「オイオイっ!オイオイオイオイオイッッ!死ぬわアイツ。はぁぁぁぁ!やってらんねぇぇ!!」
現在私、絶賛全力疾走でございます。え?なして全力疾走してるかって?
フラン「あははぁぁっ!!すっごいすごーい!♪全部避けてる♪それに凄いはやーい!♪あははっ!あはははっっ!!」
虹色の玉をぽんぽんのこちらに飛ばしながら自身は飛翔している幼女から逃げてるんだよコノヤロウ!
こっちが逃げる先にいやらしく弾幕という摩訶不思議物体を飛ばしてくるから少し大袈裟にかわさなきゃならん。
それに、フランが扱うこと珠は妹紅の火の玉ストレートとは違い、着弾地点を跳ね返る性質があるようだ。
速度と威力は半減していき、何度か壁をバウンドすれば消滅してくれるのだが、このバウンドがまず頭悪悪なのだ。
ただでさえ俺の進行方向、逃げる先を正確に潰しに来てる。オマケにそこら辺にばらまくようにしてれば、掠っただけでも致命傷をおう俺には無理ゲーにも程がある。
「けほっ!げっほげほっっ!!…んの野郎…っ!手加減って言葉知ってるかっ?!!」
でかい扉に体当たり気味に辺り、転がるように部屋の中に入る。中は馬鹿でかい図書館のような場所で、特別俺のいる場所は少し空間が開けてるようになっていた。
しかし屋敷ってだけあるな。本の量がとんでもねぇ。それに広さが馬鹿だ。少し見渡すだけでも首が痛くなりそうだ。
フラン「手加減してるよォ♪狭い通路で弾幕使うのも一苦労なんだよォ?少し力のコントロールがブレるだけでガラスはバラバラに砕けちゃうし…。」
おいおいまじかよ…。あれほどの弾幕という物質を無作法にばら撒きながら、的確な射撃をしてくる癖して、『狭い通路では威力を減らしていた』だと…?それってどんだけ繊細な事がわかって言ってんのかっ…?
……どれだけ幼そうな奴でも、本質は妖怪…神様…なんだろうな。ぽっと出の俺が、力のコントロールを意識してしなきゃならんが、彼女らは違う。無意識的に、無自覚にその力を制御しコントロールして操れてる。俺が意識的にしてる事を、無意識的に出来る。
それだけ反応速度、対応力が何倍にも変わってくる。こっちが考えてる間に、相手が手練であれば手練であるほど1つ2つと行動を与えてしまう。
フラン「んー…でも手加減も楽しくないんだよねぇ♪…そ・れ・にぃ~♪…ここはパチュリーの図書室。ちょっとやそっとじゃ壊れないから…安心してブッパできる♪」
「は…ハハ…。冗談…キツぜ…。」
フランの言うのをそのまま受け取るならば、フランがここで半分本気になった所じゃ壊れないという意味だ。つまり、ただでさえ手加減されてる時点で劣勢な俺が、ちょい本気のコイツとやり合わなきゃならない…。
「…死ぬわ…これわ…。」
フラン「…ふーん。あの美鈴と一騎打ちで勝ったとは小耳で挟んでたけど、大した事無さそう♪」
「……?」
フラン「知らないの?♪美鈴…腕っ節だけならなかなかなんだよ?♪…ま、知らないか♪外の人だもんね♪…でもそれとこれとは別。私が手を抜く必要性なんて…ぜんっぜんない」
次の瞬間、フランを中心に、ブワッッと紅黒の球体が宙を待っていた。そんなフランの手には、赤い槍上の突起物をいつの間にか手に持っていた。
フラン「…フランも無抵抗の相手にいきなり全力!…なんてつまんないマネはしないよ♪……出しなよ。じゃなきゃお兄さん…死んじゃうよ?」
「っっ!……はぁ…こっちに来てから、元々の自分の性格がどうだったかなんて分からないほど、俺には色々な事が起こりすぎた」
だいたいそうだ。元々俺は、外の世界ではどんな奴だったけか…
フラン「…むぅっ!フラン!待つの嫌い!」
こんなに頭に血が上りやすかったっけか…?物事をなんでも暴力で解決しようとしたっけか…?…そもそもそんな力を、元々持ってたか……?
フラン「…。あーもう!!もう無理!!」
次の瞬間、紅黒い球体は、こちらにいっせいに飛んでくる。
眼前が無数にも思える球体で埋め尽くされた時だった。
ふと、ある何気ない日常に言われた言葉が、脳裏に過ぎた。
『おにぃは、昔から影が薄かった。だからすぐみんなに馬鹿にされてたよね。…でもおにぃってさ、そんな影の薄さがあったこそ、なんにでもなれてたよね。…ちょっと羨ましいなっ♪私は、1つしかないから…♪』
なんにでも……俺は…
「…俺はっ…っっ!俺はっっ…!!」
フラン「んんっ?!な、なにっ!?」
モンモンと俺の頭の中を渦巻く雑念。その雑念が、色濃く…だけどスっと無くなっていく気がした。
地面を軽く叩いて、少し冷静になろうと辺りを見渡した。…見渡して、反射した自分が目に映った。
「………はへっ…?」
黒髪が、綺麗な白い髪に変貌していた。身体中からは、白いモヤのようなのが気のように溢れ出ており、赤い瞳。それだけでも充分に異様な光景だ。だが…
「…これは…」
フワリと、俺の周りを浮遊するフランが操る同一の球体。数こそ本家に比べたらお粗末なもので、その数は3つ。
フラン「なっ…へっ?えっ…何がっ…」
「…俺にも分からん。俺自身に何が起きたのか、俺が一番聞きたい。ただ…」
フラン「っ…?」
「…ただ、凄く冷静だ。なんでだろうな?少しミスっちまったら、その弾幕で切り傷を負うのにな。すっげぇ冷静だ」スッ
多少の準備運動を済ませてから、俺はフランにもう一度目線を向ける。
フラン「っ!」
「待たせたな、フラン様。こっちは準備おっけいだ。……仕切り直しだ。何だっかな…弾幕ごっこ…だったか?」ニコッ
俺の能力がなんなのか…この戦いである程度感覚を掴むっ
っっ っっっ!!
「うわぁぁっっ!?…あぁ…。今日…か、県大会。」
朝、支度をしてる時に、もう使われてない部屋へと何故か自分の足で入っていた。
中は使われてない割には生活感が溢れており、まるで男子生徒がここで寝泊まりしていたかのような雰囲気だった。
1世代前のゲーム機がテレビに差し込んであり、綺麗なノートパソコン。ぐちゃぐちゃの勉強机。紺色のサンドバックに、大量の参考書。
「…凄い…。お父さんのお友達さん…かなぁ…。…あっ…」
少し足をつまづいて棚の置いてあったフィギュアをおっこどしてしまう。何の変哲もない、ただの犬のフィギュア。それを拾い上げて……
「あっっ…にきっ……?」
…ひとりっ子である私が、何故かそんな事を言っていた。
架空の兄貴っ…?はっ…馬鹿馬鹿しいっ!馬鹿馬鹿しい…
「…はっ…えっ…?あれっ…なんで……?これ…なんでっ…」
なぜだか、少し前にいた彼氏と別れた時よりも、涙がこぼれた