咲夜「嘘っ…でしょっ!!?」スパンッッ
「うおっと…!そんな短調的なナイフ!誰が当たるってんだ!!」
咲夜「っ!?」
不思議な感覚だ。一瞬空間がフワッと揺れる。咲夜というメイド長がナイフを投げて眼前にナイフが来る…その瞬間に毎回毎回フワッとなる。
恐らく魔理沙が言っていたのはこれの事だろう。時を止める能力。どういう原理でそんな摩訶不思議POWERを操ってるかは知らんが、無限大ではおそらくないだろう。
霊夢の空を飛ぶ能力だってそうだ。霊夢が言うには霊力というゲームで言うMPを飛んでいる間は消費し続ける。妹紅だって炎を纏えることができるが、当然熱はあるし本人も『オーバーヒート』すると言っていた。
つまり能力は無制限ではない。無限大ではあるが、そこにな常に限度がある。
彼女の時止めが不安定なのか、さっきからまるで時を止められてない。お互い平行線だ。
咲夜「これでもっっ…ですかぁ!?」バッ
「うおっ!?どっからそのナイフをっっ」
咲夜「っっ…死になさいっっ!!」
真上に放たれた無数のナイフ。刃先が俺にむくと飛んでくる。サイコキネシスか何かかよ!?
「しゃっ……おらぁぁぁぁっっ!!」
咲夜「今っ!」カチッ
俺の拳が空を切りナイフを弾く…その瞬間、またフワリと時空が歪む感覚がした。
「……!?なんだ…こりゃ…」
咲夜「やはり…そういう事でしたか…。」
彼女が投げた無数のナイフは、俺の頭上で静止していた。少しプルプルと動いてるだけでピクリともしない。
「…これが魔理沙の言っていた時を止める程度の能力って奴か。こうやってみると、恐ろしいな…。」
コツンっと近くのナイフをノックする。強い反発で手を弾かれてしまう。どうやら物理法則でその場に力を停滞させてるため、こちらの物理法則は完全無視のようだ。便利なのか扱いにくいのか分からない能力だ。
咲夜「魔理沙っ…!…なるほど。本当に面接に来ただけ…だったのね。」
「まっ、そりゃ説得力がねぇーよな…。俺もついさっき思い出したのさ。確かに血を垂らしてうんたらってやつ。」
なんかこう、背景が薄い紫色の空間で喋ってると神様と話してるみてぇーだ。…まぁ、霊夢が言うには神も人も妖怪も暮らす所が幻想郷らしいからな。そのうち神様ってやつにも会えんのかね。
咲夜「…はぁ。とんだ能力の無駄遣いですね…。…貴方、その力はもう、把握してるのですか?」
「いんや?まだ発展途上さ。使い方は愚か、力の抑え方すら分かってない。妹紅とやり合った時に全力で殴ったら左腕が持ってかれた。自分の力でな♪」
咲夜「っっ…。そう…つまり……」
何か深く考え込むと顎に手を当てる。
「…とりま能力解除したら?流石に負担があるだろ」
咲夜「っ!…気づいておられましたか…」
「気づくも何も、力には代償が伴う。俺がうっかり片腕をぶっ壊しちゃったりとかな♪」
咲夜「!…ふふっ…♪そう…ですね♪…では時を戻します。」パチンッッ
「おぉ…かっけぇーな。」
咲夜「ふふ♪ありがとうございます♪…それと…」スッ
「へっ?」
俺の頭上に指を指すと一言
咲夜「それ、どうにかしといてください♪」
「は…?はぁっ!?」
次の瞬間、無数のナイフが俺へと降ってきた…
「酷い目にあった…」
咲夜さんの一歩後ろを歩きながら、バカ長い廊下を歩いていた。
あの後、とんでもない量のナイフを避けたり、弾いたりとして何とか生還した。恐らく、俺に流れる力が強くなかったら今頃全身刺傷だらけだったぜ…。
咲夜「それにしては充分バケモノですよ♪」
「フォローになってないです…」
確かに早く独り立ちしたいとは思ってるが、流石の化け物扱いは元人間としては心にくるぜ…。せめて半妖って言って欲しいものだ…。
咲夜「こちらが、お嬢様の自室です。…お嬢様、働きの申し出です。」
『…入りなさい』
随分と幼い声だな。俺より下か?…いや、相手はどれだけ幼くても妖怪や神様だ。俺より年下なわけが無い。
?「ふーん。貴方が例の…。っと、自己紹介がまだだったわね。私はレミリア・スカーレット。ここ、紅魔館の主だわ。」
玉座のような椅子に、足をクロスしながら肩肘ついて挨拶してきた…幼女…?が、ここの主らしい。
後ろには黒い翼に、少し見える尖った八重歯…。特徴からさて吸血鬼…だろうか?
「どうも初めまして…。えーと俺は」
レミリア「君の事なら巫女…あー、霊夢からチョロっと聞いてるわ。何でも、外の人の人間で能力が発動した珍しい人種なんだってね」
「へ?は、はい。そうです…」
霊夢…あの短時間に一体…
レミリア「急に来たものだからびっくりしたわよ♪何でも『最近外から来た阿呆が近々そちらを訪ねるから、面倒よろしく』ってね?貴方…相当あいつ…博麗霊夢に気に入られてるわね♪」
霊夢さん、ちょっと過保護過ぎっすよ…。あと阿呆って…。
頬を掻きながら少し黙りとしてしまった。咲夜さんはそんな俺の姿が面白かったのか、口元に手を当てふふ♪っと笑っていた。俺ってそんなに一つ一つの動作が変か…?
レミリア「…まぁいいわ♪そうね、本来ならいくつか試験をして、できるなら合格!…っとしようとしてたんだけどね。霊夢の紹介って言うのもあるし、何しろうちの門番…美鈴を瞬殺。咲夜を負かしたとなるなら、特に問題はなさそうね…うん♪採用!」
そう言って、あっさりと俺を雇用してくれた…。そこからレミリア…一応…お嬢は、業務内容を説明してくれた。といっても、ほとんどの事は咲夜さんに任せっきりらしく、今更俺がなにかするってことは無いらしい。
「それ…俺を雇用するメリットあります…?」
レミリア「んー…♪今のところはぜんっぜんないわね♪」
「ないんかい…」カク
レミリア「そうねぇ…ふーん……。…拓人君…だったわよね?戦闘に関してはまだまだ…って言ってたわね?」
「へっ?え、…はい。正直、まだ使い方がよく分かってないです。スタイルもまだブレブレで…。妹紅には『ゴリ押しだよゴリ押し!!拓人はそれが1番似合う!!』…と言われましたが、ピンとこず…」
レミリア「なら、貴方にも1つやれる事があるわ♪…妹の世話係…なんて、どうかしら?」ニコ
「…妹さんの…?」
レミリア「そっ♪ちょーっとワガママで…すっごーく傲慢な、世話の焼ける子なのよ。…良かったら、見てくれるかしら?♪」
「ま、まぁ…何もないよりかは…」
レミリア「決まりね♪咲夜!彼を専用のお部屋に♪フランの場所を教えといてちょうだい♪」
咲夜「かしこまりました…。…こちらへ」ニコ
「あ、は、はぁ…」
そうして、部屋に案内された。とても1人には身があまりすぎる部屋だが…この際突っ込んだら負けな気がしてきた。
それと、この部屋に来る途中に咲夜さんから『良かったですね♪』と労いの言葉を貰った。…しかし同時に『気おつけてくださいね…?』と心配されてしまった。
恐らく、相当その妹がじゃじゃ馬娘なのだろう。とりあえず残機が5つ欲しいかな…叶わぬ願いだけど。
明日からよろしくお願いしますと言われたので、とりあえずゆっくりする事にした。流石に2連チャンの戦闘は心身共に疲労が溜まる。
とりま明日起きたら、咲夜さんに貰った地図を頼りにその妹さんのお部屋に行こうか…。…めっちゃ地下室だけど大丈夫なのだろうか……。
レミリア「……。珍しいわね。あんたからこっちに顔出すなんて」
霊夢「何よ…?別にいいでしょ?」
レミリア「…。で?あんたがわざわざ出向いてくるなんて、よっぽどの要件よね?」
霊夢「そう身構えないでちょうだい…?…ただ単につい最近、外の世界から来た阿呆がここに面接しに来るってだけの話だから」
レミリア「…はっ…へ?そ、それだけ?」
霊夢「?それだけよ?そいつが急に『いつまでもお前に養われるのは悪い!独り立ちの為に仕事がしたい!』って言うから、ちょうどチラシ配ってたしちょうどいいかなって。」
レミリア「へっ…へぇ~…。…過保護…?」
霊夢「はぁ?何処がよ。私は別にそいつになんの期待もしてないわよ。そいつが独り立ちしたいって言うなら勝手にどうぞ。じゃ、本当にそれだけだから、よろしくね。」
レミリア「………。わざわざそれを言いに来て、遠回しに雇ってとお願いしてる時点で相当過保護よ…。…西川 拓人…。あの霊夢が過保護するような外の世界の人間…ね。ちょっと、気になるわね…♪」