いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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集合写真を休んで、左上に小さくのるような感じ

 

 おいおい…俺のセンサーが痛い格好のいい歳した年上美女の気配を察知しちまったぜ。恐ろしくテンションが上がってきましたよこれはぁ。

 

 そして目の前から爆イケお姉さんが歩いてきた。おいおい、これ以上俺のテンションを上げてどうするつもりだよ雄英高校。ありがとうございます。

 

 とりあえず見届ける。誰かは後でデクペディアが垂れ流しのラジオの如く教えてくれる筈だから、俺はまず見届ける。脳内にダビングする。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

「今回お世話になるプロヒーロー『プッシーキャッツ』の皆さんだ」

「連盟事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!ワイプシ!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる「心は18!!」へぶ!!」

 

 ありがとうデクペディア、心に刻み込んだ。脳内にも刻み込んだ。完璧さ。君の勇姿は忘れないよ。

 

「静かだけど石楠花どうした?」

「ん?心で抜いてた」

「心配を返せ!!」

 

 いや、俺の方が正常な反応だと思うね。キャリアは12年とすると大体30〜31歳前後…そしてあの服装…年上ヒーローのお姉さん…お姉さん? うん、こちらも抜かねば無作法というもの。

 

「ここら一体は私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」

「「「遠っ!!」」」

「あっ、確かに見える気がする」

「お前は何で見えるんだよ!?」

 

 シャコの視力は無限大なのだよ。今日は紫外線がとんでもないからお肌の手入れ頑張ってね女子。ほっとくとガサガサになるよ、ってミッドナイトに言ったら荒ぶってたな。

 

「え……じゃあ何でこんな半端なとこに………」

「いやいや……」

「バス…戻ろうか……な?早く…」

 

 何だ?あぁ、そういう系か。成る程りょーかい受けて立つ。

 

「今は午前9時、早ければぁ…12時前後かしらん」

「ダメだ…おい…」

「戻ろう!」

「バスに戻れ!!早く!!」

「カバディカバディカバディ!」

「馬鹿がカバディしてる!」

「馬鹿はほっとけ!」

「邪魔だ馬鹿カバディ!」

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」

 

 ん?すげぇ足元が揺れてるし盛り上がってる。そういう個性か?流石はプロ、12年の経歴は伊達じゃないぐらいの洗礼された個性だ。

 

「わるいね諸君、合宿はもう始まってる」

 

 盛り上がる大地。意思を持った濁流のようにクラスメイト達を崖下に流していく。結構な高さだけどみんな大丈夫か?初手骨折とか笑い事じゃすまねぇよ。俺はすぐに治せるけど、普通の個性なら地獄じゃん。

 

「私有地につき『個性』の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この…

 

 

 

『魔獣の森』を抜けて!!」

 

 

 

 魔獣の森……何て男心をそそるネーミングなんだ。俺も参加して…ってか何で俺だけ無事なの?

 

 土が来た瞬間に足を地面に突き刺して固定したけど、土を操れるなら多分流されるし。てか土が俺を避けてみんなを流していったんだが。

 

 何?ここでも仲間はずれ?成る程、本気で泣けと…そういうことですね先生?

 

「イレイザーよかったの?この子だけ下に落とさないで」

「何この子!?雄英体育祭見たけど実物はもっとイケメンじゃん!ねぇ君、年上に興味ある!?」

「『マンダレイ』…あの人あんなキャラでしたっけ?」

「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」

「成る程、でも相手が悪いな」

「え?」

 

 

 

 

「年上に興味?それはもう。3度の飯よりも年上の女性が大好きですよ。よければお名前をお伺いしてもよろしいですか?キャリア12年の38歳の君」

「はあっ!?テメっ!?ハアっ!?さんじゅっ…!?ハアァァ!?」

 

 

 

 

 

「アイツは実力のあるドブカスだぞ」

「えぇっ……」

 

 

 

 やはり年上は良い。景気良くキレてくれる。今にも顔の血管が切れそうだ。メロン見てぇ。

 

「で?何で俺だけ流されなかったんですか先生?」

「お前だけなら3時間もかからず到着すると判断した。下手に放逐して好き勝手されても困るし、下に落とせば癪だが実績を出すお前に大部分が判断を仰いで頼りだすのが見えている。なら手元に置いておく方が合理的だ」

「やけにこの子を買ってるじゃないかイレイザー。1番のお気に入り?」

「違います」

「俺と先生は年齢を超越したズッ友なんですよ!こないだ先生から『俺の教師人生で1番の教え子』だと褒めていただきましてね!いやぁ〜泣いて喜んでくれてましたね!つられて泣いちまったよ僕ぁ!」

「自分から除籍されに来るなんて大した心掛けじゃないか」

「先生は偶に蟻を見るような目で僕を見てきます。由々しき事態です。教育委員会に訴えるつもりは微塵もないので肩揉みでチャラにしてくだせぇヘッヘッヘ…!」

「何だ。やっぱりお気に入りじゃないか」

「やめてください。そんな不名誉な称号いりません」

「おっ!お客さん肩凝ってますねぇ〜!この凝り方は先生か何かしてらっしゃいますか?」

「勝手に肩揉むな石楠花、変に上手いのも腹立つ」

 

 まぁ良いじゃないですか。俺だけ仲間はずれにされて暇なんで親睦でも深めましょうよ。

 

「性格が終わってるくらいに腹立つっ…!顔がとんでもないレベルで整ってるのも逆に腹立つっ…!でもプラマイまだプラスか…?性格が残念を差し引いても、将来有望・今までの出会いの中で最高の美形・高身長・服の上からでもわかる最高の肉体……アリアリのアリ!!」

「ごめんなさい。貴女も痛年美女ですが、どちらかというと俺はあちらの赤服痛年美女とどエロいことをしたいのです」

「私ぃ!?」

「フラれたぁぁ!しかも同僚に取られたぁぁぁぁ!!?……でもまだチャンスはあるな。マンダレイOKなら私もOKでしょ」

 

 正直俺はどちらもOKです。何なら両肩組んで貪り尽くしてもいい。でも慎重に言葉を選ばないと適齢期達に逆に美味しく頂かれちまう。まぁご褒美か。

 

「麗しの君。よろしければ貴女の天から与えられし名を私めに教えては下さらないでしょうか?」

「イレイザー……この子は…?」

「頭がイカれてるんです。まともに対応すれば損するのはコッチですよ」

「私が紹介してあげるわ。彼女はマンダレイ。そして私はピクシーボブよ、性格残念なウルトライケメン君」

「成る程、とても可憐な名だ。名は体を表す…この言葉の意味を今日初めて理解したような気さえしますよ。若作りをし、苦悩と葛藤のせめぎ合うギリギリの格好と30代特有の体型と名前がまたマッチしていますね」

「「キャットパンチ!!」」

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 脇腹がぁぁぁ!!両脇腹がぁぁぁ!!

 先制のヒーロー攻撃はずるいよ!無防備で受けちまったぜ、めちゃ痛ぇ。女性の怒りは怖いな。怒られる要素あったか?

 

 波瀾万丈なスタートすぎるぜ全く。だがいい年した女性ヒーローを選出するとは先生もよく分かってるね。主犯はイレイザーヘッドです。

 

 ん?よく見れば小さな子供もいるじゃないか。どちらかの子供か?年齢を考えればあり得る。すげぇ目つきしてるけど。

 

「女性に年齢の話をするんじゃありません!」

「そうよ!誰しも年を取るのよ!好きで30代になったわけじゃないの!」

「30代と言えば…」

「と言えばて!!」

 

 めっちゃ顔面掴まれた。アイアンクローさながらの威力だ。峰田なら絞りモギモギジュースになってるね。

 

「その子はどなたかのお子さんで?」

「違う違う、この子は私の従甥だよ。名前は洸汰。ホラ挨拶しな!」

「びっくりした。男を襲って父にするか、子供を攫って自分の子にするタイプのヒーローとは名ばかりの怪異かと思った」

「今すぐにお前をパパにしてやってもいいんだぞ?」

「ヒエッ…!」

 

 ヤベェ目がマジだ…!気を抜けば俺は父にされる…!

 合宿中は気を抜けねぇな。マンダレイも笑っちゃいるが、目の奥は笑っていない。あわよくばの目をしてやがる。俺はチュールだった…?

 

 まぁいい。ご褒美が人生の墓場一直線コースの可能性が出てきたがまぁいい。まずは目の前の子供だ。かなりやさぐれた目をしてるな、小さな爆豪か?

 

「こんにちは洸汰くん、俺はシャカ。将来子供達や母親達の人気ナンバーワンになること間違いなしのアルティメットヒーローさ!」

「ヒーローになりたいなんて奴とつるむ気はねえよ」

「本当に子供か?ワンチャン大人が個性事故で子供になった説ある?そこんとこどうなんです?マンダレイ」

「違う違う。あー…この子は色々あってね……」

 

 ふむ?訳ありか?この歳の子なら親と一緒にいる筈だが近くには見当たらない。宿泊施設にいてお手伝いの為にここにいる説もあるが、この感じはどう見ても……

 

 

 

 

 ふむ。

 

 

 

「洸汰くん、兄ちゃんと少し話さないかい?」

「さっきも言ったろ。つるむつもりはねえよ」

「つれない事言うなよ〜〜!HAHAHA!ほら高い高〜い!」

「うわっ!?離せっ!?」

「君に何があったか俺には分からないけど、()()()()をしてる子供をほっとけるほど俺は性格悪くないぜ。何せヒーロー志望だし」

「っ!?またヒーロー…!どいつもこいつも…!」

「あぁ、分かるよ。()()()()()()()()()は怖いよな。よく知ってるよその目を。俺もそうだ」

「えっ…?」

 

 

 

 

「だからこそ話そう。話して解決する問題じゃないかもしれない、話してもなお理解ができないかもしれない、それでも…人は前に進むためには止まり木が必要なんだ。1人で抱えて苦しむよりも…2人で抱えて楽になろう。それでもダメなら3人でだ。デリケートな問題かもしれないが、目の前で苦しんでいる子供を見過ごせないよ。君の嫌いな目の前のヒーロー擬きは、おせっかいの塊のような男だからね」

 

 

 

 

 

 

「つっ…!うるさい!分かったような顔するな!」

「あっ…洸汰!」

 

 ここまで来たであろう車に乗り込んで隠れてしまった。まぁそりゃそうなるか。少し踏み込みすぎたな。

 

 あの年頃だったら、よく知らん奴のおせっかいほど鬱陶しいものはないか。

 

「石楠花くん、ごめんね?洸汰が…」

「いえ、俺も踏み込みすぎました。初対面でアレはなかったな…要反省です」

「いや、洸汰のことを心配してくれたんでしょう?あの子は色々あったから……それよりもあの子のことをよく気づいてくれたね」

「ええ、俺が知っている子によく似てたんで。ええ…あの目は本当によく知っている…本当に」

 

 俺の予想が当たってるとするならば、おそらく………

 

 話すだけでは解決しないかもしれない。きっとあの子にとってのヒーローが現れるまでは……

 

 そしてそれは俺ではダメなのだろう。同じような闇を抱えてる者同士では真の意味での解決とはな。

 

 これからの人生で真のヒーローに出会えることを祈るばかりだ。他人任せでなく、俺も出来る限りのケアはしていきたいね。

 

「まっ、仕切り直していきましょう!今頃アイツらも森の中でプラスウルトラってるでしょうし、俺たちもプラスウルトラりましょう!先生、下に行って煽ってきてもいいですか!?」

「却下だ」

「子供に優しいイケメン……良い!」

「うん。言動は色々教育に悪いけど…根はいい子なんだろうね」

 

 うおぉぉぉぉぉぉ!テンション上げていくぜ!俺は俺で出来ることを頑張らないと!うおぉぉぉぉぉぉ!!

 

 下見たらアイツら全然進んでねーじゃん。土塊相手に何してんだ?お遊戯会か?昼までに間に合う?まぁいいか。

 

「先生、やっぱり煽りは必要だと思います。上から泥団子を投げる許可を」

「元気だな石楠花。そんなお前に朗報だ。今から車で宿泊施設まで移動するから、お前はその後ろを走って着いてこい」

「車に追走!?道路交通法でしょっぴかれます!」

「ここは私有地だから大目に見てくれるよ」

「物理的に除籍にしようとしてる!?」

 

 やってやろうじゃねぇか!

 俺は韋駄天の石楠花。誰よりも風を愛し、風に愛された男。

 

「付いて来れたらキスしてあげるわ!」

「ピクシーボブはちょっと……マンダレイでお願いします」

「なんで私はダメなのよ!?」

「冗談です。ベロ入れる濃厚なやつを2人からお願いします」

「しかも内容くっそ重い注文きた!?」

 

 うおぉぉぉぉぉぉ!!頑張るぜ!

 えっ?不純異性交友?年齢?知らない単語ですね。

 

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