僕はプレイヤーキャラクター!~オレっ娘が物理的にも精神的にもゼロ距離で、四六時中話しかけてくる~   作:をれっと

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第7話 ステータスオープン!

「つ、つかれた~」

 

 

 それからアサルトドッグと遭遇することもなく下層に戻ってきて、少年は物陰でだらりと寝そべった。

 

 

『しかも収穫はレベルのみだ。弾薬も結構減ってきちまったしな』

 

『はぁ、あそこに素材取りに行っても残ってるかな?』

 

『残ってるんじゃないか?あんな中途半端なところにいるやつをわざわざ狩りに来るようなやついねぇだろうし』

 

『だといいんだけど…』

 

『雪崩に行って食料探しに行こうぜ』

 

『うん』

 

 

 疲れ切っているため、なかなか食料が見つからない。

 

 

『なぁ、お金回収したら耳栓買いに行かない?』

 

『ん?あ、そういえば買い忘れてたな。中層に行けばいいか』

 

 

 少女がそういうと、少年の表情は少し緩む。

 

 

『ただ、どれくらい回収できるかわかんねぇからな~』

 

『え?』

 

『お前みたいなやつが出てくるかもって、今アサルトドッグたちは警戒態勢に入っているだろうからな』

 

『えぇぇ』

 

『てかそんなこと気にしてる場合じゃねぇんじゃねぇか?』

 

『ん?なんで?』

 

『もうすぐヤクザどうしで縄張り争いだぜ?』

 

『まーた縄張り争いか』

 

 

 まるで他人に迷惑かけられた被害者のような返答をする少年に、少女が恨みがましい声色で言う。

 

 

『お前のせいだぞコレ』

 

『え?』

 

『お前、そのリボルバーどうやって手に入れたのか忘れたのか?』

 

『そりゃあヤクザの偉そうなやつを殺して………あ』

 

『そういうこった。お前のせいだからな?ごめんなさいは?』

 

『後先考えずに行動してごめんなさい』

 

『わかればよろしい。まぁ、結構強くなるためのショートカットはできたと思うが、波乱万丈な生活を強いられることになっちまったな』

 

『でもそこはある程度覚悟してるから大丈夫』

 

 

 少年は脳内で少女と会話しながら下層の人間の様子を見る。ヤクザが所有している住宅に住む人たちの姿が見えないことに気が付いた。

 

 少年はヤクザの幹部を殺してしまったため、その後釜に入ろうといくつかのグループで争っているのだ。少年のいる地域は下層の中でもモンスターがいる方向に近い。この周辺の人間は中心に近いほうの地域を手に入れるために縄張り争いに参加しているようだ。

 

 

『さて、とりあえず俺から言いたいのは、あれを取りに行くのはずいぶんと後になるってことだ。』

 

『そうだな……』

 

 

 ヤクザと少年は一見無関係に見えるが、非常に深くかかわりがある。というのも、その縄張り争いに勝った者は中心部に近い地域へと引っ越すことになるのだ。そしてその引っ越して住む人がいなくなった建物には、またほかの人が住むことになる。

 

 つまり、少年のような何のグループにも属していない人間にも住居を手に入れるチャンスが巡ってくるのだ。

 

 そうなると、その住居をめぐってまた争いがおこる。本当の殺し合いだ。恵の雪崩で拾ったもので武装し、勝った者が住居を手に入れ、いずれ財と立場を手に入れることになる。

 

 その争いの影響は非常に大きく、敗者が元の居場所をほかの者に奪われて放浪し、住居すらなかったもの同士でも物陰を奪いあうことになる。

 

 

 少年が危惧しているのは、モンスターの素材を取りに行っている間にチャンスを逃し、さらに今住んでいる物陰すら失ってしまうという状況になることだ。

 

 

『僕が引き起こしたことだってことはわかってるんだけどさ、迷惑な話だよな…』

 

『そうだな。どうする?今回は狙ってみるか?』

 

『え?』

 

『いや、せっかく転んだんだぜ?なんか拾っていこうって言ってんだ。せっかく面倒ごとに巻き込まれたんだ。ドデカく成果を上げようじゃないか』

 

『うーん、大丈夫かな?だってあれ、ほとんど大人どうしで争ってるんだぞ?銃もってるやつも少なくない』

 

『たしかにそうだな!しかし!忘れちゃならんのが、俺たちは今日!成果なしで帰ってきたわけじゃねぇってことだ!』

 

『成果って、レベルが上がったくらいしか……もしかして!新しいスキル!?』

 

『そう!ちなみにだけど、スローの効果時間も伸びたぞ!』

 

『マジか!で、新しいスキルは!?』

 

『新しいスキル…その名も!ステータスオープン!』

 

『おおおおお!どんな効果なんだ!?』

 

『お前の能力を、数字で表してみることができる!』

 

『…僕のだけ?』

 

『そうだが?』

 

『戦闘に役に立たなくないですか?』

 

『立ちません!』

 

『意味ないじゃん!』

 

『しかし!これを見てみろ!ステータスオ───プン!」

 

 

 しかし、何も起こらなかった。

 

 

『お前の年齢が14歳だということがわかったぞ!』

 

『…なんもわからないんですけど?』

 

『ん?…あ、俺にしか見えてねぇわこれ』

 

『なんじゃそのゴミスキルは───!!!!!!』

 

『待て!待ってくれ!いったん落ち着け!』

 

『僕が確認できなかったら意味ないんだよ!なんであの"おうち戦争"に参加させようとした!?』

 

『お前は夢の中で会えるだろうが!そこで見せてやる!』

 

『…まぁ、僕にも恩恵があることはわかった。でもさ、戦闘中役に立たないよそれ』

 

『そうとも限らないんだよな~これが』

 

『どういうことだ?』

 

『いったん今日は寝てくれ。夢の中で説明しないとわかりにくいはずだ』

 

『わかったけど、しばらく寝れる気がしない』

 

『さっき怒ったせいでな』

 

『誰のせいだと思ってるんだ…』

 

 

 今朝の真剣な態度の彼女はどこへ行ったのかとため息をつきながら、物陰で横になった。

 

 

 

 何度もレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返し、最後のレム睡眠のタイミングで少女が夢に出てくる。

 

 

「さて、お待たせ!今回取得したスキル!ステータスオープン!こいつを試すぞ!」

 

「微妙にダサいよなその名前」

 

「うっせぇ!行くぞ!ステータスオープン!」

 

 

 液晶のような画面がホログラムのように現れる。

 

 

=================

 

リュウヤ 男 14歳

 

レベル   10

HP    500

スタミナ  100

許容重量  50kg

記憶力   93

集中力   150

発見力   150

攻撃力   46

適応力   200

 

=================

 

 

 

「ふむ、なるほどわからん」

 

「まぁまぁそんなすぐあきらめなさんな。俺が教えてやる」

 

「お願いします」

 

「まず、HPっていうのはお前の許容ダメージ量だな。ちなみに平均は700くらいだから、かなりもろいぞ」

 

「最悪じゃん」

 

「で、スタミナ。これは疲れにくさを表してる。平均が大体90くらいだから、結構高いほうだと思うぜ」

 

「ほぉ。これが逃げ足の秘訣ってわけか」

 

「で。記憶力だな。これの平均は100だ。若干お前頭わりぃな。でも下層なら結構高いと思うぜ」

 

「そ、そうなのか…正直ショック」

 

「まぁお前がやってきた勉強なんて上層の5歳児レベルだからな。それにしてはいいほうさ」

 

「じょうそうこわい」

 

「でも集中力を見てみろ。これは俺が速度って呼んでたやつのおかげで伸びた数値だ」

 

「なんで集中力で速度が上がるんだよ?」

 

「スローの効果ってあるだろ?あれが常にうすーく発動するようになるんだ」

 

「へー、どういうこと?」

 

「お前が感覚的にいつも通りの走り方をすると、実際にはいつもよりも速く動くことになるってこと」

 

「そりゃすごい!」

 

「さて、発見力ってのが索敵能力だな。平均は100。ステータスを挙げたから結構いいだろ?」

 

「確かに」

 

「攻撃力だな。これは平均50。ステータスを上げてないせいで元から全く変わってねぇ」

 

「そうか……なんで一般人よりも低いんだ?」

 

「お前の食事がひでぇからだよ。恵の雪崩って結局中層の人間の不法投棄だからな?」

 

「食事って大事」

 

「で、適応力だな。これは冷静さを表してる。平均は100。正直お前の適応力は人間じゃねぇ。元からこれって頭おかしいだろ」

 

「ひっでぇ」

 

「まぁ、ヤクザに絡まれたときにとっさに入り込もうとするやつだしな。ここでの異常性がああいう理解できない行動を生むんだろう」

 

「まぁ、そうかもしれんけど……てかさ、スキルとかないけど、どうなってんの?」

 

「スキルは俺にしかねぇ。スローもエコーシーカーも俺が使ってるだろ?俺にしか使えねぇんだ」

 

「そうなのか……じゃあなんの役に立つんだよコレ」

 

「そう!実はこれのすごいところはスキルを使ったときにある!」

 

「でも俺には見えないんですよね?」

 

「いや、俺のステータスを見せてやる」

 

「え?いいのか?」

 

「名前は隠す。お前単純野郎だからな」

 

「…そろそろ教えてくれてもいいと思うんだけど?」

 

「ま、そこはいずれ言わなかった理由を言うつもり。言っておくがお前を信じてないとか、そんなんじゃないからな。俺とお前の友情は本物だ。そうだろ?…な?」

 

「え?うん。もちろん。何年一緒にいると思ってんだ」

 

「ま、数年だけども。その友情のせいで俺はお前に名前を教えるわけにはいかないんだ。お前は結構感情で動くタイプだからな」

 

「えー、そうかな?」

 

「ああ。なんかいろいろ理由付けたり、根拠を持ってくるけど結局全部お前の意思が混ざってる。だからお前ができるだけ冷静でいられるために、名前を教えるわけにはいかない」

 

「…僕がお前の名前を知ったら冷静でいられなくなるのか?」

 

「いられなくなるだろうな。特に中層では」

 

「なんで?」

 

 

 そこで少女はしまった。というように天を仰いでから、

 

 

「…俺の悪口が飛び交っているからだ」

 

「………そっか」

 

「さ!それよりもこのスキルの有用性を説いていこうじゃあないか!」

 

 

 気を取りなおした少女の話を聞き、少年が落胆した瞬間に目が覚めたという。

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