お待たせいましました…
ヒーロー名が決まるまでに50話…長い道のりでしたが今後も応援よろしくお願いします。
ヒロアカが完結してしまいました…
毎週楽しみに読ませていただいておりました。
堀越先生、面白くて素晴らしい作品をありがとうございました!
今までお疲れ様でした!
体育祭での疲れも癒え2日後、それぞれが体育祭への結果によってプロからの指名が来ているか胸を躍らせながら学校へと向かう。
雄英の体育祭はオリンピックにも匹敵するほどの人気行事。よってその注目度は想像以上。本戦で活躍した生徒達は時の人となり、しばらくの人気は芸能人に匹敵するほどになるだろう。
それが表彰されたとなればなおのこと。
各々が通行人から声をかけられ浮かれている中、毎日電車で通っている今大会優勝者の石楠花はというと……
「これからも雄英を
「「「U☆RO☆KO!!U☆RO☆KO!!!」」」
電車内の老若男女をまとめ上げていた。
▽
朝から忙しいな。雄英体育祭なめてたわ。
まさか電車の中で顔バレよろしく取り囲まれるとは。ピチピチのレディに囲まれるなら朝からテンションうなぎのぼりだが、むさくるしい野郎共に囲まれてもテンションは激流下りだ。激流すぎてうなぎが故郷に帰って来れなくなる。
とりあえずその場をまとめ上げてみたが野郎の信者が増えただけで根本的な問題解決にならない。
俺は美女美女したファンが欲しいんだ。野郎共はノーサンキューだ。そのまま元気に働いてもろて。
だが見られる。めっちゃ見られる。
電車を降りてからも好奇の視線がなくならない。話しかけてはこないが遠巻きからめっちゃ見られてる。視線を向けられるってここまでわかりやすいんだね。女子のみんなごめんよ、どこを見てたとは言わないが。
ここでも声をかけてくれるのは野郎共だ。おっさんがサムズアップしてくれる。歯が白く光り輝いてるぜ。
女の子達もこっちを指差したりして一応注目を浴びているが、目を合わせた瞬間、顔を赤らめて脱兎の如く逃げていく。俺がイケメンであるから照れて去っていくに一票。そうに違いない。頼む、そうであってくれ。
すれ違う子供達からもまるでヒーローになったと錯覚するぐらい懐かれるし話しかけてくれる。何故か呼び方が「パンイチにーちゃん」になっており、的確に俺の心を抉り取っていく無邪気の暴力には完敗だ。1文字変えればバーロー探偵になれるのにな。
近くの母親が見ちゃいけないものを見つけた時のように子供を引っ張って連れて帰っていくまでが一セットだ。歩く公然猥褻罪みたいな扱いをされている。いかん、雨が降ってきたな。いや、雨だよ。
そんな天国と地獄を同時に味わうような通学を終え、教室に入れば同じように浮かれまくっている同級生が視界に入る。みな笑顔なのできっと良い思いをしたのだろう。少しでも俺の待遇をお裾分けしてやりてぇ。
嬉々とした会話を尻目に極限まで存在感を無くし席に座る。気分はマリアナ海溝だ。誰か美女の声援をおくれ。
「ん?おはよう石楠花…本当に石楠花か?」
「あっ、おはよう石楠…どうした!?いつもの元気は!?」
「おっ、確かにそうだ、何かあったのか?」
俺の存在感に気づくとは流石は障子目蔵よ。複製腕の目に目薬をさしてしんぜよう。
両隣の尾白と轟も俺を心配してくれているが野郎の心配のため、俺の脳が的確に右から左へ受け流していく。心配なら女の子からされたい。してくれ。
「おはよう、俺のことはパンイチにーちゃんと呼んでくれ」
「「「あぁ…」」」
おい、何を納得してんだよ。
「おはよう!今日も石楠花くんは元気だね!」
「おはよう葉隠、いや女神葉隠。その素敵なお声が聞きたかったんだよ。抱きしめていいか?」
「ええええっ!?」
ヤバい、待ちに待った女子の声でテンション爆上がりだ。日常会話の一つで心が潤うのが男子高校生スペックだね。
この後、何処からか飛んできたジャックとプリプリ波で意識を刈り取られました。
▽
「おはよう」
すげぇ、ライブハウスぐらい騒がしかった教室がたった一言で凪ったじゃん。先生はナギナギの実の能力者だった?
「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」
「婆さんの処置が大ゲサなんだよ。んなもんより今日の"ヒーロー情報学"ちょっと特別だぞ」
「ヒーロー初恋暴露大会ですか!?」
「黙れ石楠花」
何でだよ!特別だろ!?
ヒーローの拗らせた初恋ほど情報学に相応しいものはないだろ!
情報を通して俺たちの、さらにはヒーローの心を甘酸っぱさといたたまれなさで鍛えることができる、合理的だな。
緑谷を見てみろよ。人に見せられない顔でバイブレーションしてるぞ。興奮している証拠だよ。
えー、ヒーロー初恋暴露大会をしないとなると何するんだろうな?これ以上相応しいものはないというのに。さぁ、早く答えを教えてみろ!俺をワクワクさせてくれ!
「『コードネーム』、ヒーロー名の考案だ」
「「「胸ふくらむヤツきたああああ!!」」」
燃え尽きたよ…真っ白にな…
「センセー、石楠花が白くなりました」
「ほっとけ、3分ぐらい経てばどうせ元に戻る」
悲報、俺の扱いがカップ麺と同じ件について。
担任とは思えない俺の扱いを熟知した素晴らしい発言だ。これは俺に対する先生の信頼の証だろう。その信頼に応え、3分経たずと復活してしんぜよう。
だから百よ、ケトル作ってお湯を沸かそうとしないでくれ。
俺カップ麺じゃないから。お湯かけたら復活する体質とかじゃないから。
「話を続けるぞ?というのも先日話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み即戦力と判断される2〜3年から…つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」
「大人は勝手だ!」
「っ…!!プロヒーローっていつもそうですね…!私たちのことをなんだと思ってるんですか!?」
「黙れ石楠花」
でも実際そうよね。一方的キャンセルなんてされた日には事務所のポストに「ぬ」のハンカチをみっちりと詰める自信あるわ。
「頂いた指名がそのまま自身のハードルになるんですね!」
「そ。で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った」
相澤先生によって黒板に指名結果が張り出される。注目された三人とは石楠花、爆豪、轟である。本来ならば体育祭の順位に比例して注目される。
A組指名件数
爆豪:3723
轟:3145
石楠花:1982
「あれ?石楠花が優勝したのに3位?しかも少なすぎない?」
「石楠花の場合は、実力は本物だが道中の奇行が目立ちすぎて「我々の手には負えません」という意見が大多数を占めていた。だがあれだけ醜態を晒して尚これだけの数字だ、誇っていいぞ」
「先生、全く嬉しくありません!」
こんなに嬉しくない賛辞なんて生まれて初めてだよ。あれほど真面目に体育祭を頑張ったというのに、見る目がないねプロヒーロー。
「ざまぁwwwwww」
「まぁ体育祭で優勝して一番強いことを証明できたし問題ないか。アレ?どうかいたしましたか2位の方?」
「ああアアアぁァァァァ!?」
「かっちゃん落ち着いて!?」
まぁ指名が来ているのであれば問題ない。俺という可能性を見出してくれた素晴らしきプロヒーローの下でご指導していただくだけさ。
これを機に成長し、万年2位の煽り耐性0ボンバーに格の違いってもんを見せつけてやろうではないか。
「これを踏まえ…指名の有無関係なくいわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
職場体験…ヒーロー名…ふっ、完全に理解したぜ。
「出張大喜利大会…ヒーローと世間を笑顔にする…そうですね、先生?」
「違う」
「変な名前を付けたら地獄を見ちゃうよ!!」
突然教室のドアが開き、いきなりいい歳したスパッツヒーローが現れた。そう、みんな大好きミッドナイトだ。
「何か失礼なこと考えてない?特に石楠花くん」
「気のせいですよ。恥部部分だけ切り抜いておこうなんて1ミリも思うわけないじゃないですか」
「全部口から出てるわよ!!」
そんなバカな。俺の口からは本音しか漏れないと有名なのに。
ん?なら正常か。何も問題はないな。俺の後ろの方からプリプリした怒りを感じるが依然問題はないな。
「この時につけた名前が世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!!」
「まぁそういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのできん」
「確かに相澤先生のセンスって死んでそうですもんね」
「黙れ石楠花、永遠に喋れないようにしてやろうか」
「因みになんですけどイレイザーヘッドって名前、誰が名付けました?」
「マイク」
「プヒャ──wwwww!!」
「………」
「無言で捕縛布はやめよう先生!!命は大事にしよう先生!?」
容赦なく捕縛布で首を絞めてくるその姿勢、ヴィランに相対した時のそれだろ。決して生徒に向けて放つ速度じゃないよ。
しかしヒーロー名か、何も考えてなかったな。
ヒーローとしてのヴィジョンはある程度決めてるんだが、いざ自分が名前を呼ばれるとなると何処かむず痒い。
「将来自分がどうなるのか名を付けることでイメージが固まりそこに近づいてく。それが「名は体を表す」ってことだ。"オールマイト"とかな」
オールマイトねぇ…名前がしっくり来すぎてヴィランも逃げ出すレベルだよ。
0歳の赤ちゃんにオールマイトの姿と名前を教えてなくても、2メートル越えのムキムキ金髪触覚おじさんを見せると第一声が「オールマイト」って話し出すぐらいには名は体を表してんじゃん。もはや参考にすらならねぇよ。
しかしみんなスラスラ考えられるもんなんだな。赤ペン先生も驚きの速さだ。ホークスも驚きの体感速度だね。
そんな考えに考えたヒーロー名発表がまさか大喜利会場になるなんてもっと驚きだ。あながち出張大喜利大会も間違いではなかったようだ。座布団一枚おくれ。
ならば乗るしかないでしょこのビッグウェーブに。
ヒーローとは子供に大人気だ、そしてさらに子供に人気要素を追加すれば一大人気になること間違い無し。では、子供が好きなものといえば…??
そう、中二っぽい台詞回しだよね。
「スーパーアルティメットカイザーメガビクトリーヒーロー、シャドウ闇ダークブラック(暗)です!!」
「致命的にダサい!やり直し!!」
一体何がダメだったんだ…?
絶対人気になるネーミングだと思うんだがな。ほら見てみ?常闇はソワソワして目を輝かせながらこっちを見ているぜ?
そうこうしているうちにみんな結構決まってきた。日頃から考えてたのな。
残ってるのは爆殺卿(笑)こと爆豪くんと、ブツブツワカメこと緑谷くん、アルティメットイケメンの石楠花くんの3名だけだ。
そろそろ俺も本気を出して考えねばならないようだ。だが一応それっぽいのは今思いついたんだよな。まさに天啓が舞い降りたね。
そしてどうやら緑谷は「デク」でいくらしい。呼称であろうが意味を見出されて突き進めるのは正直天晴れだ。
「そろそろ石楠花くんも考えついた頃かしら?」
「あぁ、考えついたぜ。聞くだけで腰を抜かし、小便が止まらなくなるような、ヴィランにとっては恐怖の象徴となる素敵な名前がな」
「そこまでしろとは言ってないわよ」
そこまでしなくていいらしい。
では、真面目に話すとしますか。
▽
石楠花がゆっくりと教壇に立つ。
先程までのバカみたいな雰囲気は鳴りを潜め、歴戦の強者がそこにはいた。
「みなに聞こう。この世に完璧な善人はいるか?」
「俺はこう答えよう。答えは否だ」
「例えばオールマイト。平和の象徴と言われ、崇められ、羨望を一身に浴びている。まさに完璧超人。まさに善人と言われる存在だろう」
「だが例え善人でも、完璧な善人ではない」
「完璧な善人とは、人類の誰からも好意的であり、悪感情を抱かれない存在のことだ」
「ヒーローである限り、いや人である限りそんな存在はありえない」
「人ほど些細で複雑な生物は存在しない。羨望は時に嫉妬に変貌する。希望は時に絶望へと変わる。不実、利己、侮蔑、怠惰、憤怒、不義、叛逆、背信、人間の感情を表す言葉なんて世の中に腐るほどある」
「「汝、隣人を愛せよ」と言うが簡単に出来るもんじゃない。人の歴史は恨みの歴史。生きている限り必ず増悪が付きまとう。ヒーローもヴィランも所詮は「人」だからな」
「だからこそ感情で考え行動し、正義と悪を二分する」
「この世に生まれて15年、あらゆる人間を見てきたが未だに何が正義かなんて答えはでない。それもそうだ、この問題は人が人であると認識した瞬間に発生し、未来永劫解決することのない問題だからな」
「俺は理不尽に人を救けよう。あらゆる声に耳を傾け、それでも尚自身の正義を押し付けよう」
「人に支柱を、人に希望を、人に笑顔を、人の心に寄り添える社会を」
「故に俺のヒーロー名は………」
「時には笑顔で時には厳しく、そして時にはハジけます。ハジける滅殺ヒーロー
今日が俺のヒーローとしての第一歩。名は体を表す、実践して見せようじゃないか。