ようやく更新することが出来ました……
前回から5カ月空いてしまい、さらになんとその空き期間中に私の活動が1周年を迎えました!
1年……早いようで短かったです。
感想や評価もしていただき感謝の気持ちでいっぱいです!
これからも頑張って更新しますので、応援よろしくお願いします!
我ながら素晴らしい登場が出来たな。
会場が沸き上がり、自分が目立ち、相澤先生の胃が死ぬ。なんと素晴らしい三拍子が揃っちまったんだ。これを実行できた自分が恐ろしい。
鱗がしみじみと先程の出来事を振り返っている最中、プレゼントマイクが入場方法の謎を問い正そうとしていた。
『Hey石楠花!前例の無いテンション上がる登場だったが……そのカーペットを持ってる人達は誰よ!?』
「誰って……山中さんですけど?」
『誰が山中さん!?そんな100人以上いる人全員が山中さんな訳ねーだろ!?そして山中さんって誰よ!?』
「信じる者の心の中にのみ、山中さんはいるんだよ」
『山中さん一体何なんだよ!?そして結局その人達誰よ!?』
「石楠花家に代々仕える石楠花ブラザーズです」
『お前ん家一体何なんだよ!?そして結局その人達誰よ!?』
おいおい、どれだけ俺に興味津々なんだチキンラーメンこのやろー。今はそんなことどうだっていいんだ、これ以上目の前の同士を待たせる訳にはいかんからな。
「すまない待たせたな、同志発目よ。どうもチキンラーメンが気になる病を発病しちまってな」
『気になる病って何!?それにチキンラーメンって俺のことか石楠花リスナー!?』
「いえいえ!チキンラーメンが気になる病を発病されたのでは仕方ありません!」
『やっぱりチキンラーメンって俺のことだよなリスナー!?そして何気に口が悪くない!?』
『黙ってろチキンラーメン』
『イレイザーお前まで!?』
流石我らの相澤先生!絶対に乗ってくれると信じてたぜ!
『ヒデェリスナー達だぜ!?もういいよこのままスタートだ!!どうした!?もう賽は投げられたぜ!!』
「すぐ先に進めようとするその態度、子供達が幻滅しますよ?」
『キイィィィィィィィィィィィィ!?』
鱗に煽られ奇声を上げるマイク。両者の歪んだ信頼関係による問答が会場をほっこりさせる中、開始の合図が出たことを確認した両者は行動を起こすために足を一歩先に進ませた。
「試合開始されたことだし、そろそろやっていきますか」
「そうですね!ではまず私のドッ可愛いベイビーを見てください!」
発目は懐から直径5センチほどの黒くて小さな塊を取り出す。
「おいおい…、しょっぱなから技術力を見せつけてくれるじゃねぇか。携帯型GANTZだろ?」
「フフフ、これは携帯型発信機です!転送はされませんが、私の持っているデバイスが電波を受信して位置を表示してくれます!さらにこちらからコマンドを入力することでアラーム機能やバイブレーション機能、発熱機能や冷汗機能を発動させることが出来ます!」
「なるほど、電動GANTZね。理解した」
観客たち、その中でもアイテム開発に携わるものたちは感心したように発目を見ている。齢15歳でアイデアを構成し実現、尚且つ小型化に成功する技術力の高さに息巻いていた。
アイテム製作会社のスカウトマンみたいな人も興味津々で見ているし、何ならウチの会社のスカウトマンもいる。このまま発目がウチの会社に興味を持ち、取引を承諾した場合は俺の部下になるのかな?よろしくよろしく。
「これが私の発明です!次は石楠花さんの番ですよ!」
「ならば次は俺の番だな。そして刮目しな!俺が発明した武器を!」
鱗は自分のポケットから長さ1メートル程の棒切れを取り出した。
『いやちょっと待て!?何処から取り出した!?』
いち早くプレゼントマイクが反応する。
うるせぇチキンラーメンだな。ポケットとは無限の可能性を秘めているのだ。ポケットを叩けばビスケットは増えるし、近未来には4次元に繋がる代物なんだよ。今更深さ10センチ程度のポケットから1メートルの物体が出てきたところで驚いてちゃこの先やっていけねぇぜ?
「やれやれ、これだからポケットの素晴らしさを理解していないお子ちゃまは……」
『えっ!?俺が悪いのかリスナー!?』
「さぁ!このなんの変哲もない木刀をご覧いただきましょう!」
『さらっと話を戻しやがった!?』
ラーメンにかける時間なんて3分で十分だ。それ以上は麺が伸びちまうからな。
「こいつは武器の常識を変える逸品と言っても過言ではない!ただの木刀と馬鹿にしてる奴は痛い目見るぜ?」
「成る程!そして一体どんな機能が!?」
「ああ!今から見せてやる!まずは切先を相手に向ける!そして柄の頭を押すと〜?」
「押すとどうなるのですか!?」
観客たちも固唾を飲んで見守る。自分たちはこれからどんな素晴らしい機能を目の当たりにするのかと。そして……
「切先から醤油が出る」
『『『いらねぇ!?』』』
しょうもない機能だった。
「素晴らしいですね!その細い刀身の中に液体を入れ、尚且つ勢いよく多量の醤油を発射させる技術!正直脱帽ものです!」
「わかってくれるか同志よ!」
「「「いやその機能いらないだろ!?」」」
俺の発明にケチをつけるたぁどういった了見だ!アァン!?
しかしこの素晴らしさが分からない有象無象しか会場にいないとは嘆かわしいことだ。同志は別として。
「会場のみんなが危惧していることも分かる。だが安心しろ。これは減塩対策した薄口醤油だ。健康的だぜ」
「「「いやいらねぇよ!!?」」」
「実は刀身と柄は取り外し可能で、今お電話されたお客様には詰め替え用の柄が5セット付いてくるよ」
「「「いやいらねぇよ!!?」」」
「更になんと今なら奮発して木刀をもう一本プレゼントしちゃう」
「「「いやいらねぇよ!!?」」」
「そしてこの醤油は私の手作りです」
「「「いや知らねぇよ!!?」」」
木刀2本と詰め替え柄カートリッジが5セット、そしてこの鱗様の手作り醤油がつくお得なバリュエーションなのに何が不満なんだコノヤロー。
さてはまだ実用性に気がついてないな?
ならば実戦で使えることを証明しようじゃないか。
「よし同志よ。そろそろ動いて有用性を証明じゃないか」
「そうですね!まだまだ紹介しますよ!」
「その意気や良し!いくぜ!秘技・減塩醤油目潰し!」
「なんの!オートパーテーション!」
発目の背中に背負われた物体から半透明な板が飛び出し、発目の顔を醤油から守った。
「フフフッ!これはオートパーテーションといって、私の耳に取り付けたセンサーが飛来物を察知し、自動的にアームに取り付けたパーテーションが飛沫物から顔を守る仕組みです!しかし感染症対策にはまだ弱いので改良の余地アリです!」
「普通に凄いの出てきた」
普通に便利な道具が出てきたんだけど。ほら、コスチューム会社の人が興味津々じゃん。ならば俺も負けてられないな!
「ならば俺の装備を披露しようじゃないか!まずは自分の腕を取り外すじゃろ?それをこうしてこうじゃ!」
「「「はぁ!?」」」
鱗は自分の腕を肘辺りから切り離して投げつける。その行動にA組を含む観客全員が驚いた。自分の腕を切り離して投げる行動は外から見れば狂人の行動としか言いようがない。
しかし投げた腕は発目とはかけ離れた場所に飛んでいき、地面に突き刺さるように着弾する。
「覚えておきな。これが本当のロケットパンチだ。そして俺のロケットパンチは他の追随を許さない」
その言葉と同時に鱗の投げた腕からカチッという電子音が鳴り、そして………爆発した。
観客たちが唖然とする中この雰囲気を作り出した元凶はゆっくりと言葉を口にした。
「前回の戦いで腕を千切られてから考えたんだ。引きちぎられた腕が地面に落ちたままなんてもったいないな…と。ならばどうするか………そうだ、爆発しようってね!」
天才と狂人は紙一重と言うが、それすらも飛び越えたハジケリストには常識という概念は存在しない。常識を遥かに凌駕した行動を起こすことに遠慮はない。人に絶妙に迷惑をかけるぐらいに突き進んで行く。そしてそれは目の前の狂人予備軍にも当てはまる。
「それは良い発想ですね!使えなくなったものを武器に変換する考え、参考にさせていただきます!しかし攻撃を受けた際に勝手に爆発しないのですか?」
「そのあたりは大丈夫だよお嬢ちゃん。外部からの衝撃では爆発しない様に、そして自切した時のみ爆発するように設計されてるのさ!流石は俺様の科学力!」
「流石ですね!」
「だが自分で腕を切り離して投げるから、当然俺の腕は無くなる。そして腕を生やすためには栄養が必要だ。会場にいる人たちや、テレビの前の皆さんも経験したことがあるだろう、『あっ!腕を生やしたいけど栄養が足りない!』…と」
この試合を見ている人たちは思った。『そんな経験あってたまるか!』…と。
「しか〜し!俺はそんな全人類の夢を遂に叶えた!それがこれだ!」
鱗はズボンのポケットの中から細長く小さな筒状の棒を取り出し、自身の腕の切断面に突き刺した。
すると次の瞬間、突き刺した切断面から失ったはずの腕が生えてきたではないか。そしてその腕は切り離す以前の腕よりも分厚く、強固で、あらゆるモノを粉砕する気迫を纏った腕に進化していた。
「失った腕に新たな腕を。体の栄養を使うことなく新たな腕を与える俺の専用武器。その名も………
貧栄養時用圧縮再生芽 カフカス・スヴィエート
観客たちは空いた口が塞がらなかった。
前代未聞の入場を果たし、自作した醬油と木刀を改造したかと思いきや自分の腕を切り離してぶん投げる。そしてその腕が爆発するおまけつき。自分の腕を爆弾に改造する頭のイカれ具合、瞬時に腕を生やすための謎の武器、それらを実現するだけの技術力の高さ。
観客たちの目にはそれらが異質に映る。
世間体に言えば、石楠花 鱗という人物は完全に狂人の部類であろう。
しかし人々はそんな
それは愛か信仰か、憧れか羨望か、もしくはそれらの感情を超越した何かか。
▽
会場の何処かで見学していたホークスは口角を上げた。
「相変わらず人間を引きつける力は正直脱帽ものだね。それを無意識のうちに行ってるってのがもっと凄いけど」
ホークスは意味深に笑い、同時に一筋の冷汗が頬を伝う。鱗が放つ雰囲気はかつてホークスが一度だけ会ったことがある『とある一族』に類似していた。
「流石だね……、真正面から彼と戦って勝つことが出来るプロヒーローが果たして何人いるかどうか……。『ヒーローが暇を持て余す社会』、それを実現するためには彼らの力が必要だな」
そう言って飛び去って行くホークス。その目には何が映ったのか、それは本人にしかわからない。
▽
場面は変わってスタジアム内。
新たな腕を生やした鱗と発目が向かい合っている。
「よし。新たな腕も生やしたことだし、紹介したい絡繰たちも少なくなってきたし、そろそろ決着を付けるとしようか!」
「そうですね!では最後に
「奇遇だな。俺も
「望むところです!」
少年少女は不敵な笑みを浮かべる。その笑みはまるでこれから先の展開を暗示しているかのように。
観客たちは固唾をのんで見守る。
プレゼント・マイクはすでに嫌な予感を覚えた。
イレイザーヘッドはすでに胃が痛かった。
これから先の未来は誰も分からない。
しかし分かることが2つあるとすれば、会場は破壊されるという事実と、イレイザーヘッドの胃に穴が開くという事実のみだ。