バッドエンド・ガールズ   作:青波 縁

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 すみません、ハーメルンでの投稿を忘れてました。
 それでは、本編スタートです!


002 変態+変態=物語の始まり?

 

 「いや、君も出ていくんだよ!」

 

 それに対し、大きな声でツッコミをする。

 バサバサ。

 何処かで鳥たちが羽ばたく音が聞こえた気がした。

 

 ジジジ。

 いつも通りの、どうしようもない物語に心臓の鼓動が跳ね上がる。

 

 そんな中、

 

 「嫌です! 私だって見たいです!」

 

 わちゃわちゃと真弓さんが手を揉みだす。

 

 「そうだ、そうだ! キミの裸体を拝まなくちゃボクのルーチンは始まらないんだ!」

 

 それに続けて、じゅるり、と舌なめずりをする藤岡飛鳥。

 ──というよりいい加減、藤岡飛鳥とフルネームで呼ぶのも疲れてきた。

 

 「──っな! ま、まさかの名前呼びですか!? それは、私の特権な筈です! こ、この泥棒猫!」

 

 真弓さんが騒ぎ出す。

 何だろう、この真弓さんは真弓さんと呼んで良いモノだろうか。

 また誰かがなりすましてるんじゃないか?

 

 「誠に残念ながら愚者七号。彼女はキミがよく知る『名城真弓』だよ。それは間違いない。まあ、多少ポンコツではあるが、それこそが彼女の本性だとも言える」

 

 藤岡が真面目な顔でそう補足する。

 

 「──っ」

 

 何と言うか、その、今の彼女はそこはかとなく知的なオーラが見えた。

 思わず見惚れてしまうほど、美しいものだと言える。

 

 ……まあ、そんな顔をしても部屋から追い出すのだが。

 

 「横暴だぞ、愚者七号! ボクの遍く知的探求心を何だと思っているんだ!」

 「それは殺生というものです、勇貴さん! 私の心のオアシスを奪わないでください!」

 

 「知らないよ、そんなもの! というか、僕のプライバシーはどうなのさ!?」

 

 真弓さん、君だけは信じてたのに……!

 

 僕が追い出そうとするのを鉄の意志で二人は抵抗する。

 何が二人を焚きつけるのか意味が解らないが、こんな貧相な男の裸を見たところで気持ちが悪いだけだろうに……!

 

 「そんなことはありません! 勇貴さんの裸体(それ)には浪漫が詰まってるんです!!!」

 

 カッと目を見開く真弓さんは、興奮しているのか鼻血を出している。

 

 「残念ながら手遅れだよ、愚者七号。だから諦めてそのシャツを脱ぎたまえ」

 

 ……僕はもう駄目かもしれない。

 変態二人の頭に着いていけない。

 

 「──って言うか、シャツを脱がせようとするな、藤岡!」

 

 シャツを脱がせようとする藤岡に抵抗する。

 

 「ぬぅお! 抵抗するんじゃない、愚者七号! ……ええい、何をしているんだ、真弓! 早くキミも手伝うのだ! 大丈夫だ、二人が掛かりなら浪漫を拝める!」

 

 ──だが、小癪にも藤岡もとい変態は援軍を呼んだ。

 

 「じゅる──っは!? そ、そそそ、そうですね! 浪漫は追い求めるモノだって、偉大なる探求者『タイタス・クロウ』も言ってました!」

 

 それに素っ頓狂ながらも応える変態淑女。

 浪漫を追うより、真弓さんは溢れ出る鼻血を何とかするべきだと思う……!

 

 「や、止めろぉお!!!」

 

 僕の腕を羽交い絞めにする真弓さんと来ていたシャツを脱がす藤岡。

 そんな猛獣と化した変態二人に成す術もなく寮内に僕の悲鳴が響き渡る。

 

 貞操のピンチだ。

 というか、こんな初めては嫌だ!

 

 そんな僕の心の叫びが届いたのか、

 

 「貴殿らは、朝っぱらから何しているんだ!」

 

 鬼の風紀委員長、シスカ・クルセイドが部屋にやって来たのだった。

 

 ちゅん、ちゅん、ちゅん。

 ちゅん、ちゅん、ちゅん。

 

 閑話休題。

 

 あれよ、あれよと言う間に『風紀委員長』シスカによって、僕と変態二人は正座することになった。

 

 ホワイ? どちらかと言うと僕は被害者の筈だが、解せぬ……。

 

 「喧嘩両成敗というヤツです」

 

 そして僕の心を読んだのか、風紀委員長『シスカ・クルセイド』がそんなことを言う。

 というより、また僕の心を読める人間が現れたのだが。

 

 

 「一応言っておくけど、この世界にキミのプライバシーは無いも同然だよ」

 

 「理不尽の極み!」

 

 解せぬ。

 この世界は理不尽にまみれてる。

 最早、滅ぶしかないのかな?

 

 「……有無。理不尽なのはいつものことだから置いておくとして、愚者七号。キミはどこまで覚えてるのかい?」

 

 正座をさせられているというのに真面目な顔をして藤岡がそんなことを聞いてくる。

 

 「「──っ!?」」

 

 息を呑む音がした。

 空気が凍ったとも言えた。

 

 ……だが、

 

 「──何のこと?」

 

 その言葉の意味が解らなかった。

 もっとよく突き詰めてしまえば、意図が解らなかったと言うべきか。

 

 幸運なことに、僕のその答えに誰も言葉を発することが出来なかった。

 それにいち早く気を取り直したのは、藤岡だった。

 

 「……そうか。いや、良いんだ。キミが無事なら、ボクたちはそれで──」

 

 でも。

 そんな彼女を見たからか。

 

 「良くないです!」

 

 突然、真弓さんが立ち上がった。

 先ほどまでと違い、彼女の目じりには一筋の涙が浮かべ──。

 

 「絶対に、良くないんです!」

 

 唖然する僕の手を取った。

 

 「絶対に、絶対に何とかします! 私が、貴方に──」

 

 そして、そのまま。

 

 「記憶の概念を、取り戻してあげまずぅ!!!」

 

 周囲の目を振り切って、泣きながら僕に約束するのだった。

 





 次回の投稿は9月22日の木曜日を予定してます。
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