鱗「今日の俺はスケベせずに真面目だぜ?」
ホークス「ハレー彗星が見れるくらいの確率だよね」
ホークスを探してえんやこーらえんやこーら。
俺が先生達と話している間に1人で飛んで行ってしまったホークス。責任感のせの字もない男だ、面構えが違う。
と思ったら先生達から試験場所までの地図を貰った。走っていけとのこと、しかもめちゃ遠。嫌がらせか?
試験時間は無制限。試験が終了次第帰ってもいいらしい。クラスメイト達との集合は無し。出来れば帰る前に職員室に顔を出せとのこと。
あと、
今はひたすら走って走って走りまくって試験場所まで向かっている。ホークスは見つからない。クソがよ。
情報を整理したいが、情報があまりにも少なすぎる。
急にやって来たホークス。嘘の試験内容。理不尽に顔を歪めた先生達。ダメだ、全然分からん。
ふざけ倒して気分をスッキリさせたいが、音の鳴るおもちゃ*1はここにいないし、俺1人ではそんな気にもならん。俺はハジケリスト失格だ…
だが1つだけ俺だけが分かる真実がある……
十中八九うちの血縁が絡んでいる。暇を持て余した破綻者たちが。
だが何のために?
暇つぶしか?俺に接触して何のメリットがある?
ダメだやっぱり分からん。あいつらが俺の考えが分からないように、俺もあいつらの日常の思考なんて分かるはずもない。
だから今はこの何処かの誰かに用意された筋書き通りの道を通らなければならない。道を外れるとどんなバタフライエフェクトが起きるか分からんからな。
最悪はクラスメイトにまで被害が出ること。それだけは避けなければならない。
癪に障るぜ、誰かの掌の上で踊らされるなんて気分が大変よろしくない。
しかし遠い。もう30分以上は走ったぞ?雄英敷地広すぎ問題かコレ?俺の大胸筋くらい固定資産税かかるだろ。
「おーい!遅いよ、待ちくたびれたぜ鱗くん」
「身体全体が滑ったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「危なァぁぁい!?」
ちっ!飛び上がって避けられた!
よくもいけしゃあしゃあと!俺の前に姿を現すことが出来たな!
「何て事するんだ君は!?君のパンチなんて当たったら俺はひとたまりもないんだぜ?」
「羽、捥ぐ」
「怖いな!?悪かったって!置いていったことは謝るよ。だけど試験は鬼ごっこなんだ。先に移動していないといつ捕まるかとヒヤヒヤしちゃうだろ?」
「羽、毟る」
「わぁ、語彙力が黎明期のATM以下になった」
おで、羽、捥ぐ。おで、羽、毟る。おで、お前、丸かじり!
羽を全部毟り取って唯の一般人にして通行人の群れの真ん中に放り込もうぜ。自分の無力さに苛まれるといいさ!!
まぁ、おふざけはここまでで………
「で?」
「ん?」
「本当の目的は何です?俺をこんな人っこ1人いない広大な無人工業地帯の端っこにまで呼び出して。告白なら受け付けてませんよ?」
「俺だって受け付けてないよ。まぁバレちゃうよねぇ……あからさまな介入だったしねぇ……俺は胃が痛いよ……」
「今の言葉だけで大体理解した」
ホークスの胃痛案件、やっぱり絡んでやがるか。
無茶を通したんだろうが、問題はその無茶のレベルだよ。
俺の相手はプロヒーロー1人と言っていた。アイツらは俺の実力を知っている。だからこそどんな受難という名の無茶振りを持って来たのかが想像つかない。
100%とんでもない相手なんだろう。だってホークスがしょもしょもの顔してるもん。*2
「鱗くんごめんね……本当にごめんね……」
「何ですいきなり。精一杯反省してもろて」
「ごめんね……」
「落雁食べます?」
「食べる……」
マジで何が起きるんだよ今から。こんなホークス見たことねぇよ。女性人気獲得に向けて舵を取ったのか?
「彼は、これを本当に心の底からの善意だと思ってるんだ。君にもっと強くなって貰いたいが3割、一族の繁栄に向けての研究としてが3割、面白半分としてが4割」
「面白半分の時点で善意じゃねえよ」
そう言ってホークスが宙へと飛び上がる。
「そして…君の一族達は一つ賭けをしている。君が初撃に耐え切れるかどうかの……だから本当にごめん……
俺は唯の囮の時間稼ぎ要員なんだ」
「『大地』は私の半径100m以内にいる地に足をつけた生物を固定する」
「は?」
動けない。何だ?何をされた?それよりも
「許せウロコくんとやら。今から無防備の君に攻撃をする。ローマ連邦所属の彼から君のことを嫌になる程聞かされた。君の能力もね。その反応だとやはり、本来なら見えないはずの大気の塊が見えそうだ……信じられないくらい良い目を持っている」
待て…あり得ない。彼女が簡単に国外に出られるわけがない。
今日のニュースで報道もされていなかった。だから完全に油断したっ…!
「
これが相手…?冗談だろう……?
手順を飛ばしすぎだよクソ野郎が…!!各々がそれぞれ持つ権力をフル活用して、ここに居てはいけない
「だから興味が沸いた。
アメリカ No.1ヒーロー、スターアンドストライプ…!!
『フィスト・バンプ・トゥ・ジ・アース』
▽
「動かないな」
「それは…そうでしょう。いくら彼が頑丈で、貴女のルールを1つ使った強化無しの一撃だったとしても、100倍の質量で叩き潰されたんだ…」
「ふぅむ…やりすぎたか?だがそこそこ本気で叩いてくれと依頼されていたし、強いと聞いていたからこの目で確かめたかったんだが……」
「貴女のそこそこ本気は、数多いるヒーロー達には致命の一撃なんですよ…!」
「1ミリも動かない……もし立ち上がらなければ私の役目はここまでだ。私は人目を忍んで師に会いに行くとしよう。坊やの介抱を頼むよ?」
「言われなくとも…っ!?」
待てよ…!
「へぇ?個性無しでアレを耐え切るのか…耐久力は既に彼に匹敵しているな」
「うっ…鱗くん大丈夫か!?」
「痛ェなァ…痛くて痛くて昂りが天元突破してるよ…!」
クソ痛ェ。重い何かに叩き潰された……大気の塊って言ってたか?個性の明確な詳細は知らないけど、大体理解できた。
スターアンドストライプ。
アメリカNo.1ヒーローの女性で、オールマイト並の筋骨隆々な肉体と抜群のスタイルを誇る美女。 スタイルいいね、テンションが上がりますよ僕ぁ。
髪が特徴的で金髪でオールバックを8本の房にも見えるように束ねている。 オールマイトリスペクターだな。
憧れかコスチュームもオールマイトに似ており、星条旗のストライプ柄のマントを羽織っている。その身一つでアメリカを体現しているな。俺も白タイツに胸の中心に日の丸を刻むか?
確か個性は………『
詳しい詳細は知らん。ただ分かったことがあるとすれば、何かしらの制約の上でルールを策定するってところかな?俺に攻撃する前、大地が何たらかんたらって言ってたし。
たった1発の攻撃で全身ズタボロ、全身血まみれの色男の完成だ。本当にアイツらロクなことをしないな。面白半分でオールマイト並みの世界のトップをぶつけるなよ。俺、まだ学生ぞ?
「立ち上がるか…うん!師を超える可能性がある男なんだ!そうでなくちゃ!」
「いやそれ勝手に言ってるだけだから。国に籠ってる破綻者の戯言だから」
「だが私の一撃を耐えて見せた!たとえ戯言だったとしても、今耐えた真実は変わらない!折角なんだ、楽しもうじゃないか!ウロコシャクナゲ!」
「あとで日本の呪詛を叩き込んでやる…!傍観者気取りのクソッタレ共め……!ホークスさん!避けててくれ!」
「言われなくても!天変地異に巻き込まれたくないんでね…!」
どの道戦うルート確定なんだ。逃げることの出来ない戦闘、しかもラスボス。今の俺がどこまで通用するか…世界を知るチャンス!気分は奈落だが、意識は天国フィーバーモードだ!
「女性だろうが…アメリカの象徴だろうが…俺は全力でグーパンできる真の世界男女平等主義者だぜ?国際問題になっても関係ないね!」
「その意気……速いな!その怪我、痛みを押し殺して距離を詰めてくるなんて思わなかったよ!普通なら未知に対しては後手に回るはずなんだが…やはり君たちは頭のネジが外れてる!」
「そりゃどうも!後手に回って分からん殺しされるくらいなら、近づいて得意を押し付けるね!」
「いいね!私好みだ!だが………私は先程君に触れたよ?」
「はぁ?なん……!?」
「『ウロコシャクナゲ』は金属を引き付ける」
は?何を言って……危なっ!?横からパイプが飛んできた!?
いや違う…パイプどころじゃない…!
言葉通りなら俺に向かって金属が飛んでくる?磁力でも付与されたのか?いや、それよりも……ここは工業地帯……詰みすぎだろが!!?
新秩序……何でもありかよ!?クソチートじゃねェか!!何か制限は無いのか!?解除方法は!?時間が足りなさすぎるぜクソッタレ!!
「さぁ気をつけろよ?周囲の建物全てが、君を殺し得る武器に変わったぞ?」
パイプが…地面が…建物が…、引き剥がされて飛んでくるっ…!!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
瓦礫を、鉄骨を、ただひたすら殴って破壊する。殴って殴って殴って……それでも尚止まることのない質量の雨あられ。
「人が持っていい力じゃねぇよこんなもん…!」
細かく砕かれた破片は容赦なく拳を掻い潜って突き刺さり、形を保った建物が地面ごと引き抜かれて飛んでくる。
それに……
「隙だらけだぜ!」
「ぐっ…!?」
一瞬の隙を突いて、向かいくる瓦礫を掻い潜って俺を殴り飛ばすスターアンドストライプ。
この威力は……強化系の個性並み。ルールを自分に付与して身体を強化しているのか?
今使っているのは自身の強化。それと俺への磁力の付与。
俺の動きを止めた大地に固定させるルール?は殴られた時点でもう消えているはず。だって今動けてるし。俺を殴った巨人も消えている。
ルール付与には制限があるのか?いくらでも付与できるなら俺を固定させたまま磁力を付与して巨人と建物の質量で叩き潰し続ければいいだけだ。
俺が学生だからルールの仕様回数を絞っている?
だったとしても、今俺はたった1つのルールに翻弄されている事実に変わりはない。分かったところで対策のしようが無いのだからどうしようもない。
四方八方から飛来する金属という名の質量の塊を殴って殴って叩き落とす。オールマイト並みの衝撃波を放つも、次から次へと飛来する。
一体どの範囲までの金属を引き寄せているのか分からない。シャコの視力を持ってしても、視界の果てまで映る飛来する建物の流星群。
何十…何百…何千…それ以上の……絶望的な質量の雨を前に俺は……
▽
「何だよ……この光景……!」
「少し無茶をして破壊しすぎてしまった……あとで師に怒られないかな?」
30分前まではここがパイプや建物で密集していた工業地帯だったと誰が信じるだろうか?
見渡す限り瓦礫が散乱し、一部更地に変わった大地にスターアンドストライプとホークスのみがポツンと立ち、見つめる先にはかつては形を保っていた建物や金属の成れの果てが存在している。
鱗が立っていた地に鎮座する遍く建物の群衆体。一つの星の如く鎮座する圧倒的質量の中心に鱗はいる。
近くで他の生徒の演習試験を実施していたらと思うとゾッとする。確実に生徒2人と先生であるプロヒーローは巻き込まれて死亡するだろう。
ビルボードチャートに載るヒーローであっても絶命必至のそれの中心に、
「流石にこれはっ…!もし死んでいたらどうするつもりだ!?」
「彼がこの程度で死ぬはずがない」
「今日会ったばかりの貴女が何故そう言い切れる!!」
「彼はまだ
「は?何を言って……」
ピキっ……
「…!?」バッ!
「彼の個性は『シャコ』。事前にそう聞いている」
「
「表向きだと…?それに聞くって誰から…!」
「ローマ連邦No.1ヒーロー様からさ。
「知らされていないって…そんなことはあり得ない!異形型の個性を勘違いするわけが……まさか!?」
「あぁ…あの一族の誰かか、それとも総意なのか…
「そして……真の意味で死に瀕した時、本当の個性が解放されるようにしてある…とね」
「戦いながらずっと疑問に思っていた。何故『シャコ』なのか……と」
「そうか…親和性が良かったんだね。身体に適合した力だから」
「個性の一部であり、彼らが持つ生まれ持った性能や技術と」
「なぁ……君たちは一体何処まで先に進んでいるんだい?」
「何処まで未来を見据えているんだい?」
「一体何になるつもりなんだい? なぁ……