スムーズに進めようかと思ったんだが、鱗が簡単に終わらせてくれねえんだよ…!
やるときはやる石楠花 鱗君の活躍をどうぞ!
先日久しぶりに投稿し、多くの読者の皆様が楽しみに待っていてくれていて、歓迎してくださったことが非常にうれしかったです。これからも頑張りますので、お付き合いお願い致します!
鱗の最高級の演説の余韻が残る中、この空気を逃すまいとミッドナイトが司会として体育祭を進める。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!」
「雄英って何でも早速だね」
「おっと麗日、その真理に辿り着いても声に出しちゃいけない。襲ってくるぜ?」
「何が!?」
「何ってマルハーゲ帝国に決まってんだろ?」
「どこそれ!?初めて聞いたよ!?」
うむ、麗日もツッコミとして光るモノを持っているな。磨けば光る原石ってやつだ。これからも是非精進してほしいものだ。
「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が
ティアドリンクって言い方カッコ良すぎない?俺もこれは真似すべきだな。乗るしかないでしょ、このビッグウェーブに。
「日はまた
「そこカッコいいけどうるさい!」
「アーネスト・シャコングウェイです」
「石楠花君減点1ね」
いきなり減点とかありなのね。おい峰田笑うな、いろいろもぎ取るぞ。
「ごほん…!気を取り直して…運命の第一種目!今年は………コレ!!」
そう言って上空のモニターに映し出された言葉は………障害物競走。
「障害物競走……!」
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4㎞!我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば
何…だと…!?
何をしたってかまわないだって!?じゃああんなことやこんなことやそんなことまで!?大変だ!早く落雁を用意しないと!
「石楠花君!直ちにその物騒なものをしまいなさい!」
「落雁の何処が物騒ですか!」
「落雁自体に罪はないけど、あなたが持てば物騒になるのよ!没収!」
「あぁぁぁぁぁ!相棒ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
クソ!落雁に何の罪があるってんだ!
「気を取り直して…さあさあ!位置につきまくりなさい…」
しゃーない、位置につきまくるか…
しまった、落雁の乱の間にいつの間にか場所取られてた。今俺いるの最後尾じゃん、どないしよ。ヒーロー科の皆は最前列に行っちまったしな~、今頃人の波にのまれて押しくらまんじゅう状態か。ご愁傷さまなこって。
それから少し時間がたち、ゲートの明かりがともり始めた。もうすぐスタートする合図だ。生徒たちが思い思いの表情で試験に挑もうとしている。ヒーローになるために結果を残そうとする者。ヒーロー科に勝とうとする者。夢をあきらめきれない者。そして…鱗の演説によりやる気を取り戻した者。皆がそれぞれの感情を抱きながら、運命の体育祭が始まろうとしていた。そして………
「スターーーーーーーーーーーート!!」
体育祭が始まる。
▽
『さーて実況してくぜ!解説アーユーレディ!?ミイラマン!!』
『無理やり呼んだんだろうが』
解説が始まると同時にスタート地点が凍り付く。このような大規模氷結が出来るのはただ一人、轟焦凍だ。
普通科やサポート科の生徒たちは足場を取られて動けなくなる中、彼を知っているヒーロー科の面々は各々が個性や予測を立て突破していった。しかしそのことに対して別段驚きはしない。そうなるだろうと思っていたからだ。
「クラスの連中は当然として、思ったより避けられたな………それに…」
ポツリと呟き横を見る。そこには…
「ヤベーヤベー、危うく冷凍保存産地直送コースだったぜ」
いつの間にか余裕そうに並走している
「やっぱりお前は引っ掛かりもしないか」
「いやいやこれでもギリよ?あと1マクロでもタイミングがズレたらロケットキックする羽目になるところだった」
「その割には随分と平気そうじゃねぇか」
「日頃の行いのおかげかな?」
お互いが軽口を叩く。しかし周りは突然現れた鱗に瞠目している。それはプレゼントマイクも然り。
『おいおい!石楠花リスナーは最後尾にいたはずだろ!?どうやって先頭に躍り出たんだ!?』
『アイツならスタートと同時に壁ジャンプして、ピンボールのように壁を飛び跳ねながら氷にも触れず先頭に躍り出てたぞ?』
『ハアッ!?マジかよ!クレイジーだな!てかそんなことできるか!?』
『普通なら無理だ。だがアイツだから出来たとしか言えないな。全く…どんな運動神経してんだか…』
▽
やっぱり一人マ〇オブラザーズごっこは最高だな。誰しもがマ〇オであり、同時にル〇ージなのだ。最下位からのごぼう抜きは清々しいぜHAHAHA!
さて、とりあえずガリガリ君と並走してるのはいいが…ここからどないしよ?
その時、大きな音が響き渡った。出てきたのは入試に出た仮想ヴィラン。その仮想ヴィランに何か話していた峰田が吹き飛ばされ、アスリート張りの回転を決めながら転がっていった。
みっ……峰田ぁぁァァァァァァァァァァァァ!!
峰田が仮想ヴィランによってGOシュート!されちまった!あの回転ぶりはまさしく左回転エルドラゴ!まさか峰田はエルドラゴの生まれ変わりだったのか!?
峰田エルドラゴ事件をきっかけに続々と仮想ヴィランが出現する。その中には0ポイントヴィランの姿も。
『さぁいきなり障害物だ!まずは手始め…第一関門 ロボ・インフェルノ!!』
おいおい何体いるんだよ…
そんなどんがらでうじゃうじゃ湧くんじゃない。
いや、逆に考えよう。これだけいるってことは何体か倒しても大丈夫ってことだろう。そうなれば太鼓の達人がやり放題てことだ。よっしゃ!もう一曲遊べるドン!
鱗が考え事をしている間に轟が動き出す。地面に手をつき、振り上げると前方が大規模に凍り付く。仮想ヴィランを巻き込みながら。
仮想ヴィランが凍り付いたタイミングで鱗が動いた。名案を思いついたと言わんばかりに。
「道端に不気味なオブジェを作るな!ストリートパフォーマーか!それと教えてやろう!オブジェやモニュメントってのは壊れた瞬間に思い出に変わるんだぜ!ってなわけで、はいドーン!」
飛び上がり凍ったロボットに向かって腕を振り抜く。するとロボットは冷やされて脆くなったのか粉々に粉砕され、凍った欠片が太陽を反射し、キラキラと体育祭を忘れさせるような幻想的な光景を作り出した。
「うわあぁぁ…!」
「すげえ…」
「綺麗!」
この光景を作り上げた主犯格はというと…
「アイスボーイよ、氷というのは破壊までがセットなのだよ」
「そうなのか、覚えておく」
轟は間違った知識を覚えた。
『ひゅう!すげえ綺麗な光景だぜ!バチバチやりあってるが何だかんだいいコンビなんじゃねーか!?どう思うよミイラマン!?』
『ああ、コンビネーションはよかったが人に向けては使えないな』
鱗と轟はそのまま走り去る。轟が凍らせて鱗が粉砕する。凍らせては粉砕、凍らせては粉砕を繰り返し、二人の前に立つ仮想ヴィランはいなくなった。他の者たちは一瞬ぼうっとしていたがこれが体育祭なのだと思い出し、各々が仮想ヴィラン対策を始める。
目の前で巻き起こる光景はめちゃくちゃだが、鱗を知る者たちは「石楠花 鱗だから」という概念が根付いているため、さほど驚くこともなく追いつくためにおのれを奮い立てる。
そんな中、上空を飛ぶ影が一つ………
「待ちやがれ!半分野郎!石楠花ェェェェェ!!」
▽
『オイオイ第一関門チョロいってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーール!!』
おいおい、下が見えないじゃないの。まあ俺の目にかかれば余裕で見えるんだけどね。そんなこと考えてる間に轟が先に行っちまったよ。器用だな、ロープを凍らす勢いで渡るとか。俺もやってみたいが如何せん俺はシャコだ。ならどうする?走るしかないだろ(迫真)!!
そのまま鱗はロープの上を平地と変わらぬように走っていく。細く、耐久力が脆く、少しの振動で軸がずれてしまう、バランスを取ることで精一杯なはずのロープの上を何の小細工もなく走っていく。ヒーロー達はあり得ないものを見るかのように見る。その後に偉業を称えるかのような莫大な歓声が上がった。
『アイツロープの上を走ってるぜ!?どんな体幹してんだよ!?イレイザーお前授業で何を教えたらあんな神技出来るようになるんだよ!?』
『何も教えてねーよ。あいつの運動神経は何度も驚かされる…いや、あの神技も選手宣誓でアイツが言ってた個性ばかりでなく『人間』を鍛えれば出来るようになるのかもな』
褒められてうれしいでござる。大好評じゃないか俺の『アルティメット綱渡り』は。ロープの上で走れたらかっこいいんじゃね?と思った中学1年生の時の俺の思考よ、ありがとう。まさかこんな大舞台で披露するなんて思ってもいなかったよ。
普通に走ってるだけで第二関門クリアしてしまったけど、他の生徒達はどうやってここをクリアするのかね?けっこう距離あるけど俺の目にかかればハッキリ見えるね。
まあ普通にゆっくり慎重に渡ってる生徒が多いが………あれはこないだ工房を爆発させてパワーローダー先生を吹き飛ばしたサポート科の
飯田は独創的なポーズを取りながら綱を渡っているじゃないか。今度から彼をTT兄弟と呼んであげよう。
緑谷は………ナマケモノの物真似か?体育祭中に物真似を披露するなんて飯田といい、緑谷といい、なんて努力家な奴らなんだ。俺もここで爆発さん太郎の物真似を披露するべきか?
いや、そもそも肝心の爆発さん太郎はどこ行った?アイツならそろそろボンボン言わせながら「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」とか言いながら攻撃してくると思ってたんだけれども。全然見当たらな「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」…そうそうこんな感じに…ん?
顔を上げると鬼がいました。
教室での一幕
野郎ども
峰「石楠花よ!八百万と何かあっただろ!?お前を見るたびに赤くなってんだよ!!」
鱗「HAHAHA☆」
峰「何余裕ぶった笑いしてんだよオォォ!!」
女子
芦「本当に何かあったの!?」
百「なっ…なななななんでもありありありませんわわ…!!」
芦「絶対何かあったじゃん!!」