幻想入りした男。   作:すつぬ

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タイトル困ってきた。


整理と確認

「……?……生きて…るのか…?俺は……」

 

目が覚める。最近は見慣れつつある天井。首だけを動かし、今自分がどこにいるのかを把握する。

 

ここは博麗神社の客室件寝室。その証拠に、霊夢が今朝畳んだままの布団が隅っこに置かれていた。

 

「……。随分と、俺は頑丈になってるんだな…」

 

自分でもそう驚きで声に出てしまうほど、俺の体は貧弱じゃなくなっていた。

前に霊夢が言っていた霊力のおかげなのか、はたまたこの幻想郷中にあるマソと言った皆の力の根源のようなものが俺にも取り込まれてるのか…少なくとも、元の世界にいた時よりもだいぶ体は丈夫になり、恐怖感というものが薄れているのだろうか…。

 

普通、平和ボケしてる日本というところで住んでたら、あんな目に見える拳銃を向けられただけで声が詰まりそうになり、思考がパニックを起こし何も出来ずに死んでいくだろう。

 

焦りながら、慌てながら、上手く動かせない手足を必死に動かして…。だが、あの時の俺は違かった。

 

行き当たりばったりなやり方だったが…確かに考えを持って行動していた気がする。あんな命がすぐになくなっちまう状態…それも俺みたいな貧弱市民じゃ考える前に恐怖色に染まる状況下で…だ。

 

「…随分と、3日で俺の体も毒されたもんだな…。いや、対応した…か?」

 

ぶつくさと一人で考え事をしていると…

 

霊夢「ほんっとタフね。外の人の子のくせに」

 

「おぉ…霊夢。なんか生きてるわ」

 

襖を開けながら現れた霊夢。いつぞやの構図と同じように、俺が寝転ぶ姿を見下すようにして、俺を見つめていた。

 

霊夢「えぇ、本当にね。普通の外の人なら、大量出血、恐怖心によるショック死…未知との対面…まぁ、その他諸々でとっくのとに致死量よ。」

 

確かに、脇腹を掠めていたのも、結構深くだったしな。そりゃあんな状況で止血なんて出来るわけもないから、ダラダラとまるで壊れた水道口のように出ていただろうな。

 

「それだけ、俺がここに慣れつつあるって事…だろうな。変に焦りも無かったし、冷静ではないが判断能力もあった。」

 

俺がそう言うと、何か考え深いような顔をすると、俺が横たわっている布団の隣に来て、じっと俺を見つめてくる。

「…やはり俺は、変…なのかな?」

 

霊夢「随分…ね。普通の外の人はこちらに来ても特別何かが変化する…なんて事は無いとは言いきれないけど、滅多にないわ。それこそ自分の意思でこちらの世界に来たりしない限り、能力は付与されない。」

 

「そりゃ、こんな元の世界じゃ到底考えられないほど命が軽い所に自分から来ようとするのは、余程の変態じゃなきゃな…」

 

霊夢「だけど、貴方に限ってそれを否定するという事は…出来ない。」

 

「…それは前にも言っていた、感知システムが作動しないって奴か…?」

 

最初に会った時に言われた。厳重な結界の元で、感知システムもある。要は、バリアフリー&セコムみたいな物だ。警備員が複数配置されて居ると言ってもいい。そんなセキュリティ抜群の結界を越え、この世界に鑑賞したのが俺というわけだ。

 

以前に『この世界に来る人は大体、結界が緩んだ時』と言っていた。そりゃ、招かねざる客が来れば、幻想郷という世界はそいつを歓迎しないだろう。

 

ならば…結界も破損しちゃいない。緩でもない。警備は万全。感知システムだって健在だった。…そんな中で、俺はこの世界に介入できた…。

 

霊夢「…あまり聞いたことないけど…あんたはただの迷い人じゃない…ってことかもしれないってことよ。」

 

「つまりなんだ?…俺は、この世界に『呼ばれた』…って事か?」

 

そう霊夢の口から言われた事で少し納得行く所もある。

 

普通の人は、こんな異世界に来てこんなすんなり物事を受け入れるか…と。俺はすんなり受け入れたし、『弾幕』や『スペルカード』と言った事を言われて、それを『特技か個性かなにかなのか?』と質問できた。普通ならまず『なんだよそれ!?』っと不思議に思う所だろう。

 

霊夢「端的に言えばね。……まっ、分からないことを考えても分からないままだからね。これ以上は時が解決してくれるでしょ」

 

「おいおい…そんなんでっていっっつァァァっ!?」

 

最終的にはそんな能天気なことを、能天気な顔で言われる。それにおいおいとツッコミを入れながらよっこらせっとと上半身を起こしたら、とんでもない激痛が全身を走り、あえなく俺は再度ベットにうつ伏せになる。

 

霊夢「無理はしない方がいいわよ。結構普通に動けると思ってても、背中の骨はあらぬ方向に折れてるし、全身は火傷。頭部は複数の擦り傷。それは体にも同様。ほんっと、なんで生きてるのかしらね?」

 

「そういう事は早く言おうよ霊夢さん。」

 

霊夢「最初に言ったじゃない。『とっくに致死量』…ってね?」

 

「それは報告じゃない。ただの感想や。」

 

俺がそう言うと、すっとその場を立ち上がる。

 

霊夢「まっ、暫くは安静ね。私の霊力を毎日少しずつ分けていけば、明後日か3日後には良くなってるでしょうね」

 

「医療なんて要らなかったんや…」

 

そんな、元の世界の医療者を泣かせるような事を言うと、スタスタと出ていってしまった。

 

 

霊夢「…ま、何か言うとしたら…生きててよかった。…かしらね?」

 

「そんなとって付けられて嬉しがられても、全く心に響かないんですけど」

 

霊夢「…。ふふっ。それもそうね。それじゃ、私はあんたの尻拭いをしなきゃならなくなったから、ホウキを持たなくちゃね。」

 

「死にかけた人にそういう事を言いますかそうですか…。」

 

ほんっと、霊夢は俺の事試してるのかはたまた嫌いなのか…分からない巫女だ…。

 

 

そうして、俺が良くなったのは、本当に3日後だった。

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