイルから一変し、空気が重たくなるのを感じた。
「――――え?」
身体に得体のしれない重力が掛かる。
負荷が掛かった身体は当然、その突然の負荷に耐えられる筈がない。
耐久力は一般人と変わらない僕はあっさりとそれに屈する。
「――――グゥウウウルルルル!」
バランスが崩れて、転んでしまいそうになる。
それは、相手にとって絶好のチャンス。
この隙を逃す天音ではない。
スローモーション。
時間が永遠になる瞬間。
走馬灯でも見える気がする。
一秒のそれが遅く、そして背筋を凍らせて死を伝えにやって来る。
剣が眩しく輝く。
不思議とそれが何を伝えたいのか理解した。
僕はその不思議な感覚に身を任せるように、瞬時に身体を起こして、横凪へ振るった。
見えない刃。
死を誘う攻撃。
言い換えればキリがないそれに向かって一撃が繰り出される。
さあ、目を見張れ、その一撃はありとあらゆる幻想を殺す一撃だと知れ。
「――――な、に?」
必殺の一撃が放たれた。
それは僕を殺すに相応しい一撃だった。
けれど、それすらも凌駕する最強のチートが僕の手にある。
繰り返す。
その光り輝く剣こそ、ありとあらゆる魔術を破戒する幻想殺しの魔剣と知れ。
「あり得ない」
ぺしゃんこ。死。今までの記録では圧倒的な殺戮の能力。
彼女の中の最強のチート。
でも、それは僕が持ってる最強のチートには敵わない。
「あり得ないでしょ。そんな
彼女は知らない。
僕の繰り返しを見ていない。
この天音はこの夢の中での繰り返しをしているだけに過ぎないのだろう。
外の世界へまだ辿り着けてない、天音が見たかった、もしもの天音は瑞希ちゃんの最期を知らないのだから無理もない。
まあ、そんなものは関係ないけど。
ブン、と振るう。
空気が変わる。世界を変える。
嘘まみれのそれを終わらせようと
「知らなくて結構。さあ、終わりにしよう」
十メートルをきった。
一撃が届くにはまだ先は長い。
けれど、それも時間の問題だ。
この一撃は、天音には届く。
「ふ、ふざ、けるな」
駆け出す。
背後のモノが崩れだす。
校舎は崩れる間近かもしれないが関係なくそれへと目指す。
「く、来るな」
天音は恐怖する。
自身が誇る死の一撃をものともしない怪物を前に足が震えてる。
未来を夢見た少女は消滅を恐れているのだ。
「来るな。来るな来るな来るな来るな、」
吸って、吐く。
ジグザグ、ジグザグ駆け出して剣を振るう動作を少しでも軽減させては残り四メートルの距離を詰める。
灰色の蜥蜴は天音の背後に縦横無尽に僕目掛けて見えない攻撃を繰り出すもそれを何度も
「グゥルルルルゥラァアア!!!」
もう蜥蜴の咆哮なんぞ怖くない。
怯えるようなそいつ目掛けて一撃を繰り出せば何もかもが終わるのだから仕方ない。
迷うな、駆け出せ。
そんなものは願われてないとお前は気づいているだろう。
「――――っ来るなぁあああ!!!」
一瞬。
脳に掠める誰かの笑顔。
ついに僕をヒーローだなんて言い出した少女の姿が朧気に見えた。
幻想の断末魔が響き渡る。
圧縮された死が乱雑に放たれるのを
――――だからですよ。貴方の傍に居たいだなんて思えるんです。
いつか見た真弓さんの言葉が頭の中に再生されて。
天音の身体を手にした剣で切り裂いた。
血は出なかった。
数秒後にやって来るアストラルコードの粒子が塵となるだけだった。
「あ、ぁあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
裂かれた天音は首を胸元へと向けると、そのどうしようもない傷を見て、今度こそ己の死を理解した。
酷い断末魔だ。
雑音染みた悲鳴が鼓膜を震わせ、その
◇
「――――ッハ!」
意識が覚める。
悍ましい殺意に身を委ねていた気がする。
汗が止まらない。
脳に先ほど見た夢がこびり付いて離れない。
「ぅう」
酷い悪夢。
出来の悪い死を夢として見ていた気がする。
ジジジと幻聴が聞こえる。
「ゆ、夢だよね?」
震える身体を抱きしめて、冷静になろうと起き上がる。
静寂が包まれた部屋。
上を見上げれば白い天井が見えた。
知らない天井だ。
「というより、ここは何処?」
と言うより、アタシは誰?
自身の名前が思い出せない。
どうしてこの部屋にいるのかさえ思い出せない。
どうやらアタシは記憶を失くして、この部屋に眠ってるらしかった。
「暗い? 夜なの?」
白いベッドから身を起こして、近くにある窓から外の景色を見る。
お星さまが綺麗なものだと悠長に感じてしまうアタシは楽観していることに気づいた。
「――――綺麗」
夜空を見ていたら、いつの間にか先ほど見ていた夢のことなど忘れてしまっていた。
今日は月が綺麗だ。
何故か、そんな言葉が口から出ていた自分がいた。
◇
パラパラと崩れそうな校舎を後にした僕。
先ほどの戦闘で身体が無理をしていたらしく、所々が痛くて仕方ない。
「っつぅ」
目指す先など知っている。
コントロールルームと呼ばれている場所はあの不思議なオブジェの先にある。
日が昇っているというのに人っ子一人見かけない。
全身の痛みを堪えて、兎に角、中庭へと足を運んだ。
ピーガガガ。ピー、ピーピー!
ノイズ。雑音。それは、
全身に汗が吹き出し、後数歩で中庭にたどり着くというのに足を止めた。
ザザザ! ザー、ザー。
相変わらず電波が乱れた幻聴。
世界は一瞬たりともバグを見逃さない。
異常を感知したプログラムが補修しようと矛盾を排除しようと躍起になる。
ウー、ウー、ウー。
ピーポー、パーポー。
稚拙でチープな
どうやら、バグとして僕は認知されたらしい。
エラーは最も許されないバグだと決めている。
瞬きする。
その一瞬を突いて校正プログラムを主張するそれが出現した。
「エラー発見! エラー発見! 早急な対処を求めます。迅速な排除を優先します。エラーです。エラーです。繰り返します。エラー発見! エラー発見! 早急な対処を求めます。迅速な排除を優先します。エラーです。エラーです」
目の前に見知らぬ男子生徒が現れる。
声を出して叫ぶ姿が酷くチープに見えて仕方ない。
繰り返す暇があるなら、お前が対処しろと一々文句を言いたくなる。
「エラー発見! エラー発見! 早急な対処を求め、」
すぐさま、
とても耳障りで仕方なかったから別に気にしなくても良いよね。
ウー、ウー、ウー!
ピーポー、パーポー!
喧しく幻聴が鳴り響く。
どうやら悠長にしてる時間はないらしい。
中庭のオブジェに走り込む。
一秒、一秒と時間を掛けないようにしてもモブな生徒が邪魔をしようとやって来る。
チートを持っていようとも、これでは数の暴力だ。
キリがない。
どうにも僕の存在が神様にとって邪魔らしい。
実に憎たらしいことこの上ない。
死ねばいいのに。
「じゃ、ま、だ!」
オブジェに向かって走って、後数歩だと言うのにバランスが崩れて足がもたつく。
何かに足首を掴まれて、思わず転倒しそうになる。
「嘘、だろ!?」
ワラワラとモザイクな顔の生徒が現れては邪魔をする。
後、もう少しで交信の杖へとたどり着けるというのにこれでは、もうどうしようもない。
ガシ、ガシと徐々にそいつらに埋もれていっては揉みくちゃにされて動けない。
嗚呼、どうしていつもこうなんだと泣き崩れてしまいたくなる。
自分の意志も持てない癖に邪魔しないで欲しい。
徐々に意識が闇に埋もれていく。
まだだ、まだだと奮起しても状況は何も変わらない。
寧ろ、悪化していく。
――――だと言うのに。
「邪魔すんなよ。この先に行くんだ。行かなきゃ、いけないんだよ! この先に――――」
この手にまだ希望を握りしめている。
腕が振るえなくても、それを手放すことは頑なに拒んでる。
耳障りな誰かのガイダンスが聞こえる中で現状の打破を諦めない。
「――――この先に待ってる奴に会いに行くんだ!!!」
暗闇となる視界。
沼に浸かっていく錯覚。
藻掻き苦しむ中で、それはついに訪れる。
「ウオラァア!!!」
唐突に声が聞こえる。
僕を友達だと言った男の声が聞こえたのだった。
声が響き渡る中、一瞬にして視界が晴れる。
目に見える現実が光を帯びてそれを視認する。
温かな光。焼き付く生徒たち。
自身の身体に何の熱量も感じさせない、幻の焔。
「よぉし! ――――今だ、ルイ!」
ガシっと身体を支える誰か。
その叫びと共に僕の身体を押し上げる、いつの間にか居なくなっていた友達。
「任されたぁあ!!!」
真弓さんを助ける時と同じように何故か動き出す鉄塔。
開かれる門。
そこへ、ヒョイッと放り込まれる僕。
「頑張りなよ、
その声を聴くのは酷く懐かしく感じた。
数秒も経たず、ゴゴゴと門は閉じられた。
二人の友達の頑張りは見れなかったけど、けどそこにある確かな絆は感じられた。
次回の投稿は今度こそ9月2日を予定しております。
今度こそ、それは絶対です。
まあ、なろうでもこちらでもPVが凄い上がったのなら喜んで続きを書きましょうかな。
まあ、投稿するにしてもプロットすらまだまともに出来てないから困っちゃうんですけどね。