「俺たちは毛刈り隊だ!!人類を丸坊主にするべく結成した帝国直属の特殊部隊さ!!」」
「馬鹿な…毛刈り隊だと…?」
毛刈り隊が遂に日本へ進出してきたか。これは…ちょっと危ないかもしれないな。
あまりニュースに取り上げられてないが、直近で力をつけてきた国が世界で二つある。
一つは新興国『ローマ連邦』
ローマとして独立し、バックボーンの分厚さで国として正式に認められた。2Pカラーが所属していることから相手取るならかなり面倒くさい。
そしてもう一つが今目の前のツルピカが言った毛刈り隊、その毛刈り隊が所属する国、『マルハーゲ帝国』だ。
こちらもニュースにはなっていない。なっていないというか、被害が甚大でニュースにすらできない。ニュースにしてしまえば市民がパニックに陥るからな。ニュースにもなってないことを何故知ってるかって?裏の伝手さ。
恐ろしい勢いで勢力を広めてきている。事件の内容としては男女関係なく国民全てを毛をぶち抜いて丸刈りにしていくという人死は出ていないが何とも嫌な犯罪ばかりだ。
そもそも毛刈り隊はマルハーゲ帝国の皇帝が自らの力を示す為に、人類を丸坊主にするべく結成した帝国直属の特殊部隊であり、毛を持つものは容赦なく刈り取っていく。
毛刈り隊にはAブロックからZブロックの支部が存在し、その上に毛刈り隊総合本部、さらにその上にマルハーゲ四天王、そしてマルハーゲ帝国現皇帝のツル・ツルリーナ4世がいる。他にも暗殺部隊や営業部、宣伝部に広報部、大岩さんなどの階級分けがされている。
何故ここまで内情を知っているかと言うと、以前知り合いに連れられマルハーゲ帝国に入国したことがあるからだ。
いやぁ、度肝を抜かれたね。国として成り立ってはいるが、かくも恐ろしい国だった。
何故かマルハーゲ帝国の敵には個性が効かないとまではいかないが効きづらい。そして打撃や刃物、銃器や鈍器も効きづらい。
下っ端なら日本のヒーローでも問題なく倒せるだろうが、各ブロックの隊長クラスなら上位ヒーローでも厳しいだろう。
奴らの生命力を舐めてはいけない。四天王クラスになるとオールマイトであっても苦戦は必至だ。奴らは血を吐いて吹き飛ばされても気づけばケロッとして襲ってくるからな。真面目に戦うようなヒーローではまず勝てない。
俺のシャコパンチでも次の展開になった瞬間何も問題なさそうに攻撃してきたからな。どんな生命力してんだよ。撃退したがな。
マルハーゲ帝国の実力は世界でもトップクラスと見ていい。耐久力がオールマイト以上の化け物たちが周辺地域を丸刈りにしながら制圧していくのだ。それなんて地獄ですか?
しかし近年侵攻は進んでいない。
それは何故か?
マルハーゲ帝国には彼らに対応しうる最強の男たちが存在するからだ。
きっと彼らには俺とオールマイト、いや数多のヒーローが力押しで戦ったとしても勝てないだろう。理不尽の強さがあのアフロにはある。毛魂を持った最強のハジケリスト。
彼がいる限り、この世全てが丸刈りにされることはないだろう。
だが少々疑問が残る。
本来ならばマルハーゲ帝国から出てくるものは少ない。基本的に侵攻するのは自国の周辺のみのはずなのだが、何故今になって日本にいる?
「オラァ!変態捕まえたぜぇ!何考え事してんだぁ!」
おっと、物思いに耽っていたら俺も人質になっていたようだ。ピンク髪の女の子が不安そうに見てる。すまないな、だが大丈夫!すぐに解決してみせるから!
「お嬢ちゃん、心配しないで!ほら、お兄さんの落雁をあげよう」
「いらないよ!?何処から出したのソレ!?」
いらないのか。これがジェネレーションギャップってやつかな。そんなことよりまずは解決が先だ。残念だな毛刈り隊よ、ヒーローは俺だけじゃないのだよ。
「助けてぇぇ!ウサギちゃぁぁん!」
「見てたぜ!テメェら悪者だな!ぶっ飛ばす!!」
「なっ!?まだいたのか!だがこっちには変態だが人質がいる!こいつがどうなってもいいのか!!」
「そいつに人質の価値はねぇぇ!!
「「ギャアァァァァァァァァァ!?」」
「えぇぇぇ!?まとめて蹴ったぁ!?」
俺に人質の価値ないの?酷くない?普通に蹴り飛ばされたんだけど。ピンク髪の子もびっくりしてるよ。これは特殊なヒーローだよ、誤解しないでね。
他の毛刈り隊もミルコにギタギタのボコボコに蹴り飛ばされている。ジャイアンかよ、近づかんとこ。お前は俺のものにされるかもしれん。
他の残党はミルコに任せて俺はまず目の前の丸刈りだな。人質仲間を救出しないと。
「さぁ、仲間はイかれたバニーにボコボコにされてるぜ。観念するんだな」
「うるせぇ変態が!俺たちは丸刈りにする崇高な使命があるんだよ!くそっ!こうなったらこの女だけでも…!」
「イヤァァァァァァ!?」
「ほいデコピン」
「ギャアァァァァァ!?」
敵を目の前にして長々と話す奴があるかよ。アルティメットデコピンの刑に処す。
しかしやはり頑丈だな。俺が少し強くデコピンしたというのに吹き飛んで気絶するだけとは。耐久性どうなってんだ?
「あっあの…ありがとうございます!」
ピンク髪ちゃんも無事なようだ。毛刈り隊に巻き込まれたというのにここまで元気を保てているのは才能だな。さぞ将来有望なヒーロー候補生となるだろう。
「無事でよかったよお嬢ちゃん。ほら、お兄さんの「ぬ」のパンツをあげよう」
「いらないよ!?でもアレっ?「ぬ」が書かれたものを持ってるって…それにハジケた行動…まさか」
「まだヴィランが残ってたか!」
「ギャアァァ!俺味方ぁぁぁ!?」
何回フレンドリーファイア受けなきゃいけねぇんだよ!パンイチに飛び蹴り入れるか普通!?でも側から見ればパンイチが女の子にパンツ差し出してんのか…俺でも飛び蹴るぜ、両足そろえてな。
「あン?何だシャカか、紛らわしいんだよ。さっさと服着ろ」
「違うんだよ。服が駄々こねて俺から逃げていくんだよ」
「そんな訳ねーだろ!」
そんな訳あるんだよ。世界が俺の裸を愛しすぎて因果律を操作してる説を押すね。
「人質にされた子は?」
「無事保護した」
「よくやった馬鹿」
「毛刈り隊その他諸々は?」
「蹴り飛ばした」
「よくやったバニー」
毛刈り隊を1人で一掃できるって、そんじょそこらのヒーローよりもミルコの実力が抜きん出てる証拠だよ。他のヒーローなら髪の毛毟り取られてたね。
「あっあの…!」
「「ん?」」
ピンク髪の子が話しかけてきたけど一体どうした?まさか俺に惚れたのか!同じ人質同士吊り橋効果というやつだろう。参ったな…モテる男はつらいぜ。
「その「ぬ」のパンツ…もしかして貴方が石楠花 鱗さんですか!?」
前言撤回、ストーカー説出てきた。
「ぬ」のパンツで個人情報特定されるって何だよ、聞いたことねぇよ。携帯落としただけなのにじゃねぇよ、「ぬ」のパンツ渡しただけなのにじゃねぇか。映画化できるわ。
「ふむ。「ぬ」のパンツを知っているとはお目が高い。ならば死刑だ」
「何で!!?何もしてないよ!?」
「何故「ぬ」のパンツを持っているものが石楠花になる?さてはテメーつけもののスパイだな?」
「つけもののスパイって何!?」
「つけもののスパイって言ったらハンペンに決まっているだろ。学校で何習ったんだ?」
「初めて聞いたよ!?私がおかしいの!?」
必修教科だぞ、知ってて当たり前だろ。逆にそんなことも知らない小娘が何故俺のことを知ってるんだ?
ん?待てよ…?今更だがこのツッコミ…何処かで聞いたことあるような…
ピンク髪…
女の子…
謎のファッションセンス…
低い身長…
冴え渡るツッコミ…
『メケメケメケメケメケメケメケメケ』…
まさか彼女は彼らの仲間の…!
「お前まさかギバハゲか!?」
「誰それ!?違うよ私は…」
「分かった!メソポタミア文明か!?」
「もっと違うよ!?私は…」
「ビュティだろ?」
「ちが…くない!そう!私はビュティ!でも何で知ってるの!?」
「そりゃこっちのセリフだ馬鹿野郎」
名前が合ってよかった。会ったことはなかったが、話では聞いたことがあるんだ。
彼女はビュティ。マルハーゲ帝国の住民で無個性の少女だ。いや、個性『ツッコミ』といったところか。個性に匹敵するツッコミ力の持ち主だ。
なぜなら彼女はあのハジケリスト達につっこめる貴重な人材だからな。噂では聞いていたが、まさか幼い少女だとは。もっと厳つくて彼らをツッコミと同時に殴り飛ばせるような女性だと思ってた。
「知り合いから少し君の話を聞いていてね」
「そうなんだ!私も知り合いから特徴を聞いてたんだ!最高にイかれた行動をとって、日本の常識が通じなさそうな物を持ってる奴がいたらソイツが石楠花だって!きっとヤバすぎて目立ってるはずだからすぐ見つけられるって言われてたけど本当にそうだった!」
誰だよ負の面しか教えないやつ。確かに秒で見つかったから全面的に同意するけども。
「おい!私をほったらかしにするんじゃねぇ!」
あっ、すっかり職場体験だってこと忘れてたぜ。
「すみません。ウサギは寂しいと死んじゃうことを忘れてました」
「そんなわけねーだろ。何だ?知り合いだったのか?」
「共通の知人がいて、お互い特徴だけ知ってたって感じですね」
「ほーん?そんなこともあるんだな。世間はせめェ」
ほんと狭いよ。まさか日本でマルハーゲ国民に会うなんて思ってもいなかった。あとさっきから地味にミルコが体を擦り付けてくるのはどうしたんだ?マーキング?こちとらパンイチだから派手な行動は控えてほしい。でないと襲うことになる。
「とりあえずビュティ、俺を探してたとのことじゃないか。手続きを済ませてから少し話を聞かせてくれないか?」
「うん。私も伝えなきゃいけない情報があるんだ」
直接伝えないといけないような情報か……さて、鬼が出るか蛇が出るかハジケが出るか。
「ねぇねえ、ちなみに私のどんな話を聞いてたの?」
「メギョカニャルサワプリョンみたいな女性って聞いてるぞ」
「わけわからん!!?」
▽
さて、無事に手続きを終えた後、俺、ミルコ、ビュティの3人で一旦ホテルに戻ってきた。外なら話が聞かれる可能性があるからな。
「改めて、俺は石楠花 鱗。ヒーロー名はシャカ。こちらはプロヒーローのミルコ、唯のエロウサギだと思っちゃいけない。実力は折り紙つきだ」
「改めて、私は兎山 ルミ!ヒーロー名はミルコ!こっちはヒーロー候補生のシャカ!唯のエロシャコだと思うなよ!実力は折り紙つきだ!」
「思ってもないよ!?何その自己紹介!?仲良いのか悪いのかハッキリしてよ!?」
これだよ。ビュティといえばこれがないと。ビュティがいて初めてハジケリストになれるという気持ちがわかったわ。
「まぁ自分家のようにくつろいでくれ。テレビもつけとくしお菓子も買ってきた。のんびりいこう」
「いやのんびりしすぎ!?溶けてるけど!?」
そら溶けるよ。多分今からとんでもないことでも聞かされるんだろう。現実逃避さ。嫌だよ〜マルハーゲ帝国案件なんて。絶対エゲツないじゃん。絶対大規模じゃん。
でも聞かない選択肢はないからな〜、聞かなかったら被害規模がきっと尋常じゃなくなるんだろう。なら聞くしかないな。俺はヒーローだもの。市民は見捨てないよ。
「で?どうして俺を探してたんだ?」
「急に真面目になるところもそっくり……私は石楠花に伝えてやれって言われてここに来たんだ。このままじゃ日本はヤバいって」
「はぁ!?日本がヤバいってどういうことだぁ!?」
ミルコステイ。ほらね?激ヤバ案件じゃん。ヒーロー候補生に背負わせる運命じゃないよこれ。
「日本に危険が迫ってる…ううん、もう危険が侵食してるの!」
しかも現在進行形かよ。えっ、じゃあ日本の何処かにマルハーゲ帝国の刺客がいるの?公安さん仕事してもろて。ホークス、もっと頑張れよ。
隣でミルコもこの以上事態の重さに気付いたのか真剣な顔をしている。
「だから石楠花…シャカに連絡が必須だったの!敵はきっとシャカじゃないと倒せないって!何故なら今日本にいる敵は……!」
その時、緊迫した部屋の状況とは裏腹に、つけていたテレビから軽やかな明るい音声が流れた。
『はーい!今日の特集はすごいですよ!何と今流行りのアソコについて特集していきまーす!なんなら現地で紹介させていただけるとのことなのでお邪魔させてもらっておりまーす!皆さん何なのかもう勘づいている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?そう!本日はなんと……