危険が迫ってる…ねぇ。
水面下で動かれる方がかなり面倒くさいな。そしてどんなタイプが潜んでるか分からんから動きようがないな。
それにさっきテレビから流れていたニュース番組の音声、何処かで聞いたことある名前が聞こえたし、俺のシャコシャコセンサーが痛いほど警鐘が鳴っている。
「今、日本にいる敵はマルハーゲ四天王の1人なの!」
はい、結構ヤバいタイプでした。かなりヤバいタイプですこれ。聞きたくなかったよそんな情報。今世紀最大級で聞きたくなかったです。
「そのさっきからマルハーゲやら四天王ってのは一体何だ?」
そうか、ミルコはあんまり知らなかったな。日本のヒーローで知ってるのもごく少数だけだし。
「マルハーゲ四天王ってのはかくかくしかじかでな」
「はぁ!?オールマイトでも倒せるかどうか分かんねー奴が日本にいるのかよ!?」
「何で通じるの!?」
俺たちはもうツーカーの仲だぜ?通じるに決まってるだろ。ウシャコを超えた阿吽の呼吸だよ。
「で?オールマイト並みの強さは分かったが、ソイツは一体誰なんだよ?まさかここまで情報知ってて知りませんなんて言わねーよな?」
「はい。今やネズミーランドを超え、日本一…いや世界一人気と言われ始めているハレルヤランドの最高経営責任者であり、世界一の金持ち達に名を連ねる最強の資産家…
名をハレクラニ!マルハーゲ四天王最強の男です!」
………日本終わったかこれ?
冗談だろって?いいや、マジさ。
四天王とはそれだけヤバい、というよりハレクラニという男がヤバいのだ。
奴の持つ『個性』には全人類叶わないし、一度でも個性に触れたら即リタイアというクソ仕様だ。実際ハレクラニ本人に触れることすらできず全員アウトもあり得る。
だからこそ今できることは……
「よし!じゃあ…ヒーロー活動に戻るか」
いつも通りの生活を送ることだ。
「何でだよ!?このままソイツをぶっ飛ばしにいく流れだったろ!このままじゃ日本が危ねぇんだろ?だから今からさっさとソイツをブッ飛ばしに行くぞ!」
「そりゃ無理だ」
「あぁ!?」
そりゃぶっ飛ばせるならぶっ飛ばすに越したことはない。だが今は厳しいし何より一番大事なことが欠けている。
「相手はオールマイト級の耐久力に未知数の個性持ちだ。俺とミルコとビュティだけではかなりの確率で返り討ちに合う」
「なら他のヒーロー共に協力を仰げば…」
「それも厳しいな。今のところ証拠がない。理由なき襲撃はヴィランのそれと同じだよ」
今俺たちが知っている情報はハレルヤランドにハレクラニがいる、それだけだ。ブローカーと通じているとか遊園地経営が違法商売ということもない。ましてや悪いことをしているとも限らない。
正規の手続きで結果を残している相手に難癖つけてぶっ飛ばすのは、ヒーローの在り方の根本から否定される行為だ。
だからこそ俺たちは今手を出すことは不可能なのだ。
「なに、別に見逃そうなんて言ってない。今できることは根気強く情報収集することぐらいだな。ビュティ、そっちでも情報を集めることはできるか?」
「うん!やってみる!」
「ミルコ、俺たちは独自にハレルヤランドと提携する企業情報、または内部での些細な情報でもいいから慎重に探っていこう。職場体験が終わった後にでも信頼するヒーローに協力を仰いでな」
「ちっ…!わぁったよ…今すぐ蹴り飛ばせねぇのはモヤモヤするが、蹴り飛ばせる日を楽しみに徹底的に調べ上げてやるぜ!」
遠回りこそが一番の近道さ。四天王最強の男が日本にいることが分かっただけでも収穫だ。出来ることから少しずつ潰していき、来たる日に地の果てまでぶっ飛ばせるように今から準備していこう。
四天王最強がなんだ。無敵の個性がなんだ。
なに、俺のいる日本で好き勝手はさせねぇよ。
▽
「本当にここまででいいのか?」
「うん!私の目的は石楠花さんに情報を伝えること!それが完了したし、せっかく日本に来たんだから観光して帰るよ!」
あの後、ビュティと連絡先を交換してホテルを出た。もし何かあった時即座に連絡が届くようにだ。
今は日本にいるが元は帝国にいた身だ。日本よりも遥かに情報が眠っているはずだから、調べがつき次第情報を送ってもらう手筈になっている。
四天王随一の切れ者。何処まで情報が残されているかは分からない、もしかすると不利な情報の痕跡一つ残していないかもしれないが、必ず隙を見つけ出して決定的な証拠を押さえてやる。
「じゃあなビュティ!もうヴィランに捕まるんじゃねーぞ!」
「うん!ミルコさんもどうもありがとう!」
それと何故かミルコとビュティは仲良くなっていた。ミルコにハジケリストの片鱗か、ツッコミ仲間としての片鱗を見つけたのかな?
まぁ女子は仲良くなるのが早いというし、これから協力する上で仲良くなってて損はないな。ビュティの負担が減るか倍になるか、これから見ものだね。俺としてはハジケ側に来てほしいです。
「そういえば、たまたまヴィランに捕まって偶然シャカに会えたはいいものの、どうやって顔も知らないシャカを探すつもりだったんだ?」
「あっ、それは私の知り合いが石楠花を探すならこれを使えって貸してくれた道具があったの!でもそれを使う前に事件に巻き込まれて、そこで運良く遭遇できたから……これがその道具!」
マジかよ。俺をピンポイントで探し出せる道具とかこの世に存在すんの?帝国発達しすぎじゃね?見たところ普通のリモコンだけど…おっ、説明書付きじゃん。ご丁寧にこの機械の名前と説明が書かれてあるよ。えっと……?
『バカ発見器』
説明①
モニターに『バカ』と表示されるまでスイッチを長押ししよう!
説明②
全身から溢れるハジケリスト特有のバカの波動を感知すると、「メケメケ」音が流れるぞ!そいつが石楠花だ!
「ビュティ、これ渡したのどのタイプのバカ?」
「オヤビンタイプのバカだよ」
「首領バカね、理解したわ」
今度会ったら全力で盾にさせてもらおう。それか全力でサッカーしよう。お前ボールな。
「じゃあ私はそろそろ行くよ!ミルコさんもシャカも今からヒーロー活動頑張ってね!」
「ああ!何かあったら連絡しな!すぐに跳んでいって蹴り飛ばしてやるからよ!」
「そうだな。悪い奴がいたら奈落の底まで追いかけてところてんに漬け込んでブルドーザーで轢きながら壁に激突してやるからすぐに連絡くれよ」
「連絡する気なくなるよ!?相手死んじゃうじゃん!?」
半分冗談だ。ブルドーザーで轢きながら壁に激突するだけで勘弁してやる。慈悲は無い。
「次会うとしたら決戦の日かな。こっちも何か分かり次第連絡するよ。彼らによろしく」
「うん!きっと喜ぶよ!じゃあね!」
別れを告げて爽快と去って行った。1〜2時間程度しか経っていないのに情報が渋滞しまくったな。俺も頭がパンクしそうだ。
いい加減重要情報ばかり俺の元に集まってくるのどうにかしてほしい。もっと軽やかな情報が欲しいんだよ俺は。ヒーロー科女子のオススメのパンツメーカーとかね。
これを機に今一度情報を整理しよう。
僕が握ってるよ!重要物・情報一覧
①話せないよ♡一族の秘密
②緑谷とオールマイトの禁断の関係(個性絡み)
③ドキドキ!轟家の激重内情
④USJの時の巨悪のラジカセ(黒歴史確定だね♡)
⑤悪鬼羅刹なマルハーゲ帝国の内情
⑥秘密のコスチューム・個性研究(ポロリもあるよ♡)
以上の濃いラインナップでお送りします。
1人で背負うと両肩脱臼するぐらいの重さになるので、誰か助けてくださいお願いします。
「よし!見送ったな。今すぐ情報を集めてクソ共を蹴り飛ばしたいが……今はまず目先の悪いヤツをぶっ飛ばして経験を積め!引き続きヴィラン捜索だ!行くぞシャカ!」
「うい。来る日までにやる事がいっぱいありすぎる。とりあえずまだヒーロー歴1日なんで、ノウハウ学んで明日にはビルボードチャートに乗る勢いでお節介しまくってやりますよ!」
「そうだ!それぐらい馬鹿げた夢を持ってるのが丁度いい!おらついて来い!跳んで行くぞ!」
「ブルアァァァァァァァァ!ぷぇあぁぁぁァァァ!」
「うるせぇ!」
小規模大規模含め、5件解決した。
【速報】新進気鋭の頼れるヒーロー、シャカ!開始2日で9件の事件を解決!
【衝撃!】ミルコがシャカに体を擦り付け!?高頻度でのマーキングか!?
【笑激!】ヒーローシャカ、パンイチ姿のヴィランと間違われ逮捕されかける!何故か子供が大喜び!早くも注目の的か!?
ネットニュースにもなった。
▽
無事2日目終了、ホテルに戻ってきたぜ。足がバネになったんじゃねぇかってほど飛び跳ねてきた。スーパー疲れた。アルティメット疲れた。
「ミルコ、俺様の足を揉んでくれ」
「ふざけんな。お前が私の足を揉め」
もう少し優しさが欲しい。日中は笑顔で尻を蹴ってくるし、汗をなすりつけてくるし俺はどうしたらいいんだ。とりあえず足揉み許可いただいたのでねっとりとマッサージしようと思う。ぐへへ、体は正直だねぇ!(ネットリボイス)
活動途中に相澤先生から電話がかかってくることもあった。俺の実績にお褒めの言葉1割に、謎の愚痴と説教が16割ぐらいの比率だったな。
初日いきなり週刊誌にすっぱ抜かれるという前代未聞の珍事が起きたが、学校に届く声は好意的な言葉ばかりらしい。そして何故か雄英の評判が上がったんだって。謎だよな。
電話の後ろでプレゼント・マイクが爆笑してる声が終止聞こえると思ったらニワトリが締め殺されたような声が聞こえて以来静かになった。ご臨終です。合掌。
とりあえず問題になりそうな行動は控えろとのことだった。ごめんな先生、今日のニュースは3件なんだ。
まぁ反省できそうなことは極力明日はしないようにしよう。一緒にホテルに帰ることとかな。えっ、パンイチ?それは普通にすると思う。俺の第二コスチュームだから。
それはそうとミルコがベッドにうつ伏せに寝転がって足をこちらに向けてくる。まずその凶悪なものをしまって先に風呂に入っちゃくれねぇか?臭死とか不名誉な死を遂げたくねぇよ。
「あの…れよ…」
何て?さっきまでのクソデカボイス何処いったんだ。耳周りで蚊が飛んだのかと思ったわ。
「何て?」
「だから…してくれよ…」
「日中の元気はどこに行ったのよ」
「だから昨日の気持ちよかったアレ(健全なマッサージ)してくれよ!忘れられねェんだ!」
おい、ここは健全な場でありRが18じゃなんだよ。言葉を選んでくれ。
しこたまマッサージしてあげた。エロかったとだけ言っておこう。
▽
無事にホテルでの一大イベントを乗り越えた。
流石にヤバかったな。後半我を忘れてパンイチダイブをかますところだったよ。朝まで夜通し風呂禁ねちゃぬちょコースだったねアレは。
職場体験3日目、折り返しを向かえ今日も今日とてヴィラン狩りに勤しんでいる。
跳び回り、パトロールし、市民の安全を見守る。事件を未然に防くよう尽力し、ヴィランがいればぶっ飛ばす。
2日で知名度が出たのか、応援してくれる人の数も増えてきた。相変わらず野朗共の声援が多いが、黄色い声援も順調に増えてきている。
「時代はシャコ×ウサよ!」
「違うわ!ウサ×シャコよ!」
「尊ッッ!!」
たまに変な声援も聞こえる。
「シャカが出たぞぉぉ!嫁を隠せぇぇぇ!!」
大変不名誉な声援もあるがな。誰これ構わず手を出す訳ないじゃないか。私は純愛派なのです。
「シャカさんだぁぁぁ!?口に落雁詰め込まれるぞぉぉ!?すんませんシャカさん!俺ら真っ当になりますんで!すんませんしたぁぁぁ!」
戦わずして勝つことも覚えた。成る程、有名になると存在するだけで相手の戦意を削げるのか。この調子で覇王色の覇気覚えちゃおうか。
「シャカ!どんどんとヒーローとしての知識を吸収していくな!先輩がいい証拠だな!」
「そうね。俺の学習能力の高さのおかげかな」
そら覚えるわ。なんだかんだ濃い2日間だったよ。事務所が無いから参考にならないようなことも多かったがな。
「よし!シャカ!」
「どうしたうさぴょん」
「かなり慣れてきたことだし、ちょっと今日は大物をしょっぴくために探しに行くか!」
「大物?」
「今巷を騒がせてるヒーロー殺しさ!」