いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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お気に入り登録11000突破ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
気づけばめっちゃ増えてた!ありがとうございます!
それとヒロアカ二次小説の総合評価順で上から4番目の位置に…!
なんてこった!こんなふざけた小説を気に入っていただき、ありがとうございます!




それと本日は八百万パパが出てきますが、漫画でも小説でも出てきたことがないので独自で話し方を考えさせていただきました。紳士ってこんな感じなのかな?

これからも頑張ります!では、どうぞ!


閑話 そうだ!八百万家に行こう その2

やベぇよ…!冷汗が止まらねぇよ…!

 

長い廊下を歩いて食堂に向かっているはずなのに、処刑台に向かってんじゃねぇかなって錯覚しちまうよ…!

 

へへっ…膝が笑って上手く歩けねぇぜ。脳無と相対した時以上に俺の体が危険信号を発してやがる…!しっかりしろ俺の足!後でしこたまドコサヘキサエン酸を補給してやるから今だけは持ってくれ!

 

「どうしましたの?石楠花さん。顔色が悪いですわよ?まさか体調が悪かったのですか!?」

「大丈夫だ八百万。俺は今一人で死の宿命と戦っているだけだ」

「一大事ですわ!?我が家に何がありますの!?」

 

説明し難いオーラで充満してるよ。きっと目の前の扉の先に鬼がいるね。開けた瞬間にギロチンが降ってくるトラップとかあるだろ絶対。

 

 

扉の前で八百万母が止まり、振り返って鱗に話しかけた。

 

 

「ここが食堂ですわ石楠花さん。それと私も百も同じ八百万ですので間違ってしまうこともありますから、『百』と呼んであげてください」

「お母様!?」

 

なんてハードルの高いことを要求するのだろうか。

俺に女の子を名前で呼べる勇気があると思うのか?呼べる勇気があるならすでに呼んでるさ。えっ?意味の分からないあだ名をつけてるじゃないかって?それとこれとは話が別さ。昔、女子を名前で呼んで全力で引かれてたやつを見てしまって以来怖くて仕方がない。あいつは無事に思春期を乗り越えたのだろうか…

 

それと何だ八百万のその目は。照れ半分期待半分みたいな目で俺を見るんじゃない!それとお母さんの目の奥に潜む圧がすごい。「意地でも言わせてやる。早く娘の名前を呼びやがれ!」って覚悟が伝わってくるんだけど。

 

 

ふっ…逃げ場はない…か。覚悟を決めろ石楠花 鱗。俺は出来る奴だ。ここで逃げたら女の子の名前も呼べない癖にCの関係に近いことを仕出かした変態チキン野郎になってしまうぞ!

 

 

 

 

 

 

 

「………百」

「……!はいですわ!」

「あらあら、二人は仲良しね~」

 

 

何だろう、この究極の茶番は。

ドキドキする場面のはずなのに「計画通り」という二文字が頭をよぎるんだが。

 

「ではご飯にしましょうか。主人も中で待っていますので。シェフの方々が腕によりをかけて作って下さいましたので、きっと気に入っていただけると思いますわ」

「そうですわね。私もお腹が空いてきましたわ」

 

そして目の前の扉が開かれる。そこには何十人も会食が出来そうなほどの広い部屋に大きなテーブル。煌びやかに彩られた装飾品。そして……

 

「君が鱗君かい。百から話は聞いているよ。一度会ってみたいと思っていたんだ」

 

 

魔王(お父様)が堂々と座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖ぇ…!怖ぇよ…!

運ばれるお皿や料理が尽く高級感溢れる物ばかりなのもそうだが、空気感がもう怖ぇよ…!

 

優しい感じのジェントルマンな風貌なのに、全身から発するオーラが四皇級だよ。お父さん覇王色覚醒してんの?

 

それと所作一つ一つに気を使う。テーブルマナーを一つでも間違えると「ヒャッハァァァァァ!」と言いながらナイフで切り落とされそう。そうと錯覚するぐらい謎のオーラに満ちている。何で八百万一家はこのオーラの中で悠々と食事出来んの?実は範馬一族だったの?

 

鱗が見当違いなことを考えている時、八百万パパが鱗に話しかけた。

 

「鱗君は所作が綺麗だね。テーブルマナーを何処かで習ったのかい?」

「幼少の頃に家族に教わりまして。「外に出ても恥ずかしくないよう、マナーは守りなさい」と。そうして色々教わりましたね」

「そうなのかい。とても素晴らしいご家族なんだね」

「恐縮です」

「本当に誰ですの!?この方!?」

「本日二度目の失礼だな。石楠花家は礼節を重んじる一族なのだよ。俺の普段の行動を見ていればおもてなしの心が伝わってくるだろ?」

「1ミクロンも伝わってこないですわ!?」

 

1ミクロンって何だよ、1ガロンの間違いだろ?俺の行動にはおもてなし精神しかないじゃないか。落雁を詰め込むのも、追いかけ回すのも、ハッピーセットに入れ替えるのも、ハジケ奉るのも、全ては礼節を重んじて日本をより好きになってもらうための行動に決まっているだろう。

 

「石楠花君は素晴らしい少年なんだね。そして一つ礼を言わせてくれ。ヴィランから娘を守ってくれてありがとう。君の活躍や重傷具合は娘から聞いていた。君がいなければ少なくとも誰かが犠牲になっていたかもしれない。君の行動は親の意見としては心配や不安が勝つが、大勢の生徒の命を守ったんだ。本当にありがとう」

 

 

そうして鱗に向かって立ち上がり礼をする。八百万母も、待機していた使用人達全員も。

 

 

「頭を上げてください。当然のことをしたまでですよ。感謝の気持ちは受け取りますが、過剰な感謝はどうもむず痒い。娘さんも僕も生きているので、その気持ちは五体満足で生き残った娘さんにかけてあげて下さい」

「君は…本当によく出来た人間なんだね。約束しよう、君に何かあれば八百万家が君の後ろ盾となろう。そのくらいはさせてくれ。何かしすぎるというのは失礼かもしれないが、何もしないという選択肢はもっと失礼だからね」

 

 

また一つ巨大な後ろ盾が出来てしまったぜ。やっぱり後ろ盾になってもらえるほど八百万一家は権力持ってるんだな。そりゃそうか、家も胸もでかいもの。

 

それとどうした?ヤオモモよ。さっきからもじもじしながら俺を見て。トイレ行きたいのか?自分の家だから迷うこともないだろ。

 

「それとあと一つ話すことがあるのだが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人で半日以上密着して、尚且つトイレも一緒に入ったという情報を聞いたのだが………本当かな?

 

 

 

 

あぁ………いい人生だったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうする…!どう言い訳する…!?

ここで言葉を間違えれば俺は間違いなく世界中の拷問を体験の末に人権と共に抹消されるだろう…!

 

だがここで問題が一つ。俺は現に八百万のことをエロい目で見ている。そして今、八百万パパに言われたことを実際に二人で行動に移してしまっている。しかもプロヒーローという証人までいる。さて、このどう考えても逃れられない現実からどうすれば逃れられるだろうか?選択肢は3つだ。

 

 

 

 

選択肢

①普通に謝る→98%の確率でギルティ

②その場で抱き寄せる→勘違いされなければギルティ

③揉みしだく→この世の全ての苦痛を味わう

 

 

 

 

さてどうしたものか?お先が真っ暗だ。ならば自分が親になった目線で考えよう。自分が手塩をかけて育てた娘がどこぞの馬の骨かもわからん奴と半日密着して、アブノーマルプレイを………100万馬力でギルティだな。いや、ギルティだけじゃ我慢ならん、生きていることを後悔させる。そしてその加害者が今は俺だから100%ギルティだな!さよなら俺!

 

 

「どうなんだい…?石楠花君」

ちょっと待ってくださいませ!お父様!

 

八百万!!まさかかばってくれるのか…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「石楠花さんは息をするかのようにセクハラ行動やセクハラ発言をし、辱めたり気持ちよくさせたりする天才ですが根はいい人ですわ!私は石楠花さんほどヒーローに向いている方はいませんもの!それと石楠花さんに触れられるたびにドキドキしますわ!」

 

 

死んだ………

 

 

 

 

 

 

「そうなのかい………石楠花君…」

「はっ…はい!!何でございましょうか御大将!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「百をよろしく頼むよ」

「「は?」」

 

 

 

 

 

いや、今の話の流れで何でそうなるの?八百万だって驚いてるじゃん。

 

 

「親としては怒ろうかなと思ったんだが、百の表情を見ていると君のことを心底信じているのが分かる。そして今君の行動を見て、話してみて、君は信じるに値する人間だと思ったんだ。君はユーモアを交えた会話をしても人が本当に嫌なことはしないタイプだろう?現に男女が半日以上密着していても間違いが起こっていないことが証拠だ。同じ男として分かる、さぞ気持ちを押さえつけて我慢したのだろう…と」

「分かっていただけましたかお父様」

「ああ。よく頑張った。それだけで君の人となりは理解したつもりでいたよ。石楠花君は女性には紳士なんだなって」

「石楠花さんは紳士ですわ!あっ、そうですわ!胸を…」

「ちょっと黙っててくれないか?」

 

 

ああ…!ついに理解者が現れて下さった!それがまさか被害者の父親だとは。世界って狭いね。それよりも周りの執事さんやメイドさんも心なしか泣いているように見えるんだが…この話に泣く要素あった?はぁ~、話が分かる人でよかった…もう少しでストリートファイター並みのハメ技で殺されるかと「ただ…」ん?

 

 

 

 

 

 

 

「まさか娘をあられもない姿にし、責任も取らずそのまま過ごす訳は………ないよね?」

「責任取ります!!」

 

 

 

凄い黒い笑顔をなさるよね!

 

 

 

「ハハッ!冗談だよ!そういうことは本人の意思次第だからね。強制はしないよ。それでも私の予想では…」

「もう!お父様!!」

「すまないね百。石楠花君、一人の親として百のことをこれからもよろしく頼むよ。親の一番の願いは娘が幸せになってくれることだからね」

「任せてくださいお父さん。百さんの友として恥じない行動を約束します」

「友…」

「ん?何か言ったか?」

「いいえ何も!」プイッ

 

急にどうしたそっぽ向いて。急な思春期か?

それよりも何故家族使用人全員で微笑ましいものを見るような目でこっちを見るんだ?そんな目で見ても懐から落雁しか出ないぞ?

 

 

「さあ!長く話しすぎてしまったね。料理を食べてしまおう、せっかくの料理が冷めてしまうよ。それと食後に学校での百の活躍を聞かせてくれ」

「いいですよ。赤裸々にお伝えしましょう」

「やめてください石楠花さん!?」

「それと後で石楠花君の、明日のための制服や必需品を部屋へ運ぼう。先ほどご家族の方から預かったからね」

「何それ初耳」

 

 

えっ?オカン勝手に何してんの?しかも今日八百万家に泊まり?聞いてないんだけど?

 

 

 

「荷物整理で空き部屋が使えない状態になっているから、百の部屋を自由に使っていいからね」

「それは聞いていませんわ!?」

 

 

 

しかも相部屋?

それでいいのかご家族よ………えっ、いいって?あっ、そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は違う意味で潔白のまま明日を迎えられるのか………!?

 

 

 


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