いや、人ん家の前で何やってんの?   作:ライムミント

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ハジケリストのハジケ度合い…!
一体何ハジケすれば読者の期待に応えられるんだ…!?


ヒーロー基礎学

「んじゃパパッと結果発表」

 

トータル成績が最下位の者が除籍。その事実に生徒がドキドキしながら先生の動向を見守る。特に緑谷は最下位争いをしていたせいか必死に願っている。鱗は歴代征夷大将軍について考えていた。

 

しかしいい意味で皆の予想を裏切る一言が先生から放たれた。

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

「「「!?」」」

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

「はーーーーーーーーーー!?」

 

皆が一様に驚く。それもそうだ。結果次第で自分の人生が左右されるかもしれない場でのこのウソなのだから。緑谷に至っては人相が変わるぐらい驚いている。

 

「緑谷その顔どうやってんだ?顔面がゲシュタルト崩壊起こしてんぞ?英文法にでもなるつもりか?」

 

鱗だけはマイペースである。

しかし内面は一応驚いている。除籍という言葉に嘘はなかった。だが今は合理的虚偽と言っている。つまり全員の個性や動き方を見て、まだ見込みがあると思われたのだろう。

 

「あんなの噓に決まってるじゃない…ちょっと考えれば分かりますわ…」

「いや原付パイねーちゃん、あれはやるときはやるハジケリスト予備軍の目だぜ?」

「八百万 百ですわ!?」

「石楠花、俺をお前と同じ扱いするな。今回は見逃したが次度を越えてふざけたら除籍だからな?」

 

そして順位が発表される。

1位は原付パイねーちゃんこと八百万 百、2位は石楠花 鱗、そして最下位は緑谷 出久となっていた。

 

こうして入学早々もっとも精神的に過酷な行事が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらは個性把握テストが終了してすぐ、校舎裏での出来事。

 

「相澤君の嘘つき!」

 

相澤を待っていたのはこっそり自分の後継者である緑谷を見守っていたオールマイト。そのオールマイトが相澤に自分の考えを話し始めた。

 

「『合理的虚偽』て!エイプリルフールは一週間前に終わってるぜ。君は去年の一年生…()()()()()()()()()()にしている」

 

一クラス丸々除籍。雄英高校でなければ大問題になりそうな出来事だ。しかし、去年一クラス丸々除籍した男が今年は誰一人除籍せずにいる。

 

「『見込み無し』と判断すれば迷わず切り捨てる。そんな男が前言撤回ッ!それってさ!

 

 

 

 

 

 

 

君も緑谷君(あの子)に可能性を感じたからだろう!?

 

「……()()?」

 

本当に隠す気があるのかと言われるぐらい何の事情も知らない相澤でも流石にオールマイトが緑谷を気にかけていることがわかる言葉である。これがナンバーワンヒーローで大丈夫かを思うくらいに。

 

「随分と肩入れしてるんですね…?先生としてどうなんですかそれは…」

「(ギクッ)」

「“ゼロ”ではなかった…それだけです。見込みがないものは即座に切り捨てます。半端に夢を追わせることほど残酷なものはない」

 

相澤が去っていたあと、一人残されたオールマイト。そしてぽつりと呟いた。

 

「(君なりのやさしさってわけかい相澤君…でも)やっぱ…合わないんだよなー」

「あっ、そうだオールマイトさん」

「えっ!?何だい相澤君!?(シット!まだ近くにいたとは…まさか聞かれて!?)」

「俺とあなたが合う合わないは置いといて…」

「(やっぱり聞かれてたー!?)」

「石楠花 鱗、言動や話す言葉に問題しかありませんが、あいつは可能性の塊です」

「へぇ、君がそこまで言うなんて珍しいね。明日は雨かな!?」

「もう一度言いますが言動や話す言葉に問題しかありませんが、ボールを投げる瞬間…あなたのような気迫を感じました。磨けば光る、ただそれだけです。では」

 

そう言葉を残し、相澤は本当に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

下校時間。今日作った友達と帰る者もいれば一人で帰る者もいる。鱗は当然後者だ。いや、後者だった。

 

「よお石楠花!一緒に帰ろうぜ」

「帰りにマック寄っていかね?」

「オイラも混ぜてくれよ!石楠花とは仲良くなれとオイラの直感が告げてるんだ!」

「おお、切島と上鳴、それに腸内細菌か。じゃ、帰ろうぜ」

「おっ、やっと名前覚えられたんだな!」

「覚えられてねーじゃねぇかよー!!何でオイラだけ腸内細菌なんだよー!?」

 

鱗はハイスペックな割に人の名前を覚えるのが苦手だ。一度目は必ずと言っていいほど間違える。そして自己紹介をしていない人ならなおさらだ。

 

「オイラは峰田 実!石楠花!お前はおっぱいは好きか!?

 

なお、ここは教室のど真ん中である。

男子が尊敬するような目で見つめ、女子はドン引きの視線を向ける中、質問された鱗の反応は決まっていた。

 

「アホかそんなもん………半額セールよりも好きだが?

「同志よ!!」

 

連合軍誕生の瞬間である。この男に羞恥心という感情はほぼ無い。だからこそ女子がいても堂々と話すことができる。「サイッテー!!」という女子の声が聞こえてくるが気にしない。

 

「おいおい戦隊ピンクよ、出会って初日でそう非難するもんじゃねーぜ?」

「出会って初日に教室のど真ん中で猥談する奴に言われたくないよ!?あと芦戸!あ・し・ど・み・な!?」

「男ってのは猥談してこそ存在価値を認めさせることができるんだよ。ほら、あそこで見てるガルウィング砂藤も混ざりたそうにしてるじゃあないか」

「おい俺まで巻き込むなよ!?」

 

この男は息をするかのように平気で他人も巻き込む。哀れ砂藤、男子たちは心の中で砂藤に合掌する。

 

それを見かね、この会話を終わらせるために一人の女性ヒーローが立ち上がった。

 

「そこまでにしときな。アンタ今でもヤバいのにもっと頭のおかしい奴になっちゃうよ?」

 

みんなの代弁者、耳郎である。

 

「どうした…まさかそんなに混ざりたかったのか!?ごめんな…今度からいの一番に誘うからよ。だからそんなメソポタミア文明が滅んだかのような顔するなよ」

「誰が混ざるか!?あとそれどんな顔だ!?」

 

だがこの男に常識は通用しない。そしてその波に乗るかのように峰田が口を開いた。

 

「そうだぞ!おっぱいが無いからってオイラ達の会話にやっかみを付けるなよ!?」

「あぁ…!?」

 

この出来事を切島はこう答えた。「般若がいた」…と。

だが鱗はマイペースだった。

 

「落ち着け耳郎!よく聞け…お前はかわいい!

 

「……ふぇ!?」

 

男子たちには石楠花が変態から勇者に見えた。

 

「いいか耳郎!お前はかわいい!そのクリっとした目にプリっとした口。肌も綺麗で何より耳がキュートだ!もっと自信を持てよ!そう思うだろみんな!!」

「わかったから…もう……やめて…っ」

 

この時みんなは思った。「あっ、かわいい」と。

 

「だからこそよく聞け!いいか!」

「うっ…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貧乳はステータスだ!!」

「ふんっ!!」バキッ!

「あべし!?」

 

 

「「「えぇ…」」」

 

悪は倒された。

うるさかった元凶が成敗されたことで、静かになった教室から一人また一人と家に帰っていった。

 

とりあえず鱗の亡骸に手を合わせてから帰る生徒が続出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校の1日を紹介しよう!

午前は必修科目の英語などの普通の授業!

 

「おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!!」

 

初日のインパクトが強すぎて当たり前の授業が普通すぎるように感じる事態が発生。ヒーローの卵といえど義務教育は必須、だからこそ普通の高校生のように勉強をするのだ。

 

「(普通だ)」

「(普通だ)」

「(普通だ)」

「(普通だ)」

「(くそつまんね)」

「(関係詞の場所が違うから…4番!)」

「(校長室にネズミ捕りぶん投げたらどうなるんだろ?)」

 

 

昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!

「ランチラッシュ先生ー!俺、ババロア〜そっと落雁を添えて〜を一つ!」

「いや〜石楠花、流石にそれはないんじゃ「あるよ!」あんのかよ!?」

 

 

そして午後の授業、いよいよヒーロー基礎学!

 

「わーたーしーがー!!」

 

「来っ…!」

 

「普通にドアから来た!!」

 

「オールマイトだ!すげぇや、本当に先生やってるんだな…!!」

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ……!画風違いすぎて鳥肌が……!」

 

確かに画風が違うな。特にあの目元どうなってんだろ?どう頑張れば人は目元に天然のサングラスをつけることが出来るんだ?

 

鱗が素っ頓狂な事を考えている間にも話は進んでいく。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

戦闘訓練。確かにその言葉だけでご飯3杯はおかわりできるぐらい熱い言葉だな。爆豪なんて顔がヤバいことになってるし。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!」

 

オールマイトの言葉と共に壁が少しづつ飛び出してくる。その中には番号が書かれたスーツケースのような入れ物が人数分入っていた。無駄にハイテク。

 

「入学前に送ってもらった『個性届け』と『要望』に沿ってあつらえた戦闘服(コスチューム)!!!」

「「「おおお!!」」」

 

コスチューム。その言葉だけで一つの物語が書けそうな程の素晴らしい言葉だ。ヒーローを夢見る少年少女にはサンタさんからのクリスマスプレゼント並みに嬉しいことだろう。

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

「はーい!!!」

 

そうして各々が自分のコスチュームを手に更衣室へ向かって行く。さて俺のコスチュームは、まぁ()()()()()()()()()()()()()()()()()から今回で2度目なんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

[男子更衣室]

「テストの時は急いでたしそこまで見てなかったけどよ…」

「あぁ、言いたいことはわかるぜ…」

 

上鳴と切島がコソコソと話を進める。だが視線はある1人の男に集中している。話しているのは2人だけだが、みな同じことを考えているのだろう。視線の向きは皆同じだ。

 

「お前ら何ジロジロ俺を見てんの?そっち系か?ごめんな…俺は純粋に女の子が好きだからお前らの気持ちには応えられねぇよ…」

「「「俺達も女の子が好きだわ!!」」」

 

「あっ、そう。なら何でお前ら俺のこと見てんの?」

「この際言うけどよぉ…石楠花お前……

 

 

筋肉の化身か!?」

 

そう、鱗の筋肉を見ていたのだ。男子たる者、筋肉に憧れないものはいない。ヒーローも目指すものなら身体はある程度鍛えられているであろうことは分かっていた。しかし鱗のような使い込まれた筋肉はそうそういない。

 

大きすぎるような無駄な筋肉ではなく、全身が引き締まり、且つ最大限のパフォーマンスを発揮できるよういつでも万全の態勢で整っている人類の到達点と言っていい筋肉である。

 

「そんなアホなこと言ってないでさっさと着替えろよ?俺は着替え終わったから先行くぜ?」

「着替え終わったってお前もまだ何も…何で着替え終わってんだよ!?しかもそんなピチッとした宇宙服みたいなやつ!?いつどうやって着替えたんだ!?」

「石楠花式二毛作水稲早着替えだよ」

「何それ!?」

 

そう言い残して鱗は更衣室を後にした。筋肉やら早着替えやら多くの疑問に頭を悩ませたが、まずは授業に遅れまいと早々に着替えていく。

 

そんな中、緑谷は男子の中で着替えるのが一番遅かった。

母が買ってくれた服を元に考えられたコスチューム。だからこそ丁寧に着替え、忘れ物がないかを確認し、演習場に向かって駆け出した。

 

そして一番最後に演習場へ到着し、最初に目にした光景は…

 

 

 

 

 

 

 

「お前何があったらこんなことになるんだ!?」

「しっかりしろ石楠花!?」

 

「うぅ……もうお嫁に行けない……」

「シュ☆ク☆セ☆イ☆しなきゃね……!」

 

 

 

血塗れで器用に顔だけ天井に突き刺さっている石楠花だった。

 

 

 




コスチュームはテラフォーマーズで鬼塚 慶次が来ているアネックスのユニフォームにごちゃごちゃした小物を付けた感じです。

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