いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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みんな秘密を持ってるかい?人であろうとキャラクターであろうと少なくとも1つは秘密を持ってるものだよね!
石楠花君の秘密がちょろっと出てきます。

これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!


人はみな秘密を持ってるのだ

『1時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜ…!』

『寝る』

『ヒュー!』

 

 解説席が盛り上がっていますね!俺も内心盛り上がているんだけどな!

 いやー楽しかったね。目の前のおもちゃで遊ぶことに夢中で順位なんてまったく気にしてなかったけど、まさかの2位よ!2位だぜ!2位なんだよ!俺てっきり568位ぐらいかなと思ってたわ。

 

「オイ!完膚なきまでの1位になれなかったじゃねえか!」

「まあそう言いなさんな若いの。儂は楽しくワッショイ出来たから満足じゃよ」

「何処のジジイだテメエはよォ!!テメエの無駄な言動が一々時間食ってたんだよ!」

「すぐ人のせいにするその態度、将来苦労しますよ?」

「うるせェ死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 隣のポメラニアンは元気爆発してるね。今から飯でこのテンションなら、最終戦始まったらどうなんの?『ヒャッハァァァァァァァ!!!』とか『ワカチコワカチコォォォォォォ!!』とか言いながらスタジアム内走り回んのかな?それはそれで見てみたい気もするから後で頼んでみるか。

 

 とりあえず今は飯だ。飯食って飯食って飯食わないと、顔が濡れて力が出なくなるからな。栄養補給と愛と勇気は大切だから……おっと?緑谷と轟が人の目をかいくぐりながらどこかに移動しているぞ?これは密会か?密会なのか?

 男女の密会ではなく男男の密会なんて……はっ!俺は寛容だから幸せを祈っているぜ!

 

 

 

 でもちょっと気になるから覗きに行くけどな!……飯食ってから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『お前の左側が醜い』と母は俺に煮え湯を浴びせた」

 

 おっと?俺がゼリーと落雁で10秒チャージしていた間にどんな話し合いがあったら、こんなペヤングの麺を湯切りと同時に奈落にぶちまけたようなセリフが出てくんの?

 

 俺の目の前で堂々と盗み聞きしている先客のポメラニアンでさえもドンヨリーヌになってるじゃないか。

 

「ざっと話したが俺がお前につっかかんのは見返す為だ。クソ親父の個性なんざなくたって……いや…使わず"一番になる"ことで奴を完全否定する。本当なら石楠花も呼ぼうと思っていたんだが…アイツの性格とオールマイトの性格は全然違うから関係ないと判断した」

 

 何でだよォォォォォォ!!俺も関係あるかもしれないだろォォォォ!?

 もし俺が「実はオールマイトの戦友なんだ」とかいうかも知れないだろ!?目測の推論で判断するのはちょっとどうかと思うな僕は!まあ何の関係もないんだけど!

 

「で、さっきから黙ってるポメラニアンはどうしたのよ?」(小声)

「誰がポメラニアンだクソが!」(小声)

「あっ、そういう配慮は出来んのね。気を遣っていつものクソデカボイスを自粛していると…なるほど、成長したね。母さん泣きそうだよ」(小声)

「うちのババアを詐称すんなクソボケが!気色悪い真似すんじゃねえ!!」(小声)

 

 

 物陰でいつも通りのやり取りをしている中、二人の存在に気づいていない二人は話を続けている。だが本人を除き、部外者も含めた3人とも少なくとも表情には出さないだけで驚愕している。人には人の人生があるが、生まれる環境が違えば、ヒーローを志す理由も目指す先もすべてが違ってくる。人生という名の闇を垣間見た気がした。

 

 それでも、それでもなお少年たちには譲れない思いがある。たとえ主人公のような背景を持っていたとしても、かける言葉が見つからずとも、同情してしまう気持ちがあったとしても、それでもヒーローにならなければいけない使命が、理由が、目標がある。

 

 

「僕は…ずうっと助けられてきた。さっきだってそうだ…僕は誰かに(たす)けられてここにいる。オールマイト…彼のようになりたい…その為には1番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたら些細な動機かもしれない…でも僕だって負けらんない。僕を救けてくれた人たちに応える為にも…!」

 

 子供の頃から誰よりもヒーローに憧れ、一度は夢を絶たれ、1番から夢を託された。この男にも誰よりも負けたくない、負けられない気持ちがある。だからこそ相手の目を見据え宣言する。

 

「さっき受けた宣戦布告改めて僕からも…僕も君に勝つ!

 

 

 少年たちの意思のぶつかり合い。互いに譲れない思いがある中、お互い万全の状態で戦い、決着をつけるためにそれぞれの岐路に立つ。そしてその場に残るのは外野の2人だけとなった。

 

 

「緑谷、強くなったよね」

「ケッ!クソナードが…」

「あんなもん聞かされたら、頑張るしかないよね。うかうかしてたら緑谷に後ろから抜かされちゃうかもよ?」

「アア!!?誰があのクソナードに負けるってェ!?向かってきたら力の差を思い知らせてギッタギタのボッコボコにしてやんよ!!」

 

 この場にいた4人のヒーロー志望達のやる気は十分。それぞれの思いが交錯し衝突する中、最終戦がもうすぐ始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆豪が闘志を燃やして立ち去ってから、鱗はまだその場にいた。よく知る人物が()()()()こちらに向かってきているのが見えたから。

 

 その人物は鱗を見つけると目の前に降り立った。

 

「やあ、久しぶりだね。元気にしてた?いや~疲れた疲れた!」

 

 その人物は羽を伸ばし、如何にも疲れてますよ感をアピールしながらストレッチをする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね……()()()()()()

 

 その男の名はホークス。またの名を『速すぎる男』。

 

「で、なんでここまで飛んできたんですか?美人ヒーローでも襲いに来たんすか?」

「そんなことするわけないでしょ、仕事のついでに来たんだよ。それとここにいれば荒ぶるエンデヴァーさん見れそうだし」

「ワロスワロス」

「なんて?まあいいや。それと選手宣誓で暴れてたね~、思わず笑っちゃったよ。やっぱり君は凄いね、誰もが思っても実行できないことを平然とやってのける。そしてその行動、発言全てに「こいつならやってのけるだろう」という意思さえ抱かせるんだから」

「そんなに褒めても落雁しか出ませんよ?1袋要ります?」

「1個で十分」

 

 お互い落雁を食べながらなんてことはない世間話をする。傍から見れば生徒とホークスが談笑するという羨ましい光景だろう。そしてどこぞのヒーローオタクが見れば発狂するほど喜ぶであろうシチュエーションだろう。

 話が一段落したところ、ホークスが本題を告げる。

 

「そうだそうだ、本来の目的を忘れるところだった。鱗君個人に向けた連絡とメッセージだよ」

 

 そうして放たれる言葉。それは事情を何も知らない一般人ならば何を言っているか分からないだろう。なにせあまりに普通の内容過ぎてホークスが伝える必要があるのか?と思うからだ。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君のところの()()が、この体育祭の君の活躍を上から見てるんだって」

 

 分かる人には分かる完結された言葉。それに対して鱗は…

 

 

「ふーん」

 

 普通に答えた。

 

 

「あれっ?思ったより反応薄いね。もっとびっくりするかと思ったよ。現に公安はびっくりしてたし」

「いや、びっくりしたよ。わざわざお金かけて何してんの?って思ったもん」

「親戚の成長を見たかったんだって」

「そのために()()まで飛ばしたの?バカじゃねーの?」

「金と地位と権力には困らないんだって」

「答えたやつ誰だよ。全員頭がイかれてるから分かんねーよ」

 

 笑いながら話すホークス。少し顔をしかめながらも返答する鱗。一通り話し終えたのか、「それじゃあ」と言い鱗から離れる。

 

「伝えることは伝えたよ、俺も見学していくから頑張ってね。それと君のお父さんによろしく言っといて。コスチュームやら色々と助けられてるからね」

「言われなくても。俺はいつも通り暴れ(ハジケ)るだけだから。それと、努力次第で人間は人間を超えられるってことを証明するだけだ」

「何気に凄いこと言うよね。まあ、俺もあの人たちも応援してるよ。じゃあね」

 

 

 そう言って何処かに飛び去るホークスを見送る。

 その場に残ったのは鱗唯一人。

 

「さーて、俺は俺で頑張りますか!とりあえず『衛星 撃ち落とし方』で検索するか」

 

 鱗はその場を去り、グラウンドに向かう。いよいよ本選に向けての組み合わせ発表が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本選ならもしかしたら俺の大天才発明道具たちを使えるんじゃね?使えるよな?使えるはずだ!とりあえず選りすぐりたちをスタンバっておくか」

 

 これより先、雄英史に残る戦いが始まろうとしていた。

 

 その名を『絡繰双乱(カラクリそうらん)』。観客たちはみな口を揃えてこう言った。…規模が違う…と。

 

 

 

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