破滅と輝きの逢瀬から始まった星降る世界。
終点は無限の嵐と光を超えて、やがて滅びは新天地に集う。
その喝采は、誰のものか――。
――状況の変化を確認した。
対価は、いま支払われた。
選ばれし君たちに提案し、捨てられた君たちに提示する。
栄光を望むならば、蘇生を選べ。
怠惰を望むならば、永久の眠りを選べ。
神は、どちらでもいい。
――怠惰は嫌いだった。
亀の歩みが悪い訳ではない。隼の飛翔が悪い訳ではない。
しかし、己の力はそこまでだと進歩を妥協してしまってはいけない。他の力はそんなものかと協調を諦めてはならない。
足並みを揃えることが大切なのだ。
それが最終的な結果として到着を早め、距離を伸ばし、より偉大な進歩に繋がる。
少なくとも、自由を得るのは、目標に到達してからでも良い筈だ。
「カドックくん、自主練? あまり無茶はよくない。今のキミに必要なのは休息だよ」
「っ、うるさいな。さっきの訓練の結果を見ただろ。怠けている場合じゃない。あれじゃあチーム全体の足を引っ張ることになる」
「休むことは怠惰じゃない。根性論が絵空事以上の結果を生むのは本番だけだ。キミ、訓練で限界超えてもなんの自慢にもならないよ?」
「……ハーウェイ。アンタ、“そういうの”は否定しないのか」
「根性論のこと? 事実だもの。人間ほど曖昧な生き物はいないからね。カドックくん、ホムンクルスがどうして無茶をしないのか知ってる?」
「そりゃあ……そう作られていないからだろ。必要な時に必要なだけ力を引き出す。ホムンクルスってのはそれだけ正確な――」
「はずれ。無茶が出来ないんじゃなくて、無茶しても意味がない。引き出せる力以上に、使える運命が常に一定だから、許された幸運で戦うしかないってこと。人間には運命で引っ繰り返せる力があるんだから、訓練で使うのは勿体ないよ」
「……何というか、本当にらしくないよな。ホムンクルスから運命だの幸運だのって言葉を聞くとは思わなかった」
「まあ、私は心臓に結構いいもの使われてるし。運命力に関しては割とどうにでもなるけどね」
「今の会話でアンタに抱いた感情諸々返してくれ」
「それって、ホムンクルス――いえ、ゴーレム?」
「ええ。荷物持ちにホムンクルスは使わないよ。命令を与えるだけなら、ゴーレムで十分」
「私、ここまで綺麗なゴーレムは初めて見たわ。こう、岩塊ってイメージがあるから」
「まあ、必要な役割を遂行させるだけなら形に拘る必要はないもんね。効率主義な偏屈魔術師なら尚更、ここまではしない」
「……気を悪くしたら謝るけど、計算尽くめな貴女が魔術師の効率主義を皮肉るの凄いわね」
「
「それ、凄く気になるわ。ナジア、詳しく聞かせてもらえない?」
「取引しましょう。私、貴女とキリシュタリアくんに進展があったか聞きたいわ、オフェリアちゃん」
「ちょっと用事を思い出したわ、失礼するわね!」
「……ちょっと露骨じゃない?」
「……そっちもね。というか何で貴女が本を読むフリなんてしてるのよ」
「休憩中に何もしていないのもどうかと思ったんだけど、この本前に読んだから全部覚えているのよね」
「……呆れた。仮にも顧問監督官なんだから、やることなんて山ほどあるでしょうに」
「やり切った。やり切り過ぎた。これ以上推敲すると逆に捏造を疑われる」
「仕事熱心だこと。カルデア内はともかく、外の人間は貴女を見習うべきね」
「人にとって、一日は色々成すには短いんだって。芥さんももっと色々やってみたら? ペペみたいに」
「結構よ。……ところで、なんでカルデアで私だけ“さん”付けなのよ」
「いや、だって……ねえ? 私はこう、アレで。貴女はそう、アレなんだし」
「貴女の“アレ”とやらをさも私が知っている風に言うのやめて。ともかく、私が違和感を持たれるようなことは避けてほしいんだけど」
「…………ヒナコちゃん」
「ないわ」
「ないね」
「あら、ナジア。なんか嬉しそうじゃない。良い事でもあった?」
「ペペ――ええ、ハーウェイから手紙が届いたのよ」
「へえ、良かったじゃないの。それは写真? ……キャ――――ッ! 何これ可愛い!」
「うわうるさ……でも、そうでしょ? 可愛いでしょ? ああ……もう、帰りたくなってきた。ジュリィ、全然ご飯食べてないな……身長伸びないぞ、そんなんだと」
「――大切な子たちなのね。それが、貴女がここに来た理由かしら?」
「そんな大層なものじゃないよ。私が選ばれたのは適していたから。私個人としては、あまり長く離れていたくなかった訳だし」
「まあ、そうよね。でも、そのために未来を捨てられないと思っているのも事実。違う?」
「正解。たとえ長く生きられなくても、幸せになることは出来る。その前提が無くなるのは、困るかな」
「素敵なことだと思うわ、それ。今日のお茶会のテーマは決まったわね。みんなを呼んできましょ!」
「…………惚気るよ?」
「大いに望むところだわ!」
――だから、誰も眠りを選ばないと、確信できた。
異星の神とやらがどういう訳で、クリプターたちだけでなく私までもに機会を与えたのかは知らない。
だが、Aチームに平等に機会が与えられているのなら、少なくとも膝を折る者はいない。
であれば私がすべきは一つだった。
「――キリシュタリア。これ、言わないと駄目かな」
「そうだね。私も何を言い出すかは想像がついているが、自分のことを一番分かっているのは自分だ。遠慮なく告げてほしい」
「なら。――限界が近いよ。負けても、万が一勝ってもここで私は終わり。四つ目には行けない」
「……無理をさせ過ぎたと思っている。出来れば交渉ごとだけを任せたかったんだが」
「いいよ。それだけじゃあ納得できなかったのは私の勝手。キミの記録を塗り替えるために必要な、自分の怠惰が許せなかった」
「……なんの話か分からないな」
「分かっちゃうんだよね。慣れ過ぎてるって。キリシュタリアが自覚するものかと努めている“慣れ”は、私からしてみれば不自然過ぎる。だから、キミの終盤の記録を彩ってあげようと頑張ったんだけど」
「そうか。仕事モードのキミがそんなことを考えていたとは。……安心してほしい。キミとの旅は得難いものだった。オケアノスの乾杯は楽しく、セプテムの夕べは明るく、ロンディニウムの滅亡は鮮烈だった。だからこそ、こんな寄り道で終わるのは認めたくないが――」
「大丈夫。それも、分かる。私のためでしょ? でなきゃ、キリシュタリアがここまで私に優しい筈がない」
「……これは意識改革が必要だな。私は誰にでも優しいキリシュタリア・ヴォーダイムでいなければ」
「…………あー、エラー起こした。これは私のキラーパスがひどかった。ごめんキリシュ」
「ふ、心なしか顔が微かに熱い。“滑る”とはこういうものか」
「そういう一面、もっとみんなの前で見せれば良いのに。……さて、軽口はここまでにしようか。本例外事象の処理目標が十分切った。まあ、それだけあればキリシュタリアなら大丈夫か」
「そうなるよう努力しよう。こうなったなら、全力でキミを叩き潰す。この監獄塔から出て、人理焼却事件を解決するのは私だ」
「よく言った。こっちも全力でいくよ。そうして私は、『監獄塔の希望』としてキミを彩ってあげる――!」
――与えられた異聞帯は、太平洋。
場所を地図で見た時、私は暫く思考を停止した。
少なくとも汎人類史において、ここまで巨大な異聞の中心となるような場所はない。
それを言えばキリシュタリアの大西洋異聞帯も同じだが――どちらも、よほどの汎人類史との違い、よほどの異聞としての深度を有しているのだろうと納得させた。
ここはキリシュタリア曰く、恐らくはイギリスと並んで、都合の悪すぎる異聞帯。
そしてほぼ間違いなく、異星の神にとってもクリプターにとっても脅威となるらしい。
私が任されたのはこの異聞帯の管理と制御。
そして、いざという時の例外許可の発行。
空想樹を伐採しろとは言われていない。その強行は困難だと、キリシュタリアは予測していたのだろう。
ゆえに私がすべきは、この異聞帯の王――ひいては住民たちに取り入り、動きやすい立ち位置を確保すること。
必要な時にいつでもやるべきことが出来るよう、盤石な態勢を整えること。
――だったのだが。
地球そのものが生まれ変わった新天地。
新たなる土壌の上に成る世界こそが、その異聞帯だった。
自然はまだいい。即席の計測器では振り切れてしまうほどの異質に過ぎる魔力量を持った、私の知識にない種の草花。
これらは異聞帯ということで納得も出来る。
剪定事象が現代まで続いた“もしも”の世界。歴史が一つ違えば、生まれ出る自然もまた変わるのは道理。
しかし、自然そのものの在り方は変わっていない。
木に生ったリンゴが地に落ちる。これが変わってしまえば、地球という星ですらない。ここは安心した。
だが、この異様な“街並み”は――何と例えればいいのだろうか。
文明レベルは汎人類史以上。しかし生活様式という観点では、汎人類史の大都市を模倣したように見えなくもない。
その模倣の仕方が、本当に形だけだ。
そう――設計図すらない、写真だけを見て、別世界で現地の資材を用いて再現したかのような。
現に私が今いる場所もそう。
整備された室内。そこにあるモノの機能こそ、見れば分かる程度に汎人類史でありふれたものが並んでいる。
だがそれが何で出来ているのか。そして、“どうしてこういう形になったのか”が分からない。
過程がまったく感じられないのだ。
こういう発明から始まって、こういう失敗があって、こういう進歩を経て、こういう完成に至った。そんな過程など存在しない、“はじめからこういうもの、こういう形だと知っていて”作られたような異物感を、全てに対して感じる。
何をどうしたらこうなるのか。この素材でどうしてこれを作ろうと思ったのか。そもそも、これはこの世界に必要なものなのか。
疑問を呈し始めればいつまで経っても終わらないような、謎と謎で出来た芸術作品。
はっきり言って、目を開けてこの部屋を見渡していれば気が狂う。
そう、現実逃避気味に目を閉じていれば、思い出すのはこの世界に来た時のこと。
――悍ましさしか感じない、宇宙の柱を見た。
高く高く天へと続く、宇宙にさえ届いているのではないかと感じる、一筋に伸びる星空。
なるほど、あれこそが空想樹か。異聞帯を維持するほどの、認識の埒外にある物体ならば、怖気しか感じなくてもおかしくない。
――それが、はじめからこの世界にある、唯一の信仰の先であると知ったのは、十五分後。
私こそが世界にとって異質であることはすぐに察され拘束。しかし追及もそこそこに解放された直後だった。
曰く……この世界こそが地球という星であるという認識の現地民の言葉ではあるが。
この星では“
敵意、害意が無く、“それ”が“巨神王”から終焉と判断されないのであれば、七日間のみ滞在を許す。
すぐに剣だの魔術だのを向けてくるような野蛮な民でないことに安心し、
即ち、空想樹の在り処だ。
異聞帯を管理する身として、まずその場所は知っておかねばならない。
空想樹という名を隠し、キリシュタリアから預かったその情報のうち問題のなさそうなものを開示し、私は現地民に尋ねてみた。
もしかすると王に近い存在でなければ知らないかもしれないが、手掛かりだけでも得られれば、と。
それってあれだろ。少し前に降ってきたけど、始祖が直々に対処されて、危険が無くなったから防衛機構として第一防衛線に送られたっていう。
即答だった。さも常識のようだった。
私が知らない間に、空想樹は現地民に回収され、それどころか何らかの機構に転用されていた。
あまりの事態に絶句し、茫然自失だった私を心配してくれたのか、その人が異邦人用の宿泊施設に案内してくれたまでが、その日の出来事。
そこからどうにか立ち直り、今日から頑張ろうと外に出て、明らかにこの星の住民ではない“お隣さん”と出会って、その瞳の先の何かに繋がりそうになって部屋に逃げ帰りそのまま引き籠っていたのが、二日目の出来事。
そうだ。ここは異邦人の居住施設。前提が常識とかけ離れているが意味だけは理解できる。“そういうの”がいてもおかしくない。おかしくない。おかしくない。
自分に全力で言い聞かせ、再度外に出て情報収集を開始。
遂にこの世界の誰しもが知る、『妖精が残した創世神話』を聞くことが出来た。
すべてのはじまりよりもむかし、せかいにはたくさんのかみさまがいました。
ひとはかみさまにいのり、かみさまはひとにめぐみをあたえる。それがただしいせかいでした。
あるとき、ほしがおちてきました。しろいほしは、きれいなきょじんになりました。
かみさまたちは、きょじんとたたかいました。せかいはかみさまたちのもので、きょじんはそれをこわしにきたとおもったからです。
きょじんはつよく、むかってくるかみさまたちをみんなたおし、たべてしまいます。そのたびに、きょじんはおおきくなっていきました。
かみさまたちには、ひとにめぐみをあたえるよゆうがなくなりました。
ひとをぜんぶまきこんででも、きょじんをたおそうとしていました。
ところが、きょじんはひとをたいせつにしました。
きょじんはじぶんのあしでひとをふみつぶしてしまわないようにひとのむらをよけてあるき、きにせずにむかってくるかみさまからひとをまもったのです。
それをみていたようせいは、せかいがかわるのをかんじとりました。
ほしみたいにあかるくかがやくせいけんをつくり、ひとりのおんなのこにわたしました。
せいけんはせかいでただひとり、このおんなのこだけがつかうことができたからです。
おんなのこはせいけんつかいとなって、きょじんとであいました。きょじんも、せいけんつかいも、おなじかがやきをもっていました。
きょじんとせいけんつかいは、すぐにともだちになりました。
それから、にせんかい、せかいがまわったころ、かみさまはついにおこってしまいました。
きょじんがかみさまのようにいのられて、ひとがかみさまのようにかがやくのを、ゆるせなかったのです。
だけど、きょじんにはかてないので、かみさまはせいけんつかいをのろいました。
せいけんつかいはくるしんで、でも、きょじんをかなしませたくないので、わらいました。
きょじんはせいけんつかいにしんでほしくはありませんでした。そして、せいけんつかいをのろったかみさまにおこりました。
だから、かみさまをすべてたべてしまい、そのちからをつかって、せいけんつかいをたすけました。
かみさまがいなくなって、せかいがしんでしまいそうになったので、こんどはきょじんがかみさまとなり、せかいとひとつになりました。
きょじんはひとをあいしていました。じぶんのおわりまで、とちゅうでなげだすこともできなくなりました。
そんなきょじんをみて、せいけんつかいはただひとり、きょじんをたおすことができるそんざいとなりました。
きょじんはせいけんつかいがだいすきで、せいけんつかいもきょじんがだいすきだったので、せかいのおわりまでいっしょにいることをちかいました。
いつかきょじんがねむるとき、はじまりのやくそくははたされます。
そのいつかは、とてもおだやかで、とてもうつくしいものになるでしょう。
この、いまもつづくものがたりは、いつだってようせいがしゅくふくしているのですから。
――昔話というものは得てして改変されるものである。
シンデレラは義理の姉妹に罰が当たることなく謝罪して和解を遂げ。
三匹の子豚は三男以外も逃げ切って、狼も負けて逃げ去るだけで終わらず、謝罪してやっぱり和解を遂げ。
赤ずきんには猟師という謎の新キャラクターが生えてきてまで狼から赤ずきんとおばあさんを救う。あとやっぱり狼も生き残って謝罪して和解を遂げる。
それと同じだ。
これぞ神代の終わり――英雄王の誕生よりも前にあったはじまりの衰退たる、セファール伝説の新解釈。
白き巨人セファールと聖剣使いは無二の親友となり和解して終了。ちなみに神は全滅した。
ああ、素晴らしきハッピーエンド!
「――なんて言うか――! 馬鹿! 馬鹿! ほんっと馬鹿! 何が
全ての理解を放棄した私はその時、とりあえず次に会ったらキリシュを絶対にぶん殴ろうと心に決めたのだった。
■前書き
CMにある語り的なの。
■支払われた対価
ナジア・A・ハーウェイは第三特異点であったロンドンを攻略した後死亡し、第四特異点からはキリシュタリア・ヴォ―ダイムのみでの攻略となった。
脱落は特異点攻略中にあった“躓き”であり、二人纏めて監獄塔に幽閉される。
そこに恩讐の鬼の助けはなく、最後は二人のどちらかのみが外に出られることを知り、ナジアはこの出来事こそが『監獄塔の希望』とならんことを願い、戦いの末キリシュタリアを外に送り出した。
■太平洋異聞帯
ナジアが最も適しているとキリシュタリアが判断し、管理を任せた異聞帯。
一万四千年前の、白き巨人と聖剣使いの盟約が契機となり、新生した世界が土台となっている。
世界中の人々が意思を一つにすべき過酷な事態が続いたことで、防衛のために文明レベルは上がり、汎人類史を超える技術力を持つことになった。
昼夜問わず空へと一筋に伸びる星空の柱が特徴。これが世界唯一の信仰の先。
世界の最前線とされる異聞帯中心地は、汎人類史にほど近い街並みを、全く異なる素材を用いて見様見真似で再現したような、汎人類史を知る者が見れば異質さしか感じられない未来都市となっている。
また、
そのため地球外生命体が観光客感覚でいる場合があるが、異邦人の扱いは地区によって幾らか変わるという。
■空想樹オメガ
太平洋異聞帯に根付く筈だった――根付いていることになっている空想樹。
他の空想樹同様のタイミングで発芽したが、あまりにも世界が異物に対して敏感だった。
始祖――つまりは巨神王と聖剣使いが直々に対応し、回収され、宙を睨む第一防衛線に最新兵器“オメガ”として送られた。
オメガとは異聞帯中心地に該当する地区の名称。偶然空想樹の名称と被った。
■創世神話
この世界において誰もが知る、はじまりの物語。
特に、白き星が世界に落ちてきてから、セファールと聖剣使いの盟約までの物語を指す。
人によって各部の解釈が分かれており、幾つかのパターンを成しているが、「大筋の物語を妖精が祝福している」という点はほぼ共通している。
これは一万四千年前の実話。戦闘王女や語り部の魔女すら誕生する前の出来事であり、実態を知る者はセファールと聖剣使い自身しかいない。
何人かの歴史研究家が本人に直撃したものの、大体を否定されたり、言っていることが毎回変わったりするため、真相は謎のままである。
この神話を一から学ぶ場合、以下が人気である。
『はじまりのものがたり』
妖精が直に紡いだという伝説がある物語。
記録としては最古のものであり、遠く離れた土地に同じ話が存在したことから、「妖精が世界を旅して語り継いでいたのではないか」とされる。
短く纏まっており、実のところこの神話を描く大体の文書はこれを基にしている。
絵本にもなっているため、ほぼ全ての幼児が最初に触れる昔話。
『創世記』
セファールと聖剣使いの対話形式を主として語られる作品。
まるで見てきたかのような、やけに質感のある描写が特徴で人気があるが、研究者からは「始祖を侮辱している」と否定的な意見が多数あった。
ところが聖剣使いに本書の内容が真実か聞いたところ、「そんなの覚えていない」「覚えていないけど私たちはこういうことは言わない」「セファールジョークは言ってた」という回答が返ってくる。
本書が否定されていた最大の要因であったセファールジョークだけは真実だとされたことから、一気に歴史書として重要性が高まることになったという経緯がある。
『回想録』
聖剣使い自らが記した、かつてのセファールへの印象を綴った短い話。
曰く聖剣使いの暇潰しであったようで、冊子程度の薄さだが、本人の著書であることから、ある種上記の二つより重要視されている。
ただし非常に辛辣、かつ「いらん使命感で戦うことになった」みたいな愚痴が大半であることから「聖剣使い様のエイプリルフール企画」「いや、聖剣使い様の照れ隠し」ともっぱらの評価。
『聖剣はかく語りき』
近年になって某氏によって執筆された、創世神話を元ネタにした小説。R-18。
創作であることを明言した上で、セファールと聖剣使いによる、創世記の騒乱に揺れる禁断の愛を描く。
戦いの中で愛を描いた物語としては本人が実話と認めた『ラグナロク戦記』が不動の人気であり、こちらはあくまでフィクションかつ始祖の話かつ妙な湿度を持つため、非常に人を選ぶ。
発売から暫くして色々な手違いから聖剣使いの手に渡り、完読した後に「あり得ない」と断じられ、何やかんやあって『新約異聞』という末端の末端の末端クラスで公式化した。
次回からはまた、セファールと聖剣使い二人の時代に戻ります。