いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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ハーメルンで書き始め、3年目を迎えていました。
これからも石楠花くんもよろしくお願いします。


決断、それすなわちフィーリングが命なり

 

 俺の素晴らしきヒーロー名が決まったとして、次はどのヒーローの許に職場体験に向かうかだな。

 

 俺を指名してくれているのは、俺を御しきれる覚悟のある精鋭達と見て問題ないだろう。きっと面構えが違うはずだ。

 

 指名先のリストを受け取ったはいいが、この量を1週間は流石に無理すぎないか?仏の境地だよ。社畜もビックリの仕事量、俺なら窓から放り投げるね。

 

 とりあえず一通り見ていくと……オールマイト以外のNo.2〜No.10ヒーローが揃い踏みだ。豪華すぎてクソワロタ。白米8杯はいけるね。

 

 何気にエンデヴァーから指名が来ているのが驚愕だ。石焼き芋製造機に気に入られる要素0だろ。焦凍と仲良くしてくれてありがとう指名か?

 

 何にしても俺がエンデヴァー事務所に入った暁にはバーニンにセクハラすることは確定事項だ。そしてゆくゆくは俺の事務所にNTR(引き抜く)ね。うぇーいエンデヴァーくん見てる〜?おたくのサイドキック、俺の隣でバリバリ働いてま〜す!

 

 ホークスからも指名が来ている。羽もないのにどうやって付いていけっていうんだ。気合いで空飛べってか? でも飛ぼうと思えば飛べると思います。人間の可能性は無限大さ。

 

 さて、他のヒーローについても検討してみたが少々堅実すぎるな。堅実なのはヒーローとしていいことなんだが俺の強みが9割5分ぐらい死ぬ。俺は堅実という言葉の対義語のような存在だからな。言ってて悲しくなってきた。

 

 俺を従えるのであればアウトロー感があり、筋書きなくアドリブで始まり、カオスが極まり、エロさがカンストしていることが最低条件かな。

 

 その時点で候補がミルコ一択となる訳だが、エロいという点ではリューキュウも選択肢に入る。マウントレディも可。

 

 もしかすると俺に届いた1982件のラブコールの中に、どちゃくそエロいヒーローがいるかもしれねぇ。いや、そうだ。きっとそうに違いない。

 

 探せ!探し出せ!!

 俺のワ○ピースがこのどこかにいるんだ!きっと財宝(隠語)を探し出して欲しくてロマン片手に俺が事務所へと駆り立てるのを待っているんだ!

 

「石楠花くん?目が血走ってるけど大丈夫?」

「俺に話しかけるんじゃねえ緑谷!!死にてぇのか!!」

「えっ!?本当にどうしたの!?」

 

 馬鹿野郎!お前俺の人生を賭けてんだお前!

 健全な救護活動は健全な職場環境からって決まってんだろぉぉぉん!?

 

 待てよ?緑谷はヒーローに詳しい。俺よりもすこぶる詳しい。そしてきっとスケベだ(確信)。

 

 ならばきっと女性ヒーローについて広辞苑ぐらいの太さで情報をまとめているはずだ。そして世間一般には出回っていないニッチな情報を揃えて夜な夜な眺めては一人ニヤニヤしているに違いない。

 

 俺も裏の伝手を経由して手に入れた情報と緑谷の努力の結晶、これらを合わせれば理想のエロいヒーローを炙り出せるって訳さ。

 

「緑谷、俺たち2人が揃えば最強だ。一緒にどエロいスケベ女性ヒーローを炙り出そうぜ」

「だから何の話をしてるの!?スっ…スススススススケベヒヒーローってなっ…何言ってるの!?」

 

 相変わらずウブ太郎みたいな反応だな。そういう反応は今はいらねぇんだ。端的に結果をスマートに。ハンターとは虎視眈々と獲物を狙っているのさ。

 

「おっと…オイラも交ぜろよ」

「峰田…!」

「よっ…俺も忘れてもらっちゃ困るぜ」

「上鳴…!」

 

 後光が差したスケベハンターが降臨なされたぞ!

 この会話の先に待つのは死だ。にも関わらず菩薩の如き笑みを浮かべてやって来やがったっ…!

 

 その姿勢、感服するぜ。兄弟達よ、生まれは別々なんだ。死ぬ時ぐらいは一緒に死のうぜ。

 

「しゃあ!俺達4人揃えば不可能はない!最強で最高のスケベを発掘しようぜ!!」

「「しゃあ!!」」

「ちょっ…!僕を巻き込まないでよ!?」

 

 馬鹿野郎!俺達は4兄弟だ!1人でも欠けちゃどスケベ探求者の名折れだぜ!

 

「これは俺が独自のルートで仕入れた情報なんだが…実は……」

「「実はっ…!……ギャアァァァァァァァ!?」」

「相棒ォォォォォォ!?」

 

 何てこった!?上鳴と峰田が何処からか飛んできたイヤホンのジャックにやられちまった!

 

 とりあえず2人の犠牲を無駄にしないために盾にしようと思ったのだが、追加で飛んできた舌で吹っ飛ばされて俺と緑谷の盾にすらならなくなっちまった、つかえねぇな。

 

 それと同時に俺達は6人の女子という名の真のハンターに取り囲まれている。

 

 ハンターは獲物で、獲物はハンターだったのか……俺もまだまだだな。いつから俺は自分がハンターだなんて過信しちまったんだ。俺は狩る側ではなく狩られる側だった…ふっ、とんだ笑い話だぜ。

 

「何か…言い残すことはありますか?」

「ふっ…緑谷のことはいい、俺だけでも助けてくれ」

「わかった。緑谷は無罪、お前は死刑だ」

 

 おかしいな?俺が言ったことと逆の結果になったぞ?

 緑谷が麗日に連れられて女子の壁という名のウォールマリアから脱出していった。壁が巨人だったって本当に素晴らしい展開だよね、まさに今その通りだもん。ついでに俺も外に連れてってくれないか?

 

 あっ、緑谷は緑谷で麗日に怒られている。これがてぇてぇか。

 

「さて…ではカス、弁明があれば聞こう」

「裁判長!何故俺の耳にもうジャックが突っ込まれているのでしょうか!」

「速やかに死刑を執行するためだ」

 

 この裁判長判断が早すぎる。何処かの山の天狗面のじいさんもびっくりのスピードだ。

 さらに周りに控えている裁判員達の判断も早そうな顔をしている。なんだったらもう口の形が死刑の「し」の字をすぐ言えるようにスタンバってやがる。民意敗北しすぎだろ。

 

 俺に刑が執行される確率は105%、必ず執行され、なんならオマケにもう一回執行されるかもしれないぐらいの確率だ。オマケ感覚で刑が執行されるって何だよ。

 

 だが俺は天下無敵の石楠花 鱗。ただで転ぶ訳がないだろう。見せてやろう、石楠花流討論術を。

 

「裁判長、私がバカ(峰田)アホ(上鳴)に話し始めた瞬間を思い出してください」

「ほう…続けたまえクズ(石楠花)

「私が話し出した瞬間…いや、もっと前からあれだけ騒がしかった男子が静かになったのです。これは由々しき事態です」

「ほう…?」

「私のシャコシャコアイは獲物を逃さない。野郎共はわずかではありますが普段と比べて体温の上昇が見てとれました。それすなわち…私の話が聞きたくて興奮し、耳を傾けていた何よりの証拠にございます!」

 

 

 石楠花流討論術奥義その一

 他人を巻き込む!

 

 

 1人だけでなく周りを巻き込むことによって1人あたりの刑罰を中和しようという素晴らしい討論術だ。

 

 今も野郎共の見苦しい言い訳が聞こえるが、俺には甘美な声援に聞こえるぜ。

 

「わかった…結論、石楠花は死刑」

「何故!?」

 

 だがこの裁判長は強かった。石楠花、虚しく撃沈。

 

「芦戸裁判官、何かより苦しませる刑はありますか?」

「はい、耳郎裁判長。頭上から酸の雨を降らせるのが一番かと」

「グロすぎるだろ!?シャコそんなに頑丈じゃねぇよ!」

 

 ヤバいって。マジヤバいって。余裕で死ねるじゃん。想像してたものを余裕で飛び越えていったよ。跳躍の個性持ちですか?

 

「八百万裁判官、何か言うべきことはありますか?」

「はいですわ、耳郎裁判長。鱗さん、浮気はダメですわよ?」

「待て。何でもう浮気判定出てんの?」

「「石楠花テメェェェェ!!」」

「盾が復活した」

 

 こっちはこっちで違う意味で飛躍しすぎだろ。跳躍超えて浮遊の個性か?

 

 可愛く頬を膨らませてプリプリ抗議する様は唯一の癒し味があるのだが、繰り出される言葉に冷や汗が止まらない。もう冬がやって来ました?

 

 復活したであろうバカ(峰田)アホ(上鳴)は再び梅雨ちゃんの舌に捕まって連れて行かれた。南無阿弥陀仏。

 

 しかしもはや刑の執行は免れない。だが我がシャコシャコヘッドはまだ突破を諦めていない。ならばどうするか?だったらまずは裁判長から地盤を崩せばいいじゃない、と。

 

「裁判長…エロを悪即斬するその姿勢、感服いたします。しかし!自身の行動を今一度省みてください」

「ウチの…行動?」

「何気なく俺の耳にイヤホンを突き刺しているが、この状況を外部から捉えると…同じイヤホンを男女で共有しているように見える!」

「きょっ……!?」

 

 ふっ…狼狽えてるぜ。顔を赤くしちゃってまぁ。

 だが、ここで止まる石楠花くんじゃないんだぜ!

 

「だが!このイヤホンは個性!つまり耳郎の体の一部と言って良い!その自身の体の一部をあろうことか自ら男の耳に!粘膜的接触を行っている!」

「ねっ……!?」

「これは証明だ!無意識に行動したようだが、無意識には自身の本性が現れる!俺をスケベだ何だ言っているが、自身から粘膜的接触を試みること以上にスケベなことはない!裁判長、貴方は俺以上に潜在的スケベであることを今!ここで!証明したんだ!」

 

 ぐうの音も出ない完全論破だろこれ。これが論破王石楠花の真骨頂なんだよね。

 

 うむ。認め難いものだ、己の痴態など。だが、それを乗り越えてこそ真のどスケベクイーンになれるのだよ。ってミッドナイトが深夜ラジオでそんなこと言ってたような気がする。

 

 てか真っ赤になってフリーズしたまま全然動かねぇな。再起動に時間かかるタイプだな。まぁとりあえず素数でも数えて待ったり、俺に巻きついてる縄の感触を楽しんだり………ん?縄?

 

 

 

「鱗さん?」

「ヒュっ…!」

 

 

 

 何だこのプレッシャーは…!全身が軋むような重圧、さらに謎のパワーで空間が歪んでいるように見える…!他の野郎共に助けを求めたいが天敵を前にした子ウサギのように教室の角で固まって震えてやがるっ!

 

 嫌だ!誰か俺を助けろ!助けてくれ!助けてくださいお願いします!心を入れ替えて仏の境地に達しますから!

 

「覚悟……してる方ですわよね…?」

「石楠花ならきっと覚悟決まってるよ」

「うんうん」

「申し訳ございませんでした!待ってください!裁判長、私は心を入れ替えて清く正しく清廉潔白なスケベを心掛けて生活いたします!セクハラも1日7回までと決めて行動します!だから…!」

「裁判長…判決を」

「うむ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有罪(ギルティ)

「ギャアァァァァァァァァァ!!」

 

 

 鼓膜と全身がフルボッコにされた。

 

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 

 ひでぇ目にあった…

 まさか顔がピカソになるぐらい殴られるとは思わなかった。その後の授業もピカソ顔で受ける羽目になっちまった。永久保存版だわ。

 

 とりあえず女子全員に15土下座で許してもらった。土下座って単位だったんだな、今日また一つ賢くなったよ。

 

 それと、今度罪滅ぼしでランチをご馳走することになった。謝罪の対価が7Pデートって俺のこと好きすぎないか?って言ったらゴミを見る目で蔑まれた。多分俺の財布は天高く羽ばたいていくのだろう。

 

 耳郎が俺を見るたびに顔を赤くするようになったが、これは特に問題ないだろう。顔を赤くするたびに女子達からピンポイントで殺意の波動を一身に感じ取るのだがきっと気のせいかな。だがこのクラスにいるのは女子の皮を被った豪鬼だからあながち気のせいじゃないかもしれない。おにぎりでも備えておこう。

 

 

 さて、一悶着あったせいで目下の課題である職場先をまだ決めていない。

 

 真面目に考えると俺は情報収集や隠密タイプではない。ド派手に殴ってド派手に壊すのが俺のスタイルだ。なんならまだ見える範囲なら情報収集可能なので前線で情報を拾いつつ大暴れできる強みがある。

 

 だから職場としては積極的にヴィランと交戦し、処理が完了次第すぐに移動してブン殴りに行くクレイジースタイルヒーローが好ましい。

 

 故に俺が選べるヒーローとすれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は決めたぞ緑谷!」

「体験先のヒーローを決めたの石楠花くん?石楠花くんは候補が多いからもう少し時間がかかると思ったけど……でも石楠花くんのスタイルは前線に出て活躍するストロングスタイル該当するヒーローに絞り込めばいやでも視野の広さを生かした情報探索もありだなでもそれだと強みを殺すことになる機動力もあるから前線に出つつ的確に情報を収集して情報を共有し解決を測るのもアリだな話術が得意だし交渉の場においても無類の力を発揮できるその隙に強行突破できるし搦手が得意なヒーローと一緒だとより確実に救助することができるこれらを踏まえて考えられるヒーローを探すのは一苦労出来ることが多くなると選べる選択肢も増える僕も頑張るぞうひょー………ブツブツブツブツ

 

 

 えっ、俺地雷踏んだ?

 急に高速詠唱モード突入したんだけど、これ俺のせいか?夜道でばったり出会ったら全力で逃げ出す自信があるね。

 

「ブツブツうるせェんじゃクソデクが!!」

「わっ…!ごめんかっちゃん!」

「だが石楠花が何処に行くのか確かに気になるな」

「オイラに黙ってエロいヒーロー見つけたのか!?」

 

 野郎共が群がって来た。職場先を言うだけだぞ、ビンゴにならないし景品も用意されてないのになんでこんなに集まってくるんだ。アレか?スケベか?こいつらまだスケベを待ってんのか?あと峰田、直球は止めろ。何故か俺が女子達に睨まれるから。

 

 発表しないと帰れそうにないからちゃっちゃと教えてしんぜよう。好きな性癖発表ドラゴンぐらい潔くな。

 

「俺は決めたぞ!俺は……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミルコのところに行ってくる」

「「「スケベ目的じゃねぇか!?」」」

 

 失礼だなコイツら。俺がそんな目的で行く訳ないだろ?だから女性陣よ、そんなに強く肩を持つのはやめておくれ?

 

「おいおい、俺がそんな低俗な感情で動くと思ってんのか?」

「前科あるだろ」

「情報をまとめた結果さ。ヴィランを吹っ飛ばして吹っ飛ばして吹っ飛ばしまくるその姿勢、俺にピッタリだ」

「まぁ…確かに」

「決定打に選んだ情報としては……強い、カッコいい、美人、責任感がある、経験積めそう、臭そう、まぁ他にも色々あるかな」

「最後悪口交じってたぞ」

 

 細かいことはいいんだよ。きっとこの1週間で俺は成長できるという確信がある。お客のように扱ってもらいたいのなら他所に行けばいい。俺は1人のヒーローとして扱ってもらいたいのだ。少しでも経験を得るためにな。

 

 そのために俺はミルコの下で学ぼう。事務所を持たないという最も特異なヒーローの下でな。

 

 

 

 

 

 

 

「あとは「兎」の個性でも発情期があるのかどうか知りたかったからかな」

「「「おらぁぁァァァァァァァ!!」」」

「ギャアァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 石楠花、ミルコの許に出張決定。

 

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