たとえば、こんなセファール。   作:けっぺん

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3、2、1、どっかーん!(サブタイは『番外』ですが本編です。)


『なぜなにカルデア』!!(非常に多くの独自設定を含みます。)


番外/intro.

 

 ん? どうしたんだい、藤丸くん。

 異聞帯とAチームについての話?

 ……ふん、ふん……ああ、なるほど。まあ、落ち着いて考えてみれば当然生まれる疑問だね。

 

 世界に出現した異聞帯は全部で八つ。

 ロシア、北欧、中国、インド、大西洋、イギリス、南米、そして太平洋。ナンバリングした順だとこうなる。

 これらのそれぞれにクリプターと名乗るAチームのマスターたちが割り当てられているのだとしたら、確かに一人足りない。

 

 おっと、それは違う。Aチームはマシュを含めて八人で全員だ。隠された九人目がいたなんてことはない。

 いや、んー……実質的にそういうことになりはするのかな。

 そうだね、せっかくの機会だ。

 少し長い話になるけど、話そう。コーヒーでも持ってきて、ついでにマシュを連れてきてくれるかい?

 “私”は記憶こそあるけど、直接会ったことはないからね。

 マシュが直接触れ合っての印象も、重要な情報になる筈だ。

 

 

 さて。Aチームはマシュの他、七人の精鋭で構成されたチームだ。

 キリシュタリア・ヴォーダイムをリーダーとして、カドック・ゼムルプス、オフェリア・ファムルソローネ、芥ヒナコ、スカンジナビア・ペペロンチーノ、ベリル・ガット、デイビット・ゼム・ヴォイド。

 これは実際に特異点に赴く人数として、考えられる最大の人数だ。

 なんてったって、カルデアで召喚を行ってのサーヴァント運用を許可されていたのは七騎までだった訳だしね。

 ゆえにこそ、マスターとして選ばれたのが彼らだった訳だけど……まあ、契約の穴を突いたり真実を言いつつ欺くのは魔術師の常套手段だからね。

 

「――はい。その手段として、特異点攻略を行うAチームとしても、有事に備えるBチームからDチームのメンバーとしても数えられないものの、レイシフトに同行する顧問監督官が配備されていました」

 

 そう。この役職はカルデアに所属してこそいれど、正確には外部の組織からの出向という扱いだった。

 マリスビリー・アニムスフィアが口八丁で魔術協会を動かして、事前に人員を迎えていたのさ。

 人理焼却事件への対処において、カルデアの権限として許されている事柄の範疇を超える必要が出てきた場合、現地でその必要の是非を判断して意思決定を行う者。

 まあ、要するにあらゆる例外を正当化して後々魔術協会やら国連やらに代表として頭を下げてもらう不遇な役回りさ。

 特に英霊召喚なんてこんな事件に対して七騎では少なすぎる。もう始まる前から頭が痛かっただろうね。

 

 また、顧問監督官にはカルデアとは別枠で英霊召喚の権利が与えられていた。

 特異点でのAチームの作戦においては基本的に戦力とは数えず、あくまでこの人物の護衛として、だ。

 ……ここまで話せばわかるだろう?

 

 そう。顧問監督官は最初からカルデア側の人物。事実上、Aチームの一員だった訳さ。

 これは協会側も実のところ分かっていただろうけど、必要と判断された戦力が表向きでも自分たちの側にあるというのは後々都合がいいからね。黙認していたんだろう。

 召喚するサーヴァントはアサシン、もしくはエクストラクラスを予定していた。

 

 さて、役職についてはここまで。

 ここからは個人と、そのバックについての話だ。

 ……他に聞き耳を立てている人はいないね?

 マシュは分かっているだろうけど、藤丸くんもオフレコで頼むよ。正直、そんなに聞かれたくない人もいるしね。

 

 

 ――顧問監督官、ナジア・(アルビオン)・ハーウェイ。

 カルデアの大口スポンサーの一つ、西欧財閥から派遣された、エジプト出身の女性魔術師だ。

 人物としては一言でいえば……まあ、柔らかくもお堅い人物かな。

 

「丁寧かつ誠実。心の底から真面目な人です。ペペさんは彼女を指して――こほん、『ここまで自分を偽らず、仕事の時は誰にでも同じ顔をして、それでも信頼されることが出来る子もそうそういないわ。器用万能……いえ、とっても不器用万能ね』と――わ、笑わないでください二人とも!」

 

 いやあ、ごめんごめん。マシュ、何時の間に彼の声真似なんて覚えたんだい?

 まあ、その通りだ。人と接する性格にあそこまで裏表のない人物も珍しい。

 きっとそういう風に幼い頃から自分を律していたんだろうね。

 その上で――西欧財閥、魔術協会、国連、そしてカルデア……魔術師と交わる世界でこれだけの組織に面と向かって向き合える、Aチームと並ぶには相応しい天才だよ。

 ああいう人物が組織には欲しい。必要不可欠ではないが、リーダー以外で一人いると組織が非常によく回る……外部との仲介としてこれ以上ない人物だ。

 専門は錬金術と人形工学(ドールエンジニアリング)。勿論、魔術師以外とも関わるから現代の科学分野にも理解を持っているよ。

 

 ……ん? ああ、そっか。

 確かに、西欧財閥について話題に出すのは初めてだったね。

 名前くらいは聞いたことあるだろう? 世界有数の財力を誇る、その名の通り西欧を中心とした合体企業だ。

 その歴史はカール大帝が築き上げた神聖ローマ帝国にまで遡り、実に千年以上もの間、世界の経済を支えてきたとされる。

 こうした成り立ちからその立ち位置は聖堂教会寄りだけど、財閥そのものが内部で勢力争いしていて、横に長いからね。勢力によっては魔術協会とも太いパイプを持っている。

 彼女の所属するハーウェイ家はその中でも最大の勢力を持っていて、おまけに立ち位置は中立。どちらの関係も良いところ取りと言う訳さ。

 とはいえ、ナジア・ハーウェイはハーウェイ家と直接血の繋がった人物じゃない。

 

「……ダ・ヴィンチちゃん。その、ナジアさんは……」

 

 ……そうだね。だけど、彼女のことは藤丸くんも知っていないとならない。

 Aチームのみんなと同じく、カルデア解体の日に解凍される筈だった彼女も消失していた。

 順当にいくと、いずれかの異聞帯の担当となっている可能性が高いのだからね。

 

 正確に言うと、ナジア・ハーウェイは人間じゃない。

 ホムンクルス――それも、ホムンクルスを母体として作られ、出産によって誕生した特殊な個体だ。

 そういうことが実際に可能であることは知られているし、前例もあるにはあるけど、時間も掛かれば出来るのも所詮はホムンクルスなので採算が取れず非効率的……錬金術の分野としては悪趣味かつナンセンスな手法とされる。

 生まれた場所でそれを知らない者がいる筈もない。経緯は不明だが、何か理由があったんだろうね。

 

 彼女はアトラス院に所属していたとある魔術師によって作られたという。

 そして作成者の目的が果たされたとして十二歳の頃、ハーウェイ家に売却された。

 その後はハーウェイの養子として生きるようになり、やがてはアトラス院以外の部門にも関わるようになった――。

 …………、うん、彼女を知るのに必要な記録としてはこんなところかな。

 

「――、はい。わたしも異論はありません。――こうした生い立ちから各所の橋渡しとなるポストに至るまで、大変な努力をしてきたのだと思います。確かに規則や訓練には厳しかったですが……あんなに優しい目をする方と、戦うことになるのは……」

 

 ……覚悟だけはしておかないといけないよ、マシュ。

 もしも、そうなっていた場合は、彼女に勝たなきゃいけない。

 彼女は確かに、マシュに対してAチームの誰とも違う“慈愛”を向けていた。

 だけど、彼女は敵となった時、それまでの関係だったと割り切って新たな価値観で向き合うことが出来るタイプの人物だ。

 少なくとも、君と対峙している間は絶対に、かつてのナジア・ハーウェイとなることはない。

 マシュ、弛んでいるところを叱られるよりは、成長した姿を見せつけてやりたいだろう?

 

「……そう、ですね。あの頃は、よくナジアさんに心配されていましたが……今のわたしを披露したいという気持ちも確かにあります」

 

 それでよし。その強さをきっと彼女は評価してくれる筈だ。

 ……と、まあそんな感じさ。

 彼女がクリプターの一角となっているかは今もって不明だが、出会った時、くれぐれも油断はしないこと。

 純粋な戦闘能力に関してはAチームの面々とは比べるべくもないというのがデータを見た限りの評価だけど、彼女だってレイシフトを行うマスターとして選ばれた魔術師だ。ジョーカーの一つや二つ持っていてもおかしくない。

 それに、異聞帯での有利な立ち位置も彼女なら容易く手に入れることが出来るだろう。

 完全完璧、計算を上回っても即座に算出される次の方程式――きっと、彼女の盤面に隙は無い。

 何もかも彼女の手のひらの上だと思って戦った方がいい。

 まあ、いつも規格外をぶつけられる君には釈迦に説法かもしれないけどね!

 

 

 

 

 ――あー。やっぱり、そういうコト。

 ですよねぇ。カルデアの人員の顔写真を見た時からまさかとは思っていたけど、ほんっとに巡り合わせが悪いのなんの。

 ああいう性格、直さないと駄目だってのに、そのまま外に出ていくんだもんなぁ。そりゃあこういうことにも巻き込まれるって。

 

 ん? 彼女の担当異聞帯攻略に参加? 隙を作れる?

 ナイナイ! だって薄情なのが魔術師って生き物ですから!




■ナジア・A・ハーウェイ
身長:171cm
体重:56kg
出身地:エジプト・アトラス院
特技:錬金術、高速思考、分割思考
好きなもの:占星術、管理体制、安定
嫌いなもの:ギャンブル、怠惰、物語が終わりに向かっていく感覚
※カルデアにて提出されたセルフチェックシートによる。

太平洋異聞帯担当となる、クリプターの番外メンバー。
容姿イメージは女体化陳宮十年ほど成長したラニ=Ⅷ。
西欧財閥からカルデアに派遣された顧問監督官であり、Aチームと共にレイシフトを行う予定だった人物で、彼ら同様一回の英霊召喚保障と三画の令呪が与えられている。
そのため、可能な限り訓練などにも参加しており、面々との交流も普通に行われていた。
立場上はカルデアの上位組織からの監査官ではあるが、人理焼却事件を重く見ていたからか例外許可の発行には寛容とするつもりだった。
それを暗黙の了解としてカルデアで過ごしていたため他のマスターやスタッフとの隔たりもないが、ホムンクルスであるため彼女をマシュ同様備品と見ていた者も少なからずいる。
特徴的な交友関係は、そうした偏見のないペペロンチーノや、やや他のスタッフに対するそれとは異なる態度だったヒナコ。
また、ベリルとは互いの存在そのものが地雷のようだが、そこを互いに避ければ何故かそれなりに親しく見える。ベリル曰く「一対一ならこれほど気が楽な相手もいない。向こうだってそうだろうさ、一緒にいるなら危なくないヤツの方がいいもんな?」

Aチームのメンバー同様に爆発事故で重傷を負い凍結していたが、二〇一七年十二月三十一日の解凍作業直後に失踪。
キリシュタリア率いるクリプターの番外メンバーとなり、成し遂げようとする『神々の時代』の再来において最も脅威となる『全ての神を否定した可能性の高い人類史』の管理、対応を任された。
汎人類史への叛逆宣言時、キリシュタリアは原作通り「七人のクリプター」と発言した。これは彼女が番外であり大令呪を持たないため。
にもかかわらず異聞帯の生存競争に席を与えられた理由は、クリプターのうち二名が知るのみとなる。

キリシュタリアの能力、人格、思想を高く評価しており、その対価としてキリシュタリアも彼女に信を置き、ゆえに彼女()最も適した異聞帯を任せた。
以下はこの異聞帯の状況を知った彼女の発言である。
「……キリシュタリアくん。キリシュタリア。キリシュ。私はキミを評価しているし、ゆえにキミの信頼を嬉しく思うの」
「だけど、私は確かに聞いた。『この太平洋異聞帯こそ、私()最も適した異聞帯』だと」
「馬っっっ鹿じゃないの!? これ以下なんてないほど向いてないじゃないの!」
「適したってんならまだイギリスか南米でしょ! ちょっと! 応答して! 通信に出ろ! キリシュ!」
――彼女の異聞帯生活は明るそうだ。

■前書きのそれ古くない?
うるせえ!! FGOでもパロってただろ!!!!
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