霊夢の家。基博麗神社に身を置いて早い事に3日立っていた。
霊夢「…しっかしあんた、いきなりって言うのにスラスラと物事を終わらしていくわね…。まだ3日しか経ってないわよ…?」
「そう…言われましても…。俺は俺のできる範囲でやってるだけなので…」
3日間だけと言うこともあり、博麗神社の清掃にはちょくちょく暇な霊夢がこうして俺にと話しかけながら作業を進めていた。
もちろん、分からない事があれば直ぐに聞き、ミスや破損がないよう隅々まで……。
霊夢「だいたい、あんたは休み無しでぶっ続けでやるのが怖いのよ。いつ倒れるかと…」
「それはひょっとして心配してくれてるのか…?」
俺がそう言うと、フリフリと俺を指さしていた手を止めると、霊夢の時が止まったように固まった。
「…。何故か分からないですけど、こっちに来てからは体力が有り余ってるんですよ。自分、俗に言う引きこもりだったんで、体力は自信ないというか」
霊夢「…。…別に、心配してた訳じゃないわよ。私が押し付け……頼んだ仕事をして倒れちゃ、私の責任じゃない。」
「今押しつけって言いましたよね?完全に言いましたよね?」
霊夢「と・に・か・くっ!…私が押し付けた仕事で倒れられると目覚めが悪いって話!だから、こまめに休みを摂ること!いいっ!?」
「それはいいが、今完全に押しつけって」
霊夢「細かい男は嫌われるわよ!?」
「別にいいと思う。」
霊夢「はぁぁぁっ!…あんたって友達居なさそうよね」
「さりげなくグサリと突き刺さる言葉はどうかと思うよ。霊夢さん。」
別に好きで嫌われてるわけじゃないし、好きで浮いてる訳でもない。ただ周りと話が合わなくて、周りとレベル差を感じるからであってってこれ極論浮いてね…?
知らぬが仏ってことにしておこう。そうしよう。
そうして、ぶつくさとあれやこれやいう霊夢をハイハイと流しながら作業を進めていく。
この3日間でやってる事と言えば、ホウキで枯葉や落ち葉などを叩くだけのお仕事。毎朝6時から7時。午後からはちょくちょくと言う感じで、暇な時間な方が多いい。
そんな暇な時間は、霊夢さんからこの世界の事を聞いたり、弾幕やスペルカードと言った、こちらの世界で言う特技などを教えて貰っている。
おかげで俺みたいな貧弱クソザコナメクジがどれほど脆弱で惨めな存在なのかを理解出来た。スペルカードには個々の個性や特性がそのまま反映されるようになってるらしい
例を挙げるなら、霊夢は巫女という立場のため、捕縛をメインとした攻撃スペルカード。名を『夢想封印』と言うらしい。
本人いわく、捕縛の為に膨大な力を消費して撃つらしいのだが、何故かほとんどはこれで決着が着いてしまうらしい。
『膨大な力を使ってる時点で完全に捕縛では無いのでは?』と、自分の心に疑問が出たが、本人にそれを聞くのはやめておいた。なんか地雷を踏みそうだったからだ。
話はそれたが、要は俺のような人と彼女達とは決定的な力の差があると言うこと。俺はそんな『スペルカード』と言うのを扱える訳でもないし、力を貯める為の時間稼ぎに使われる『弾幕』という代物も撃てない。
力と力のぶつかり合いじゃ、絶対に人は彼女達には勝てない。そんな人でも、一部例外は居るらしいが…
「…………」ボ-ッ
ホウキに顎を乗せて、ボーッと空を見上げる。霊夢に『無理やり』休憩と言われ、1~2時間お茶を飲みながら霊夢と会話をしていたが、体は動かしたくてうずうずしていた。
「…俺、体育会系じゃないんだがなぁ…」
どちらかと言うと教室の隅で本読んでるようなやつであって…
なんて事を一人思いながら作業を再会しようとホウキを両手に持った時…頭上に、人型の影があった。
その刹那、一筋の閃光が一瞬キラリと煌めいたのが見えた。
そこまではいい。そこまではただの自然現象で説明が着く。
だがそれが見えた瞬間に、脳が危険信号を出すかのように全身から冷や汗がドバっと出てきていた。
俺は、考えるよりも先に、体を180度回転させて飛びつく。
なぜ俺がそんな行動をしたのかは分からない。だが、意味のない行動ではなかった。
黄色の閃光が真っ直ぐ俺が先程居た所に向かって飛んできていた。とてつもない轟音を立てたかと思えば、弾けるように爆発し、俺は深い森へと爆風で吹き飛ばされる。
?「クッソッ!霊夢の野郎は何やってるだぜな!?」
金髪に黒い帽子。その帽子に巻き付けられるように白いリボンのようなシルエット。見た目はどこか魔法使いっぽい見た目で、右手には変な六角型の何かを待っていた。
「かはっ!かはっ…!な、なんだってん…だっ…?」
全身が焼けるように痛い。爆風でか、それとも爆風で吹き飛ばされた際に出来た切り傷のせいか…最も、今が緊急事態ということは分かる。
体は重く、最後に木に背中をぶつけたのは覚えてる。目の前はクラクラするし、頭からはなんか赤い液体のようなのが垂れてるのもわかる。
?「っ!今のを耐えるのかっ…!ならっ…!」バッ
目の前でホウキにまたがる少女は、頭上に小さな筒状のような物をほおり投げた。
?「私の取っておきだぜっ!覚悟っ…しろっ!!」
次の瞬間、パンパンっと弾けたと思えば、緑色の閃光が何発もこちらに飛翔してくる。
「っっ!ぁぁっ!…あぁぁぁっっ!!」
痛む全身を大声でかき消しながら、金髪の少女とは反対方向へと体を向ける。そんなことをしてる間でも、緑色の槍状の浮遊物はこちらに目掛けて飛んでくる。
こんな時……異世界ものの主人公は覚醒するのかな…。こんな時に…奥底に眠る力が覚醒するのかな…。
「そんなご都合主義…はっっ…ねぇぇっ!!」バッッ
前のめりに、倒れるように緩やかな傾斜の山道へと飛び込む。
俺の腹、足、頭を貫くように飛翔していた何本かは突然の俺の行動に地面に着弾し砂煙を上げる。
だが…流石に俺は一般人で戦闘ド素人。いくらこちらの世界に来てから動体視力や運動神経が多少なりとも良くなったからって……
「っっ!!」
全ての槍状の浮遊物を避けれるわけでもなく、1本が脇腹を掠め、もう一本が頬をかする。
それだけで想像が絶するほどの激痛が走る。それにプラス傾斜への身投げだ…力の出ない俺はそのまま流されるのみ…
「かはっっ!!……はぁっ……かはっ……はぁっ……」
背中をまたもぶつける。もう、力が出ない。周りがクラクラと巡る。
俺が今どこにいるのかも、今俺がどうなってるのかも分からない。
ただ分かるのは、全身が焼けるような熱さと、脇腹と頬から感じるジンジンとした痛みのみ。それ以上の事を整理しようとすると意識が遠くなりそうになる。
ただただ俺は、ぶつけた木に背中を預け今にも枯れそうな息をするしか無かった…
霊夢『いざとなったら大きく叫ぶのよ?私はあんたを管理する責任ってのがあるんだから。』
「かはっ…はぁっ…はぁっ……ハハッ…ハッ……これ…じゃぁぁ……大きな声出すのも…しんどいや……」
突然の戦闘。それは自分の無力さをハッキリと分からされ、ただただ何も出来ずに木に背を預ける形になった。
「…足掻いた…つもりっ…だったんっ…だがっ…なぁぁ……」
既に近くまで歩みを進めてきている金色のシルエット…視界は少し赤く染まっており、人物を完璧に理解できないところまで来てしまっていた。
?「…。…。…。」ザッザッザッ
ゆっくり、しかし確実にこちらに歩みを進めてくる。迷いもなしに、ただ一直線に……
「……わ…るいなっ…霊夢っ…。俺…は……ここまで…のよう…だ……所詮は…人だっ…た…。」ガクッ
?「……。はっ?まてっ…?こいつ今霊夢っ…てっ……!?」
意識を失う瞬間…誰かの悲鳴が聞こえた気がした…。心地のいい…ピチューんって音が…聞こえた気がした…。
コンナツモリジャナカッタ…ユルセ…ユルセッ……!
戦闘…シーン…オソマツ…?……知ってる。