?「本っ当にごめんなさい!!」
「あー…。えーっ…とっ……?」
霊夢から定期的に霊力と言うのを補給され続け、3日であの傷は完治。今ならアクロバティックな動きすらできると思えるほど、体は健康そのものに元通りになった。
その変わり、霊夢は内にある霊力を放出するという少し神経を使う事をした為、博麗神社内でダウンしている。
なんか、棒人間みたいに伸びてる。
そして、体調も良くなったことで、日課になりつつ博麗神社の清掃をしてる時に、何時ぞやの金髪魔法使いに頭を下げられてる。
?「オ、オレ……お前が霊夢の友人だとは知らずに…本当にごめんなさいっ!!」
「うーん…少なくとも、あいつは、俺の事を友人とは思ってないんじゃないかな…。」
?「へっ?じ、じゃ…なんなんだぜなっ…?」
「……。清掃員…?」
?「はっ…はぁっ?」
俺の曖昧な返答に、ポカーンっとした表情を向けられてしまった…。
てか、俺この金髪少女の名前知らんし…とりあえず自己紹介からするか…
「…自己紹介をしそびれたね。俺は拓人。西川 拓人だ。霊夢から俺の事は、『迷い人』、『外の世界の人』…って言われたただの人だ。」
?「っ!…通りで…」
「?」
?「あーいや、なんでもないんだぜ。オレは霧雨魔理沙っ!ただの魔法使いだぜ!★……その、本当にあの時はごめんなさいっ…。オレ…話も聞かずに……」
「…別にいいさ。確かに、君に殺されかけたのは怒ってる。というか、一生忘れられないだろう。」
魔理沙「あぐっ……」ビクッ
「でも、こうして生きてる。あのまま殺されてたら怨念として出てたかもしれないが…今は、こうして生きていけてる。だから、水に流す…とまでは行かない。けど、反省してるから…うん。許せる」ニコ
魔理沙「ほっ…本当か…?」
「あぁ。本当だ」
俺がそういえば、少しホッと肩を撫で下ろしながら一安心と言った表情をする。
「それより…霧雨さんの方は大丈夫…なのか?」
魔理沙「あん?何がだ?」
「俺、意識が薄せる瀬戸際の時…なんか悲鳴声とピチューんって音が」
魔理沙「あ~………。おう…。大丈夫…じゃ、ないけど…大丈夫だぜな…。だから…あまりその事には触れないでくれると助かるぜ…。」
「……なんかごめん。」
思い出したかのようにそう霧雨さんに聞いたら、一瞬にして目のハイライトさんが仕事をしなくなったと思ったら、虚ろ虚ろな表情でそうそっぽを向いた。…俺よりダメージ受けてないか…?
魔理沙「そう言えや拓人は人の子…なんだよな?」
ホウキをサッサとしてる時に、そう後ろで胡座をかいてくつろいでる霧雨さんにそう質問をされる。
そんな事よりも俺的には異性なんだからもうちょっと姿勢をどうにかして欲しいと切実に思ってしまった。
まぁもう、霊夢でとっくに慣れちゃってから今更どうということでは無いが…
「そうだよ。それがどうしたんだ?」
魔理沙「あーいや、本当にそれだけなのかなって…。オレが言うのもなんだが…結構ボコボコにした覚えがあるんだが…」
確か霊夢にも言われたな…人としてはとっくに致死量って
「…あれから、霊夢と話したか?」
魔理沙「へ?…あ、あぁ…そりゃ、あんな事をしでかしちまったからな…。素直に謝りには来るだろ?」
「そっか…。霧雨さんが言うように、俺はボロボロになった。完膚なきまでに…な。」
魔理沙「うぐっっ!…それは本当に…」
「だが、霊夢は何食わぬ顔で俺にこう言ったんだ。人としてならとっくに致死量ってな。」
魔理沙「っ!?それってっ!?」
そう、言葉通りの意味なら俺はとっくに人を辞めてるということになる。あの時言われた時はピンとこなかったがな…
霊夢は何気ない一言何だろうが…少し考えれば分かる。人としてという濁した言い方。普通なら、『あんた…とっくに死んでるわよ…?』なんて呆れた答えを俺に向けるだろう。
だが、一呼吸置いてからの『人として』という単語。そして何よりも…
「俺が完治できた理由…何かわかるか?」
魔理沙「い、いや…全く検討も…」
「…霊夢の中にある霊力。それを養分にして、俺の怪我は3日という短期間で完治した」
魔理沙「霊力…だって…?それってつまり……」
やはり、霊夢のあの時の反応で疑問を。
そして、霧雨さんの今の反応で確信に変わった。
「この能力は…妖怪と同じ特性…。そうだよな?」
魔理沙「あ、あぁ…。1部に限るが、霊力を養分にする妖怪は確かに居る。といっても、オレ自身は詳しくないんだが…。
」
あの時霊夢が呟いた一言…『全く…これじゃまるで妖怪よ?』…俺の体は、この世界に適応しつつあるって事って訳だ。
それで霊夢が上げた例え話も、あながち間違いじゃないということが浮き彫りになってきていた。
俺が『迷い人』じゃないという例え話が…
「…俺が外の世界の住民…それは、俺の服装などで分かることなんだろ?」
そう言うと、霧雨さんは小さく頷く。…。
「俺は、一体何者…なんだろうな。」
魔理沙「…オレに聞くんじゃねぇーよ。んでもそれならおかしくないか?」
「何がだ?」
魔理沙「妖怪や妖精でも、少なくともスペルカードの複数を使えるし、弾幕も使える。だが…」
そう、俺にはスペルカードと言うの技も弾幕という弾丸を飛ばすことも出来やしない。
それは既に検証済みだ。…ベットに寝転んでる時に、霊夢にいきなり無茶ぶりでやらされた。何も起きなかったがな…
「…俺はこの世界に来てから変わった訳じゃない。日が過ぎていって初めてわかってきている。俺が少し人間離れな事も、有り余る力が溢れてくるのも」
魔理沙「っ!!」
「察しがいいように、今は平然と出来てるし、理性もある。…だが、いつの日か俺が『完全の妖怪』になったら……分からない。」
迷い人は所詮、人の路線で変わっていくだけ…。だが、俺は見た目や境遇こそ迷い人だが…その性質は妖怪と同じ特性を持つ。半人半妖…と、霊夢が言っていた。
「いつか暴走する日が来る。これは予測じゃない。必然的に来る運命だ。」
魔理沙「っっ…。だが、それを止められないというわけでは…もちろんないんだろ…?」
霧雨さんの言う通り、ただこのままの俺で行ったら、間違いなく暴走する…ってだけだ。
「霊夢が言っていた。解決案があるとするなら…俺が、俺を辞めるということ。」
魔理沙「それはっ…人としての拓人ってのを辞める…って事…か?」
「そういう事になるな。人としての俺は、妖怪の能力になりつつある自分の体を制御出来なくなる。だからこそ暴走する…と、考えている。だからこそ、妖怪に体が変わって言っているなら、俺自身も、その妖怪の能力を利用して強くなればいい。それが、霊夢の出した解決案って訳だ。」
もちろん…簡単なことでは無い。元々俺はこの世界の住人では無い。幻想郷の住民ではないただの一般人が、いきなり妖怪になれと言われてるのだ。どこぞの『鬼になれ』みたいなように、少し血をちゅーって注射されて晴れて鬼になりましたー♪…って軽いものじゃない。
それは霊夢から嫌という程聞いてる。ただの人が妖怪にクラチェンとか農民が勇者になるほどの鬼畜作業だと。
小説じゃ結構ありきたりな展開ではあるが、それはあくまでチート個性があるからこそできる事であって、俺のような奴が順応出来るかと言えばそうでは無い。
少し冷静だとか、少しばかり頭の回転が早いからだとか、そんな平凡な能力だけじゃどうしようも出来ない。それが今の現状なのだ。
魔理沙「…どうするん…だ?…拓人は…妖怪に、なりたいと思うのか…?」
正直にいえば、今のまま貧弱な俺のままで生きたい。急に人間やめろとか妖怪になれとか言われても心の整理とかその他諸々が追いつかない。
「……なりたいとは思わないよ。容姿とかそのまま引き継げるならなりたいとは思うけどな」
俺が今一番恐れてるのは、人外になる事だ。なんか体が緑になってきゅうり好きになったりとか、プルプルの最強の魔王スライムだとか、家を買いたいドラゴンになったりとか、そんな物にはなりたくない。なるなら今の容姿のまま、人という容姿を残したまま妖怪になりたい。
魔理沙「いや別に容姿は変わらないと思うが……。あくまでも人の子を辞めて妖怪になるか、人の子のまま妖怪にならないかの違いで…」
「え?何?そんな簡単な問題なの?」
魔理沙「簡単ってお前な!?妖怪になっちまったら外の人だ!元の世界には」
あ、つまり何?元の世界に戻る事が出来なくなるとかそんなちっさい内容なの?…そりゃ霊夢が淡々と言うわけだ。
普通なら止めるとこだもんだ。だってみんな、この世界に迷い込んだだけで、元の世界には家族なんかを残してきてるわけだからな。
だが、そもそも家族に空気のように扱われていて、学校にも友人の誰一人も居ない俺には、あんな世界はただの箱庭だ。
「なら、心配ねぇーな。心置き無く妖怪になれるってもんだ。」
魔理沙「はぁっ!?オレの話聞いてたか!?なっちまったら元の世界には!」
「霧雨さん、幻想郷にはどんな人が住んでるんでしたっけ?」
魔理沙「は、はぁ?…それはもう霊夢に聞いてるだろ…?忘れ去られた者たちが………」
そこまで言うと、何かを察したような顔になる。
「俺は、おそらくだがその類だ。だから、外の世界の住人ではあるが…迷い人じゃない…ってことだな」
魔理沙「っっっ~~!……はぁ…もう…どうなってもオレは知らねぇーぞ…?」
「霧雨さんは優しいんだな」
魔理沙「お節介なだけだぜ。それといい加減霧雨さんは気持ち悪い。魔理沙でいいぜ。みんなそう言うしな。」
「ならそうさせてもらうよ。…『元人間』の拓人ってな。」スッ
そう言いなが、右手を彼女に向ける。魔理沙は一瞬ビクリと体を震わすと、ニコッと笑って
魔理沙「拓人…お前、相当頭のネジが飛んでるだろ?」ニコ
「飛んでなかったら、人のままか妖怪になるかを即決しねぇーよ。…これからよろしくな」ニコ
魔理沙「霊夢より先に私に挨拶するか…?普通そこはお世話になってる人からだろ?」
「生憎と、その世話焼きの巫女さんはどこぞの馬鹿のせいでダウン中です」
魔理沙「はっはっは!…笑える立場じゃないのが笑えるぜ…」
「同感だ」
人として生きるのをやめ、妖怪として生きる事を決意した拓人。
さぁぁぁってと、これでようやく後は日常を書いていけるぞっ!ぶっちゃけ日常作りが一番大変……なのよねぇ。