沢山の方に読んでいただいて感謝の極みです!
お待たせしました。本日、ついに石楠花君の個性が出ますよ(笑)
5000文字以上書いている方の凄さが身にしみてわかりました。これからも頑張ります!
さぁやって参りました実技試験。
まるでライブのように人が満員ですよ。人酔いしそう。
えっ、筆記試験?
スラスラですけど何か?心の中では常に「あっ、ここ進研ゼミに出たところだ!」って気分だった。101点ぐらいありそう。
そうそう、この会場に着くまでの間にワカメ君と交流したよ。想像の3乗ぐらいヤバい奴だったけど。
名前は緑谷君というらしい。名前に「緑」が入ってるとか、いかにもワカメを連想させるよね。天日干ししなくちゃ(使命感)。
えっ、血圧高めの解体処理班こと爆豪勝己君はどうしたかって?
もちろん仲間外れにせず、俺と緑谷君の間に(無理矢理)セッティングさせたよ。楽しそうに話を聞いてくれたぜ。
(回想)
「オッス、オラ石楠花 鱗。落雁ボールを8つ集めて、ラクチュウと共に落雁マスターになるのが夢の中学生さ☆」
「どうしようかっちゃん……内容を1つも理解出来ないよ…」
「話しかけんなカス、こいつはデフォでこんなんだ。」
俺の渾身の自己紹介がまさか通じないとはまだまだよのぅ。
そうか、まずは見本がないから返してくれないのか。
「というわけで爆チュウ、まずは俺たちが見本を見せよう。」
「誰が爆チュウだ!!巻き込むなクソが!!」
「おいおい、そんな感じでこれからやっていけるのか?郷に入っては郷に従えって言うだろ?ヒーローにはユーモアも求められるんだぜ?」
「っっっつ!クソが!一回だけだからな!!」
「凄い!あのかっちゃんが言いくるめられてる!」
「というわけで…… オッス、オラ石楠花 鱗。落雁ボールを8つ集めて、ラクチュウと共に落雁マスターになるのが夢の中学生さ☆」
「その落雁ボールはどこにあんだよ」
「そんなもんあるわけねぇだろ。お前頭おかしいのか?」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!」
「落ち着いてかっちゃん!?ここで暴れないで!?」
(回想終了)
と、まぁこんな感じで束の間の休息を楽しんだよ。緑谷君の名前はこの後にサラッと教えてくれた。爆豪がキレ散らかしてる時にサラッと教えてくれた。もしかすると彼は非常に出来る人材なのかもしれん。
そして俺が思考の海に沈んでいる間にチキンラーメン型スピーカーことプロヒーローのプレゼントマイクが壇上に出てきた。
「まだ出会って間もないけど、石楠花君が静かにしていることが珍しく感じるのは僕だけかな?」
「こいつが静かにしてる時は大抵アホなこと考えてる時だけだ。それと話しかけんなカスが。」
失礼なガキどもだぜ。
「今日は俺のライブにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!」
シーン………
「面白いぐらいの総スカンだな」
「石楠花君静かにして!」
「横でぶつぶつ呟いてる奴に言われたくない」
「聞こえてるぜそこのリスナー!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?YEAHH!!!」
あの人一人でも人生楽しそうだな。
「リスナーにはこの後10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」
鱗がちらっと爆豪と緑谷の配布プリントを見ると、それぞれに違う試験会場のアルファベットが書かれていた。
「演習場には“仮想ヴィラン”を三種・多数配置してあり、それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!各々なりの個性で仮想ヴィランを
なるほど、簡潔でわかりやすい。それと破壊ではなく行動不能にすればポイントが入るなら攻撃型の個性以外でも立ち回り次第でどうとでもなるといったところか。
「もちろん他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」
えっ、爆豪大丈夫?
「質問よろしいでしょうか!?」
静寂を切り裂くかのような声が鱗の斜め前から放たれる。
「恐ろしく速い直立挙手、俺でなきゃ見逃しちゃうね。」
「黙っとけカス」
「プリントには
何千、何万人といる中で堂々と大声で問題を指摘出来るのも一種の才能であろう。非常に好感が持てる性格と同時に鱗が最も苦手とする部類であると瞬時に悟った。そして、次の彼の矛先がどこに向かうのかも予測できた。理由は簡単。鱗たちは先ほどまで
「ついでにそこの縮毛の君!!そして隣の黒髪の君!!」
予想大当たり。ジャックポットだ。
「先ほどからボソボソと…気が散る!物見遊山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!」
「言われてるぜ?緑谷と爆豪」
「ええっ!?」
「お前のことだわクソが!!」
さて面倒なことになった。こういう真面目タイプはそれ相応の理由がなけりゃ許してくれないからな。ここはプラン
「すっ…すみませ「いや~、すまんな。個性の副作用でずっと話し続けなくちゃいけなくてな。なかなかつらいのよ。」ん!?」
「そうだったのか!?それはすまなかった!理由も聞かずに注意してしまった!」
「いやいや、俺も注意が足りなかった。これで手打ちとして、これからの試験に集中しようぜ」
「そうだな!お互いに頑張ろう!」
「「「「(こいつ平然と嘘ついて乗り切りやがった!?)」」」」
会場が満場一致でそう思った。
「HEY!!じゃあさっきのお便りの説明をしよう!!四種目のヴィランは0P!そいつは言わばお邪魔虫!!スーパーマリオブラザーズのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!!」
「有難う御座います!失礼致しました!」
「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう!!かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!!
それでは皆良い受難を!!」
「…ははっ…!」
これほどの説明・啖呵を聞いてテンションが上がらない学生なんているのだろうか?現に鱗たちは誰も一言も話すことなく話に聞き入っていた。胸を突き破って外に飛び出してしまいそうな荒ぶる気持ちを押さえつけながら。
▽
さてやってまいりました演習場に!!
さっきの解説から胸が高鳴り続けてたいへんだったぜ!戦いたくてウズウズしてたからな。
もう少しで爆豪やバスに乗ってた他校生徒に手が出るところだったぜ…!
あとはもう戦うだけだ。やっぱり頭使うことより体を動かすことの方が性に合ってる。きっと今からは始めるための合図を流すだけだろう。よって俺の取るべき行動は……
▽
学生たちは困惑した。
先ほどから良くも悪くも目立っていた男、石楠花 鱗。近づけば落雁を口に詰められるという噂を聞いたことがあるものはこの場に多い。説明会でも悪い意味で目立っており、移動中のバスの中でも『ねるねるねるね』を作るという奇行に出て、遺憾なく存在感を発揮していた。
そんな男が会場についた途端、一言も話すことなく、陣取った位置から一歩も動くことなく、微動だにせず突っ立っている。
嵐の前の静けさというべきか。先ほどまで惜しげもなく発していた存在感もほぼ無と言っていいほど感じない。それはまるで存在感を極限まで消し、獲物を狙う肉食動物のように……
「ハイスタートー!」
ピクッ…
ドンッ……!!
「「「えっ…?」」」
「どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざされねえんだよ!!走れ走れぇ!!
「「「っ…!」」」
この瞬間、学生たちはようやく理解した。
変人という皮をかぶった肉食獣はこの瞬間を今か今かと狙っていたのだと。
▽
「標的捕捉!!ブッ「ハーイ、ジョージィ♪」殺……ッ!!」バキッ!!
なんてすばらしいスタートダッシュを切れたのでしょう!
ロボットがゴミのように溢れているよ。まぁ、別にどこにいようとも直ぐに見つけ出せるんだけどもww
ロボットが比較的柔らかくて助かったよ。まだ
このロボットの製造者さんごめんね♪今から粉々に壊しちゃうから♪
さーて、
▽
とある一室。
「今年はなかなか豊作じゃない?」
「そうだな。よく動けている子が多いな」
「特にこの子なんて誰よりも早く動いて誰よりもポイントを稼いでいるわよ?」
そこに映っていたのは鱗だった。
「アッ!このリスナーは総スカンって言ったリスナーじゃねえか!!」
「実際にその通りだっただろうが」
所々に私情の会話が挟まれたが話が続いていく。その時一人の男が話し始めた。アングラ系ヒーローとして活躍している抹消ヒーローイレイザーヘッドこと相澤消太だ。
「確かにこいつならこのくらい動けて当然ですね。」
「相澤君、彼のことを知っているのかい?」
「ええ。1年前の飲食店にヴィランが侵入し、客を人質に籠城した事件を覚えていますか?」
「確かにあったわね。覚えているわ」
みなその事件がどうしたのか気になるのか、次の言葉を待っている。
「その時応援として私が呼ばれたのですが、私が現場に到着した時には事件は解決していたんです。」
「現場に居合わせたヒーローが解決したんじゃねえのか?」
「ああ、俺も最初はそう思っていたんだが話を聞いたところそうじゃなかったんだ」
それはどういうことだろうと思うと同時に、相澤の次の一言によって衝撃に包まれた。
「一部始終を見ていた客によると、その場に居合わせた客が武装した4人のヴィランを
「「「はぁ!?」」」
その反応ももっともだ。何せ無個性で個性・武器持ちのヴィランを倒したというのだから。
「事件制圧後、その客に事件の事情聴取、そして本当に個性を使っていないか確認したところ警察・俺を含めたプロヒーローが個性を使っていなかったと判断した。なぜならその客の個性は使うと
そして追い打ちのようにさらなる衝撃が襲い掛かる。
「そしてその客の名前は……石楠花 鱗」
「「「っ!?」」」
プロヒーローたちは一斉にモニターを見る。なぜならそこには今まさに話題に上がっていた男が映っているからだ。
さて、異形型の個性の話をしよう。
異形型の個性は普通の個性と違い、人としての見た目が違っている。あるものは動物の特徴をそのまま反映している人もいれば、身長が3メートルを超える人間もいる。腕が複数の人間もいる。
だが鱗の個性はそれに合致しない。
普通の人間の見た目と全く変わらず、しかし個性を使わずとも異形型特有の身体能力を使うことができる。
そして何より決定的な違いとして、彼らは常に発動しているのに対し、鱗は個性を使うことによって体の部位が変形する。
「個性発動…!」
最初に変化するのは腕そして肩。
拳から肘にかけて肥大化。それは鱗を纏ったかのように強固であり、オールマイトの腕以上に分厚く力強い。そして肩を守るように、より強い拳を打ち込むために甲殻が出現。
そして額からは2本の触角が流れるように聳え立ち、上半身には筋肉に沿うように薄い鱗が鎧のように現れ、足には膝から脛にかけて細かな棘が生える。
異形型だが、限りなく人の形を残した異形型。
その生物はまるで子供がデザインしたかのような『全身・兵器』
有名な拳打によっての狩り方法に加え、驚異の視力。
更に甲殻類故の硬い殻はもちろん、全身の棘は敵を近寄らせない。
尾で切りつける一撃も必殺の威力。
そして何より、他の追随を許さない
男の名は石楠花 鱗 その個性の名は……
『シャコ』
すべての生物が等しく同じ大きさで戦うとしたら、人々は口々にこういうだろう。
『シャコは最強生物の一体として数えられるだろう』と。
そして、あろうことか今この場に『人間大の大きさになった
「さぁ、久しぶりの
鱗は懐から常備していた落雁を一つ取り出し、口に含んだ。
石楠花 鱗
個性「シャコ」
シャコっぽいことができるぞ!これからの活躍に期待だぜ!