ありがとうごぜぇます!!
躱しては打つ、打っては躱す。
男はその練習に命を懸けた。
「ヒャッハー!落雁パーンチ!!」
「ブッ殺…!?」 メキャッ!
「おらっ!ねるねるねるねを食え!!」
「標的ほ……!?」 グチャッ!
現在個性を使って無双中の石楠花 鱗です。
ついでに個性コントロールの練習を兼ねています。
この個性は近接戦闘では他の追随を許さないぐらい強い。そのかわり、デメリットとしては遠距離攻撃ができない点、少しでも力加減を間違えてしまうと相手が『きれいな花火だ』状態になり、俺がブタ箱生活を送る羽目になるという問題点がある。それだけは何としても避けたい。
ヒーローがヴィランを殴ってゲルニカのような壁画にしましたなんて洒落にならん。だからこそ相手が無機物である今が絶好のチャンスなんだ!
「軽めに小突く感じでこう!」
メキャッ
「親父に肩たたきする感じでこう!」
メキャッ
「お年寄りの背中を支えて「さあどうぞ」って感じでこう!」
メキャッ
「アンパ〇マンに新しい顔を投げる感じでこう!」
メキャッ
「決めた!俺もう親切しねぇ!」
石楠花 鱗 15歳 一世一代の決断である。
「こんな茶番してる場合じゃねえや。だんだんと人が多くなってきたな。そろそろ場所移動するか。まだまだ動いている奴はたくさん見えるし、お邪魔虫とやらもまだ動き出さないだろうし。特有の電磁波も見えてないしな」
シャコの持つ"驚異の視力″については研究が進められている途中である。シャコは人間や昆虫以上に可視域が広く、紫外線・赤外線・果ては電波まで
更に人間の目では三色分しかない色覚がシャコには十二色あるため幅広い色を認識し、また地球上の生物で今のところシャコだけが自然光に加え、デジタル技術などに使われる″
詰まるところシャコは人間から見える世界に慣れてしまった我々からすると
そして人間大のシャコであり、人類で最も目がいい男になった感想は…
「ナメック星見えるんじゃね?」
このザマである。
▽
鱗がポイントを稼げた理由、それは説明した通り、一重に目の良さにある。シャコの目は電磁波を映す。電磁波とは無機物は勿論、
そして鱗曰く、「電磁波は遮蔽物があろうと捉えることができる」と断言している。
つまり鱗は機体や人体から発せられる電磁波を目で捉え、絶好の狩場を探していたのだ。
更に戦闘能力もさることながら、鱗は幼少の頃からボクシングを習い、それだけでなく中国武術・タイ武術を学び、頭の先からつま先まで全てが『武』に浸かっている。実は唯の変人ではない、努力が出来るハイスペック変人だったのだ。
余すことなく発揮される変人由来の運動能力・格闘センスをシャコ特有の目の良さ・攻守の高さで補うことで無類の強さを発揮する。
目が良いことはスポーツの上達に繋がると言われている。何故なら上手とされる相手の動きを細部まで観察することができるからだ。その目で見た情報を行動に伝達することによって人は自分の動きを修正していく。もし、常軌を逸した目を持った人間が相手の動きを観察した場合どうなるか?
これが
▽
「この入試は敵の総数も配置も伝えていない。限られた時間と広大な敷地…そこからあぶり出されるのさ」
一匹のネズミが徐に口を開いて話し出す。
状況を早く捕捉するための
遅れて登場じゃ話にならない
どんな状況でも冷静でいられる
そして純然たる
「市井の平和を守るための
「一人可笑しな存在がいて目が眩みがちだけど、今年はなかなか豊作じゃない?」
「いやー、まだわからんよ」
「真価が問われるのは…」
「これからさ!!」
そして誰かが
▽
最初に気づいたのは誰だったか。
小刻みな地響きから始まり、徐々に揺れが大きくなり始め、ついにそれは市街地を蹂躙しながら突如現れた。
まるでビルが歩いているかのような巨体。前足のような機体を巧みに使い、市街地を押し退け、建物を粉砕しながら前に進む機械の悪魔。
人々がヴィランに抱く恐怖心を具現化したかのような圧倒的脅威が年端も行かぬ受験生達の前に降臨した。
「「「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
当然の反応だろう。命の危機に瀕したことがない受験生たちの前に初めて現れた脅威なのだから。
一度攻撃に当たれば即死亡してしまうような、簡単に人を殺せる存在が目の前で暴れていれば逃げてしまうのも無理もない。
そしてこの圧倒的脅威は鱗の前にも現れた。
とてつもない存在感を放ちながら一歩、また一歩と逃げる受験生たちを追いかけるかのように移動する。
その圧倒的脅威を前にして鱗は………
▽
おいおい、
これ本当に試験か?人死出るんじゃね?
でもアレ頑丈そうだな。
簡単に壊れないだろうな。
これは……行くしかないだろう!!
今まで1発スクラップ製造機と化していた俺の落雁パンチに耐えうる存在なんて中々お目にかかれないぜ?
それと…「おいお前逃げないのか!?」…ん?
そこには銀髪で目が大きく、如何にも暑苦しそうな男が立っていた。
「お前は?」
「俺は
「なんだ、お前いいやつだな」
「おうありがとな!…いや大丈夫なら逃げろよ!?流石にアレはヤバいって!?」
いや動かない奴がいるからって逃げるのやめて確認に来てくれるとかめっちゃヒーローじゃん。女だったら惚れてたね。
「おい聞いてんのか!?」
「おぉ、サッカーでホームラン打って横綱になったんだろ?」
「いや言ってねえよ!?」
「まぁ落ち着けよ、落雁食うか?」
「今いらねぇよ!ってか食うなよ!早く逃げるぞ!」
「いや、アレ俺倒すわ」
「はぁ!?」
なんて切れのいいツッコミだ。ここまでの切れを俺はかっちゃんしか知らねぇぜ?世界は広いんだな。でもな~、ピンチで逃げるって……俺の思い描くヒーローとは違うんだよな。
「これは俺の持論なんだが……」
「ん?」
「もし仮に今逃げたとしてヒーローになったとしよう。でもさ、そいつは……
今と同じ状況になった時、命を懸けて人々を、大事な人達を守れるのか?」
「っ……!?」
「俺は思うのよ。別に人に笑われてもいい。例え試験だろうが、練習であろうが、命を懸けて本気を出せない奴が本番で命を懸けて人を守れるかよ」
鉄哲は頭に側頭部を殴られたかのような衝撃を受けた。今までの自分は何を考えていた?
逃げる?勝てない?諦める?
自分はヒーローになるためにこの試験を受けたはずだ。にもかかわらず、目の前に勝てない相手が出てきた瞬間、敵に背を向けて逃げたのだ。困っている人を助けずに。
だが心の中で渦巻いていた恐怖心という感情は、出会ったばかりの名も知らないヒーロー候補生の一言によって露散した。
それと同時に、この男からは
そこからの鉄哲の行動は早かった。
「俺も手伝うぜ!これ以上醜態をさらすわけにはいかねぇ!」
「おっ、助かる。じゃあ逃げ遅れた人の手助けをしてやってくれ。そこのビルを曲がったところにある小道に一人と、向かいのビルの裏に二人いるから」
「おう!いや、なんで人のいる場所まで分かるんだよ!?」
「そういう個性だ」
「そうか!凄ぇな!」
なんて真っすぐな気持ちのいい性格をしているんだ。心が浄化される気分だ。かっちゃんに見習わせたいぜ。
さて、俺は俺の仕事しますか。腕がうずうずして今にも勝手に動きそうだ。
「手始めに、振り下ろしてきた腕を躱してカウンターでオラァ!!」
グシャッ!!
はい、まずは腕一本いただきましたよ。じゃあ次は…
「顔面ボコボコの刑だぜぇぇぇぇぇ!!」
はっはっはぁ!!今の俺はもう止められないぜ!トカゲのように張り付き、ゴキ〇リのようにカサカサ上る!上るのに邪魔なパーツは排除する!するとどうでしょう、まるで匠の手によって生まれ変わったロボが完成するではありませんか♪♪
「エベレスト登頂ゥゥ!!じゃあ…ボクシングやろうぜ!お前サンドバッグな!」
▽
受験生たちは開いた口がふさがらなかった。
自分達がかなわないと感じた敵が轟音を響かせながら次々と壊れていく。
爆音が雨のように連続で響きながら、ロボの原型を変えていく。
そしてほんの10秒ほどだろうか…?あれほど恐怖を感じた存在が今はスクラップされたかのように叩き潰されている。
そして爆音が鳴りやむと同時に…
「終了~!!」
終わりの合図が鳴り響いた。
▽
いや~、最っっ高に「ハイ!」ってやつだアァァァァァァ!!
これほどまでに本気で個性を使う機会がなかったからスッキリしたぜ!
鱗が最高の気分に浸っている間に、救助を終えた鉄哲がこちらに向かって走ってきた。
「なぁ、お前名前は!?」
俺の気分転換スクラップ作業が終わった瞬間飛んでやってきたな。俺のファンか?
「ん?俺は石楠花 鱗。ヒ-ローを目指すシャコシャコ星のプリンスだ」
「シャコシャコ星が何かは分からねぇが石楠花だな!改めて俺は鉄哲徹鐵だ!よろしくな!ってか石楠花って
「どの石楠花よ」
「ルールを守らない奴の口に『悪い子はいねが~』って言いながらパサパサしたお菓子を詰める妖怪だって聞いたことあるぞ!」
「人違いだな」
「そうか!」
多分それは違う石楠花君だろう。俺が詰めていたのはパサパサしたお菓子じゃなくて落雁だからな。
とりあえずこれで試験は終わりか。長いようで短かったな。あとは合否だけで神のみぞ知る世界。とりあえず合格を願いながら、カバディの練習でもしとこ。
楽しいシャコフラグだよ♪
・パンチラを見逃さない目
・しゃ くなげうろ こ
・シャコを揚げると石楠花の花のような綺麗な色になるよ♪地方によってはシャコはシャクナギなどと言われたりしてるよ♪石楠花の色をした鱗を持つ生物、それがシャコだぜ♪