いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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お待たせしましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
失踪はしておりませんよ!
やることが多すぎて中々手が付けられませんでした!

今回は初めて番外編として体育祭までのある出来事を書いていきます。
体育祭をお待ちの方はごめんなさい!もう少しで入りますのでもう少しお待ちください!!

これからも遅くはなるかもしれませんが更新します!楽しみにしていてください!


閑話 そうだ!八百万家に行こう その1

普通科の生徒が教室前に集まった事件から1日後の放課後、まだ誰も帰っていない教室の中である会話が行われていた。

 

 

「石楠花さん。明日私の家に来ていただけませんか?」

「いいよ。挙式はいつにする?」

「いやその会話の流れはおかしい!!」

 

 

誘うヤオモモお嬢様。

安定のハイスペックバカ。

即座に異変に気づく妹。

 

いつもの会話の流れだが内容が内容のため、皆の注目を集めた。

 

「この会話の流れの何処がおかしいんだ?妹よ」

「妹言うな!二度とあんたのことをお兄ちゃんなんて呼ぶ機会はない!!それと話はどう考えてもおかしかった!」

 

 

授業中に皆の前で鱗のことを「お兄ちゃん」と呼び、盛大にやらかすまで、あと5日。

 

 

「何をバカなことを。家に呼ぶということは結納をすますということだろ?」

「何一つとして違うんだよ!?ヤオモモ!考え直して!男はオオカミなんて言うけど、このバカはオオカミなんてレベルじゃないよ!!下半身直結型の未確認ワーウルフ生物だよ!?」

「落ち着けよ、落雁食うか?」

「黙れ!」

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

コイツ…!躊躇なくプラグ攻撃してきやがって…!いくら俺が頑丈でも限度があるぞ!?

 

しかしかなり注目を浴びたようだな。

俺もまさか八百万直々にお誘いがかかるなんて思ってもなかったからな。

 

「石楠花お前…!お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「当て身」

「かぺっ…!」

「テメェ何で女の子にお呼ばれしてんだぁぁぁぁぁぁ!!」

「当て身」

「くぺっ…!」

 

 

悲しき童貞2匹が逆恨みで襲ってきやがったか…

だがお前達の拳は俺との間に立ち塞がる壁を壊さない限り届きはしないぜ?

そう…女の子と親しく話すという壁がな…!!

 

 

 

童貞達の襲撃が一段落ついたタイミングに合わせて、耳郎の問いに答えるように八百万が話し始める。

 

「石楠花さんは真面目な方ですわ。密着して半日過ごしましたが私が嫌がることや大変なことはなさらなかったんですもの。それどころか優しくフォローして下さりましたわ!」

「八百万よ、もっと俺を褒めてくれ」

「えっ…?この変態を凝縮したかのような存在の男が…?」

「妹よ、蔑みはノーサンキューだ」

 

全く…俺のことを何だと思っているのかね。

 

 

「石楠花はやる時はやる変態って感じだよね〜」

「その言葉には悪意しか感じないぞ?濡れ濡れヌルヌル芦戸よ」

「その言い方にも悪意しかない!!変態!!!」

「落ち着けよ、落雁食う………待て!酸はダメだ!!」

 

 

危ねぇ!もう少しで溶けてドロドロ殺人事件になるところだった…!だんだんと女子が俺に対して躊躇なく攻撃するようになってきた気がする…、俺ほどの空気が読める男に攻撃など言語道断だよ諸君。

 

 

「あんたは話さなければ印象違うのにね」

「わかる!石楠花君は話すから残念なんだよ!」

「話さなければ優良物件なのにね!」

「口は禍の元よ」

 

 

 

 

「女子がいじめてくるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!助けてくれよ口田先生ぇぇぇぇぇぇ!!」

「………!?」

「口田ちゃんが困っているわ。やめてあげて頂戴」

 

なんだよ!俺に味方はいないのかよ!!困りながらも慰めてくれる口田優しすぎる!俺に話すなとか死ねと同義だろ!!

 

 

「はぁ…、うちらは静かな石楠花を見る日なんてあるのかな?」

「妹よ、悩み事かい?どしたん?話聞こうか?」

「ふん!」

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!?心配しただけなのに!?」

 

 

やっぱり話す話さない以前に狂暴すぎるだろ!?

 

 

 

 

 

石楠花と女子とのやり取りが一段落ついたタイミングで八百万が話しかける。

 

 

 

 

「石楠花さん、予定は大丈夫ですか?」

「ああ、明日は日曜日だし予定も無いから大丈夫よ」

「ありがとうございます。なら明日の朝にお迎えに上がりますわ」

「うい」

 

 

おいおい、遂に俺が女の子の家にお呼ばれされちゃったぜ!なんて素晴らしいんだ!外面は取り繕ってるけど内面は嬉しすぎて狂喜乱舞してるぜ!

 

とりあえず今日中にスーツをオーダーメイドで作るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございますわ、石楠花さん」

「おはよう、とりあえずリムジンを移動させようか」

 

前送ってもらったときにも思ったことだが、よくこの大して広くもない路地にリムジンを通せるよな。運転手の運転技術には脱帽だよ。

 

それと俺の服装はファッション雑誌に載ってそうな無難な服装になった。家に帰って「女の子の家に行くからオーダーメイドでスーツ作るわ」って言ったら、母親にフライパンで張り倒された。熱されたフライパンで息子を全力で叩く親なんて半径十キロ圏内で探しても我が家だけだと思う。

 

「では我が家に向かいましょうか。お父様とお母様が会いたがっていましたので」

「えっ、お父様とお母様が俺に会いたがってんの?」

「はい!」

 

えっ、親が俺に会いたがるとかヤバい気配しかしないよな。ただでさえいろいろやらかして、我が担任のせいでそのヤバいことがバレてるんだぜ?それで会いたいとか俺今日死ぬんじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着きましたわ!」

「えっ、ここ?国会議事堂前じゃないの?」

 

ナニコレ?さっきから同じ塀ばかり見るな~と思っていたら、その塀の奥にあるバッキンガム宮殿ばりの建物が家とかもう笑うしかねぇわ。どんだけ金持ちなのよ。庭でガ〇ダム飼えるぜ?

 

「さあ、行きましょうか」

「待って心の準備させて!それと遺書を書かせて!」

「どこに向かうつもりなのですか!?」

 

いや遺書必要だろ!?ただでさえ心の整理で忙しかったのに、畳み掛けるように豪邸で止め刺しやがって!しかもこの宮殿の中に俺を殺すために待ち構えている大魔王と大魔王婦人がいるんだろ!?勇者もしっぽ巻いて逃げるわ!

 

 

「さあ!行きますわよ!」

 

 

そのまま首根っこをつかまれて引きずられながら門をくぐる。

 

 

「ドナドナってこんな気分なんだな………」

「なら自分で歩いてくださいまし!」

「よし、覚悟決めた。骨は拾って遺灰で焼き芋を焼いてくれ」

「物騒なこと言わないでくださいまし!」

 

そうして並んで中庭を歩いていく。噴水や庭園など一般の家ではお目に掛かれない光景が多数存在するが、自分の家の地下はもっとヤバいことを思い出すことで平静を保っていた。

 

横並びで歩き、話を弾ませながら歩いていると、家の玄関らしき場所にたどり着いた。そこには以前リムジンで送ってもらった時にいた壮年の男性執事と八百万によく似た女性が立っていた。

 

 

「ようこそいらっしゃいました石楠花さん。私は百の母でございます」

「こちらこそ本日はお招きいただきありがとうございます。私は百さんの友人である石楠花 鱗と申します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、本日はよろしくお願いいたします」

「いえいえ、百の初めての男性のお友達ですもの。こちらこそ末永く百のことをよろしくお願いします」

「恐縮です」

「えっ、誰ですのこの方!?」

 

失礼だな八百万よ。俺が敬語を使うのがそんなにおかしいのかい?そんな疑った目で見ても俺は俺だぜ?

そんなにぺたぺた触らなくても別人と入れ替わっているとか無いから。額に手を当てても熱とか無いから。ほら、お母さんもほほえましいものを見るような目で見てるから。

 

「ふふっ。百と石楠花さんはとっても仲良しなのね!」

「ええ、それはもう」

「いえ、普段の石楠花さんから想像もできないような綺麗な言葉が発せられましたので」

「それは失礼すぎやしないか?」

 

 

俺は気丈に振舞うことすらできないの?

まあいいや。ひとまずお土産を渡そう。ずっと持ち続けるのもどうかと思うからな。

 

 

 

「こちら、行きつけの店の新作なのですが、よろしければご笑納くださいませ」

「まあ!こちらは世界的人気のle fe de rosage(ル フェ ドゥ ロザージュ)のお菓子ではないですか!!」

「ええ。その店の店長が私の母でして」

「「そうなんですの!?」」

 

息ぴったりだなこの母娘。やはり女性は甘いものが大好きなようだ。母から情報を聞き出しておいてよかった。母があの時力尽くで俺を止めてくれていなければ、今頃スルメの詰め合わせを持っていくところだった。あぶねぇ。

 

「石楠花さんは父が技術開発長で母が有名パティシエールとは…、凄い方々が身近におられるのですね!」

「そのセリフそのままブーメランだからな?」

 

 

何をどう成功したら国会議事堂みたいな家に住めるのだろうか?どう考えても八百万家の方がすごいと思う。こんなに金持ちなら伝手もすごいんじゃね?それこそ俺を秘密裏に処理できるぐらいに………なんかこの玄関くぐるのが怖くなってきた。ここをくぐれば俺は暗殺されるのか…遺産はペットのコアラに全額寄贈しておくれ…

 

 

 

 

「石楠花さん、お昼ご飯をもう食べられましたか?」

「いえ、まだですね」

「それはよかったです。お昼ご飯の準備ができていますので、みんなで食べましょう!そして学校内での百の生活を私たちに教えてくださいませ」

「もう!お母様!」

 

おっとよだれが。プリプリ母娘の日常ほど心が安らぐ瞬間はないな!出会ったばかりだけど一生見ていられる気がする。余程この家族は仲が良いんだな。我が家だと………バイオレンスになる未来しか見えないな!!

 

 

その時八百万母が俺達二人を見据えて言葉を発した。

 

 

「百の学生生活も、石楠花さんの人柄なども知りたいですが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石楠花さんと百の馴れ初めや、()()()()()()()など、たくさんのお話をお伺いしたいですわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、今日やっぱり死ぬんじゃねぇかな?

 

 

 

 

 

 


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