僕はプレイヤーキャラクター!~オレっ娘が物理的にも精神的にもゼロ距離で、四六時中話しかけてくる~   作:をれっと

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第6話 少し背伸びしてみる

 少年は今日、強くなるために新たなモンスターに挑もうとしていた。服装は前回強敵と戦った時と同じ、拾ってきたパーカーとタオル、そしてリュックだ。手には拳銃を持ち、リュックには金づちを入れている。

 

 廃ビルが立ち並ぶモンスターの巣窟に入り込み、今回の目標となっているモンスターを見つけた。

 

 

『野良犬と同じような見た目してますけど?アサルトドッグと戦うって言ってたよね?』

 

『野良犬ってのは指揮下から離れた個体を指す言葉だ。基本的に不良品。こいつらはアサルトドッグの完成形だ。素材は多少高く売れるし、経験値も野良犬とは段違いだ。ま、お前がこの前倒した奴のほうが強いんだけどな』

 

『そうか。じゃあある程度余裕をもてるな』

 

『そうでもないんだよなぁこれが。見ての通りこいつらは群れで行動してる。しかも野良犬よりも強い。だから孤立したやつを見つけるのが難しい。さらに言えばお前の攻撃力はレベル上げを始めた時から全く変わってない』

 

『…え?じゃあなんでこいつらを倒そうって提案したの?無理じゃん』

 

『さっきから言ってることが極端すぎるだろお前』

 

『ごめんごめん。じゃあ比較的孤立している個体を見つけてそいつをおびき出せばいいんだな?』

 

『いやお前もちゃんと考てんのかよ…だが、おびき出すのはよくない。不意打ちして一気に殺せ』

 

『え?なんで?』

 

『こいつらは嗅覚を犠牲に、電波を使ったコミュニケーション能力が搭載されている。お前の存在を仲間に知らされたら逃げるしかない』

 

『そういえばそんなこと言ってたか。わかった。じゃあ建物の二階から奇襲しよう』

 

『いや、今回は銃を使え』

 

『え?それ位置バレないか?』

 

『この乱立されたビルを見ろよ。こんなにいっぱい立ち並んでると、こいつら程度じゃ銃声の鳴った方向を一回で把握するなんて不可能だ』

 

『なるほど…でも弾薬が限られてるぞ?』

 

『こいつらの脳に埋め込まれてる部分は結構高く売れるから、弾薬の補充くらいできるだろうさ』

 

『……わかった』

 

 

 ためらった返事をしてから、少年は近くの風化したビルに侵入し、二階から石を投げて、下で音を鳴らす。

 

 すると、野良犬のもとの形であったアサルトドッグが2匹寄ってきた。

 

 

『撃っていいか?』

 

『待て。さすがにあの状況で撃ったら気づかれる。一旦様子を見よう。もし別々に帰っていくようであれば帰らなかったほうを殺す』

 

『わかった』

 

 

 じーっとアサルトドッグの様子を見る。しばらく監視していても、動きがないのでだんだん周りに意識がとられて行く。

 

 少年の意識が移ったのは、立ち並ぶ廃ビル。そのアスファルトの間から低木が生えていた。イバラと呼ばれる系統の植物だが、少年にはそんな知識はないため何も思うところはない。美しいなどと考えるような感性は育たなかったのだ。

 

 

『おい、集中切れてるぞ』

 

『あ、ごめん』

 

『あいつら俺の予想よりもずいぶん慎重だな』

 

『あぁ。どうする?』

 

『待つしかないな。1匹殺しても仲間に俺たちの居場所を伝えられたら終わりだ』

 

『あれが1匹だけになったらナンチャラシーカー使うんだよな?』

 

『エコーシーカーな。もちろん使うぞ。見られてたら元も子もない』

 

 

 しばらく待つこと10分。ついにそれぞれ別の方向に回り始めた。

 

 

『お、来たぞ。やるか?』

 

『あぁ。右側のを殺すから、ゆっくりとあっちの窓に動いてくれ。決して物音を建てるなよ?』

 

『わかった。』

 

 

 少年はゆっくりと廃ビル内を移動し、アサルトドッグの片割れからは見えない面から顔を出し、リボルバーを構える。

 

 

『ちょっと狙いずれてねぇか?』

 

『うーん、もうちょい上か?』

 

『多分な』

 

 

 ゆっくりと狙いを定める。少年の喉が一瞬動く。近くには知覚している2匹しかいないようだ。

 

 

『今だ!』

 

 

 少年が引き金を引く瞬間、スローが入る。スローな時間の中で、しっかりと目を開き、敵を見据えて銃を放つ。

 

 見事に側頭部に命中した。

 

 

『ナイス!いったん隠れろ。エコーシーカーがまだ使えない』

 

『了解』

 

 

 少年は1階と2階の間の階段の踊り場付近で身を潜め、リボルバーをリロードする。

 

 

『エコーシーカー』

 

 

 少年にもわかりやすいように少女がそうつぶやくと、わらわらとさっき倒したアサルトドッグに群れの仲間が集まってきていることがわかる。

 

 

『あいつらとは反対側には少なそうだ。移動しよう』

 

『了解』

 

 

 銃声の反響しなかった方向からはアサルトドッグの反応が少ないため、少女の指示に従い、アサルトドッグが少ない方向に向かって逃げ始めた。

 

 

『でもさ、あいつの素材はどうやって回収するんだ?』

 

『そりゃあ後日になる。今取りに行ったら殺されるぞ』

 

 

 少年は少し残念そうな顔をしながら、群れからある程度離れたところでスピードを上げ、下層の居住区へと方向転換する。

 

 

『エコーシーカー』

 

 

 しばらく走ったところでもう一度エコーシーカー。前方に1体アサルトドッグを補足した。

 

 

『あれは野良犬か?』

 

『わからん。いったん遮蔽物から確認しろ』

 

『了解』

 

 

 遮蔽物となる崩れたビルの瓦礫に隠れ、モンスターの様子を見てみる。特にけがをしたような跡はなかった。

 

 

『あれ、野良犬じゃなくないか?』

 

『もしかしたらあの銃声でアサルトドッグの人員をあの死体の位置に割いたのかもしれん。こいつは一応のための見張りかもしれんな』

 

『えぇ。じゃあどうする?』

 

『ばれないように一撃で仕留めてくれ。そのあとは全力ダッシュだ』

 

『了解』

 

 

 またスローを使って、ゆっくりとした世界でアサルトドッグの頭を打ち抜く。しかし、当たり所が悪かったらしく、顎のあたりに命中し、殺しきることはできなかった。

 

 

『やべっ』

 

「ゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 

 

 口が壊れたせいで声を上げられないらしいアサルトドッグ。少年はその様子を見ることもなく、遮蔽物から飛び出し、アサルトドッグに近づいてから確実に眉間に銃弾を撃ち込み、倒した。

 

 

『逃ぃげろォオオオオオオ!』

 

『わかってる!』

 

 

 少年もすぐに全速力で逃げ始めていた。しかし瓦礫がたくさん転がっているような環境だ。そこまで速度が出ない。そのため、アサルトドッグが援軍がかたき討ちに来てしまった。

 

 振り返って速度が落ちないように、少女に指示を出す。

 

 

『索敵頼む!』

 

『エコーシーカー!』

 

 

 4体ほどが走ってきているようだった。少年は逃げ切ることをあきらめ、近場の廃ビルに逃げ込んだ。

 

 狭い入口があり、その入り口から見える位置に上の階へ上ることができる階段がある。

 

 すぐに少年は階段をできるだけ上り、入り口に向かって銃を構えておく。

 

 すると、アサルトドッグは入り口から廃ビル内に侵入してきた。それを見た瞬間に、少年は発砲。アサルトドッグの首のあたりにあたり、一匹が倒れこんだ。

 

 少年は階段を上がりきり、踊り場で階段の1段目に照準を合わせる。アサルトドッグが上ってきたタイミングですぐに射撃。集まって上ってきていたため、雑なエイムで命中し、また一匹倒れこむ。

 

 また少年が階段を半分ほど登ると、アサルトドッグ二匹が踊り場に到達。振り返り際すぐに発砲し、また一匹ダウン。

 

 1vs1になったとき、ついに追いつかれた。

 

 

『スロー!!!!!』

 

『了解!!!』

 

 

 少年が少女に呼びかけ、スキルを発動。階段の下側から少年めがけてくるアサルトドッグの頭に銃弾を撃ち込んだ。

 

 

「cyann!!」

 

 

 しっかりと眉間に入り、動かなくなった。

 

 

『あ、あっぶねぇ。』

 

『全部とどめさしていくぞ!』

 

『わかってる!今リロード中だ!』

 

 

 薬莢を取り出し、銃弾を1つ1つ詰め込んでいく。その後すぐに金づちを取り出し、アサルトドッグ1匹1匹、とどめを刺していった。

 

 

『速度のレベルを上げるぞ、いいな?』

 

『オッケー』

 

 

 少年はひたすら下層の壁へと走り続ける。

 

 

『エコーシーカー!』

 

 

 少女が叫ぶ。敵の反応はない。

 

 

『お?振り切ったか?』

 

『一応全力疾走だ。ステータスも上げちまったし』

 

『わかった』

 

 

 少年は目に見えて走るスピードが上がり、10分後、下層の低くてもろい壁の中に入った。

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