「お前…いいな…!」
ヤベェ、本音を言ったらなんか目の前のイかれたコスプレおじさんに目をつけられてしまった。
まだ俺の中では5P援⚪︎疑惑が消えてねぇのに、怖ぇ…怖ぇよ…!震えるなこの足め…!
「いい…お前は最高だ、今まで会ったヒーローの中でも特にな。そうだ、至るものなんだ。オールマイトのように。そこに倒れる偽者とは訳が違う」
「何があったかは知らねぇが、長い目で見ることもまた必要よ?きっかけ一つで人は変わる。こんな出来事が起きれば特にな」
「いやダメだ。本物のヒーローの言葉であってもそれは聞けないな。粛清しなければ…!」
「何だこの過激派おじさん。デクペディア、情報をくれ」
「石楠花くん!そいつはヒーロー殺し!気をつけて!血を舐められると体の自由を奪われる!」
「OK、サンキュー、ありがとう。まさかマジでヒーロー殺し邂逅イベントが起きているとは…緑谷の純潔が散らされるイベントだと思ってたのに」
「僕の純潔が散らされるって何!?」
「ハァ…!本物のヒーローに認知されるとは…!俺はステイン、さぁ!本物のヒーロー、俺にお前を教えてくれ!」
やだ、凄く怖いですわ!目が血走っていらっしゃいましてよ!
勝手に本物のヒーローにされちまったよ。不相応すぎて笑けちまうぜ。
「俺が本物のヒーローの代表格、オールマイトのように見えているのなら一度眼科にでも受診した方がいいよ。警察病院でな」
「何を言う、お前はオールマイトだ」
「脳の異常か?俺はシャカだよおじいちゃん」
「そうか!お前はシャカと言うのか!名が体を表しているな、本物のヒーローに相応しい名だ」
ヤベェ、罠に掛かった気分だ。
一番ヤベェ奴に名前を知られちまった。みんな、振込詐欺には気をつけようね!
「お前にならば倒されてもいい…!後ろの偽者が大事ならば、俺を倒して守り切って見せろ!未来のNo. 1ヒーロー、シャカマイト!」
「まるで話が通じねぇし、名前混ざってるし、俺はシャカだし、オールマイト大好き信者にはヤベェ奴しかいねぇな!」
「まって?その括りに僕も入れられてる??」
後ろで何かワカメを模した緑色の生物の声が聞こえたが気にしない。飛来するナイフを片手で薙ぎ払う。
感心するのはあまりよろしくないが、目の前の敵は数多のヒーローと渡り合ってきた男だ。二手三手先の行動を予測できなければ、少しでも掠ってしまう。
少しでも掠れば血が流れ、舐められ自由を奪われ滅多刺しエンドか。
おまけに武器の使い方が上手いときたもんだ。長刀はへし折ったが、短刀よろしくナイフや地の利を使う術が段違いに上手い。他に活かせる仕事を探せよ。
細い路地で一対一に持ち込まれれば、同程度の水準の技術や思考を持たなければ瞬く間にお陀仏。嫌になる程面倒な相手だ。他に活かせる仕事を探せよ。
まぁ、狭ければ狭いほど俺もやり易い訳だが。
「やはり…!お前いいな!俺の動き出しの初動が全て抑えられる!故に狙った動きが出来ない!一体どこまで俺の動きの先を読んでいる!?最高だ!これが英雄の境地か!」
「これが……石楠花く、いやシャカの力…!あのヒーロー殺しが何もさせてもらえてない…!」
「あぁ…改めて見てもヤベェな…」
動ける範囲が限られた土地だ、行動パターンを絞るなんてやり易い。俺に釘付けになっているってのも大きいな。
打たせる前に抑える。
打ち終わりを抑える。
足の起点を事前に潰す。
位置取りを抑える。
お前がしっかり俺を見ているように、俺もしっかりとお前を
俺の
「最高だ…!お前のような男を待っていたんだ!信念を!矜持を!もっと俺に見せろシャカァァぁぁぁぁぁぁ!!」
ちょっとNG出してもいいですか?
女の子の過激ファンは大歓迎だし骨の髄まで愛してあげようとも思うが、男の過激ファンはNGなんだ。
高く跳躍してル⚪︎ンダイブの練習か?上空から降ってくる殺意の愛はノーセンキューだ。怖すぎるからそのまま月まで飛んでいってもろて。
「悪いねステイン。男の熱意はスルーするって決めてるのだよ。女の子ならばそのまま受け止めるんだが…それに、お前はもう忘れてる」
卵の存在を思考の端に寄せ、逃げ場のない上空へ飛んだ時点でお前の負けはもう決まってるんだ。
復讐心から解き放たれたあいつが…
なりたいものに目を向けたあいつが…
本物のヒーローから託されたあいつが…
「俺の
「はあっ!!」
「SMASH!!」
「レシプロエクステンド!!」
すまんねステイン、俺は囮なんだ。
▽
「強かったな」
「お前が言うか」
ヒーロー殺しを倒した俺たちは大通りに出た。
縛れるようなロープを確保して丁寧に捕縛し、襲われていたヒーローと共に歩いている。因みにヒーローは俺がおんぶしている。何故野郎を背負わなければならないのか…?ボブは慈しんだ。
しかも路地裏にロープが落ちてるって何よ。誰か束縛プレイでもしてたんか。束縛プレイ後のロープで束縛する、これはもう一連のプレイの一部では?
飯田から泣きながら謝罪を受けた。どうやら何も見えなくなっていたらしい。
家族がやられて曇る気持ちはわかる。後悔し、本来の気持ちを取り戻せたのなら俺はそれでいいと思う。無傷だし、謝罪を受け取るほどのことではない。
飯田の気持ちを救ったのは、緑谷と轟なんだ。
2人にありったけのありがとうを伝えてあげてくれ。
何なら俺も曇った友達を助けるために凶悪な敵に立ち向かった勇気ある行動を、とち狂った援⚪︎現場と勘違いしててごめんな。
今は目の前で何処からか現れた小さめの黄色いコスチュームを着たじいさんに緑谷が蹴られているのを目の当たりにしている。新手のプレイですか?
続いてヒーロー達がワラワラと出てきた。こんなにいたんか、避難誘導任せます。
ついでにミルコも飛んで来た。歓迎のヘッドロックされた。腋からすげぇフェロモンを感じるのは俺が毒されたからか…?
ヒーロー殺しを仕留めたことで気が緩んだのか、緊張の糸が少し弛んでしまった。
だから見逃した。気がつくのが遅れた。黄色いじいさんの一声でハッとさせられた。
ヒーロー殺しの一連が解決しただけで、まだ敵を全て倒せた訳ではなかったんだ。
一瞬の隙を突かれて、緑谷が羽の生えた脳みそ敵に捕まってしまった。
だけど、それを助けたのもまた、敵だった。
「偽者が蔓延るこの社会も」
「徒に力を振りまく犯罪者も」
「粛清対象だ…」
「全ては」
「正しき」
「社会の為に」
マジかよ、あの状態で動けるか普通。
熱されて蹴られて殴られて、それでもなお止まることの無い信念。もし、道を踏み外してさえなければ、比類なきヒーローであったはずなんだがな。
エンデヴァーも現着し、力も数も圧倒的にこちらが有利。
緑谷が人質に取られているといえ、見た限り立つのがやっとの状態、いや立てるだけでもとんでもない。
それに、人質とはいえ実際には連れ去られた緑谷を真っ先に助けてくれた可能性も微レ存。味方か?でも大勢殺してるしな、やっぱ敵だ。
瞬間とんでもない圧が発せられる。
殺気?いや、イカレた執着心からくる魂の威圧か…
いつこちらに襲いかかってくるかも分からんから、とりあえず前に出て皆を守れる位置に陣取っておこう。
「贋物…」
「正さねば…」
「誰かが…血に染まらねば…!」
「英雄を取り戻さねば!!」
「来い」
「来てみろ贋物ども」
「俺を殺していいのは!」
「
「そして、未来の英雄である
俺ぇ!?
ヒーロー殺しは立ったまま意識を失った。
やはり体は限界だったのだ。連戦に連戦を重ね、重傷を負った体は限界を迎えた。
他の敵を無事に拘束されたらしく、こうして保須市で起きたヒーロー殺しに関わる一連の事件は幕を閉じた。
とんでもない地雷を残して。
▽
事件の後の話をしよう。
緑谷、飯田、轟は重軽傷のため、病院へと搬送された。俺は無傷だったけど、一応諸々の事情により検査入院らしい。落雁食っときゃ傷なんて直ぐに治るのにな。
何故か俺たちが入院する部屋に職場体験先のプローヒーロー達がやってきた。黄色いじいさんがグラントリノ、水色の魚愛溢れる兄ちゃんがマニュアルというらしい。全力で間違えて、じいさんに全力でキレられた。
とりあえず緑谷からそのように教わったというと、緑谷がキレられていた。ごめんよ緑谷、罪は擦りつけるものなんだ。
一緒にやってきたミルコから、俺は何故かプロレス技をかけられたけど、愛故の悪戯だと思ってる。寂しかったんだね、明日は全力でお尻を撫で回して構うね。
ヒーロー達の後ろから人型の犬が出てきた時はひっくり返りそうになった。遂に人類は猫型ロボットより早く犬型人間の発明に成功したのか。先を越された気分だ。未来は安泰だな。
「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」
「そうだニャン」
「石楠花くん今情報が追いつかないから静かにしてて…!」
何でだよ、お前乗らねぇのかよこのビッグウェーブに。
語尾のワンが気になり過ぎて全然話が頭に入ってこないが、要約すると監督ヒーローの許可無くヒーロー殺しと個性を使って戦闘していたらしい。何やってんだよ。
俺は事前にミルコから個性の使用、及び戦闘の許可を貰っていたからお咎めは無いらしい。やはり報連相、報連相は全てを解決する!
緑谷達はどうなることやらと思ったが、罰則はあるのかというと、そうではないらしい。
「処分云々はあくまで公表すればの話だワン」
「公表すれば世論は君らを誉め称えるだろうが処罰はまぬがれない」
「一方で汚い話公表しない場合、ヒーロー殺しの火傷跡、打撲跡からエンデヴァー、シャカを功労者として擁立してしまえるワン」
俺ぇ!?
「俺ぇ!?」
「うん、君は確定だワン」
「ちょっと待て!俺は特に何もしてねぇぞ!?」
「そんな事ないよ石楠花くん!終始圧倒して引き付けてくれたからこそ僕たちは生かされてるんだ!」
「そうだぞ石楠花君!僕が殺されずに済んだのは緑谷君が、轟君が、そして君が助けてくれたお陰だ!」
「あぁ。石楠花、お前は凄かったし、もし少しでも来てくれるのが遅かったら俺も真っ二つに切られてた。ありがとう」
「少し黙れお前ら!」
嫌だ!こんな意図しない目立ち方は嫌だ!少し引き付けただけで手柄を横取りするような功績は嫌だ!それならまだパンイチで連行される方がいい!…それは嫌だな。
「本来ならエンデヴァーのみを功労者とする予定だったワンが、どうやら市民の方が撮影したヒーロー殺しの最後が動画サイトにアップされているようで、がっつり君がオールマイトと並ぶヒーローとして名を連ねているワン」
「おのれ余計なことしかしないコスプレ野郎め…!」
「あと画面端にがっつり君が映り込んでいたから、君が倒したという信憑性を更に高めているワン」
「おのれ余計なことしかしないシャコ野郎め…!」
位置取りィ…!おのれ位置取りィ…!
オールマイトの後に俺の名を言うんじゃねぇよ…!オールマイトって単語自体が横に並べちゃダメワード殿堂入りの1位だろうが!
やはりオールマイトはどの部門においても不動の1位なんだな、勉強になったわ。
「お前らはそれでいいのか?よくないよな。よし、面構署長、俺に功績はいりません。この功績は彼らの頑張りそのものです。彼らを誉め称え、厳しく処罰してやってください」
「何て事言うんだ石楠花くん!?」
これで丸く収まるな。俺は普通に戻り、彼らに功績が戻り、処罰。うん、完璧な流れだ!
「面構署長、石楠花君は将来きっと凄いヒーローになります。ですので、シャカの部分に強く焦点を当てていただくことは可能でしょうか!シャカに命を救われた者として、彼の活躍を世間に知ってほしいのです!」
「うん!石楠花くんは僕達の命の恩人です!その事も市政に伝わるように報道出来ませんか!」
「面構署長、エンデヴァーの功績もいりません。アイツは何もしてません。石楠花ならパンチの摩擦熱で火を起こせるはずです」
「この野朗共め!?」
なんて純粋な瞳で人を地獄に落とそうとするんだ!?
「シャカくん、いい仲間に恵まれたワンね!」
「その目に何が映ってるんだ?」
「シャカ!有名になれるチャンスがあるなら掴め!どうせお前はパンイチで動き回る変態として認知されてるからちょうどいいだろ!」
「ミルコも変態を連れ回す変態ウサギとして人気が落ち始めてるらしいですよ?仲間ですね」
「ふざけんなテメェ!?」
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めっちゃネットニュースになった。