いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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久しぶりの教室って実家のような安心感あるよね

 

 職場体験翌日……

 

 

「アッハッハッハマジか!!マジか爆豪!!」

「笑うな!クセついちまって洗っても直んねぇんだ!おい笑うなブッ殺すぞ!!」

「やってみろよ8:2坊や!!アッハハハハハハ!!」

「あれ?少年、迷子かな〜?七五三の会場は向こうだよ〜?お兄さんが手を引いて連れて行ってあげるよ!さぁおいで!」

「ブチ殺すぞクソシャコ野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「「「ギャハハハハハハハハ!!!」」」

「笑うなカスどもがぁぁぁぁぁぁァァァァ!!」

 

 朝一番、教室に入っていきなりヘアセット8:2爆豪とか笑い殺しにきてるだろ。世が世なら犯罪だぜ?よかったな爆豪、平和な時代で。

 

 向かいでは何かに目覚めた麗日が気を開放してる。きっと修羅の如く千切っては投げ、千切っては投げ、監督ヒーローを捻り潰していたのだろう。その手腕がこちらに向かないことを祈るばかりだ。

 

 最悪、緑谷を盾にして逃げ切る所存です。

 

「たった1週間で変化すげぇな…」

「変化?違うぜ上鳴。女ってのは…元々悪魔のような本性を隠し持ってんのさ…!!」

「Mt.レディのとこで何見た?」

「分かる。女性は修羅、はっきりわかんだね」

「「ミルコとイチャイチャしてた奴が何言ってんだ石楠花ぇぇぇ!!」」

 

 マズい、矛先がこっち向いた。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。

 

「そんなこと言うが一番変化というか大変だったのはお前ら4人だろ!?」

「お?」

「そうそう!ヒーロー殺し!」

「命あって何よりだぜマジでさ」

「エンデヴァーが助けてくれたんだってな!さすがNo.2だぜ!」

「…そうだな。救けられた」

「うん!」

「何でそんな苦汁を味わったような顔してんの轟?」

 

 

 

 

 

 

 

「だがよぉ…?それよりもよぉ…?オイラたちはよぉ……未来の英雄シャカについて聞きたかったんだよなぁ!!

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「石楠花く────ん!?」

 

 緑谷、すまねぇ…!燃え尽きたよ、真っ白にな…!

 

「流石は未来の英雄だよなぁ!!エンデヴァーと一緒に3人を護るなんてやる事なす事やっぱりちげぇや!!」

「ぐっ!?」

「オイラ達の希望だぜ!なっ、未来の英雄!」

「かっ!?」

「未来の英雄の動画見たぜ!痺れちまったよ!漢だな!」

「ぎっ!?」

「石楠花はエンデヴァーよりも活躍してたぞ。パンチの摩擦熱で火を出したんだ。エンデヴァーは石楠花のおこぼれの功績を貰ったにすぎないんだ」

「ミっ!?」

「轟くん!?」

 

 違うんだ…!俺はちょろっとしか戦ってないんだ…!でも言えねぇ!本当のことを話すと緑谷、飯田、轟に罰せられるから…!

 

 ただし轟てめーはダメだ。轟の筆跡を真似てお父さん大好き手紙を書いて自宅に投函してやる。

 

「鱗さんっ!!」

「うおっ!?」

 

 轟への尊厳破壊方法を考えてたら、いきなり百が抱きついてきた。いきなり世界線飛んだ?胸の感触で思考にスタンド攻撃を受けている。由々しき事態だ。

 

「よかったっ…無事で…っ!連絡はありましたが…それでもっ!何か無理なさってるんじゃないかと…!」

「百…」

「元気な姿を見れてホッとして…つい…っ!本当に、本当に無事でよかったですわ…!」

 

 あぁ…ごめんよ、泣かせるつもりはなかったんだ。まさかここまで心配してくれているとは思わなかった俺の落ち度だ。女性の涙にゃやっぱり弱い。

 

「すまない、いらぬ心労をかけた。顔を上げな?俺は問題ないさ。なんたって未来の英雄だぜ?笑ってくれ。女の涙は安売りするもんじゃねぇ、ここぞって時までとっときな」

「鱗さんっ…!」

「…抱きしめていいか?」

「はいっ…!」

「髪を触っていいか?」

「はいっ…!」

「胸を揉んでいいか?」

「はいっ…!」

「「「最後まてい!?」」」

 

 どうした?感動の再会に何かおかしな点でもあったのか?

 

「何どさくさに紛れて流れるようにセクハラしようとしてんだ!?」

「そうか?1年A組の常識だろ?」

「なんて曇り無き眼!?」

「そんな常識はない!」

 

 胸を揉ませては挨拶みたいなものだ。1年A組の常識だと思ってたんだが…違うのか?

 

「ヤオモモ離れて!今そこにいるとは危険だ!無垢な赤ずきんを1週間絶食したオオカミが虎視眈々と狙ってる!!」

「耳郎さん…まさか、貴女も…?」

「何が!?」

 

 そうだったのか耳郎、気づいてあげられなくてごめんな?まさかツンデレの揉まれ待ちマイスターだったなんて…

 

 くっ…!自分が不甲斐ない…!女の子の気持ち一つ汲み取れないなんて…!これじゃマスター失格だ!

 

「すまねぇマイシスター耳郎!俺はもっと成長するよ!今以上にもっと!」

「何が!?」

「でも0になに掛けても0なんだよなぁ…」

「何か無性に腹が立ったあぁぁぁぁぁ!!」

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 久しぶりのジャック…効くぜ!!

 

「なんか日常が戻ってきたって感じするね!」

「そうだな、石楠花が粛清されて初めて日常って感じがする」

「ああ!さァそろそろ始業だ!席につきたまえ!!」

 

 人の心ないんかコイツら。

 

 

 

 

 

 

 

 ん?どうした百、そんな耳元に顔を寄せて、まさかキ…!

 

「ミルコと随分お楽しみでしたのね石楠花さん…?」ボソっ

「…!?」

「ネットニュース…全て拝見してましてよ?」

 

 わりぃ、俺死んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チャイムがなったら席に着け」

「イレイザーヘッド!生きとったんかワレぇ!!」

「石楠花、除籍ポイント1追加な?」

「何そのポイント!?怖い!」

 

 

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイ私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもねハイ。ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!!元気か!?」

「ヌルッと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

「黄金時代のコスだぁぁぁぁぁ!!」

「なんだあのコスがいいのか?オールマイトのコスチュームのレプリカなら全種類 俺の家にあるぞ?今度見に来るか?」

「しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!?……神様?」

「ついに壊れたか…」

 

 緑谷が俺のせいでついに壊れちまった…、羨望の眼差しでこちらを見つめる置き物に変わり果てちまったぜ。こんなことで羨望を得たくなかった。

 

 とりあえずトリップから帰ってきてくれ、オールマイトがこっち見てるぞ。

 

「おほん!えー、職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!!」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

「あそこは災害時の訓練になるからな、私はなんて言ったかな?そうレース!!」

 

 レース? 1番になればいいってことか?機動力がある奴が有利だな。見た感じごちゃついてるから、上を取れれば勝ち確だ。ミルコに感謝しよう。最近ブロック解除してくれたから、またポエム送るね。

 

「ここは運動場γ!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯!5人4組、1組だけ6人に分かれて1組ずつ訓練を行う!私がどこかで救難信号を出したら街の外から一斉スタート、誰が一番に私を助けに来てくれるかの競争だ!!」

「ノックアウトはありですか!?」

「無しだ石楠花少年!直接攻撃はNGで頼むよ!!」

 

 無しか〜、ゴール付近に最速で陣取って向かいくるライバルを場外ホームランすれば九分九厘勝ちなのにな。

 

「もちろん建物の被害は最小限にな!!」

「指差されてるぞ爆豪、気をつけろよ?」

「お前を差しとんじゃクソが!!」

「君たち2人共だ!危険行為は即失格だぜ!」

 

 解せぬ。危険行為は爆豪の十八番だろ。俺は問題ないね、捕まえた瞬間に締め上げてミノムシのように逆さ吊りしてカウボーイのように人間投げ縄するだけだから。

 

 チームも発表されたけど、緑谷ともボンバーマンとも轟とも別のチームになっちまった。これじゃ奈落に落とせねぇよ。

 

「じゃあ初めの組は位置について!」

 

 最初のチームは緑谷に飯田、尾白に芦戸に瀬呂か。機動力が固まっちまった。順当に予想するなら瀬呂が一着、博打要素ありで緑谷も捨てがたい。

 

「爆爆さんは誰が1位だと予想する?」

「ワクワクさんみたいに言うなや!!……デクが最下位」

「ふっ…愚の骨頂よ!緑谷はきっとすげぇぜ?すげぇ、すごすぎるぜ?具体的に言うとマジすげぇぜ?」

「具体的に喋りさらせカスが!!デクがすげぇ訳ねェだろが!!」

 

 いや、きっとすげぇ気がする。俺の直感がビンビンに反応してるんだよね。きっとすごいはずさ!知らんけど。

 

「START!!」

 

 おっ、始まった。やっぱり瀬呂は上から攻めて…………ダークホース緑谷様が降臨なされたぁぁぁぁぁ!!

 

「おおお緑谷!?何だその動きィ!?」

「すごい…!ピョンピョン…何かまるで…」

「あの動き……日光猿軍団か爆豪の動きのどっちかを真似してると思うんだが、そこんとこどう思う?」

「猿との二択に絞んなや!!!」

 

 俺は後者を押すね。多分爆豪も気づいてる。ずっと近くに参考材料があったんなら、そりゃ使うわな。

 

 隣で怒りを募らせて、いつ爆発してもおかしくないので俺はここらで退散しておこう。いい感じにストレッチして出番に向けてベストパフォーマンスを出せるように取り組みまくりましょう。次、出番らしいので。

 

 

 

 

 あっ、緑谷滑って落ちた。

 

 

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

「1組目、良かったぜ!!じゃあ2組目、位置について!!」

 

 2組目は俺、口田、切島、常闇、妹と、若干機動が厳しいグループ。強いて言うなら常闇かな。ダークシャドウが持ち上げられるなら話は変わるが。

 

「2組目、START!!!」

 

 始まったな。ならば行こう!職場体験で鍛え上げた大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を贅沢に使ってな!

 

「誰が1位になるだろ?」

「機動力に課題がある面子が揃ったからな〜」

「シャコ野郎」

「おっ!爆豪その心は?」

「見りゃ分かる。でねェと超え甲斐がねぇだろ…!1位になったアイツを完膚なきまでに負かすんだよ…!!お前アイツ舐めんなよ…!!あァ!?」

「えぇ……怖」

「爆豪ちゃん、厄介ファンみたいになってるわ」

 

 遠くから爆豪が俺を応援してくれている気配がする。きっとそうだ、そうに違いない。奴はツンデレだから面と向かって言えないんだよ。これだからテレボマーは。

 

 俺の職場体験先はミルコ。ミルコとはそう!脚力だよね。移動手段はダッシュかジャンプ、しかも一部の地域に留まらないときたもんだ。

 

 故に最初に求められるのは機動力とスタミナ。職場体験の殆どの時間が人力による移動時間。ミルコについて行けなければ容赦なく放置される。体力切れなんてもっての外。

 

 トイレから出たらミルコに置いて行かれてた時なんて泣きそうになった。すぐに追いついてミルコの服で手を拭いたけど。殴られた。

 

 とにかく、求められるのはついて行くこと。でもただついて行くだけじゃダメだ。俺が納得できない。甘えなんて要らない。俺は肩を並べたいんだ。

 

 故に必要になる脚力。そして俺はシャコ。初日にいきなり機動力問題は解決したけど、付け焼き刃ではダメだ。より強靭な武器にしないと。

 

 足の筋肉の50%を解放。さらにシャコの筋力を上乗せ。筋繊維一つ一つに意識を向け、筋肉を限界まで収縮させてコントロール。

 

 内へ内へと圧縮し、爆発寸前の小宇宙のような筋肉を一気に弛緩し解き放つ。

 

 瞬間、切り替わる景色。

 

 今まで立っていた地面、運動場、遥か下に見える俺を見失ったクラスメイトたちを見下ろし、オールマイトの位置を補足する。

 

 再度脚に力を込め、空を蹴る。

 

 空間が波打つような、眼に見えるほどの歪みとともに高速で射出される体を制御し、冬の夜の流星が如くオールマイトヘ向け一直線に突き進む。

 

 レースが始まり僅か5秒と満たない時間。圧倒的な速度を叩き出す弾丸の如き俺がオールマイトの横に着弾。

 

 隕石が落ちたかのような衝撃と、近くの障害物程度なら吹き飛ばす程の風圧。砂塵を巻き散らし爆発物が起爆したかのような狼煙が吹き上がる。

 

 煙が晴れて全貌が露になる。するとどうだ、オールマイトの立つ建物ごと消し飛ばし、クレーターの中心にて上半身ごと突き刺さった俺の完成だ。

 

「だっ…大丈夫かい…?」

「んんんーんんーんん!(大丈夫ですぜ大将!)」

「何て?まぁ……んんっ!石楠花少年が1位だ!おめでとう!高速で飛んで来るからビックリしたぜ!だけど私以外は避けれないだろうから、これ以上は使用禁止で頼むよ!被害も大きいしさ!」

「ん!(了解でさぁ!)」

 

 確かにオールマイト以外だったら姿形消し飛んで大地の養分になってたかもしれないから、次から気をつけよう。

 

 ありがとうミルコ。俺もきちんと成長できたよ。

 

 あっ、オールマイト、土から引き抜いてくれてありがとう。でもそんな雑に大根を引き抜く感じじゃなくてもうちょい優しく引っ張り上げてほしい。腰が千切れそうだったんで。

 

「他の少年少女は到着まで時間がかかりそうだから、ここの掃除は任せたぞ!破壊者特権だ!」

 

 マジかよ。

 

 

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