演習試験当日…
「それじゃあ演習を始めていく」
ついにこの時が来た。緊張して10時間ぐらいしか寝れなかったな。
期末テストは何の面白味もないぐらいサクサク解けたから何も心配していない。完璧すぎて完璧すぎたわ。万が一の1%もないくらいの完璧回答だろ。1%で落ちんわ。言ってること変わってごめんな?それくらい完璧さ。
「この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃ、みっともねぇヘマはするなよ」
「あっしがヘマするとお思いでヤンスか?そんなことあり得ねぇでヤンスよ兄貴!」
「あと除籍ポイント1加算で除籍か。この試験中には貯まりそうだ。寂しくなるよ、元気でな石楠花」
「1%引いた!?」
やべえやべえ!?獲得方法不明の謎ポイントで除籍は嫌だ!もし貯まったら職員室でタコパしてやるっ!
「因みに、この試験を真面目に受けたら教師達話し合いのもと、何ポイントか減算される予定だ」
「先生、早く始めましょう!私は品行方正、清廉潔白、眉目秀麗な模範的雄英生です!さぁみんな頑張るぞ!爆豪、試験中に立ちションするなよ!」
「するかクソボケが!!セリフの10割嘘じゃねェかボケナス!!」
一体何を言っているんだい?僕は真実吐きの石楠花だよ?嘘なんてついたことない品行方正、清廉潔白、眉目秀麗のナイスガイさ!
「除……」
「申し訳ございませんでした!私は頭髪から爪先まで嘘に塗れたクソカス野郎です!不純を司りし強欲と怠惰の化身!七つの大罪をフルコンプ出来そうな私めに何なりとお申し付けください!」
「すげぇ変わり身の速さ」
「手首がヘリコプターのプロペラぐらい高速回転してるやん」
「天界から奈落まで直通のジップラインに乗ったんか?」
一体何を言っているんだい?僕は虚言吐きの石楠花だよ?嘘しかついたことのない品性下劣、
「ザマぁ!!!」
「相澤先生、見てください彼を。友の姿を嘲笑い、口を開けば罵詈雑言のオンパレード。傍若無人で協調性の無さは地元ではNo. 1。自ら除籍されようとしているその振る舞い。私は感動を覚えました。彼もぜひ私と一緒に!」
「ざけんなボケが!!1人で死に晒せ!!」
「爆豪君は、私 石楠花鱗の終生の友なのです!」
「すごい説得力」
「類は友を呼ぶ」
「これ以上ない不名誉な称号」
「似たもの同士友達になるもんなんだな」
「これが因果の修正力か」
「巫山戯んなてめェらァぁぁぁァァ!!」
やぁソウルメイト!俺たちは一蓮托生さ!意地でも裾を掴んで離さないからな!
「先生多いな…?」
「あれ?俺の勇姿が全スルーされた? じろぽん、もっと俺に興味を持ってくれ」
そんな悲しいことある?
確かに茶番だったけどもう少し俺を見てくれ。視界に入れてくれ。もしかして俺はもう死んでいる…?
「諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが…」
「入試みてぇなロボ無双だろ!!」
「花火!カレー!肝試──!!」
「残念!!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!!」
相澤先生の首元からネズミが飛び出してきたんだが。もしかしてそこに住んでんの?それともカップリング?先生モテないからってネズミに手を出したの?
「校長先生!」
「変更って…」
急な変更か…、変更ってだけでも嫌なのに、急遽という単語がついたもんだ。最悪だよ。そもそも演習試験内容知らなかったんだけど。みんな知ってたん?スパイか?*1
「これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ!」
「というわけで……諸君らにはこれから…
「「「ええっ!?」」」
先生達と戦闘か…、みんな怖気付いてるけどめっちゃテンション上がる。相手プロだぜ?ハイパー上がるわ。
爆豪見てみ?口角がつむじまで競り上がってる。そのまま口角が顔を一周するんか?
「先…生方と…!?」
「尚ペアの組と対戦する教師はすでに決定済み。動きの傾向や成績、親密度……諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ」
演習試験 チームアップと対戦教師
イレイザーヘッド VS 轟・八百万
オールマイト VS 緑谷・爆豪
校長 VS 芦戸・上鳴
13号 VS 青山・麗日
プレゼント・マイク VS 口田・耳郎
エクトプラズム VS 蛙吹・常闇
ミッドナイト VS 瀬呂・峰田
スナイプ VS 葉隠・障子
セメントス VS 砂藤・切島
パワーローダー VS 飯田・尾白
うん。チームアップ、うん。
「それぞれステージを用意してある、10組一斉スタートだ。試験の概要については各々の対戦相手から説明される。移動は学内バスだ。時間がもったいない、速やかに乗れ」
うん。一斉スタートでバス移動ね、うん。
「俺は!?」
俺いた!?いなかったよな!? 21人だから1人余るけど俺は!?
「あぁ…ついに除籍か…」
「今までありがとう石楠花くん…」
「いつかやると思っていたが…今日か…」
「えっ…?そんなことある…?」
そんなことある…?仲間はずれ除籍とかある…?ペア組み余ったから除籍とかある…?
「石楠花は別枠だ。お前には1人であるプロヒーローと戦ってもらう」
「信じてたぜ相澤のとっつぁん!!頬擦りしましょうか?」
「いらん。寄ってくんな」
危ねぇ…!危うく除籍かと思ったがギリギリセーフだった!
俺は今日この日、相澤ツンデレ教を立ち上げるとここに宣言する!
でもプロヒーロー相手に1人?厳しくない?無理とは言わないけど。
「先生!どうして石楠花くんのみ1人なのか意図の説明をお願いします!」
「あぁ、順を追って話すよ。そもそもコイツの扱いをどうするか会議で難航してな。ペアを組まそうにも相方に失礼だから1人にすることは即決されたんだがな」
「先生!そのセリフは僕の心に大きな傷を残しました!」
悲しすぎる。即決理由が協調性無しってことだろ?爆豪以下ってことじゃん。緑谷・爆豪コンビの協調性以下ってことじゃん。男子高校生の本気の泣き声を聞きたいのか?
「それに言うのは癪だが、石楠花の実力は既にプロヒーローとして通じる。それも上位のな。ミルコの元で一皮剥けたようだが、性格だけは矯正不可能だな。まぁそんなわけで誰を当てるか悩んだよ」
「先生、俺のこと大好きすぎるでしょ。落雁をシェアしましょう」
「いらん。寄ってくんな」
またまた〜!愛が溢れ出てるぜ?俺の強さには困ったものだよ!でもその結果ひとりぼっちになってるんだけどな。笑えねぇ。
「悩んでいたその時だ。何処から聞きつけたのか、雄英に一本の電話がかかってきた」
「ネット通販でも始まるんか?」
「黙れ石楠花。まぁその電話が俺たちの悩みに悩んだ問題を吹き飛ばしてくれたよ。最悪な胃痛の種は残ったがな」
「ここからは俺が説明するよ!」
急な突風が吹いて誰かが降り立ってくる。不法侵入者か?何か知ってる声だけど不法侵入者だろ。
「やっ!ヒーローの卵達、元気かな?」
「「「ホークスぅ!!??」」」
上半期ビルボードチャートNo.3、ウィングヒーローホークス。
自称速すぎる男。早漏の極み。
急に来てどうしたんだ?ヒーローの仕事と公安の仕事はいいのかよ。サボりか。
「やぁやぁどうもどうも。電話をかけさせていただきましたホークスです」
「もしかして石楠花の相手ってホークス!?」
「No.3とサシで試験とか冗談だろ!?」
「ホホホホホホホホホホホーククスクスス…!?」
「彼は大丈夫なの?」
「いつもあんな感じなんで問題なし」
彼は大丈夫よ、世界一バイブレーションする男、それが緑谷という男よ。
それよりも電話相手がコレってすでに嫌な予感しかしない。
「そんなわけで石楠花くんは俺との試験ね。試験内容は鬼ごっこ、制限時間内に俺を捕まえることが出来れば君の勝ち。簡単だろ?」
「無理ゲーかな?」
自称速すぎる男との鬼ごっこって嫌がらせか?嫌がらせだろ。嫌がらせなんだろ?試験内容に全員軽く引いてるよ。
でもアレは嘘をついてる顔だ。よく知ってる顔してる。俺も生来の嘘つきだから感覚でわかるし、シャコアイで見れば嘘の揺らぎが見える。
確定、この試験の裏には何かある。
「君の試験は俺に一任されてるからね。さぁ行こう、俺たちの試験場所はちょっと遠いんだ。あっ、さっき自販機でジュース買ったら当たりが出たから1つあげるよ。はいコンポタ」
「太っ腹だぜ!よっ!自称速すぎる男!早漏の極み!」
「彼はもう除籍でいいでしょう」
「あぁ、合理的だな」
「ヤダなぁ〜!ジョーダンですやん!ヘッヘッヘ…!」
「石楠花、冷や汗すごいぞ?」
生殺与奪の権を他人に握られちまった。もう惨めったらしく蹲るしかないよ。弱者には何の権利も選択肢も無いんだ、勉強になったぜ。
「時間ももう無い、お前らさっさと移動しろ。無事演習試験を乗り越えられることを祈ってるよ。さっさと移動しないと扱いが石楠花以下になるぞ?」
「「「………」」」
みんな凄い勢いで移動していった。俺と同じ扱いがそんなにイヤ…?先生、僕は今いじめを受けています。主犯は先生です。
ふざけるのもここまでにして、俺もぼちぼち移動しましょうか。すげぇイヤな予感するけど。
ホークスなんてもう飛んで行っちまったよ。監督責任とはコレいかに。
てか先生達も全然移動しないじゃん。微動だにしないじゃん。時間は有限ですよ?校長に対するちょっとした反抗期だろコレ。
「石楠花…」
「はい?」
はいはい何でしょ……何でそんな神妙な顔で俺を見るの?何?俺近々死ぬの?
今から死地に向かう息子を見送る目をしてるけど、本当にこの先に何があるの?ミッドナイトなんて末期患者を見るように俺を見てるぜ。あの手羽先ロクなことしねえな。
「石楠花…今からお前に本当の課題を話す」
「は?」
課題にフェイクとかあるんだ。やっぱり鬼ごっこは鬼畜仕様だからか。でも申し訳なさそうに言うべき内容でも無いしな。やっぱあの手羽先ロクなことしねえな。
「本当の課題は……無事に帰ってくることだ」
「俺5歳児と間違われてます?」
何だその初めてのおつかいのような任務は。表面通りに受け取ると馬鹿にされてる感じがするが、この顔色からして……ホークス一体何をした?ほんとあの手羽先ロクなことしねえな。
「俺たちは常に苦難を与え続ける予定だが、今回は苦難を遥かに超えている。今すぐにでもお前の試験を中止にしたいが、今回はそれが不可能…根回しが深すぎる…」
「おぉん」
「それに相手の善意を無下に出来ない。今回は相手が悪すぎる……だからどうか無事に帰ってきてくれるだけでいい、それ以上は望まん。絶対に真正面から戦闘するな」
これは……ホークスが相手じゃないな?遥か格上の相手をホークスが連れてきた……?いや、ホークスにそんな権限はないはずだ。だから考えられるとすれば……
バックボーンにいる性格の悪い奴が誰かを唆し、板挟みにされたホークスが動かざるを得なかった…ってところかな。
「先生って案外俺のこと大好きですよね?」
「黙れ」
「大丈夫!安心して任せてくださいよ!どんな試験か分かりませんが……
俺は俺らしく…人間らしく頑張るだけです」
▽
「ありがとう日本のNo.3ヒーロー、ホークス。私の我儘に付き合ってくれて」
「いえいえ、俺も貴方のようなスーパーヒーローに会えて嬉しいですよ。ただ……胃が…!」
「すまないね、だが時期が良かった。知り合いの
「可哀想に鱗くん……、でも公安に連絡がきた時は開いた口が塞がりませんでしたよ。ちょうど期末テストの演習試験日付近で貴方がオフになって、お忍びで日本に来るから鱗と戦える舞台を整えてくれなんて…」
「私の知らないところで随分と迷惑をかけたようだ」
「なんなら貴方のスケジュールさえ把握して調整したまでありますよ……あり得ない!どんな権力してんだよ一体…!」
「そうかもしれないな。彼らは不思議なんだ。人とは別の尺度で生きている。彼らの考えなんて、同じ血を引いていないと理解できないだろうね」
「理解したくもないですね。世界の裏で暗躍する超越者たちの思考なんて……」
「まぁ分からなくもないがね。でも同時に感謝してるんだ。オフなんて早々無いし、簡単に人前に出られるわけでも無い。それがこんなにも簡単に国外に出られた!日本にいる会いたい人にも会える!」
「まぁ…そうですね…」
「鱗くんとやらは強いんだろう?なら相応の準備をしておこう。彼らの血縁であるんだ、そう簡単には死なないだろう。例え学生であっても、出せる範囲で本気を出さないと失礼だからね」
「『大気』は私の100倍の大きさで固まる」