バカな!?まさか新手のスタンド使いの攻撃を受けているのか!?
ありがとうございます!頑張ります!
とある一室
「実技総合成績出ました」
そこでは上位の成績を残した者達について話し合われている。
「救助ポイント0で2位とはなぁ!」
「『1P』『2P』は標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中派手な個性で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」
「対照的に敵ポイント0で8位」
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど…ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「思わず
「しかし自身の衝撃で甚大な負傷…まるで発現したての幼児だ」
「妙なやつだよ。あそこ以外は典型的な不合格者だった」
「細けぇことはいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!!」
それぞれが賛否両論の意見を出し合う中、
「まぁ…1位のやつはなぁ…」
「あぁ…とんでもない男が受験してくれたもんだ…」
「戦闘能力は圧倒的。敵の位置を瞬時に把握し、最短ルートで移動。近くの受験生に指示を出して行動を促した様子もあり。そしてロボットやアレを粉砕するほどの戦闘力を有する」
「そして筆記試験においても平均90点を取るほどの地頭の良さも持ってるときた」
「本当にとんでもない逸材だぜ!なぁ、イレイザー!」
言葉で表すととんでもないことこの上ない。
戦闘能力も頭脳も持ち合わせた少年がヒーローを目指している。その事実にヒーロー達は未来のトップヒーロー誕生に立ち会うかのような高揚感を覚える。
しかしイレイザーヘッドこと相澤だけは鱗のことを実際に見たこと、話したことがある。そのため彼だけは実力だけでなく鱗の
「そういえばさっき話した飲食店籠城事件…この話には実は続きがあるんですよ」
「続き?」
「ええ。石楠花は確かに
疲れた… と」
「「「いや何があった!?」」」
こんな一幕があったとか。
▽
そして話の渦中に上がった鱗は……
「カバディカバディカバディ!!」
家で一人でカバディの練習をしていた。
▽
実技試験を終えてから一週間がたった。もうそろそろ通知が届くタイミングだと思うんだが、待ち時間があまりに暇すぎたからカバディの練習をしていた。カバディの世界大会で活躍しているレイダー並みにうまくなったね。
カバディはマイナーなスポーツだが馬鹿にしちゃいけない。
「カバディカバディ」と声を発し続けなければいけない肺活量、相手を捕まえるための捕獲力や避けるための回避力、これらの力を鍛えることができる。
まぁ今は一人だけだから想像で相手を思い描きながら取り組むしかない。現在戦っている相手はオールマイト。俺の頭の中のオールマイト、カバディめっちゃ強いんだよね。力任せの突破や常軌を逸した動きで俺の守りを突破してくるから。
はっ!?1㎞先に郵便配達の兄ちゃんの電磁波を確認!
あのフォルム、あの色、あの波長はいつも俺の家の前を通る郵便配達員で間違いない!
試験後から経過した時間や郵便局からの距離、郵送物の経由通路から推測し、このまま家の前で止まりポストに入試結果を投函する確率は鱗様の計算によると約97.85%!!
さぁ距離が近づいて残り500メートル。
400メートル。
300メートル。
200メート…あっ、信号に引っかかった。
200メートル。
100メートル。
その路地の角を曲がれば……?
ビンゴ!!
ガチャッ 「ありがとうございます!!」
「うおぉッ!?ど……どうも…」
郵便配達の兄ちゃんをビックリさせてしまったのは悪いと思うが、それよりも結果が気になって仕方がなかったんだよぉぉぉ!
そして俺の計算通り雄英のマークがついた郵便物!これは勝った!でも小さい!これはどっちだ!?
「とりあえず確認すれば分かることか」
どれどれ中身は………円盤?
「…投げろってことか」
なんでこんな円盤を送りつけてきたか知らんが俺には分かってしまったぜ。投げることで結果が分かるんだろ?
最高峰の雄英のことだ。普通に合否発表じゃつまらないからエンターテインメント性を付け加え、投げて受験終わりのストレスを発散しろというメッセージに違いない。そして空に向かって投げることで上空で爆発して花火のように結果が表示される。きっとそうだ。
不合格なら公開処刑のようだが、あの天下の雄英なんだ。それぐらいの覚悟がなきゃヒーローにはなれないというプロヒーロー達からの挑戦だな。さすが俺、このメッセージに気づくなんて。IQ3万はダテじゃないね。
そうと決まれば空に向かってシュー『私が投影されたのさ!』トォォォォォォォォ!?
ナニコレ!?
よく分からん円盤からよく分からん
『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は…
校長さ!』
キェェェェェェアァァァァァァシャベッタァァァァァァ!!
おいおい、ネズミが喋っちまったよ。個性って何でもアリだな。しかも校長という名のブランドのハッピーセットまでついて。
『早速だけど結果を報告していくのさ!石楠花 鱗君、君の合否は考える間も無く決まったよ。』
考える間も無くって言葉怖いね。合格なら実力が認められてるってことだけど、もし不合格なら見る価値もない論外ってことになるもんね。まぁ俺は前者かな!きっとそうだ、そうに違いない、ってかそうであってくれなければ校門前で永遠にカバディするからな!?
『筆記試験では平均90点以上をマークして全体を含めて上位の成績さ!すごいね君!』
すごいな俺。
『さらに!実技成績もヴィランポイントも81ポイントと全体でトップの好成績!しかし僕達が見てたのはヴィランポイントだけじゃないのさ!
なんだそのパチスロの確定演出みたいな胸熱ポイントは。
『君は危険が迫っていた受験生達を守って行動していた!さらに居合わせた子に指示を出して救助を促していた!』
まぁ危なそうな奴結構いたしな。いくら脆いといっても頭に攻撃が当たれば致命傷になりかねないし。
『でも女の子を助けるたびにビンタされていたのは減点対象さ!一言多いのも考えものなのさ!』
いや、『パンツ見えてるよ』とか『ブラジャー透けてるぜ』は一言多いに入らないと思う。身だしなみは大事よ?きっとアレは感謝のビンタだと俺は信じてる。
『そんなわけで!敵P81Pに加え、救助活動Pが少し減点されて25Pの合計106Pで君は首席合格なのさ!』
エンダァァァァァァァァァァイヤァァァァァァ!!
▽
首席。なんて甘美な響きなのでしょう。
この一言だけで今日はご飯5杯は食える。
『さらにここで提案があるのさ!』
提案?俺を教師として採用するってか?
『君はそうそう現れることがない100P超えの合格者さ!だからこそ君を特別推薦枠として勧誘したいのさ!』
特別推薦枠ぅぅぅ?
『特別推薦枠は筆記、実技共に良好である生徒に送る、謂わば特待生さ!メリットとしては学費がほぼ免除になるのさ!』
是非入学させて下さい!
『さらに学食が半額で食べれるのさ!』
是非入学させて下さい!
『さらにさらに!プロヒーローとマンツーマンで行えるヒーロー講座(性格矯正プログラム)を受けられるのさ!』
「一生ついて行きますぜ兄貴!!」
なんて素晴らしいんだ特待生!最後の講座は何か打算的で不穏な策略の波動を感じるがそれを差し引いてもなんて素晴らしいんだ!!
『来なよ少年!ここが君のヒーローアカデミアさ!』
「一生ついて行きますぜ兄貴!!」
『あっ、相澤君が君ならここで『一生ついて行きますぜ兄貴!!』と言うと予想していたよ。当たったかな、ハハッ!』
誰よ相澤君。
それとアンタは「ハハッ」って笑っちゃあダメだ。夢の国から訴えられるぞ。
だが嬉しい!自分の努力が実を結ぶ瞬間はどんなことであっても素晴らしいもんだ。早口言葉大会で優勝とかな。
しかしここで慢心してはいけない。俺は今ヒーローへの切符を手に入れただけでスタートラインにすら立っちゃいねぇ。
雄英高校で何を成し、何を学び、どう過すか、全ては自分次第だ。
とりあえず今のところはオールマイト以上のヒーローになるために基礎をみっちり学ぶ、友達100人作る、女の子と話してもビンタをされないようになる、この3つが大事だな。
何処かのヒーローが言っていた、プロはいつだって命懸け。確かにその通りだ。生半可な覚悟じゃ人々を救うヒーローになれねぇ。
さぁここからだぞ石楠花 鱗よ。
ここからがあらゆる人を救うヒーローになるための第一歩だ。
雄英高校に入学し………
皆を守る